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さいたま地方裁判所 平成13年(行ウ)22号 判決 2003年8月27日

原告

学校法人A学園

同代表者理事

同訴訟代理人弁護士

由岐和広

豊﨑寿昌

榎本崇人

被告

浦和税務署長 水井隆治

同指定代理人

宮田誠司

引地俊二

古謝幸之

石川利夫

内田健文

山畑正

若山政行

大庭明夫

関野和宏

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実及び理由

第1請求

平成7年12月分及び平成8年1月分源泉所得税の納税告知処分及び重加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

第2事案の概要

1  事案の要旨

本件は、B高等学校等を経営する学校法人である原告の元理事長であった乙(以下「乙」という。)が原告から取得した金員(以下「本件金員」という。)について、乙に対する原告からの給与所得であると認めて行った各納税告知処分(以下「本件各納税告知処分」という。)及びそれに伴う重加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい、本件各納税告知処分と併せて、「本件各処分」という。)について、原告が、本件金員は、乙が原告のために立替払いをしたもので、乙に利得がなく所得には当たらない、本件金員は、乙の違法行為に基づくもので、給与所得には当たらないなどと主張して、被告に対し、本件各処分の取消しを求めた事案である。

2  法令等の定め

(1)  源泉徴収制度について

ア 国税に関する法律の規定により国税(源泉徴収による国税を除く。)を(納める義務がある者(納税義務者)及び源泉徴収による国税を徴収して国に納付しなければならない者(徴収納付義務者)を納税者とする〔国税通則法(以下「通則法」という。)2条5号〕。

イ 所得税法28条1項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者その他第4編第1章から第6章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は、同法により、その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある(所得税法6条)。

居住者に対し国内において所得税法28条1項に規定する給与等の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日に属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない(同法183条1項)。

ウ 源泉徴収による所得税を徴収して国に納付する義務(納税義務)は、利子、配当、給与、報酬、料金その他源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時に成立し(通則法15条2項2号)、上記納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する(同条3項2号)。

エ 源泉徴収の規定により所得税を徴収して納付すべき者がその所得税を納付しなかったときは、税務署長は、その所得税をその者から徴収する(所得税法221条)。

オ 源泉徴収による国税でその法定納期限までに納付されなかったものについて、税務署長が国税に関する法律の規定により徴収しようとするときは、納税の告知をしなければならず(通則法36条1項2号)、この納税の告知は、原則として、税務署長が、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して行う(同条2項)。

(2)  給与所得等の意義

ア 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下「給与等」という。)に係る所得をいう(所得税法28条1項)。

イ 役員とは、法人の取締役、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう(法人税法2条15号)。

ウ 賞与とは、役員又は使用人に対する臨時的な給与(債務の免除による利益その他の経済的利益を含む。)のうち、他に定期の給与を受けていない者に対し継続して毎年所定の時期に定額(利益に一定の割合を乗ずる方法により算定されることとなっているものを除く。)を支給する旨の定めに基づいて支給されるもの及び退職給与以外のものをいう(法人税法35条4項)。

(3)  重加算税の意義

納税者が納付すべき税額の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし又は仮装したところに基づき、過少申告(通則法65条)・無申告(同法66条)又は不納付(同法67条)がされた場合には、過少申告加算税・無申告加算税又は不納付加算税の代わりに、重加算税を課され又は徴収される(同法68条参照)。

(4)  私立学校法

学校法人には、役員として、理事5人以上及び監事2人以上を置かなければならないとされ(私立学校法35条1項)、理事は、すべて学校法人の業務について、学校法人を代表するが、寄附行為でその代表権を制限することができるとされている(同法37条1項)。また、学校法人の業務は、寄附行為に別段の定めがないときは、理事の過半数をもって決するとされている(同法36条)。そして、学校法人は、その設置する私立学校の教育に支障のない限り、その収益を私立学校の経営に充てるため、収益を目的とする事業を行うことができるとされ(同法26条1項)、収益事業に関する会計は当該学校法人の設置する私立学校の経営に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならないとされている(同条3項)。

3  基本的事実関係(証拠等の摘示のない事実は、争いのない事実である。)

(1)  当事者等

ア 原告は、昭和52年12月27日、主たる所在地を浦和市(現さいたま市緑区)とし、学校教育を行うことを目的として設立された学校法人であり、B高等学校、C専門学校、A幼稚園を経営している(甲1)。

イ 乙は、設立当初から理事長であったが、平成10年10月17日に辞任した(甲1)。

ウ 原告は、昭和57年12月1日から源泉所得税の納付を開始した。

(2)  本件金員の支出

原告は、平成7年12月26日、原告名義の口座から、乙の指定したD銀行虎ノ門支店の丙名義の普通預金口座(以下「本件D銀行口座」という。)に4000万円を振り込んだ(甲6の1。以下、この振込を「本件振込1」という。)。

さらに、原告は、平成8年1月12日、原告名義の口座から、E農業協同組合本所(現在E農業協同組合野田支店)の乙名義の普通預金口座(以下「本件E農協口座」という。)に775万円を振り込み(甲6の2。以下、この振込を「本件振込2」という。)、また、同様に、F銀行浦和中央支店の乙名義の普通預金口座(以下「本件F銀行口座」という。)に225万円を振り込んだ(以下、この振込を「本件振込3」といい、乙が、本件振込1ないし3により得た金員を、本件金員という。)。

(3)  本件各処命等の経緯

被告は、本件金員が原告からの乙に対する賞与に該当すると判断し、平成12年5月31日付けで、平成7年12月分及び平成8年1月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分(本件納税告知処分)及び重加算税の賦課決定処分(本件賦課決定処分)をした(甲8)。

原告の本件各処分に関する異議申立て、異議決定、審査請求の経緯は別紙のとおりである。

4  当事者の主張

(1)  被告

ア 本件納税告知処分について

(ア) 本件金員は「給与所得」に当たり、原告が乙に本件金員を移転させたことは「支払」に当たるから、原告は本件金員に関し源泉徴収義務を負担するもので、原告がこれを怠ったとしてなされた本件各納税告知処分は適法である。

a 「給与所得」該当性

(a) 所得税法28条1項によれば、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得は給与所得とされ、その支払をする者は、同法により、その支払に係る金額につき源泉徴収する義務がある(所得税法6条)。

(b) 給与所得は包括的な概念であるため、その意義については、単に雇用関係に基づき労務の対価として支給される報酬よりは広く、雇用又はこれに類する原因(例えば、法人の理事、取締役等にみられる委任又は準委任等)に基づいて、非独立的に提供される労務の対価として他人から受ける報酬並びに実質的にこれに準ずべき給付、すなわち、労務の提供が自己の危険と計算によらず他人の指揮監督に服してなされる場合にその対価として支給されるものをいうと解されている(最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決・民集35巻3号672頁)。

