さいたま地方裁判所 平成25年(ワ)2356号 判決 2014年8月08日
原告
X1<他2名>
被告
Y1<他1名>
主文
一 被告らは、原告X1及び同X2に対し、各三六〇六万一三四三円及びこれに対する平成二四年八月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告らは、原告X3に対し、二〇〇万円及びこれに対する平成二四年八月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用はこれを一〇分し、その二を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。
五 この判決は、第一、二項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
一 被告らは、原告X1に対し、連帯して、四二四七万四一二八円及びこれに対する平成二四年八月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告らは、原告X2に対し、連帯して、四二四七万四一二八円及びこれに対する平成二四年八月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 被告らは、原告X3に対し、連帯して、三三〇万円及びこれに対する平成二四年八月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え
四 訴訟費用は被告らの負担とする。
五 仮執行宣言
第二事案の概要
一 本件は、訴外A(以下「訴外A」という。)とその両親及び姉である原告らが、高速道路を走行中に自車が故障したため、同車を路肩に停車させ、付近で待機していたところ、居眠り運転をしていた被告Y1の運転する被告会社所有の車が停車中の原告らの車に追突し、同車が、同車の前方約二〇メートルの場所で側壁に沿って待機していた原告らに衝突し、訴外Aが死亡した事故について、原告らが、被告らに対し、訴外Aの死亡に係る損害について、不法行為ないし自動車損害賠償法三条に基づき、連帯して、両親である原告X1及び同X2については四二四七万四一二八円、姉である原告X3については三三〇万円、及びこれらに対するいずれも本件事故の日である平成二四年八月一七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
二 前提事実等(当事者間に争いがないか、弁論の全趣旨により容易に認められる。)
(1) 以下の交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。
日時 平成二四年八月一七日午後一〇時一四分頃
場所 岡山県和気郡和気町衣笠山陽自動車道上り線一〇八・四キロポスト先路上
加害車両 事業用大型貨物自動車(ナンバー<省略>、以下「被告車」という。)
運転者 被告Y1
所有者 被告会社
事故態様 原告らと訴外Aは、車両(ナンバー<省略>、以下「原告車」という。)に乗車して高速道路を走行中、左前輪タイヤが急にバーストし、走行できない状況となったため、上記場所付近に原告車を停止させ、JAF職員が現場に到着するのを待っていたところ、居眠り運転の被告車が原告車に追突した上、訴外Aに衝突した。
(2) 訴外Aは、本件事故により脳挫傷の傷害を負い、病院に搬送されたが、翌日死亡した。
原告X1及び同X2は訴外Aの両親であり、訴外Aの相続人は両名のみである。
原告X3は訴外Aの姉であり、他に訴外Aに兄弟姉妹はいない。
(3) 被告Y1は、車両の運転にあたっては、周囲の状況をよく見渡して、交通事故を起こさないように適切に運転をすべき注意義務があるところ、居眠り運転を行い、本件事故を発生させたものであり、民法七〇九条、自賠法三条の責任を負う。
本件事故は、被告会社の事業の執行に際しての事故であるから、被告会社は民法七一五条一項の責任を負うと共に、被告車の運行供用者ともいえるので、自賠法三条本文の責任も負う。
三 主たる争点
(1) 過失相殺
(被告ら)
ア 原告X1は、車体右側を車道上に四〇センチメートルはみ出して原告車を停車させ、かつ、原告ら及び訴外Aは、原告車から二〇メートルほど離れた地点の、路肩の左端の縁石に乗るか乗らないかぎりぎりの所に、進行方向に向かって四人一列に並んで立っていたものである。
