さいたま地方裁判所 平成13年(ワ)1895号 判決 2004年4月23日
原告
X1
ほか二名
被告
Y1
ほか一名
主文
一 被告らは、原告X1に対し、連帯して、八三四一万五六二〇円及びうち八一〇一万五六二〇円に対する平成一三年一月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告らは、原告X2に対し、連帯して、一一〇万円及びこれに対する平成一三年一月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 被告らは、原告X3に対し、連帯して、一一〇万円及びこれに対する平成一三年一月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
四 原告らの被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。
五 訴訟費用は、これを五分し、その三を原告らの連帯負担とし、その余を被告らの連帯負担とする。
六 この判決は、一項ないし三項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
一 被告らは、原告X1に対し、連帯して、二億一四〇二万八二三三円及びうち二億一一六二万八二三三円に対する平成一三年一月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告らは、原告X2に対し、連帯して、五五〇万円及びこれに対する平成一三年一月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 被告らは、原告X3に対し、連帯して、五五〇万円及びこれに対する平成一三年一月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、原告らが、後記の交通事故(以下「本件事故」という。)について、被告Y1に対し、民法七〇九条に基づき、被告有限会社南浦和タクシー(以下「被告会社」という。)に対し、自賠法三条に基づき、それぞれ損害賠償を請求した事案である。
事案の概要(争いのない事実ないし証拠により容易に認定できる事実)は、次のとおりである。
一 当事者
(1) 原告X1(平成○年○月○日生。本件事故当時一歳。)は、原告X2(昭和○年○月○日生。)及び原告X3(昭和○年○月○日生。)夫婦の子である。
(2) 被告Y1(昭和○年○月○日生)は、本件事故当時、被告会社の従業員として、タクシー運転の業務に従事していた。
二 本件事故の発生
(1) 発生日時 平成一三年一月二〇日午前一一時ころ
(2) 発生場所 さいたま市<以下省略>先路上(以下「本件事故現場」という。)
(3) 加害車両 被告Y1が運転し、被告会社が所有する普通乗用自動車(以下「被告車」という。)
(4) 被害車両 原告X3が運転し、原告X1が幼児補助椅子に同乗する自転車(以下「原告自転車」という。)
(5) 事故の態様 原告自転車が歩道を走行していたところ、縁石が途切れた本件事故現場付近で、バランスを崩した原告自転車が歩道側から車道側に転倒し、車道を走行してきた被告車の側面に原告自転車が接触した。
三 原告X1の入通院経過及び後遺障害
(1) 原告X1は、本件事故により、次のとおり、川口市立医療センターで入通院治療を受けた。
ア 平成一三年一月二〇日から平成一三年五月八日まで 入院(入院日数一〇九日間)
イ 平成一三年五月九日から平成一三年九月二〇日まで 通院(通院実日数二九日間)
(2) 原告X1は、平成一三年九月二〇日、川口市立医療センターにおいて、外傷性脳挫傷、くも膜下出血、頭蓋骨骨折、硬膜下膿瘍、てんかん及び精神遅滞との傷病名で平成一三年九月二〇日に症状が固定した、と診断された。
(3) 原告X1は、平成一四年八月二二日、自賠責保険において、頭部外傷に伴う精神神経障害が後遺障害等級一級三号に該当する、と認定された。
四 損害の一部てん補
(1) 原告X1は、本件事故について、被告会社が加入していた保険会社から、治療費、付添費等の名目で合計一四八万四三八〇円の支払を受けた。
(2) 原告X1は、本件事故について、自賠責保険から、三〇〇〇万円の支払を受けた。
第三争点
一 被告Y1の過失
(原告らの主張)
被告Y1は、原告自転車が歩道をふらふら走行しているのを認めて、原告自転車がバランスを崩して転倒して歩道から車道側に出てくることが予見できたから、減速するなり、原告自転車から適切な距離をとるなりして安全に走行すべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠って進行した過失により、被告車を原告自転車に衝突させた。