(c) 上記最高裁判例によれば、ある所得が給与所得か否かの一つのメルクマールとして、労務(役務)対価性が挙げられるが、法人の役員が法人から支給を受ける報酬については、この点を重視することは妥当でない。なぜなら、そもそも役員の業務内容は極めて包括的かつ広範で、法人の業務全般に及ぶことから、その報酬は、ことの性質上、法人から指揮命令を受けて労働に従事する従業員の賃金とは異なり、個別の業務との直接的対価性は認められないからである。法人の役員の報酬についてその労務(役務)との対価性を判断するに当たり、当該役員の具体的かつ個々的な業務を観念し、それとの対価性を吟味することは極めて困難であり、非現実的でもある。

したがって、一般に、法人の役員に対し当該法人から支給される金銭又は経済的利益は、その支給が当該役員の立場と全く無関係に、法人から見て純然たる第三者との間の取引ともいうべき態様によりなされたものでない限り、原則としてその職務執行の対価の性質を有するものというべきである(名古屋地裁平成4年4月6日判決参照)。

(d) また、人の担税力を増加させる経済的利得はすべて所得を構成するから、合法的な利得のみでなく、不法な利得も課税の対象とされる。すなわち、法律上有効に保有できない利得であっても、利得者がそれを現実に支配し、自己のために享受している限り、課税所得たる所得を構成するものである(最高裁昭和46年11月9日第三小法廷判決・民集25巻8号1120頁)。

このことは、源泉徴収による国税についても同様であり、所得の受給者が不法に利得したものであっても、その所得は課税所得たる所得を構成する。なぜなら、源泉徴収による国税は、本来納税義務者でないそれ以外の第三者に租税を徴収させて国税を納付させる方式で租税を徴収する国税であり、この第三者(源泉徴収義務者)の徴収義務は、所得の支払のときに自動的に成立し、成立と同時に納付すべき税額が確定するのであるが、他方、所得の受給者が最終的な所得税の負担者であるから、源泉徴収における担税力もなお所得の受給者についてみるべきだからである(大阪地裁平成8年9月6日判決・その控訴審判決である大阪高裁平成9年7月25日判決参照)。

(e) これはさらに、源泉徴収による国税について、所得の受給者が源泉徴収義務者から不法に利得した場合であっても同様である。

確かに、所得の受給者が源泉徴収義務者から不法に利得した事案においては、源泉徴収義務者はいわば被害者であるから、源泉徴収義務を課し、これを怠ったとして納税告知処分をすることは、一見すると不当なように思われる。京都地裁平成14年9月20日判決も、こうした観点に基づくものと解される。

しかし、源泉徴収による所得税の徴収納付においては、国と源泉徴収義務者との間の法律関係と、源泉徴収義務者と所得の受給者との間の法律関係は存在するが、国と所得の受給者との間の法律関係は存在しないため、源泉徴収が過少になされた場合、国は源泉徴収義務者から差額を追加納付させ又は徴収することができるが、所得の受給者からはできない。他方、国に差額を追加納付し又は徴収された源泉徴収義務者は、その差額について、所得の受給者に求償することができる(所得税法222条)。

すなわち、所得の受給者が源泉徴収義務者から不法に利得した事案において、源泉徴収義務者にその義務を課さなければ、納付し又は徴収されるべき源泉徴収税額を所得の受給者に負担させることはできず、結局、国民一般が負担せざるを得ず、他方、その義務を課したとしても、源泉徴収義務者は納付し又は徴収された源泉徴収税額を所得の受給者に求償し、その負担を所得の受給者に転嫁して、自己の負担を回避することができる。

したがって、源泉徴収による国税について、所得の受給者が源泉徴収義務者から不法に利得した場合に、その利得を課税所得とし、源泉徴収義務者に源泉徴収義務を課することは法の予定するところであって、不当とはいえない。

(f) 乙は、原告から本件金員を取得した当時、理事長として原告を代表する地位にあったから、当該金員は、原則として乙の職務執行の対価の性質を有し、給与所得に当たるものである。

そして、乙は、平成7年11月ころ、その設立に関与した霊園について、完成前に墓地予約証を販売したところ、これを入手した暴力団に脅迫されて墓地予約証の買戻しを要求され(乙8)、乙が理事長を務める学校法人である原告に迷惑が掛からないよう、この要求に応じることとし(乙17の1699頁表・同裏)、その資金として原告から上記金員を取得したものである。

したがって、その取得が原告の理事長の立場と全く無関係に、原告から見て純然たる第三者との間の取引ともいうべき態様によりなされたものでないことは明らかであり、本件金員は、原則どおり給与所得に当たると認められる。

b 「支払」該当性

(a) 支払とは、これが源泉徴収義務者にとって徴収義務を履行する契機となる行為であることに鑑みて、所得の受給者に対する経済的利益の移転が、源泉徴収義務者の意思に基づき行われることをいうと解される。

これを源泉徴収義務者が法人の場合についてみれば、法人の代表者の行為は包括的に法人の行為とみなされるから、所得の受給者に対する経済的利益の移転が、法人の代表者の意思に基づき行われれば、それは法人の意思に基づき行われたもの、すなわち、法人が所得の受給者に支払をしたものと解すべきである。

このことは、法人の代表者が他方で所得の受給者である場合であっても異なるところはない。ある個人が一方で法人の代表者を務めながら、他方でこれとは別個の法主体として当該法人から給与等の支払を受けることは、法理論上、何ら問題がないばかりか、実質的にも、こうした場合に当該法人に源泉徴収義務を免れさせる理由は全くないからである。

(b) また、このことは、法人から所得の受給者に対する経済的利益の移転が、役員会の議決等の所要の手続を欠くなど、法人との関係で違法なものであったとしても同様である。経済的利益の移転が支払に当たるか否かは、それが法人の意思に基づくか否かで判断されるべきところ、法人の代表者の行為は包括的に法人の行為とみなされるから、それが法人の代表者の意思に基づく限り、権限の濫用又は内部的制限の逸脱があったとしても、法人の意思に基づくものというに妨げない。そのよう場合、法人の代表者の行為が法人との関係で委任契約上の義務違反又は不法行為を構成することはあり得るが、そのことと、当該行為が所得の受給者との関係で法人の行為とみなされることとは何ら矛盾しない。

(c) 本件金員の移転は、原告の代表者である乙が、その意思に基づき、乙個人に取得させたものであることは明らかである。そして、乙は、理事長として、原告内部の事務を統括するとともに、原告の業務について原告を代表していたのみならず、原告の業務に関する意思決定を理事会に代わって行っていたもので、まさに原告の経営を掌握していたものというべきであるから、乙の行為はすなわち原告の行為であり、乙の意思に基づく行為は原告の意思に基づく行為というべきである。