イ しかしながら、自動車は、原則として、高速道路等において停車及び駐車することが禁じられているのであり、例外的に、故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合において、停車及び駐車のため十分な幅員がある路肩又は路側帯に停車し、又は駐車するとき等の限られた場合に停車又は駐車が許されるに過ぎず、原告車の停車状況は、自ら後続車との高度の衝突の危険を作出したものと言わざるを得ない。
そして、原告らが立っていた原告車から二〇メートルという距離は近距離であり、ひとたび後続車が原告車に衝突すれば、原告らはその巻き添えになることは容易に予見することができた。
ウ 原告車が停止した地点から約一〇〇メートル進んだ一〇八・三キロポストの二〇メートルほど一〇八・二キロポストに寄った地点から始まる路肩は、原告車全体が入る十分な広さが確保されており、原告X1自身、その存在は認識していたのであり、原告X1においては、上記路肩など、原告車が車道にはみ出すことなく待避できる幅員を有する路肩ないし待避所まで原告車を進行させ、停車させるべき注意義務があったというべきであり、それが困難であったとしても、後続車との衝突の危険性が高い原告車から十分に離れ、上記路肩、あるいは本件道路の速度規制である時速八〇キロメートルで走行する車両の停止距離が五二・七メートルであるから、少なくとも五五メートル以上離れた路肩に待避すべき注意義務があったというべきである。
しかるに、原告らと訴外Aは、漫然、原告車から二〇メートルという近距離に立っていたものであり、原告ら側の過失として四〇パーセント程度の過失相殺をすべきである。
(原告ら)
ア 原告らは、原告車から約二〇メートル前方の路側帯右側にある縁石の上に上って待機していた。
イ 本件道路の第一車線道路幅は三三〇センチであり、一般的な車両の車幅が一七〇センチ程度であるから、一般的な車幅の車両が走行車線の中央を走行していたとすれば、特に回避せずとも四〇センチ車道に出た車両と接触することはない。被告車は大型貨物車であるが、それでも車幅は二五〇センチであり、車線中央から数センチ右に寄りさえすれば追突は生じ得なかった。
そもそも、被告車は事故現場近くにおいて、徐々に左に寄りつつ走行しており、衝突時には、被告車の左前部分が路肩内に五〇センチ進入した上、原告車方向に車体を向けて斜めに追突しており、これにより原告車が左斜め方向に飛ばされた結果、壁に並んでいた原告ら及び訴外Aに衝突したのであり、そうすると、仮に原告車に車道へのはみ出しがなかったとしても、被告車は原告車に追突していたことになる。
さらに被告車が単純に後方から垂直に追突したのであれば、原告車は前方に押し出されるだけであり、原告らの身体への接触はなかったはずである。
ウ 本件事故前、原告車の左前輪タイヤはバーストして、車体がふらつき、ハンドルがガタガタ揺れる状態となったため、原告X1は、このままでは危険だと考えて車両を停止させ、JAFに連絡後、左前方にスペースがあることを示す標識があることに気づいたが、距離までは判らず、原告車は故障してまともに走行できるか不明な状態にあり、実際に車両を待避場所まで進めることができたかも不明であるし、原告らに、多大な危険を冒して待避場所まで車両を移動させる義務があったとまではいえない。
エ 原告らは、JAFを呼んで待っていたのであるから、車両が見えないほど車両から離れてしまうことは出来ない状況であり、現場は真っ暗で車のライトをつけておかなければならないような状態であるから、その中をどの程度離れた場所にあるかも不明な待避場所まで歩いて進むこと自体危険であり、原告らに待避場所まで歩いて移動する義務があったとは言い難い。
また、追突事故において、通常、後続車は追突の瞬間まで車両が止まっていることに全く気づかず、衝突の瞬間にブレーキをかけることは殆どない。また、車両が追突すれば、前方車両を動かすために後続車のエネルギーは減殺されるから、追突の瞬間にブレーキをかけたとしても停止までの距離は五五メートルよりも大幅に短いはずであり、被告らの主張する五五メートル以上という距離に根拠はない。
原告らが待機していた場所の、原告車から二〇メートルという距離は、制限速度をやや超過した被告車が、ほぼ減速なく追突し、さらに追突車両と被追突車両の質量に相当の差があるような場合でなければ、車両の追突が生じたとしても、身体への危険が生じる距離ではなく、原告らは壁際に沿って待機しているのであり、追突車両が左に車体を向けつつ追突したという通常考え難い場合でなければ身体への危険が及ぶ可能性はさらに低い。
したがって、原告らの待機場所をもって原告らに過失があるとはいえない。