(被告らの主張)
被告Y1には、次のとおり、原告自転車が車道側に倒れて被告車と接触することについて、予見可能性がなかったし、回避可能性はなかった。したがって、被告Y1は、本件事故について、過失がない。
(1) 本件事故現場は、自転車の横断が予測される場所ではない。
(2) 縁石は、車道に出てはならないという趣旨である。高さ三cmの縁石がある部分から原告自転車が急に車道に倒れ出てくることは、予測できない。
(3) 原告X3は、自転車に子供を乗せて走行していた。子供の安全を優先するのが通常であるから、ふらふら走行していても車道に倒れ込んでくることは、予測できない。
(4) 本件事故現場付近には、進行方向から左折できる幅三・七メートルの道路があった。原告自転車が左にハンドルを切ったので、被告Y1は、原告自転車が左に曲がったものと思った。原告自転車が逆方向である車道に出てくることは、予測できない。
二 被告らの責任原因
(原告らの主張)
(1) 被告Y1は、上記過失があるので、民法七〇九条に基づき、原告らが本件事故により被った損害を賠償すべき責任がある。
(2) 被告会社は、被告車の運行供用者であるから、自賠法三条に基づき、原告らが本件事故により被った損害を賠償すべき責任がある。
(被告らの主張)
被告らの賠償責任は争う。
ただし、被告会社が被告車の運行供用者であることは認める。
三 因果関係の有無
(原告らの主張)
被告車は、次のとおり、原告X1の頭部に接触した。仮に、被告車が被告X1の頭部と接触していないとしても、被告車と原告自転車の幼児用補助椅子とが衝突して原告X1が負傷している。したがって、本件事故と原告X1が負った後遺障害との間には因果関係がある。
(1) 原告自転車のハンドルの高さは、一〇六cmである。幼児用補助椅子の座席部の高さは七八cmである。原告X1の身長は八〇cmである。シートベルトを装着して幼児用補助椅子に座っていた原告X1の頭部は、ハンドルより上に出ていた。原告自転車が右に転倒すれば、原告X1の頭部が右側に突き出す状態となり、被告車の左側面と接触する。
(2) 被告車の左側面フロントフェンダーについた擦過痕は、地上から高さ四〇cmの位置にある。そのすぐ後方の左側面の二条の擦過痕は、高さ三六cmと二八cmの位置にある。左側面フロントフェンダーについた擦過痕の位置よりも低く、前方から後方へ向かって低くなる擦過痕である。原告自転車が、転倒する際に、被告車と衝突したことを物語る。その際、原告X1が被告車の側面に接触しても、衝突部分が被告車のタイヤやフェンダーであれば、幼児の頭部の柔らかさやタクシーが洗車されることからして、払拭痕がないことは十分あり得る。
(3) 原告X1の受傷の機転についての医学的見解(甲三〇)によれば、原告X1が被告車に接触したことが推認できる。
(被告らの主張)
被告車は、次のとおり、原告X1に接触していない。原告X1の傷害は、原告自転車の転倒によって原告X1が地面に衝突したことによって生じた。したがって、原告X1が負った後遺障害等の損害は、被告車の運行によって生じたものではない。
(1) 乙第一号証の鑑定書によれば、原告自転車は、完全に横転してから、被告車に接触している。原告X1の頭部は被告車に接触しない。原告X1は、右側頭部を道路面にぶつけた可能性が高い。
(2) 被告車のフェンダー内やドア下部は走行中に汚れやすい状況にあるから、物体が接触した場合には払拭痕ができるはずである。しかし、警察の鑑識の結果、原告X1の頭部が被告車に接触した際にできるはずの接触痕が発見されなかった。
(3) 原告X3は、原告X1と被告車が接触したところを見ていない。
(4) 被告Y1は、明確ではないが、原告自転車が倒れてから被告車に接触したように感じた。
四 過失相殺
(被告らの主張)
(1) 原告X3の過失
ア 原告自転車に乗った原告X3は、車道を進行する被告車の直前に倒れながら飛び出した過失がある。原告自転車が自ら危険に接近する形で衝突した。
イ 原告X3は、縁石部分を越える際、一時停止及び後方確認を行わなかった。
ウ 原告X3は、狭い歩道を相当な速度で走行した。凸凹である有蓋側溝の上を走行した。
エ 原告X3は、相当重い原告X1(当時一歳二か月。本件事故の八か月後の体重は一四kgあった。)を自転車の前かごに乗せて走った。自転車が倒れる際に、支えきれなかった。
オ 原告X3は、幼児を自転車に乗せていたから、自転車の走行に十分注意すべきであった。本件事故現場では、自転車を降りて歩くべきであった。
(2) 被告Y1の走行
ア 被告Y1は、原告自転車を注視して走行した。
イ 被告Y1は、原告自転車を見て減速し、ブレーキペダルの上に足をのせて走行した。