したがって、本件金員の移転は、原告がその意思に基づき乙に支払をしたものと解すべきである。

(イ) 本件納税告知処分の計算根拠

本件係争月分における原告が乙へ支給した臨時の給与(賞与)の額及び源泉徴収すべき税額は、次のとおりである。

a 原告が乙へ支給した臨時の給与支給総額 5000万円

上記金額は、次の(a)及び(b)の金額の合計額である。

(a) 平成7年12月26日 4000万円

上記金額は、原告が、上記の日に本件D銀行口座へ振り込んだ金額である。

(b) 平成8年1月12日 1000万円

上記金額は、原告が、上記の日に本件E農協口座及び本件F銀行口座へ振り込んだ金額の合計額である。

b 源泉徴取税額総額 2219万3282円

上記金額は、次の(a)、(b)の金額の合計額である。

(a) 平成7年12月26日 1869万3282円

上記金額は、所得税法186条2項1号の規定に基づき、前記a(a)の金額及び平成7年12月支払済みの賞与の金額の6分の1に相当する金額と当該通常の給与等の金額との合計額並びに給与所得者の扶養控除等申告書に記載された主たる給与等に係る控除対象配偶者及び扶養親族の有無及びその数に応ずる同法別表第二の甲欄に掲げる税額と当該通常の給与等の金額並びに当該申告書に記載された主たる給与等に係る控除対象配偶者及び扶養親族の有無及びその数に応ずる別表第二の甲欄に掲げる税額との差額に6を乗じて計算した金額から平成7年12月支払済み賞与に係る税額を控除した金額に相当する税額である。

(b) 平成8年1月12日 350万円

上記金額は、所得税法186条1項1号イの規定に基づき、前月中に支払った通常の給与等の金額、給与所得者の扶養控除等申告書に記載された主たる給与等に係る控除対象配偶者及び扶養親族の有無及びその数に応じ同法別表第四の甲欄により求めた率を前記a(b)の金額に乗じて計算した金額に相当する税額である。

(ウ) 本件納税告知処分に係る納付すべき税額は、別紙の各表記載のとおりであり、上記(イ)bとそれぞれ同額であるから、本件各納税告知処分は適法である。

(エ) 原告は、原告が法定納期限までに納付しなかったことにつき、通則法67条1項ただし書の「正当な理由」があった旨主張するが、以下の事実に照らせば、原告は、乙に対して支給した臨時的な給与等であることを知り得ていたのであり、故意にその事実を他の支出に仮装したものであるから、原告に行政上の制裁を課すことが、原告にとって不当あるいは過酷であるということには該当しないことは明らかであり、原告に「正当な理由」があるとはいえない。

a 乙は、理事長として、原告内部の事務を総括するとともに、原告の業務について原告を代表していたのみならず、原告の業務に係る意思決定を理事会に代わって行っていたもので、まさに原告の経営を掌握していたものであり、乙の行為はすなわち原告の行為であると認められるものである。

そして、乙は原告の会計担当者に指示し、平成8年3月31日付け振替伝票(乙9の3)に虚偽の記載をさせ(乙12)、本件金員を真実は原告から乙に支払われたのにそれを隠ぺいし、あたかも原告が訴外株式会社G(以下「G」という。)に支払ったかのように仮装したものであるが、これらの行為は原告がその意思に基づき行ったものというべきである。

b 原告は、本来の領収証(乙7、以下「本件領収証1」という。)ではなく、架空の領収証(甲6の3、以下「本件領収証2」という。)を信じて経理処理をしたのもやむを得ない状況にあったと主張するが、上記のとおり、乙の行為がすなわち原告の行為であるとすれば、やむを得ない状況にあったと認められる余地はなく、また、仮にそうでなくても、本件領収証2のただし書には、浦和市(現さいたま市)代山外4200坪の土地(以下「本件土地」という。)の売却の内容でなく、「開発行為に伴う」ものであり、学校法人である原告が行うことが可能な業務でないことは明らかであることから、原告は、当然、原告の必要経費にならないことも容易に認識し得たはずであるから、原告の上記主張は理由がない。

c 原告は、原告の会計年度末である平成8年3月31日になって、乙に対し、臨時的な給与等を支給したことを隠匿することで課税を免れるために、本件領収証2に記載のない、第4グラウンド売却処分にかかる委託料(仲介料)及び支払報酬支出(謝礼金)の科目を使用し、さらには、本件領収証2記載金額の5000万円を、委託料支出(仲介料)3600万円及び支払報酬支出(謝礼金)2000万円と、原告は、何らの根拠もなく上記金額を区分し、平成8年3月31日付け振替伝票(乙9の3)に虚偽の記載をした。

(オ) 原告は、本件金員に関する原告の経理処理が、「隠ぺい又は仮装」に当たるとしても、当該原告の処理には正当な理由があるので、通則法68条3項本文かっこ書により重加算税は徴収されるべきでない旨主張するが、そもそも正当な理由の有無は、不納付加算税(通則法67条1項)に関する規定であって、同法68条3項の重加算税に関しての規定ではないから、原告の主張は前提において失当である(仙台高裁昭和58年5月31日判決参照)。

イ 本件賦課決定処分について

(ア) 本件賦課決定処分の根拠

a 通則法68条に規定する、事実の隠ぺいとは、売上除外、証拠書類の廃棄等、課税要件に該当する事実の全部又は一部を隠すことをいい、事実の仮装とは、架空仕入、架空契約書の作成、他人名義の利用等、存在しない課税要件事実が存在するように見せかけることをいう。

b 本件金員は、乙個人が個人的に負担すべき債務(墓地予約証の買戻し資金等)の資金を調達させるため、原告が乙に支給した臨時的な給与等に該当するにもかかわらず、原告は、本件金員について、あたかも原告の必要経費であるかのごとく仮装の経理処理を行い、本件金員の支払について源泉所得税をその法定納期限までに納付しなかった。

すなわち、原告は、(a)本件振込1について、平成7年12月26日付け振替伝票(乙9の1)において、原告がGに対し支払を行ったとして経理処理を行い〔しかし、原告が、乙から提示された本件領収証2のただし書には、本件土地の開発行為に伴う周辺対策及び諸経費と記載されていたことから、原告としての出金理由が不明確なため、仮払金処理がなされた。〕、(b) 本件振込2及び同3について、平成8年1月12日付け振替伝票(乙9の2)において、原告がGに対し支払を行ったとして経理処理をした(いずれも、(a)と同様に仮払金処理がなされた。)。その後、平成8年3月31日付けの振替伝票(乙9の3)において、決算修正を行い、原告の経費に算入するためには、本件土地の開発行為に伴う周辺対策及び諸経費という名目では原告として支出することができないことから、科目及び金額を、委託料支出3000万円及び支払報酬支出2000万円と付け替え、摘要欄には第4グラウンド売却処分の仲介料及び謝礼金と虚偽の記載をして、経費に算入し、乙個人が個人的に負担すべき債務(墓地予約証の買戻資金等)を、あたかも原告からGに対して原告の経費を支払ったように仮装した。

c したがって、原告は事実を仮装し、その仮装したところに基づき、その国税を法定納期限までに納付しなかったのであるから、不納付加算税に代えて、通則法68条3項所定の重加算税を徴収する要件を満たしているというべきである。

