さいたま地方裁判所 平成22年(ワ)579号 判決 2011年7月01日
原告
X
同訴訟代理人弁護士
中村新
被告
有限会社Y
同代表者取締役
A
同訴訟代理人弁護士
森本慎吾
主文
1 被告は、原告に対し、3万円及びこれに対する平成22年3月17日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを100分し、その1を被告の、その余を原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
被告は、原告に対し、253万6220円及びうち223万6220円に対する平成21年3月1日から支払済みまで年14.6%の割合による金員、うち30万円に対する平成22年3月17日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1 本件は、原告が、被告において勤務していた際に、給与から車両代その他の名目で違法に金員が控除され、当該控除分が未払となっているなどと主張して、労働契約又は不当利得返還請求権に基づき、被告に対し、当該控除分に相当する金員及び遅延損害金の支払を求めるとともに、被告の従業員から暴行を受けたと主張して、使用者責任に基づき、被告に対し、慰謝料及び遅延損害金の支払を求める事案である。
2 前提事実(争いのない事実並びに掲記証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1) 被告は、一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業等を営む有限会社である。原告は、平成20年5月1日から平成21年2月28日までの間、被告との契約(以下「本件契約」という。ただし、本件契約の性質については後記のとおり争いがある。)に基づき、トラックの運転手として貨物運送業務に従事していた。(争いがないほか、弁論の全趣旨。)
(2) 被告は、原告に対して、別紙一覧表の「売上」欄に記載された原告の毎月末日締めの売上額から、別紙一覧表の「車両代」欄から「検査登録印紙代」欄までに記載のとおりの控除(以下「本件控除」という。)等をした残額を、翌々月末日に支払っていた。本件控除の合計は223万6220円である。
(争いがない)
3 原告の主張
(1) 本件契約は労働契約であり、被告は、原告に対し、毎月30万7500円の固定給に加えて、被告所定の歩合給を支払う旨約していた。
原告は、被告において勤務する前は、株式会社a運輸との間で労働契約を締結して同社において勤務していたが、同社からは毎月30万7500円の固定給に加えて歩合給の支払を受けていた。原告は、被告から勧誘を受け被告において勤務するようになったが、勤務条件について、被告からは、少なくともa運輸におけるのと同じ条件という説明を受けた。
また、原告が業務遂行時に使用していたトラック(以下「本件トラック」という。)は被告が所有するものであるし、原告への給与の支払の際には所得税の源泉徴収がされており、被告は平成21年2月支払分及び同年4月支払分の給与については給与支払明細書を原告に交付していた。そして、原告には運送先、運送品の数量等、運送業務の基本的内容について被告の担当者からの指示を拒否する自由はなかった。
これらのことからすると、本件契約は労働契約であることは明らかである。
したがって、被告が行った本件控除は賃金全額払の原則(労働基準法24条1項)ないし公序良俗(民法90条)に違反するから、被告は、原告に対し、本件控除に係る合計223万6220円を支払う義務を負う。
仮に本件契約が労働契約でないとしても、上記のとおり、本件トラックは被告が所有するものであって、その購入代金や車両関係諸費用を原告に負担させることが許されるものではないから、被告が、原告に対し、上記控除額を支払う義務を負うことには変わりない。
(2) 被告は、原告から本件控除により合計170万円の車両代を徴収しているが、本件トラックは原告に引き渡されておらず、原告が被告を退職した後も引き続き被告が使用していることからすると、被告は上記車両代に相当する利得を法律上の原因なく得ており、遅くとも原告が被告を退職した後は被告は悪意の受益者となるから、被告は、原告に対し、170万円に民法704条前段の利息を付して返還する義務を負う。