ウ 被告Y1は、センターラインを越えるまで中央に寄って走行した。
エ 本件事故現場は、幹線道路と同視できる道路であった。
(3) 過失割合
原告自転車が、予想に反して車道に急に転倒してきて被告車と接触したから、被告Y1の過失は、原告X3の過失より小さい。原告ら側には、本件事故に関して、七割以上の過失がある。
(原告らの主張)
(1) 原告自転車の走行
ア 原告自転車が転倒したことは、アクシデントである。過大に評価すべきでない。
イ 原告X3が一時停止及び後方確認を行わなかったことは、重大な過失ではない。
ウ 原告X3は、ゆっくりと走行した。ふらふら走っていたので、相当な速度は出ていない。
エ 自転車が有蓋側溝を走行すること自体に注意義務違反はない。
オ 自転車の補助椅子に幼児を乗せて走行することは、注意義務に違反するところはない。
(2) 被告Y1の過失
ア 自動車の運転手は、幼児を乗せて走行している自転車に対して、より注意して運転すべき義務がある。
イ 被告Y1は、被告車を減速していない。警察の捜査段階の証拠で、被告車が制動・回避措置をとった旨の記載はない。被告Y1は、平成一四年九月二四日付けの準備書面においても、事故状況について、制動・回避措置を指摘していない。
ウ 被告Y1が指示説明した実況見分調書(甲八の三)では、衝突地点は、縁石から〇・八mの車道である。縁石からセンターラインまでは三・二mある。被告車の車幅は一・六九mであり、衝突時の被告車の右端は縁石より二・四九mの位置にあるから、被告車は、衝突時にセンターラインを越えていない。
エ 本件事故現場は、幹線道路ではない。片側一車線の狭い道路であった。
(3) 過失割合
被告Y1は、衝突前から原告自転車が幼児を乗せてふらふら走行していたのを見た。原告自転車の動静を注視し、原告自転車から一定の距離をあけて、減速して走行すべきで注意義務があった。ところが、被告Y1は、原告自転車と衝突するまで原告自転車を見ていない。被告Y1の過失は重大である。
したがって、原告X3と被告の過失を比較すれば、原告X3の過失割合が二割を超えることはない。
五 損害額
(原告らの主張)
(1) 原告X1の損害
ア 治療費 一〇八万一二三〇円
イ 付添費 一九五万二〇〇〇円
一日当たり 八〇〇〇円
症状固定日までの付添期間 二四四日間
計算式 8000円×244日間=195万2000円
ウ 入院雑費 一六万三五〇〇円
一日当たり 一五〇〇円
入院期間 一〇九日間
計算式 1500円×109日間=16万3500円
エ 逸失利益 三六四一万三八一〇円
<1> 基礎収入額 四九六万七一〇〇円(平成一一年度賃金センサス全労働者学歴計全年齢平均による。)
<2> 労働能力喪失率 一〇〇%
<3> 労働能力喪失期間 四九年間(一八歳から六七歳まで)
<4> 中間利息控除 ライプニッツ係数七・三三一(=四九年間のライプニッツ係数一八・一六八七-一六年間のライプニッツ係数一〇・八三七七)
<5> 計算式 496万7100円×1×7.331=3641万3810円
オ 慰謝料 三五〇〇万円
後遺障害慰謝料 三二〇〇万円
入通院慰謝料 三〇〇万円
カ 将来の付添費 一億〇六四九万二二五五円
原告X1は、ほとんど一日中付き添う介護を必要とする。
原告X3は、本件事故の当時、株式会社コダックの派遣社員として働いていた。本件事故後、原告X1の介護のために就労していない。将来的には就労の必要性があり、就労を希望している。
(ア) 原告X3が六七歳になるまで
原告X3及び原告X2が就労する年間の平日二四〇日は、職業介護人による介護が必要である。両名の年間の公休日一二五日は、原告X3及び原告X2による介護がなされる。
<1> 一日当たりの付添費 平日 一万七二四四円
公休日 八〇〇〇円
原告X3の就労時間は、概ね午前八時から午後五時までである。通勤時間を考慮すると、午前七時から午後六時までの間、職業介護人が必要である。
平日の職業介護人の費用は、日額一万七二四四円(午前九時から午後六時までの間一万二五一六円と時間外の二時間分四七二八円の合計。)である。
休日の家族付添費は、日額八〇〇〇円である。
<2> 付添看護期間 四〇年間
<3> 中間利息控除 一七・一五九(四〇年間のライプニッツ係数)
<4> 計算式 (1万7244円×240日+8000円×150日)×17.159=8817万2551円
(イ) 原告X3が六七歳以降原告X1の平均余命まで
原告X3及び原告X2が原告X1を介護することはできない。全日職業介護が必要である。
<1> 一日当たりの付添費 二万〇二八〇円
一日あたり一二時間の介護を前提とする。基本付添費一万〇八二四円と時間外の四時間分九四五六円の合計は、二万〇二八〇円である。
<2> 付添看護期間 四二年間