(イ) 重加算税の計算根拠

通則法68条3項の規定に基づき重加算税の額を計算すると、次のとおりである。

a 重加算税の基礎となる税額 2219万円

上記金額は、本件納税告知処分により納付すべき次の(a)及び(b)の源泉所得税の額(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数切り捨て後の金額)の合計額である。

(a) 平成7年12月分 1869万円

(b) 平成8年1月分 350万円

b 重加算税の金額 776万6500円

上記金額は、通則法68条3項の規定に基づき、不納付加算税に代え、前記a(a)及び(b)の各金額に100分の35の割合に乗じて算出した次の(a)及び(b)の金額(通則法119条4項の規定に基づき100円未満の端数切り捨て後の金額)の合計額である。

(a) 平成7年12月分 654万1500円

(b) 平成8年1月分 122万5000円

(ウ) 本件賦課決定処分の適法性

本件賦課決定処分の金額は、上記(イ)b(a)及び(b)の金額と同額であるから、本件賦課決定処分は適法である。

(2)  原告

ア 本件納税告知処分について

本件金員の移動に関して、源泉所得税の納税告知処分をする余地はなく、本件納税告知処分は違法である。

(ア) 乙が、平成7年11月1日に、Gに対し、5000万円を支払っていたことから、原告は本件金員を乙に支払ったものであり、実質的には、本件金員は原告のGに対する支払であった。そのため、乙は、本件金員を取得しているものの、本件金員を自由に管理支配し得るものではなく、何ら資産の増加を伴う経済的利益を有していなかった。

したがって、本件金員の移動は、乙の所得には該当しない。

(イ) 乙は、以下のとおり、何らの権限なくして、原告から本件金員を取得したものであるから、本件金員は給与等の性質を有していないものである。

a 原告理事長の権限

(a) 私立学校法上の権限

私立学校法によれば、学校法人には、役員として、理事5人以上及び監事2人以上を置かなければならないとされ(私立学校法35条1項)、理事は、全て学校法人の業務について学校法人を代表するが、寄附行為をもってその代表権を制限することができるとされている(同法37条1項)。また、学校法人の業務は、寄附行為に別段の定めがないときは、理事の過半数をもって決するとされている(同法36条)。学校法人は、その設置する私立学校の教育に支障のない限り、その収益を私立学校の経営に充てるため、収益を目的とする事業を行うことができるとされ(同法26条1項)、その事業に関する会計は、当該学校法人の設置する私立学校の経営に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならないとされている(同法26条3項)。

そして、私立学校法の解釈に当たっては、学校法人の公共性に基づく学校の健全な発達・運営を目的とした私立学校法の趣旨を考慮しなければならない。

(b) 寄附行為上の権限

原告の寄附行為(甲12)によれば、理事長が法人の業務を代表するものの(寄附行為13条)、法人の業務は理事会で決定する(12条)。そして、理事会の議事は、原則として理事総会の過半数で決し、理事会の決議について、直接の利害関係を有する理事は、その議事の議決に加わることができないとされている(11条)。また、基本財産の処分は、これを処分してはならないとされ、例外的に、法人の事業の遂行上やむを得ない理由があるときは、理事会において理事総数の3分の2以上の議決を得て、その一部に限り処分することができるとされているにすぎない(25条)。

(c) 以上の私立学校法及び寄附行為に照らせば、原告の理事長は、原告の業務を行う場合、必要な日常業務を除いては、すべて理事会の決議を経なければならないのであり、理事会決議を経ないでなされた理事長の行為は、原告に帰属しないというべきである。

b 本件金員の支払について

(a) 原告理事会の決議の不存在

ⅰ 乙は、原告から乙に対する本件金員の支出以前に、原告理事会の決議を経ていなかった。

ⅱ 本件金員の支出について、平成8年1月13日に、事後的に原告理事会の決議がなされているが、これは、乙が、理事会に対し、本件領収証1ではなく、架空の本件領収証2を示すなど欺罔行為をした上で理事会の決議をなさしめたもので、上記決議は、欺罔行為に基づく錯誤が生じたものであり、無効であるというべきである。

ⅲ したがって、本件金員の移動は、原告との関係では違法行為となるものである。そのため、原告は、乙に対し、不法行為又は不当利得に基づいて、5000万円の支払を請求する訴訟を提起しており、現在さいたま地裁に係属中である(当庁平成12年(ワ)第1770号事件)。

(b) 原告は、原則として、役員の地位に基づいては報酬を支給しないとしている上、原告の乙に対する本件金員の支出は、墓地予約証を暴力団から買い戻すためなどの個人的用途に使用する目的で、不正に金員を移動させたという経緯や5000万円という、金額に照らせば、本件金員の支出は、理事長としての職務・役務の提供と対価関係に立つものではないことは明らかである。

(c) さらに、原告は、平成13年11月1日に、乙からGに支払われた5000万円は、法人の経費であるという認識のもと、その立替分として、乙に対し本件金員を支出したのであり、原告としては、乙に対し、みなし賞与といわれる経済的利益を与えたという認識はなかった。

(d) 原告は、乙による欺罔行為により、法人の業務に関する金員の支払として本件金員を支出したのであるから、原告としては、乙に対する金員の支出に際し、天引により源泉徴収する余地は全くなかった。

(e) 以上によれば、本件金員は、乙の給与所得に該当するものではない。

イ 重加算税

(ア) 重加算税の違法性

a(a) 本件において、重加算税を課するためには、不納付加算税を徴収する要件の該当性に加え、原告が、事実の全部または一部を隠ぺい、又は仮装し、それに基づいて国税を法定納期限までに納付しなかったことが必要である。

(b) しかしながら、乙が、原告をして乙に対し給与等の支出をさせた行為は、理事会の決議を経ずになされた権限を逸脱したものであり、その効果は学校法人に帰属しないこと、原告は、平成8年1月13日の理事会において、原告の乙に対する本件金員の支払を承認し、Gに対する経費として経理処理をしたが、これは、本件土地の売却の話が進行している際に、乙が、Gと共謀し、印紙を貼付し、割印を押すなど本件土地売却に関する架空の本件領収証2を作成したうえ、巧妙に原告に対し詐術を用いた結果であり、上記決議をしたのもやむを得ない状況にあったこと、原告は、本件金員の支払について経理処理するに際して、本件金員の支出が乙に対する給与等の支払に該当するということを全く意識していなかったことからすれば、原告の経理処理は自然なものであり、「隠ぺい又は仮装」に該当する事実はないというべきである。

b 仮に、「隠ぺい又は仮装」に当たるとしても、原告の本件金員の経理処理は、正当な理由が認められるので、通則法68条3項本文かっこ書、通則法67条1項ただし書により重加算税を徴収することはできない。