(3) 原告は、平成21年1月末ころ、平成20年11月分の給与の額が激減したことについて、被告の従業員であるBに対して苦情を述べたところ、Bから突き飛ばされ、包丁を突き付けられるという暴行を受け(以下「本件暴行」という。)、かかとを打撲するという傷害を負ったほか、精神的苦痛も受けた。Bは、原告に対し、被告の事業の執行と密接に関連して本件暴行を加えたものであるから、被告はBの使用者として民法715条に基づき、本件暴行により原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料30万円を支払う義務を負う。
4 被告の主張
(1) 被告が原告との間で固定給の支払を合意したことはない。被告において稼働しているトラック運転手には、請負運転手と従業員運転手とがいるが、原告は請負運転手であり、本件契約は請負契約である。したがって、売上によって原告に対する報酬は変動するし、被告の従業員運転手よりもはるかに多額の報酬を受け取ることも可能である。また、原告とa運輸との間の契約も請負契約であった。
個人で運送業を営むことは法令上不可能であり、また、リース会社も個人を相手にトラック等の取引はしないことから、自己の車両を使用し運送業を営みたいという希望を持つ者は、運送業を営んでいる会社の名義で車両を購入してもらい、請負運転手として稼働するのが業界の常態となっている。会社に立て替えてもらった車両の代金を請負運転手が完済すれば、それ以降は完全に自己の車両として使用することができ、車両代を控除されることもなくなる。したがって、請負運転手は、名義を借りた会社との間で、月々の売上から車両代や諸経費を控除されることを合意している。
原告についても、自身で車両を所有し、仕事をしたいとの希望があったが、車両の購入代金の工面が困難であったことから、a運輸がリース会社との間でリース契約(以下「本件リース契約」という。)を締結することによって本件トラックの購入代金を立替払し、原告が本件トラックに乗車する形を取っていた。原告がa運輸から被告に移ってきたときには、本件リース契約が終了していなかったので、被告は、a運輸に対し、リース料の残金433万5609円を一括で支払った。
したがって、原告も上記のような請負運転手であり、本件控除については当初から十分了解していた。
また、上記のような経緯で、本件トラックの名義は便宜上被告となっているところ、原告は被告が立替払した上記リース料のうち263万5609円及び車検代10万円をいまだ被告に支払っていない。所得税の源泉徴収についても、監督官庁との関係で、給与ではないが給与の名目で処理することを原告は合意していたし、給与支払明細書についても、被告の内部処理上、被告の従業員と同様の形式のものを交付したにすぎない。業務の指示を拒否するか否かは原告の自由であった。
(2) 原告がレンタカーを借りて運送業を営もうとした場合、本件トラックと同型車の料金は1日2万5000円であるから、原告の被告における稼働期間である10か月を乗じると、被告が控除した車両代170万円を優に超える。したがって、被告に不当利得はない。
(3) 被告が本件暴行について慰謝料の支払義務を負うことは争う。Bは、小柄である上、身体に障害があり、体格に差のある原告に対してやむにやまれず本件暴行に及んだにすぎない。Bは、本件暴行について警察の事情聴取を受けたが、Bが原告に対し治療費を支払うことで原告も納得し、それ以上の処分を望まないということで話が付き、これに基づき治療費がBから原告に支払われている。
第3当裁判所の判断
1 認定事実
前記前提事実のほか、掲記証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1) 原告は、平成19年1月ころまで、佐川急便において従業員たるトラック運転手として勤務していたが、そのころ、貨物利用運送を業とするエーユートランスポートの社長のCに誘われて佐川急便を退職し、a運輸においてトラック運転手として稼働するようになった。エーユートランスポートはa運輸を運送事業者として利用しており、原告ほか2名がその業務に当たっていた。
(証拠省略)
(2) 原告は、a運輸において稼働し始めた約1か月後から、本件トラックに乗務するようになった。本件トラックについては、その所有者ないし使用者の名義はa運輸となっており、同社がリース会社とリース契約を締結し、毎月17万円のリース料を支払っていた。(争いがないほか、人証省略、弁論の全趣旨。)