<3> 中間利息控除 二・四七四九(四〇年後から八二年後までの四二年間のライプニッツ係数(一九・六三三九-一七・一五九))
<4> 計算式 2万0280円×365日×2.4749=1831万9704円
(ウ) 合計 一億〇六四九万二二五五円
キ 将来の経費 二〇八五万二三六一円
原告X1には、次のとおりの将来の経費が必要となる。
(ア) 介護ベッド 七〇万九六八三円
<1> 単価 三四万五九〇〇円
<2> 耐用年数 八年
<3> ライプニッツ係数(現価) 二・〇五一七(八年ごと八〇年間の合計)
<4> 計算式 34万5900円×2.0517=70万9683円
(イ) 車椅子代 四四七万〇九六八円
<1> 単価 合計五九万七七三九円
室内用車椅子 二四万八九四〇円
外出用車椅子 三四万八七九九円
<2> 使用年数 二年(一八歳になるまでの一六年間)及び五年(一八歳以降)
一八歳になるまでは、原告X1の成長に合わせて二年毎に更新する必要がある。一八歳以降は、耐用年数である五年毎に更新する。
<3> ライプニッツ係数(現価) 五・五五〇七(二年ごと一六年間の合計。開始時は三歳からである。)及び一・九二九一(五年ごと余命までの合計。開始時は一九歳からである。)
<4> 計算式 59万7739円×(5.5507+1.9291)=447万0968円
(ウ) 住宅改造費 一一〇〇万円
住宅の改造は、本件事故によって後遺障害を受けた原告X1を介護するために必要である。その費用は、一一〇〇万円を要する。
(エ) 自動車改造費 二九二万三六三八円
外出には、自動車が必要である。自動車の買換え毎に車椅子での乗車を前提とする改造が必要になる。
<1> 改造費用 一〇一万七一三〇円
<2> 買換年数 六年
<3> ライプニッツ係数(現価) 二・八七四四(六年ごと八〇年間の合計)
<4> 計算式 101万7130円×2.8744=292万3638円
(オ) クッションチェア代 八四万一六二七円
原告X1は、座位をとるため、クッションチェアが必要である。
<1> 単価 一一万二五二〇円
<2> 使用年数 車椅子と同様に二年(一八歳になるまでの一六年間)及び五年(一八歳以降)
<3> ライプニッツ係数(現価) 五・五五〇七(二年ごと一六年間の合計。開始時は三歳からである。)及び一・九二九一(五年ごと余命までの合計。開始時は一九歳からである。)
<4> 計算式 11万2520円×(5.5507+1.9291)=84万1627円
(カ) 入浴用の椅子 五二万七一六一円
原告X1は、入浴中に座位をとるため、入浴用の椅子を必要とする。
<1> 単価 八万五〇〇〇円
<2> 耐用年数 三年
<3> ライプニッツ係数(現価) 六・二〇一九(三年ごと八〇年間の合計)
<4> 計算式 8万5000円×6.2019=52万7161円
(キ) エアコン代 三五万四五七〇円
原告X1は、体温調整ができず、室内を一定の温度を保つためにエアコンを必要とする。
<1> 単価 一〇万円
<2> 耐用年数 五年
<3> ライプニッツ係数(現価) 三・五四五七(五年ごと八〇年間の合計)
<4> 計算式 10万円×3.5457=35万4570円
ク 将来雑費及び治療費 二〇四九万七七九一円
原告X1は、症状固定後も、余命期間八二年間にわたって、現状を維持するために、電気療法やリハビリなどの治療が必要である。排便のため、おむつが必要である。消毒用品も必要である。
将来雑費及び治療費の合計は、月額八万七〇〇〇円が相当である。
<1> 月額 八万七〇〇〇円
<2> 余命期間 八二年間
<3> ライプニッツ係数一九・六三三九
<4> 計算式 8万7000円×12か月×19.6339=2049万7791円
ケ 確定遅延損害金 二四〇万円
原告X1は、自賠責保険から、平成一四年八月二六日、三〇〇〇万円を受領したから、損害賠償金元本に充当する。三〇〇〇万円に関して、事故日である平成一三年一月二〇日から支払日である平成一四年八月二六日までの未払遅延損害金は、二四〇万円になる。
コ 弁護士費用 一九二〇万円
サ 損害合計 二億一四〇二万八二三三円
(2) 原告X2の損害
ア 慰謝料 五〇〇万円
イ 弁護士費用 五〇万円
ウ 損害合計 五五〇万円
(3) 原告X3の損害
ア 慰謝料 五〇〇万円
イ 弁護士費用 五〇万円
ウ 損害合計 五五〇万円
(被告らの主張)
(1) 損害額は、全て争う。
(2) 住宅改造費について
原告提出の見積書一一〇〇万円の七〇%である七七〇万円程度が相当である。
原告提出の見積書は、全てが受傷に起因する改造ではない。住宅工事で改造される設備は同居の家族も使用する。
後遺障害及び日常生活動作が確定していない時点での住宅の改造工事は無駄になる。
第四当裁判所が認定した事実