すなわち、通則法67条1項ただし書きの「正当な理由」とは、不納付加算税による行政制裁を課することが不当あるいは過酷とされるような事情をいうものである(東京高裁昭和52年2月28日判決参照)。さらに、かつて、「いわゆる認定賞与について課税漏れがあり、徴収義務者が当該給与等の課税について疑問を抱いたことに相当な事由があると認められ、かつその疑問を解明しなかったことに徴収義務者の故意又は重大な過失がなかったと認められる場合において、徴収すべきであったことを知った後、すみやかに当該税額を納付したとき」という場合についても正当な理由があるとして扱われていた(所得税基本通達701又は昭和28年2月3日付け国税庁長官通達直所2-14通達)。

そうすると、本件においては、上記のa(b)の各事情に加え、原告は、本件各納税告知処分により納付すべきことを知った後、法定納期限後ではあるが、現に当該税額を納付したことからすれば、原告に加算税を課することは不当あるいは過酷であり、原告が納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかったことにつき、「正当な理由」があるというべきである。

第3当裁判所の判断

1  証拠(甲2ないし4の3、6の1ないし3、8、13、乙1ないし9の3、17)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

(1)  原告の寄附行為(甲12)と実際の業務運営体制

原告においては、寄附行為の定めにより、原告の業務は理事会で決定し(寄附行為12条)、理事長が、原告内部の事務を総轄し、原告の業務について原告を代表し、理事長以外の理事は、法人の業務について法人を代表しないとされている(同1、3条、14条)。そして、基本財産は、原則として、処分してはならず、例外的に、法人の事業の遂行上やむを得ない理由があるときは、理事会において理事総数の3分の2以上の議決を得て、その一部に限り処分することができる(同25条)とされている。

しかし、乙は、原告の設立された昭和52年12月27日以降、平成10年10月17日までの間、約21年間にわたり、原告の理事長を務めていた。そして、法人の業務は理事会で決定する(同12条)とはされていたものの、実際には理事会は決算の時期にしか開催されず、開催された際も理事長である乙が2、3ページ程の簡単な決算報告書を配布し、その内容を簡単に説明するだけで終了するという形骸化したもので、原告に関しては乙は圧倒的な権力者として、原告の業務を独断専行的に行い、乙の意向に関し異議を唱えると「辞めてもらうしかない。」などと言われるため、他の理事会役員や事務職員が乙の意向に異議を唱えることは皆無という状況にあった。

(2)  本件合意に基づく支払に至る経緯

ア 原告は、運動場用地にする予定で浦和市(現さいたま市)4200坪の土地(以下「本件土地」という。)を所有していたが、水路の問題で運動場用地として利用することが困難となったため、原告代表者乙は、平成5年頃、本件土地を霊園として開発することを計画した。

イ 原告は、平成5年6月3日、訴外丁(以下「丁」ともいう。)が経営する株式会社Gとの間で、次の内容で、業務委託契約を締結し、Gに対し、霊園開発業務を委託した(甲3)。

(ア) 事業の名称

(仮称)H霊園(以下「本件霊園」という。)計画

(イ) 事業の範囲

上記事業計画にかかる企画・立案、開発許認可取得補助業務(近隣同意の取得も含む)、開発行為に伴う許認可土木設計業務・測量業務・地質調査業務、石材店の指定業務一切(墓石の販売及び施工権)

(ウ) 履行場所

本件土地

(エ) 計画概要

墓所・寺・公園・催事場他

(オ) 履行期間

許認可及び工事完了まで

(カ) 経費

(イ)の業務にかかる諸経費は、開発許認可取得まで、Gの立替えとする。

ウ Gの代表者丁は、平成5年9月頃、本件霊園開発の許可を得るために宗教法人の名義を借りる必要があったことから、宗教法人I(以下「I」という。)に対し、霊園事業への協力を依頼し、Iから了解を得た。

エ 原告は、平成5年11月4日、Gとの間で、上記業務委託契約に基づき、本件土地における本件霊園の開発に関する企画、設計、開発許認可取得補助業務等に関し、次の概要の業務委託協定を締結した(甲2)。

(ア) 護持会の設立

原告は、当該霊園を運営・管理するための法人として、(仮称)H護持会を設立する。

(イ) 業務の範囲

a 本事業計画に係わる企画及び立案業務

b 開発許認可に必要な近隣同意及び隣接同意の取得業務

c 開発行為に伴う土木設計業務と測量業務及び地質調査業務

d 石材店の指定等に関する業務

(ウ) 石材店の指定

Gは、原告より手交された上記業務委託契約に則り、墓石の販売及び施工を行う石材店の業務を行う。

オ IとGは、平成5年11月15日、上記業務委託協定に基づき、本件土地における本件霊園の開発に関する業務に関し、次の概要の業務委託協定を締結した(乙1)。

(ア) 護持会の設立

原告が指定する第三者により、当該霊園を運営、管理するための法人として、(仮称)H霊園護持会を設立する。

(イ) 業務の範囲

Gの業務の範囲は次のとおりとする。

a 本事業計画に係わる企画及び立案業務

b 開発許認可に必要な近隣同意及び隣接同意の取得業務

c 開発行為に伴う土木設計業務と測量業務及び地質調査業務

d 石材店の指定等に関する業務

(ウ) 石材店の指定と諸経費

原告は、Gに対し、上記業務委託協定に則り、墓石の販売及び施工を行う石材店の指定業務を行うことを認める。また、その指定する石材店からの金員は、エに掲げる業務等の諸経費の一部に充当する。

(エ) 履行期間

許認可取得及び工事完了までとする。

(オ) 経費

(イ)の業務に係わる諸経費については、Gは、Iに対し、一切負担をかけない。

カ 原告、I及びH霊園護持会(代表者は乙であった。以下「本件霊園護持会」という。)は、平成5年11月18日、原告が本件土地をIに対し本件霊園開設を目的として永久使用をなさしめる旨の土地貸借並びに霊園開設運営に関する契約を、次の概要で締結した(乙2)。

(ア) 基本計画策定と実行

原告及びIは、本件霊園の永代使用権の販売、霊園の維持管理等につき基本計画を策定し、かつ、これを実行する権限を包括的に本件霊園護持会に対し与える。

(イ) 冥加料及び宗教法人の維持管理費

a 本件霊園護持会はIに対し、別途協議して定める金額の冥加料(200基分)を永代使用権販売代金の受領後、遅滞なく支払う。但し、1年間の決算をもって精算する。

b Iは前項に定める以外に名目を問わず、本件霊園護持会に対してその金銭的請求は行わない。

(ウ) 永代使用権の販売権・管理料徴収権及びその収受権

原告及びIは、本件霊園護持会に対し、永代使用権の販売権・管理料徴収権及び収受権等、本件霊園の管理運営に関し、これを委任する。

(エ) 会計

a 本件霊園内の宗教活動による収支はIに帰属する。

b 本件霊園護持会は毎年度末に収支決算書を作成して原告に提出する。

(オ) 霊園管理権、管理料徴収権

本件霊園護持会が本件霊園の永代使用権の販売が終了した場合でも、管理料の徴収、収受権は本件霊園護持会に帰属する。

キ 原告とIは、同日、Iが霊園の許可を取得した後は上記土地貸借並びに霊園開設運営に関する契約を破棄し、改めて協定を締結する旨合意し、念書(乙3)を作成した。

ク 原告は、平成6年3月15日、Gを立会人としたうえ、Iとの間で、本件土地を、霊園開設を目的として、一定期間の賃貸を経た後、売買する旨の土地の賃貸借並びに売買に関する協定を、次の概要で締結し(乙4)、さらに、土地売買に関する覚書(甲4の1)を取り交した。