(3) 原告がa運輸において稼働していた間、原告は、毎月の売上から配車手数料として売上の5%、車両代として17万円のほか、駐車場代、燃料代、高速道路の通行料金、自動車保険の保険料などが控除された残額の支払をa運輸から受けていた。このうち、30万7500円については、毎月10日に「給料」という名目で支払われていた。a運輸から原告に対しては、上記売上や控除の内容が記載された一覧表が交付されていた。これによれば、車両代は、48回にわたり控除される予定であった。
(証拠省略)
(4) 原告は、再びCから誘われて、平成20年5月1日から被告においてトラック運転手として稼働するようになった。そのころ、Cはエーユートランスポートで請け負っていた仕事をそのまま被告において請け負うこととし、被告の副社長となった。原告は、被告においても、Cの指示のもと、a運輸で稼働していた時と同じ顧客の貨物の運送を行っていた。
本件トラックは、被告がa運輸に対して433万5609円を一括払することにより残リース料を清算して被告に所有名義を移転し、引き続き原告が乗務した。本件トラックには被告の名称を示すステッカーが貼られていた。
(証拠省略)
(5) 被告から原告に対して毎月支払われていた金員は、原告の配送量に応じて定まる売上額から、本件控除のほか、売上の10%の配車手数料(被告の従業員が荷物の仕分や配送先選定作業を行っていたことに対する手間賃)、駐車場代(本件トラックを被告の駐車場に駐車することを認めていたことに対する対価)、燃料代、高速道路の通行料などが控除された残額(以下「控除後残額」という。)であった。燃料代及び高速道路の通行料が控除されていたのは、原告が被告の専用カードを使用して同カードから燃料代や高速道路の通行料が引き落とされていたことに対する精算の趣旨である。毎月の売上は、別紙一覧表のとおり、35万3400円から106万9000円まで変動しており、これに伴い毎月の控除後残額も2万6386円(平成21年2月分)から47万9714円(平成20年12月分)まで変動している。被告から原告に対しては、このような売上や上記控除の内容が記載された一覧表が交付されていた。平成20年12月分(平成21年2月支払)及び平成21年2月分(同年4月支払)の報酬については、それぞれ控除後残額である47万9714円及び2万6386円が基本給として記載された給与支払明細書も併せて交付されている。また、原告に対して支払われる控除後残額からは、給与所得として所得税が源泉徴収されている。本件控除のうち、車両代については、36回にわたり控除される予定であったところ、このうち10回分、合計170万円が控除された。
原告は、被告から支払われる額について、少ないと異議を述べたことがあったが、本件控除等がされていることについて異議を述べたことはなかった。
(証拠省略)
(6) 原告は、午前6時ころまでには被告の倉庫に赴いて配送を開始し、配送終了後は翌日の配送に備えてトラックに荷物を積み込むなどして午後4時ないし5時ころまで稼働していた。被告の従業員は、配送終了後も急な配送に備えて一定の時間まで待機するよう被告から指示されていたが、原告に対しては、そのような指示はなかった。なお、原告は被告の指示により制服を着用して稼働していたが、それ以外の服務については、被告から具体的な指示はなかった。
(証拠省略)
(7) 被告の従業員については、多く売上を上げた者について特別手当が加算されるほかは、毎月一定の基本給が給与として支払われていた。基本給の額は勤続年数や担当するトラックの積載量等で異なるが、高くても35万円程度である。また、従業員の場合は、給与から車両代や燃料代等が控除されることはない。
(証拠省略)
(8) 原告は、平成21年1月31日、被告の事務所に赴き、応対した総務のBに対して報酬に関する苦情を述べ、同人との間で口論となった。その際、Bが包丁を右手に取り、左手で原告を突き飛ばしたところ(本件暴行)、原告は転び、かかとを打撲し、はれが4日程度続く傷害が生じた。原告が警察に通報したため、Bは警察署で事情聴取を受けたが、同人は警察官から謝罪すれば和解が成立すると言われたため、その場で原告に対して謝罪した。原告は上記打撲の治療のため、1回通院した。Bは原告から治療費を請求されたため、原告に対して約1万円を支払った。
(証拠省略)
2 労働契約に基づく未払賃金の請求について