上記認定した事案の概要に、本件証拠(甲四ないし八、一〇ないし一四、一八ないし二三、二七、二八、三〇(枝番も含む。以下同じ。)、原告X3本人、被告Y1本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。
一 本件事故現場の状況
(1) 本件事故現場は、さいたま市を南北に走る交通量の多い産業道路からJR京浜東北線や国道一七号線のある西方向に向かう道路の一つで(JRの駅や国道一七号線と直接通じておらず、幹線道路とは言えない。)、片側一車線の二車線の車道と歩道とからなる舖装道路である。最高制限速度は、四〇km毎時と指定されている。
(2) 車道の幅員は、片側三・二m、合計六・四mである。車道の横には、縁石で区分された幅員一mないし一・四mの歩道がある。
(3) 本件事故現場付近では、マンションの駐車場へ続く幅員三・七mの道路があるため、高さ二五cmの縁石がいったん途切れていた。その後、高さ三cmの縁石が五・五mほど存在して、再び高さ二五cmの縁石部分が続いている。
(4) 本件事故現場は、ほぼ直線で見通し良い道路であった。
(5) 本件事故現場付近の状況は、おおよそ別紙図面のとおりである。
二 本件事故の態様
(1) 原告X3は、本件事故の当日、原告X1に予防接種を受けさせるため、自転車に原告X1を乗せて、当時の自宅から南浦和にある病院に向かった。
(2) 原告自転車は、前輪の上部のハンドルの間に、シートベルト付きのかご状の幼児用補助椅子が取り付けられた自転車であった。原告X3は、原告X1を幼児用補助椅子に乗せ、シートベルトをして、進行した(当時勤めていた原告X3は、原告X1を保育園に送るために原告自転車を利用していた。)。
(3) 原告X3は、本件事故現場付近の進行方向左側の歩道を西に向かって、原告自転車をゆっくりと進行させていた。別紙図面のイ点付近で、歩道を対向してくる人影に気付いた。対向してくる人を避けるため、高さ三cmの縁石を越えて車道に出ようと、自転車のハンドルを右に切った。ところが、縁石にハンドルをとられ、自転車が車道側に転倒した(その場所は、別紙図面のウ地点付近である。)。原告X3は、足を地面に付けて、自らが転倒するのは免れた。
(4) 被告Y1は、本件事故当時、タクシーである被告車に客を乗せて、本件事故現場の道路を時速四〇kmないしこれを超える程度の速度で西に向かって進行していた。本件事故付近を走行する際、対向車はなかった。
(5) 被告Y1は、別紙図面の<1>地点付近で、前方約一三・五m先の別紙図面のア地点付近の歩道を原告X1を同乗させた原告自転車がふらつきながら進行するのを認めた。しかし、被告Y1は、特に減速も進路を中央線側にとることもなく、そのまま被告車を進行させた(被告Y1は、当法廷において、原告自転車を見つけて、アクセルから足を外して減速し、原告自動車を避けて中央車線を越えるように進行した旨供述する。しかし、原告自転車の進行方向を含めた被告Y1の事故の態様に関する供述は、それ自体不自然・不合理であるばかりでなく、事故直後の実況見分においても、そのような指示説明をした様子はないから、到底信用できない。)。
(6) 原告自転車が車道側に倒れるところを、被告車(車幅一・六九m)が原告自転車の側を通過したため、被告車の左側部が原告自転車と接触した。その接触地点は、別紙図面の<×>地点(縁石から約〇・八mの地点)付近である。
(7) 原告自転車と被告車の接触状況は、次のとおりであった。
ア 原告自転車は、本体に歪み等が見られなかった。ハンドル部に固定された幼児用補助椅子に次のような損傷箇所があった。
(ア) 幼児用補助椅子の前部網目状部は、圧力がかかったように歪んでいた。
(イ) 幼児用補助椅子の前部の黄色のビニール製カバー(地上高九九cm)には、長さ一七cmの黒色の擦過痕が残っていた。
(ウ) 幼児用補助椅子の左前側ステー部は、長さ三cmほど損傷し、その下方部にも擦過痕が認められた。
イ 被告車には、次のような破損箇所が見られた。
(ア) 左前輪タイヤの側面部には、幅七cm、長さ二二cmの擦過痕があった。
(イ) 左側フェンダー部には、地上高四〇cmのところに五mm大の擦過痕があった。
(ウ) 左側面下部には、二条の擦過痕があった。上は、地上高三六cm、長さ七〇cmであり、下は、地上高二八cm、長さ四三cmであった。
ウ 原告自転車の損傷箇所と被告車の破損箇所は、次のとおり、その位置が一致した。
(ア) タクシー左前輪タイヤの側面部と幼児用補助椅子の前面の黄色のカバー部の黒色擦過痕
(イ) タクシー左側フェンダー部の擦過痕と幼児用補助椅子の左前側ステー部の損傷
(ウ) タクシー左側面下部の二条の擦過痕と幼児用補助椅子の左前側ステー部の損傷箇所及びその下部の擦過痕