(ア) 賃貸借条件

a 期間

本件霊園の開園より5年以内

b 賃料

1m2当たり3600円/年とする。

c 支払方法

本件霊園の開園時を起点とし、6か月ごとに前納する。

(イ) 売買時期

原告及びIは、開園後5年以内に国土利用計画法の不勧告を条件に売買契約を行い、Iは原告よりこれを買い受ける。なお、支払条件等についてはその時点で、原告、I及びGの三者間で協議の上決定する。

ケ 原告は、上記クの土地の賃貸借並びに売買に関する協定により作成された協定書では、保健所の墓地埋葬法に基づく許可が下りないことが判明したため、平成7年4月12日、Iとの間で、Iに対し、本件土地を10億円で売却する旨の売買契約を締結した(甲4の2)。

コ IとGは、平成7年6月14日、上記オの契約に基づき、次の概要で、H霊園運営管理委託契約を締結した(乙5)。

(ア) 建設会社の選任

開発行為及び墓地埋葬法による経営許可が認可された後、これに関する請負建設会社の選任等、一切の権限

(イ) 運営

a 本件霊園の運営については、G及びGが指定する第三者に委任する。但し、霊園開園後運営に関して、トラブル等が発生した場合、G及びGの指定する第三者が善処し、Iには一切の迷惑をかけない。

b ここで言う運営とは、墓地使用料及び管理料の徴収、生花及び雑貨類の販売、仏壇仏具類の販売、葬祭業及び斎場の経営等霊園の運営に関する一切。

(ウ) 管理

霊園の清掃、修復等維持管理の一切

(エ) 権利の帰属

本霊園内に200基はIの檀家として帰属する。

ただし、墓地使用料、権墓に関する権利・管理費等は、Gに帰属する。

サ 原告、I及びGは、平成7年6月21日、前記クの土地の賃貸借並びに売買に関する協定及び前記ケの売買契約は、墓地埋葬法による許可取得後はこれを破棄することで合意し、念書(乙6)を取り交わした。

シ 原告、G及び乙は、平成7年11月1日、次の概要の合意(以下「本件合意」という。)をした(甲4の3)。

(ア) 原告とG間の、上記イの業務委託契約及び上記エの業務委託協定に定めた事項につき、次のとおり合意する。

a Gが上記業務委託契約及び上記業務委託協定に定める「業務の範囲」の業務のうち、上記合意時点までに行うべきすべての業務を履行したことを確認する。

b 原告及び乙は、「宗教法人IH霊園管理組合規約」記載の指定石材店を承認してGよりこれを承継する。

c 原告及び乙は、本件霊園の完成に必要な開発に伴う土木工事及び管理棟の建築工事等すべての工事を行うものとし、Gは一切関与しない。

(イ) GはI及び指定石材店16社の承認を条件として原告と乙に対し、上記オの協定、上記コの本件霊園運営管理委託契約、宗教法人IH霊園管理組合規定に定めたGの地位のすべてを譲渡し、原告と乙はこれを譲り受けた。

(ウ) 原告と乙は、Gが前記「業務の範囲」の業務を行うに当たって指定石材店16社から受領して上記業務遂行のために使用した建墓手数料前払金合計3億6000万円を業務のため使用済みであることを確認し、Gに対し、一切異議を述べない。

(エ) 将来原告及び乙の責任において、本件霊園が開園できない事態が発生した場合は、Gが指定石材店より受領して使用済みの前条の金3億6000万円については、原告と乙の責任で指定石材店との間でこれを処理するものとし、Gに対し一切負担させないものとする。

なお、合意後、土木工事等、諸般の問題が発生した場合は、原告と乙及び管理組合の責任において処理するものとし、Gには一切迷惑をかけないものとする。

(オ) 原告と乙は、(イ)記載の地位の譲渡を受けたことに鑑み、連帯してGに対し、将来管理組合の永代使用料収入から受け取るべき手数料など1億7000万円を次のとおり支払う。

a 当該合意成立の11月1日に5000万円

b 平成7年12月20日に1000万円

c 平成8年5月末日限り5000万円

d 平成8年11月末日限り6000万円

ス 乙は、平成7年11月1日、Gに対し、上記シ(オ)の合意に基づく初回金5000万円を支払った。その際、本件領収証1(乙7)が、Gから乙に交付された。

(3)  本件金員の支出に至る経緯

ア 乙は、平成7年12月頃、本件霊園完成前に「H霊園墓地予約永代使用承認証」(以下「墓地予約証」という。)をI及び霊園管理組合に無断で販売し、その後、その墓地予約証が暴力団に渡り、乙は暴力団から墓地予約証を買い戻すよう脅迫を受けた(乙8の2丁)。

イ 乙は、自己の保身と、原告に迷惑が掛からないようにするため、この要求に応じることとし(乙17・1699頁裏)、上記アの墓地予約証を買い戻す資金を調達することとし、その方法として、上記(2)スのとおり、乙がGに対し5000万円を支払っていたことを利用して、Gから内容を改めた領収証の差し替えを受け、これをもとに、原告から乙が5000万円の支払を受けることとした(弁論の全趣旨)。

そして、乙は、平成7年12月、Gに対し、本件領収証1(乙7)の差し替えを要求し、Gから、本件領収証1の、宛名の乙個人を削除し、支払原因を「平成7年11月1日付合意書第5条に基づく初回金」から「浦和市代山外4,200坪、開発行為に伴う周辺対策及び諸経費。」に、日付も「平成7年11月1日」から「平成7年12月 日」に変更した本件領収証2(甲6の3)を受領した。

ウ 乙は、平成7年12月頃、原告事務担当者にイの内容変更後の領収証を提示し、乙の指定する口座に5000万円振り込むように指示した。

エ 原告事務担当者は、乙の指示に基づき、平成7年12月26日、本件D銀行口座に4600万円(甲6の1)を、平成8年1月12日、本件E農協口座に775万円(甲6の2)及び本件F銀行口座に225万円の合計1000万円を、いずれも原告名義の口座から振り込んだ(本件金員の支出)。

(4)  本件金員の支出に関する経理処理

ア 原告は、本件金員の経理処理について、当初は仮払金として処理していたが、年度末に本件土地の売却処分仲介料及び謝礼金へ振り替える処理をした(乙9の1)。

イ 原告の具体的な経理処理の内容は次のとおりである。

(ア) 平成7年12月26日付け振替伝票(乙9の1)