(1) 前記認定によれば、本件トラックについては、原告がa運輸で稼働していた時から被告に移った後までを通じて原告が乗務していたもので、a運輸がリース会社と契約し、同社がリース会社にリース料を支払う一方で原告の売上額から同額を控除し、原告が同社から被告に移る際に、被告が同社に対して残リース料を清算して被告の所有名義に変更され、被告においても、同社がリース会社に対して支払っていた毎月のリース料と同額をやはり車両代として原告の売上額から控除しているのであるから、同社は原告のためにリース会社とリース契約を締結してリース料を立替払し、被告も残リース料を原告のために立て替えたものということができる。このことに加えて、原告は、a運輸、被告のいずれにおいて稼働していた際にも、上記の車両代のほか、配車手数料、各種保険料、駐車場代、燃料代及び高速道路の通行料等を、配送量に応じて定まる売上額から控除され、その残額の支払を受けていたものであって、原告は、被告から支払われる額が少ないと異議を述べたことはあったが、これらの控除がされていることについて異議を述べたことはなかったから、上記の控除について了解していたものと認められる。また、原告は、被告の従業員とは異なり、終業時刻について特段の指示を受けておらず、服務についても被告の制服を着用する以外の指示は受けていないのであるから、被告の原告に対する拘束の程度は他の従業員と比べて緩やかであったといえる。以上によれば、原告は、自ら本件トラックを保有して、自己の危険と計算の下に貨物運送業務に従事していたものと認められるから、本件契約は請負契約であって、労働契約と認めることはできない。したがって、本件契約に労働基準法24条1項が適用されることはないし、また、本件控除が民法90条に違反すると認めることのできる事情も見当たらないから、本件控除が違法であると認めることはできない。
(2) 原告は、本件トラックは被告が所有しており、原告への給与の支払の際には被告が所得税の源泉徴収をし、給与支払明細書を原告に交付していたほか、原告には運送先、運送品の数量等、運送業務の基本的内容について被告の担当者からの指示を拒否する自由はなかったと主張する。
しかしながら、まず、本件トラックは、a運輸が原告のためにリース契約を締結し、同社及び被告がリース料を原告のために立て替え、原告の毎月の売上額から車両代として控除されることによりその返済をすることとされていたものであって、原告がこの立替金を完済すれば、以後は売上額から車両代が控除されることはなかったのである。もっとも一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の委任を受けた地方運輸局長の許可を得なければならず(貨物自動車運送事業法3条、66条、同法施行規則42条1項1号)、関東運輸局長は、同許可について、営業所ごとに配置する事業用自動車の数は種別ごとに5両以上とするという許可の基準を定めていて(平成20年4月1日付け同局長公示)、個人で車両を自ら所有してトラック運転手として貨物運送を行おうとする場合、5両以上の車両を用意することは困難であることから、他の一般貨物自動車運送事業の許可を得ている業者に所属して事業用自動車の自動車登録番号標(いわゆる緑ナンバー)を得て貨物運送に従事することとなる(いわゆる持込み運転手。もっとも、このような行為は同法27条により禁止されている。)のであって、本件トラックで貨物運送事業を行うためには、原告の所有名義とすることはできないのである。本件トラックが被告の所有名義であることは、上記の規制のほか、a運輸ないし被告が本件トラックの代金を立て替えたことによる一種の所有権留保に基づくものと認められ、本件トラックは実質的には原告の所有と認められる。
次に、前記認定によれば、被告は、控除後残額から所得税を源泉徴収しており、原告に対して、給与支払明細書を交付していることが認められるが、証拠(被告代表者)によれば、実態は持込み運転手であっても、持込み運転手を禁止する前記規制のために、監督官庁との関係では従業員という形式を取らざるを得ず、その形式を整えるために所得税の源泉徴収や給与支払明細書の交付をしていたものと認められ、また、原告には被告の担当者からの指示を拒否する自由はなかったとの点についても、運送先や運送品の数量等に関する指示は貨物運送の性質上当然に必要な指示であるということができる。
したがって、原告の上記主張の点は、いずれも本件契約が請負契約であることと必ずしも矛盾するものではなく、上記(1)の認定、判断を左右するものではない。
(3) 原告は、原告と被告との間で、原告がa運輸で稼働していた時と同じ毎月30万7500円の固定給の支払合意があったと主張する。