エ 以上の原告自転車の損傷箇所と被告車の破損箇所からすれば、原告自転車は、転倒する際に、ハンドルを右にとられながら車道側に倒れる途中で、幼児用補助椅子の前部から左側が、被告車の左側部に接触するように衝突した、と推認できる。
(8) 上記衝突の態様と、原告X1の原告自転車での乗車位置・姿勢や原告X1の傷害部位(右側額に二箇所と側頭部に一箇所の傷が付いていた。)・傷害の程度(頭蓋骨が頭頂部を横断するように離開骨折していることや脳全体に外傷性出血が認められることから、頭部に相当な圧力で挟まった状態で回転するような外力が加わったことが推測できる。)からして、原告X1の右側頭部が被告車の側面と接触衝突したことは明らかである(被告車の側面に原告X1の頭部との接触痕がないことは、幼児の頭であることからして、上記認定を何ら妨げるものではない。)。
三 原告X1の傷害・症状
(1) 原告X1は、本件事故により、平成一三年一月二〇日から平成一三年五月八日まで、川口市立医療センターに入院し(入院日数一〇九日間)、平成一三年五月九日から平成一三年九月二〇日まで、同病院に通院した(通院実日数二九日間)。
(2) 原告X1は、平成一三年九月二〇日、川口市立医療センターにおいて、外傷性脳挫傷、くも膜下出血、頭蓋骨骨折、硬膜下膿瘍、てんかん及び精神遅滞との傷病名で平成一三年九月二〇日に症状が固定した、と診断された。具体的には、四肢機能障害が顕著で、脳神経症状が多様に存在するため、常時臥床で随意運動不良であり、追視や発語がなく、低体温に容易になる、嚥下が困難であるなどの第一級の重症身体障害を呈している、と認められた。
(3) 原告X1は、現在も、次のとおり、全面的な介護を要する状況にある。原告X3を中心とした近親者等が付添介護している。
ア 原告X1は、寝たっきりで、手も足も自発的に動かすことができない。寝返りをうつこともできない。リハビリを行うことが重要になっている。
イ 首も腰もすわっておらず、普通に座位を保つことができない。
ウ 意識もはっきりせず、時々薄目を開けて瞬きをする程度で一日中眠っている。声を出したり、泣いたりすることもない。
エ 一日に五、六回のてんかん発作によるけいれんがある。
オ 食事は、そのまま与えることができない。細かく刻んでどろどろにした状態でスプーンで与えている。
カ 排泄は、自分の意思ではできない。おむつを使用している。排泄動作は、一生介助が必要になる。
キ 入浴は、低体温のため、時間をかける必要がある。大人一人で原告X1を入浴させるのは困難になっている。
ク 原告X1は、座位をとることができないため、介護用の特別な椅子が必要である。外出する際には、外出用の車椅子を使用している。
ケ 体温調整ができないため、室内の温度を高く保つエアコンが必要である。
コ 原告X1の内臓は丈夫で、体は大きくなることが予想される。介護用ベッドや椅子は買い替える必要がある。
第五争点に対する判断
一 被告Y1の過失の有無
上記の認定事実に照らせば、被告Y1は、本件事故現場の手前で、原告X3が幼児を乗せた原告自転車をふらつくように走行させているのを認めたから、原告自転車がバランスをくずして本件車道に出てくることを予見して、速度を落とすなり、道路の中央付近に車を寄せて原告自転車と適切な距離を保つなりして安全に自転車を追い抜くように走行すべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠って、減速することも道路中央に寄ることもなく漫然とそのまま進行した過失により、転倒してきた原告自転車と被告車の側面を接触させた、と認めるのが相当である。
被告Y1が本件事故を予見できない旨の被告らの主張は、合理的な根拠を欠いており、採用できない。
二 被告らの責任原因
(1) 被告Y1は、上記認定の過失によって本件事故を生じたさせたから、民法七〇九条に基づき、原告らが本件事故により被った損害を賠償すべき責任がある。
(2) 被告会社は、被告車の運行供用者であるから、自賠法三条に基づき、被告車の運行により原告X1の身体を害したことによって生じた損害を賠償する責任がある。
三 因果関係
上記認定のとおり、原告X1は、その頭部を被告車と接触させているから、被告らは、これによって生じた損害を賠償する責任がある。
被告は、被告車と原告X1の頭部が接触していない旨の鑑定書(乙一)を提出するが、前提となる事実が異なるばかりか、独自の見解であって、信用できない。他に上記認定を妨げるに足りる証拠はない。
四 過失相殺
上記認定の事実関係によれば、原告X3も、原告X1を幼児用補助椅子に乗せながら(自転車の前方に重い荷物を載せているとハンドル操作が難しいことは、経験するところである。)、運転を誤って、自転車を車道側に転倒させているから、原告ら側にも、相当の落ち度があった、と認められる。