オ 上記のとおり、原告車の停止方法や待機場所は合理的なものであり、何らかの注意義務違反があるとはいえないのに対し、被告Y1は、社内で決められている休息時間のルールを守らず、午後七時五〇分から二時間以上連続運転を行い、センターライン超過や側壁に寄った運転を繰り返す危険な状況であるにもかかわらず運転を継続し、居眠り運転の上、制限速度をやや超過し、本件事故を発生させたという事故態様であることからすると、本件は専ら被告の過失により発生したものであるといえる。
(2) 損害額
(原告ら)
ア 訴外Aの損害
(ア) 治療費 二二万八一八〇円
(イ) 傷害慰謝料 一〇万円
(ウ) 逸失利益 四七二三万二七八三円
(エ) 死亡慰謝料 二二〇〇万円
(オ) 葬儀費用
① 領収証のあるもの 一八四万四六三二円
詳細は別紙記載一(1)のとおり
② 領収証のないもの 五一万六〇〇〇円
詳細は別紙記載一(2)のとおり
(カ) その他 一七三万二二七四円
詳細は別紙記載二のとおり
(キ) 損害の填補 二四二万八一八〇円
以上合計 七一二二万五六八九円
イ 原告ら固有の慰謝料
原告らにつき各三〇〇万円
ウ 原告X1及び同X2の損害額は、訴外Aの損害を各二分の一の割合で相続した分と固有の慰謝料を併せた各三八六一万二八四四円であり、原告X3の損害額は固有の慰謝料三〇〇万円である。
したがって、原告X1及び同X2は、上記損害額にその一〇パーセントである三八六万一二八四円の弁護士費用を加えた各四二四七万四一二八円、原告X3は、上記損害額にその一〇パーセントである三〇万円の弁護士費用を加えた三三〇万円、及びこれらに対するいずれも本件事故の日から年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(被告ら)
ア 上記アのうち、(ア)治療費、(ウ)逸失利益及び(キ)損害の填補については認める。
イ(ア) 傷害慰謝料については、入院二日であり三万五〇〇〇円が相当である。
(イ) 死亡慰謝料及び固有の慰謝料については、合計して二二〇〇万円とするのが相当である。
(ウ) 葬儀費用については、訴外Aの損害であり一回分を対象とするのが相当であり、平成二四年八月二〇日の葬儀費用のうち六四万〇四四五円の限度で認め、同日の火葬料(四万五〇〇〇円)、お布施(一〇万円)について認める。
(エ) その他の費用として、訴外B及び同Cの事故直後駆け付けのための交通費(八万二四五〇円)、遺骨引き取りのための交通費(一七万〇九九五円)について認め、仏壇購入費用の一部については認める。
第三当裁判所の判断
一 上記前提事実等に加え、証拠(甲一ないし七、一五ないし一七)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。
(1) 原告らは、本件事故当日、原告X1が運転する原告車に家族で乗車し、原告X1の実家である愛媛県への帰省から埼玉県内の自宅に帰宅する途中であったが、本件事故現場付近にさしかかったところで、急に原告車の左前輪がバーストし、車体がふらつき始めた。
原告X1は、危険を感じ、原告車を左に寄せて停車させ、一旦、四人で車外に出たが、さらに左に寄せるために、原告X1だけが原告車に乗車し、左側の縁石ぎりぎりに寄せて原告車を停車させた。
その位置は、山陽自動車道上り線一〇八・四キロポスト付近で、約四〇センチメートル路側帯の外側線から走行車線にはみ出した地点であった。
(2) 原告X1がJAFに連絡したところ、担当者からは、車から降りて、離れた安全な場所で待つように指示された。
原告X1は、進行方向の先の左側に広いスペースがあることを示すような標識があることに気づき、そこまで行けば安全だと思ったが、暗闇の中長い距離を歩くのは危険だと考え、原告車を停めたところから約二〇メートル離れた位置の縁石の上に、進行方向に向かって訴外A、原告X2、原告X3、原告X1の順で立って待つこととした。
その際、原告車のハザードランプは点けたが、停止表示板による標示や発煙筒の使用はしなかった。
(3) 被告Y1は、被告会社に運転手として勤務し、数年前から、広島県への定期配送便の業務に従事し、朝自宅を出て、夜中から翌早朝に帰宅するという勤務が続いていた。
被告Y1は、本件事故当日、上記定期配送便の仕事を終え、山陽自動車道を広島県から岡山県方面に向けて走行中、山陽インターを過ぎた辺りから眠気を感じ始めたため、瀬戸パーキングで休息を取ろうと考えたが、ぼーっとして走行していたため、同インターを通り過ぎてしまい、そのうち気がつくと左に寄ったり、右に寄ったりして、ふらついて走行するような状態となり、本件事故現場付近で、目を閉じ、頭が少し下がった状態となり、瞬間的に眠ってしまった。そして、被告Y1が、顔を起こし、目を開いたところ、赤いランプや黄色いハザードランプが目に入り、ぶつかると思い急ブレーキをかけたが、間に合わず、停車中の原告車の右後部に衝突し、衝撃で飛び出した原告車が待機中の原告らに衝突した。