しかしながら、証拠(省略)によれば、原告は、a運輸から上記固定額より多い報酬を受け取っており、原告のいう歩合給がなかった月はないことが認められるのであって、真実、固定給の定めがあったかは証拠上明らかではない。かえって、前記認定のような報酬の支払状況等によれば、原告とa運輸との間の契約も請負契約であったと認められることに照らせば、固定給の定めがあったとは容易には考え難い。また、原告本人の陳述書(書証省略)及び本人尋問で陳述するところによっても、原告は、原告と共に被告に移り、被告の副社長となったCから、被告においてもa運輸と同じ条件で固定給を払う旨説明を受けたので被告で稼働することにしたというにすぎないのであって、Cが被告の副社長となる前に原告に対して被告における稼働条件について決定できる権限を有していたのかは本件証拠上判然としないし、他に被告代表者やBが、原告がa運輸において上記固定額の支払を受けていたことを認識していたことや、被告における稼働条件について固定額の支払を約束したことを認めるに足りる証拠はない。
したがって、原告と被告との間で固定給の支払合意があったと認めることはできず、原告の上記主張は採用することができない。
(4) 原告は、仮に本件契約が労働契約でないとしても、本件トラックは被告が所有するものであるから、その購入代金や車両関係諸費用を原告の負担とすることは許されないと主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本件契約は請負契約であり、原告は、自己の危険と計算の下に貨物運送の業務に従事していたのであって、本件トラックも実質的には原告が所有していたものということができるのであるから、本件契約上、原告が本件トラックの購入代金や車両保険料等の費用を負担することは予定されていたというべきであり、原告の上記主張は採用することができない。
3 不当利得の請求について
原告は、本件トラックは原告に引き渡されておらず、原告が被告を退職した後も引き続き被告が使用しており、被告が本件控除により控除した本件トラックの車両代170万円は不当利得に当たると主張する。
しかしながら、前記2(2)のとおり、本件トラックが被告の所有名義となっているのは一種の所有権留保とみることができ、被告がa運輸に対して433万5609円を一括払して本件トラックの残リース料を清算し、これについて原告が毎月17万円を36回にわたって返済することとされ、本件控除により控除された車両代170万円はそのうちの10回分であるから、これが、法律上の原因なく被告が受けた利益と認めることはできない。
4 本件暴行に対する慰謝料の請求について
前記認定によれば、本件暴行により原告は転んでかかとを打撲し、4日程度続くはれが生じ、原告はこれにより精神的苦痛を受けたものと認められる。そして、前記認定の経緯に照らせば、本件暴行は被告の事業の執行についてなされたものと認められ、原告の精神的苦痛に対する慰謝料としては3万円が相当であると認められる。
5 結論
以上によれば、原告の請求は、3万円及びこれに対する不法行為後の日である平成22年3月17日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を求める限度で理由がある。
(裁判長裁判官 加藤正男 裁判官 井原千恵 裁判官 谷藤一弥)
(別紙)
一覧表
売上
車両代
車両保険料
荷物保険料
自動車取得税
ナンパー代
移転登録諸費用
自賠責保険費用
車検費用
検査登録印紙代
合計
平成20年5月分
702,000
170,000
34,410
3,850
76,900
1,480
2,700
289,340
平成20年6月分
886,260
170,000
34,410
3,850
208,260
平成20年7月分
1,069,000
170,000
34,410
3,850
208,260
平成20年8月分
862,000
170,000
34,410
3,850
208,260
平成20年9月分
834,000
170,000
34,410
3,850
208,260
平成20年10月分
748,000
170,000
34,410
3,850
208,260
平成20年11月分
567,000
170,000
34,410
3,850
208,260
平成20年12月分
1,006,000
170,000
34,410
3,850
49,040
257,300
平成21年1月分
503,200
170,000
34,410
3,850
22,400
1,100
231,760
平成21年2月分
353,400
170,000
34,410
3,850
208,260
2,236,220