上記振替伝票の仕訳項目4行目には、借方「仮払金支払支出 40000000」、貸方「普通(王子)569 40000618」、摘要(相手先・内容)「(株)G 土地売却に関する経費」との記載がある。

これは、原告が、乙から提示された本件領収証2に基づいて、本件D銀行口座に4000万円を振り込んだことにより、原告からGに対し支払を行ったことについて経理したものであるが、本件領収証2のただし書には、「浦和市代山外4,200坪、開発行為に伴う周辺対策及び諸経費。」と記載されており、原告としての出金理由が不明確なため、仮払金処理がされたものである。

(イ) 平成8年1月12日付け振替伝票(乙9の2)

上記振替伝票の仕訳項目1行目には、借方「仮払金支払支出 2250000」、貸方「普通(F銀行)471 2250000」、摘要(相手先・内容)「(株)G代山外 売却費用」と記載がある。これは、原告が、乙から提示された本件領収証2に基づいて、本件F銀行口座に225万円を振り込んだことにより、原告からGに支払を行ったことについて経理処理したものである。

また、仕訳項目2行目に、借方「仮払金支払支出 7750000」、貸方「普通(F銀行)471 7750721」、摘要(相手方・内容)「〃〃」と記載がある。これは、原告が、乙から提示された本件領収証2に基づいて本件E農協口座に775万円を振り込んだことにより、原告がGに支払を行ったことについて経理したものであるが、原告としての出金理由が不明確なため、仮払金処理がされた。

(ウ) 平成8年3月31日付け振替伝票(乙9の3)

原告の会計年度は、4月1日から翌年3月31日まで(甲12・34条)であることから、この振替伝票における仕訳は、決算修正仕訳であるところ、仕訳項目1行目には、借方「委託料支出 30,000,000」、貸方「仮払金回収収入 40,000,000」、摘要(相手先・内容)「(株)G(12.26振替)第4グランド売却処分 仲介料」、また2行目には、借方「支払報酬支出 20,000,000」、貸方「仮払金回収収入 1,000,000」、摘要(相手先・内容)「〃(1.12振替)〃 謝礼金」との記載がある。

これらの仕訳は、前記(ア)及び(イ)の経理処理を決算において、原告の経費に算入するために修正したものであり、原告の経費に算入するためには、本件領収証2のただし書「浦和4,200坪、開発行為に伴う周辺対策及び諸経費。」では、原告として支出する理由がないため、科目及び金額を委託料支出3000万円及び支払報酬支出2000万円と付け替え、摘要欄には第4グラウンド売却処分の仲介料及び謝礼金と虚偽の記載をして、経費として算入したものである。

(5)  税務調査における原告や乙の対応

乙は、平成11年11月18日、被告調査担当者に対し、原告から、10億円の土地売買に関する仲介料3000万円、謝礼金2000万円に相当するGに対する当該支出はなく、「私が支払うべき5000万円を学校法人A学園より支出したものです」と述べた(乙8)。

〔なお、本訴においては、原告から、「原告理事会は、平成8年1月13日、原告とIとの間で本件土地に関する賃貸借及び売買がGを仲介者として進行していたことから、本件領収書2を踏まえ、第4グランド売却に当たり、仲介及び周辺対策を依頼したGへ、売却に必要な経費として5000万円を支出することを議決した」旨の理事会議事録(甲13)が提出されている。しかし、税務調査の過程では当該議事録の提出はなく(乙12)、平成8年1月13日当時、原告理事会の監事をしていた戊は、当時の理事会で第4グラウンドの売却が議案になったことはなく、甲13に記載されているような事項が理事会の事案になったことはないと申述している(乙13)。これらを総合すると、甲13のみからでは、平成8年11月13日に甲13記載のような理事会議決があったとすることには疑問が残るといわなければならない。〕

(6)  原告と乙間の別件訴訟

原告は、乙に対し、不法行為又は不当利得に基づいて、5000万円の支払を請求する訴訟を提起しており(さいたま地方裁判所平成12年(ワ)第1770号事件)、現在係属中である。

2  争点に対する判断

(1)  所得該当性について

ア 上記の認定事実によれば、乙は、本件金員を取得したことにより、経済上の利得を得たことは明らかであるから、課税庁との間の課税関係においては、本件金員は所得税法上の所得に該当し、乙の所得として課税対象となるというべきである。

なお、課税の所得の対象となるべき所得を構成するか否かは、必ずしもその法律的性質によって決せられるものではない(最高裁昭和46年11月9日判決参照)ことからすれば、仮に本件金員の移動が不法、違法な利得であっても、また、その原因となった法律行為が無効であっても、上記の判断を左右するものではない。

イ 原告は、乙は本件金員を取得したとしても、それ以前に、乙がGに対し5000万円を支払っていたことに照らせば、実質的には、本件金員は、原告のGに対する支払であり、乙に何ら資産の増加を伴う経済的利益を有していなかったとして、乙の所得には当たらない旨主張する。

しかしながら、乙が、Gに対し、本来原告が支払うべき債務を立替払いしていたと認めるべき証拠はなく、むしろ、乙が原告口座から5000万円を出金させたのは、乙は、平成7年12月頃、本件霊園完成前に、墓地予約証をI及び霊園管理組合に無断で販売したところ、その墓地予約証が暴力団に渡り、暴力団から墓地予約証を買い戻すよう脅迫を受けたため、その買戻資金を調達するためであったことは明らかである。そうすると、乙が、原告の債務を立替払いしたと評価できないというべきであり、乙に経済上の利得があったと解するのが相当であるから原告の主張は採用できない。

(2)  給与所得該当性について

ア 前認定のとおり、乙は原告設立以来代表理事を務め、他に代表権を持つ理事はおらず、理事会も業務決定機関としての機能を果たしておらず、乙が唯一圧倒的な権力者として原告の業務を独断的に専行し、原告の経営を掌握・支配していたものであるから、乙が原告の会計担当者に指示し、原告の口座から乙に本件金員を送金させたことは、原告が原告の意思に基づき乙に本件金員を支払ったと同視できるというべきである。

問題は、法人の代表者が権限を濫用し、自己の利益を図うために、法人の資産から業務外の支出をさせ、これを自らに帰属させたとき、当該利益を給与(賞与)所得とみるべきかそれともそれ以外の所得(雑所得等)とみるべきかである。もし前者とみれば、当該法人に源泉徴収・納入義務が生ずるが、後者とみればそのような義務は発生しないことになる。

前記のとおり、給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(給与等)に係る所得であり、具体的には、「雇用契約又はこれに類する関係において、非独立的労働ないし従属的労働の対価として他人から受ける報酬及び実質的にこれに準ずる給付に係る所得であると解するのが相当であり、その判断にあたっては、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかを重視」すべきものと解される(最高裁昭和56年4月24日判決、判例時報1001号34頁参照)。