上記認定・説示の原告X3の落ち度と被告Y1の過失を比較し、本件事故が自動車と自転車の事故であることも考慮すれば、原告ら側の過失と被告ら側の過失の割合は、ほぼ三割五分と六割五分である、と認めるのが相当である。
五 損害
上記認定の事実関係の下において、原告らの損害は、次のとおりと認定する。
(1) 原告X1の損害
ア 治療費 一〇八万一二三〇円(乙四、弁論の全趣旨)
イ 入院付添費 七〇万八五〇〇円(退院後の付添費については、後記カで判断する。)
原告の傷害の程度及び原告の年齢に照らして、完全看護の医療施設であっても、近親者の付添いが必要であったと認める。
近親者の付添い費用 一日当たり六五〇〇円
入院期間 一〇九日間
計算式 6500円×109日間=70万8500円
ウ 入院雑費 一六万三五〇〇円
入院雑費 一日当たり一五〇〇円
入院日数 一〇九日間
計算式 1500円×109日間=16万5000円
エ 逸失利益 四一一六万九五三八円
(ア) 基礎収入 四九四万六三〇〇円(平成一四年度賃金センサス全労働者学歴計全年齢平均による。)
未だ就労していない子供の基礎収入は、直近の賃金センサスに基づくことが、将来就労した場合に得られたであろう収入としての蓋然性が高いと認める。
(イ) 労働能力喪失率 一〇〇パーセント
(ウ) 労働能力喪失期間 四九年間(一八歳から六七歳まで。)
(エ) 中間利息控除 ライプニッツ係数八・三二三三(六五年間のライプニッツ係数一九・一六一〇-一六年間のライプニッツ係数一〇・八三七七)
(オ) 計算式 494万6300円×1×8.3233=4116万9538円
オ 慰謝料 二七〇〇万円
(ア) 後遺障害慰謝料 二五〇〇万円
原告X1は、本件事故によって、後遺障害等級一級三号に該当する後遺障害が生じているから、後遺障害慰謝料としては、両親の慰謝料も請求されていることを考慮して、二五〇〇万円を相当と認める。
(イ) 傷害慰謝料 二〇〇万円
上記説示の原告X1の治療経過、入通院期間及び通院実日数、傷害の部位及び程度、その他諸般の事情を総合考慮すると、原告に対する入通院慰謝料は、二〇〇万円が相当である。
カ 退院後及び将来の付添費 七一一七万二七六八円
上記認定事実に弁論の全趣旨を総合すれば、原告X1の付添費の損害については、次のとおり、認めるのが相当である。
(ア) 退院後(平成一三年五月)から平成一七年まで 一〇三五万四〇二八円
弁論の全趣旨により、退院後から本件口頭弁論終結の一年後までは、原告X3を中心とした近親者による付添看護がされるものと認める。
<1> 付添費 年額二九二万円(近親者の付添看護費用一日当たり八〇〇〇円)
<2> 付添看護期間 四年間(平成一三年から平成一七年まで)
<3> 中間利息控除 三・五四五九(四年間のライプニッツ係数)
<4> 計算式 292万円×3.5459=1035万4028円
(イ) 平成一七年から平成五三年(原告X3が六七歳になる年)まで 五五五四万一四四八円
弁論の全趣旨により、上記期間は、原告X3及び原告X2が就労することを前提に、一年間のうち、原告X3及び原告X2が就労する平日二四〇日について職業介護人による介護がなされ、公休日一二五日について原告X3及び原告X2による介護がなされるものと認める。)
<1> 付添費 職業介護人の費用 日額一万二〇〇〇円
近親者の費用 日額八〇〇〇円
本件証拠(甲二)及び弁論の全趣旨によれば、川口のケアサービスでは、職業介護人の基本介護は、午前九時から午後五時までの八時間であり、その料金は、一万〇八二四円と実費の交通費等としている。
<2> 付添看護期間 三六年間(平成一七年から平成五三年まで)
<3> 中間利息控除 ライプニッツ係数一三・六一三一(四〇年間のライプニッツ係数一七・一五九〇-四年間のライプニッツ係数三・五四五九)
<4> 計算式 (1万2000円×240日+8000円×150日)×13.6131=5554万1448円
(ウ) 平成五三年(原告X3が六七歳)から平成九五年(原告X1の平均余命期間)まで 一〇八四万〇〇六二円
弁論の全趣旨により、上記期間は、原告X3が六七歳に達するころには両親によって原告X1を介護することが困難になるので、全日職業介護が必要になる、と認める。
<1> 付添費 年額四三八万円(一日当たり一万二〇〇〇円)
<2> 付添看護期間 四二年間
<3> 中間利息控除 ライプニッツ係数二・四七四九(八二年間のライプニッツ係数一九・六三三九-四〇年間のライプニッツ係数一七・一五九〇)
<4> 計算式 438万円×2.4749=1084万0062円
(エ) (ア)ないし(ウ)の合計 七六七三万五五三八円