そして、法人の役員に対し一定の利益が当該法人から支給された場合には、一般的に給与所得とみるのが相当であると考えられる。なぜなら、法人の役員は当該法人と委任関係にあり、法人に従属し、委任事務処理に関し善管注意義務を負っているものであり、当該法人から一定の利益が支給された場合には、特段の事由がない限り、その趣旨は役員としての空間的・時間的拘束、継続的ないし断続的な労務又は役務の対価とみるのが社会通念上相当であるからである。換言すれば、法人の役員が当該法人から一定の利益を支給され、担税力を増加させたとみられる場合、その支給が役員の立場を離れて全く無関係になされるというケースも考えられないではないが、そういった特段の事由がない限り普通はそのような利益支給は、まさに当該法人の役員としての地位や仕事に対する広義の見返りとして支給されたとみるのが自然であるからである。

そして、本件金員の支払も乙の原告代表者としての地位や役務に関連して行われたものであり、それと無関係に行われたとは到底評価できないから給与(賞与)所得であったというべきであり、原告には所得税法28条1項、183条1項に従い、源泉徴収義務が生じるというべきである。

イ これに対して、原告は、法人の代表者が権限を濫用し、自己の利益を図る目的で法人の資産を横領する等不法行為によって、当該所得を得たことが明らかな場合には、労務又は役務の提供と対価関係には立たないものであるから、当該代表者の所得は、給与所得には該当しないというべきであるとする。

しかし、本件のような場合でも、原告から乙に5000万円が支出されたのは、まさに乙が長年原告理事長の職にあり、乙以外の学校関係者、職員は乙の意向に逆らえなかった故であるから、5000万円の所得は理事長としての職ないし役務に関連し、正規の手続を経ないで行われるいわゆる裏給与ないし裏賞与と同視して差し支えないというべきである。

以上のことは、乙が原告をして5000万円を出金させるにつき理事会の議決等法令や寄付行為で定めた内部手続を何ら履践していないとしても変わるものではない。なぜなら、法人の代表者の行為は包括的に法人の行為とみなされるから、それが法人の代表者の意思に基づく限り、権限濫用または内部制限の逸脱があったとしても、法人の意思に基づく行為とみるに妨げないからである(このことは、原告のように理事長である乙が原告の業務を独断専行的に行っていたような場合は、一層言い得ることである。また、原告が会社などの営利法人でなく学校法人であることを考慮しても上記判断を左右するものではない。)。

また、本件のように乙が理事長の権限を濫用して5000万円を原告をして乙の指定口座に出金させた場合、客観的にそれが役員賞与と判定される以上、原告に法律上所定の源泉徴収義務を課すことが不相当ともいえない。

ウ 以上のような結論を採用すると、法人の代表者が自己の私益を図るため法人の資産を横領するなどした事案においては、法人は被害者であり、これに源泉徴収義務を課することは、不当ではないかとの議論もあり得よう。

しかしながら、横領等の被害者たる法人は代表者に対して不法行為・不当利得又は債務不履行を原因とする損害賠償請求をすることにより損害の回復を図ることができ、その損害回復が実現したときは給与(賞与)の支払はなかったものとして源泉徴収にかかる租税につい更生請求ができると考えられる。また少なくとも、源泉徴収義務者は国に源泉徴収の差額を追加納付又は徴収された場合、その差額について所得の受給者に求償することができる(所得税法222条)。そして、安価な徴税費により公平・漏れなく確実に所得税の確保を図るという源泉徴収制度を定めた所得税法の趣旨に徴すると、法人から法人の役員等に対し利益の移動があり、給与(賞与)の支払があったと認定される場合、支払者に原則的に源泉徴収義務を課し、支払者と受給者との清算の問題は両者の私法上の措置に委ねるということはそれなりに合理性があると認められる。なぜなら、法人から役員等に利益移動があったと認められる場合においても、それが横領等の不法行為となるかどうかは代表者や役員の権限行使の実情、利益移動の内容等にしたがい個々の事例ごとに千差万別であり、法人が役員に対する当該支出を追認したり和解したりすることもあり得る。そこで、このように法人の意思で役員等に対し利益移動が行われた場合でありながら、それが横領であるから等の理由から源泉徴収義務を猶予するのを認めるのは他の場合と比べて税負担の不公平を招きかねないし、仮に法人が被害者的立場に立つとした場合にも、当該法人に源泉徴収義務を課すのが必ずしも酷の結果をもたらすともいい難いから、上記議論は採用できないというべきである。

3  重加算税について

(1)  前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば、乙は、平成7年12月頃、本件霊園完成前に、墓地予約証をI及び霊園管理組合に無断で販売したが、その墓地予約証が暴力団に渡り、乙は暴力団から墓地予約証を買い戻すよう脅迫を受けたため、乙は、買戻資金を調達するため、平成7年11月1日に、本件合意に基づき、支払った5000万円を原告の立替払いとして扱うこととしたこと、そのため、乙は、Gから、上記支払の際の本件領収証1の内容を変更し、本件領収証2の発行を受けたこと、原告は、原告名義の口座から、平成7年12月26日、本件D銀行口座に4000万円を、平成8年1月12日、本件E農協口座に775万円及び本件F銀行口座に225万円を振り込んで、乙に本件金員を支払ったこと、原告は、本件金員を、Gに対する、本件土地の売却処分仲介料及び謝礼金へ振り替える処理をしたことが認められる。そして、以上の行為は、乙が原告の代表者として行ったものであり、原告の行為と認められる。なお、原告がGに本件領収証2の内容のような第4グラウンド4200坪の土地の開発行為に伴うような周辺対策費や諸経費又は売却仲介料及び謝礼金などとして5000万円の債務を負担していたと認めるべき証拠はない。

これらの事実によれば、原告は、原告の乙に対する本件金員を支払ったにもかかわらず、いずれも、原告がGに対し、本件土地売却処分の仲介料及び謝礼金として5000万円を支払ったかのように仮装したものであり、原告は、これらの仮装行為によって、乙に対し、本件金員5000万円の経済的利益を供与して賞与を支払った事実を隠ぺいしたものというべきである。

(2)  以上によれば、原告は、乙に対し、本件金員を支払った事実を仮装、隠ぺいし、その仮装隠ぺいしたところに基づいて、本件源泉所得税を納付しなかったものと認められる。

(3)  原告は、「隠ぺい又は仮装」に当たるとしても、乙が、本件領収証2を作成したことなどの事情や、原告は、本件各納税告知処分により納付すべきことを知った後、法定納期限後ではあるが、現に当該税額を納付したことからすれば、原告が納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかったことにつき、「正当な理由」があると主張するが、上記の認定事実に照らせば、原告の主張する事情は、いずれも法定納期限を徒過したことについてやむを得ないと評価するに足りるほどのものではないから、原告の主張は採用できない。

4  結論

よって、被告の行った各処分は適法なものと認められ、原告の請求は理由がないので棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 豊田建夫 裁判官 都築民枝 裁判官 菱山泰男)

別紙

本件納税告知処分等の経緯(平成7年12月分)

<省略>

本件納税告知処分等の経緯(平成8年1月分)

<省略>

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