キ 将来の経費 二〇八二万七六四七円
(ア) 介護ベッド代 七〇万九六八三円
上記認定の事実に、本件証拠(甲二七、三六)及び弁論の全趣旨によれば、原告X1は、将来必要な介護ベッドの費用として、七〇万九六八三円を要すると認める。
(イ) 車椅子代 四四七万〇九六八円
上記認定の事実に、本件証拠(甲二七、三一、三二)及び弁論の全趣旨によれば、原告X1は、将来必要な車椅子の費用として、四四七万〇九六八円を要すると認める。
(ウ) 住宅改造費 一一〇〇万円
上記認定の事実に、本件証拠(甲一七、三五)及び弁論の全趣旨を総合すれば、本件事故によって後遺障害を受けた原告X1を介護するために、住宅の改造が必要であり、その改造費用の額は、一一〇〇万円を要すると認める。
乙第二号証をもって、上記相当因果関係の判断を妨げることはできない。
(エ) 自動車改造費 二九二万三六三八円
上記認定の事実に、本件証拠(甲一五)及び弁論の全趣旨によれば、原告X1は、将来必要な自動車の改造費用として、二九二万三六三八円を要すると認める。
(オ) クッションチェア代 八四万一六二七円
上記認定の事実に、本件証拠(甲二七、二九)及び弁論の全趣旨によれば、原告X1は、将来必要なクッションチェアの費用として、八四万一六二七円を要すると認める。
(カ) 入浴用の椅子 五二万七一六一円
上記認定の事実に、本件証拠(甲二七、三七)及び弁論の全趣旨によれば、原告X1は、将来必要な入浴用の椅子の費用として、五二万七一六一円を要すると認める。
(キ) エアコン代 三五万四五七〇円
上記認定の事実に、本件証拠(甲四四)及び弁論の全趣旨によれば、原告X1は、将来必要なエアコンの費用として、三五万四五七〇円を要すると認める。
ク 将来の雑費及び治療費 〇円
原告X1が主張する将来の雑費及び治療費については、上記認定した損害である逸失利益及び将来の介護費でてん補できない特別な損害であると認めるに足りる証拠はない。
したがって、将来の雑費及び治療費としての損害は認められない。
ケ 合計 一億六二一二万三一八三円
コ 原告ら側の過失相殺後の損害額 一億〇五〇〇万円
サ 損害のてん補後の損害額 七三五一万五六二〇円
原告X1は、損害のてん補として支払を受けた三一四八万四三八〇円を元本に充当することを自認している。
シ 確定遅延損害金 二四〇万円
自賠責保険によるてん補額三〇〇〇万円に対する本件事故日である平成一三年一月二〇日から支払日である平成一四年八月二六日までの五八四日間分の遅延損害金二四〇万円が未払であることは、弁論の全趣旨により認められる。
ス 弁護士費用 七五〇万円
本件事案の内容、訴訟の審理経過、前記損害額、その他一切の事情を考慮すると、原告X1が被告らに対して本件事故による損害として賠償を求め得る弁護士費用の額は、七五〇万円が相当である。
セ 損害賠償額の合計 八三四一万五六二〇円
(2) 原告X2及び原告X3の損害
ア 慰謝料 各一〇〇万円
原告X1の負った傷害及び後遺障害の内容・程度、原告X3の落ち度等本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、原告X2及び原告X3の慰謝料は、各一〇〇万円を相当と認める。
イ 弁護士費用 各一〇万円
本件事案の内容、訴訟の審理経過、前記損害額、その他一切の事情を考慮すると、原告X2及び原告X3が被告らに対して本件事故による損害として賠償を求め得る弁護士費用の額は、各一〇万円が相当である。
ウ 合計 各一一〇万円
第六結論
よって、原告X1の本訴請求は、被告らに対し、連帯して、損害賠償金八三四一万五六二〇円及びうち八一〇一万五六二〇円に対する不法行為の日である平成一三年一月二〇日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、原告X2の本訴請求は、被告らに対し、連帯して、損害賠償金一一〇万円及びこれに対する不法行為の日である平成一三年一月二〇日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、原告X3の本訴請求は、被告らに対し、連帯して、損害賠償金一一〇万円及びこれに対する不法行為の日である平成一三年一月二〇日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、原告らの被告らに対するその余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法六一条、六四条、六五条を、仮執行宣言につき同法二五九条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 小林正明 合田智子 小池将和)
交通事故現場見取図
<省略>