(4) 訴外Aは、a病院に救急搬送されたが、同月一八日午前一時四〇分ころ、脳挫傷のために死亡した。
また、本件事故により、原告X1は右脛骨腓骨近位端粉砕骨折、右肋骨骨折等により加療約二か月、原告X2は脊椎多発骨折、骨盤骨折等により全治約六か月、原告X3は前額部挫創、骨盤輪骨折、右足脱臼骨折等により全治約二か月の重傷を負った。
(5) 平成二六年八月二〇日、訴外Aの仮葬儀が行われたが、原告らは本件事故により重傷を負っていたために出席できず、改めて同年一〇月に本葬を行った。
なお、原告らは、本件事故による傷害のために、上記仮葬儀及び本葬の準備等ができず、代わって原告X1の母である訴外C、弟である訴外B、兄である訴外D家族、原告X2の姉である訴外E家族及び訴外F家族が手分けして行った。
二 争点(1)(過失割合)について
(1) 上記認定のとおり、本件事故は、被告Y1が、被告車を運転して高速道路である山陽自動車道を走行中に居眠り運転をし、故障のために道路左側に停止していた原告車に追突し、その衝撃で飛ばされた原告車が付近で待機中の原告らに衝突し、訴外Aが死亡したものであり、被告Y1に過失があることは明らかである。
(2) 一方、上記のとおり、原告らにおいても、高速道路上に、原告車を約四〇センチメートル本線車道にはみ出した位置で、ハザードランプを点けただけの状態で停車させていたものである。
この点、原告らは、待避場所までの距離は不明であり、原告車は故障で走行できるか不明であり、夜間であったことなどから、原告らの取った措置はやむを得なかった旨主張する。
しかしながら、そもそも、高速道路においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、原則として停車し、又は駐車してはならず(道路交通法七五条の八)、故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合においては、停車又は駐車のため十分な幅員がある路肩又は路側帯に停車し、又は駐車することが許されているにすぎず(同条一項二号)、その場合には、停止表示器材を後方から進行する自動車の運転者が見やすい位置に置き、停止していることを表示しなければならない(同法七五条の一一、同法施行令二七条の六)とされているにもかかわらず、原告X1は、上記のとおり、約四〇センチメートルはみ出した状態で原告車を停止させたものであり、その際、停止表示器材なども設置していない。そして、高速道路上であることを考えると、原告車から二〇メートルという原告らの待機地点は、縁石上であったとしても、必ずしも十分に安全な距離であるともいえない。
そして、確かに原告車の左前輪はバーストしていたものの、走行が全く不可能であったとまでは認められないし、原告X1は、本件事故現場の前方に待避場所があることを認識し、そこまで行けば安全と思いながら、実際に待避場所までの距離を確認することもせず、暗闇の中を歩くのは危険であると考えて、上記場所で待機していたものであり、当時の状況に照らせば、そのように考えたことは理解できなくはないけれども、高速道路上での駐停車や待機の危険性等にかんがみると、やはり原告らの上記対応に過失があったことは否定できないと言わざるを得ない。
(3) もっとも、被告Y1は、一時間二〇分走行する毎に一〇分の休息時間を取るよう被告会社から指示されていたにもかかわらず、二時間以上継続して運転をし、本件事故現場に至るまでに既に眠気を覚えていたものであり、その間、休息を取ることは容易であったにもかかわらず、帰途を急ぐあまり継続して走行を続け、居眠り運転に至ったものであり(甲二)、極めて重大な過失があったと言わねばならない。
以上のような事情を総合考慮すると、本件においては原告側の過失として一割を認めるのが相当であると考える。
三 争点(2)(損害)について
(1) 訴外Aの損害
ア 治療費(二二万八一八〇円)及び逸失利益(四七二三万二七八三円)については争いがない。
イ 傷害慰謝料
本件事故の態様、本件事故により訴外Aの負った傷害の程度、入院日数その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、訴外Aの傷害慰謝料は四万円が相当である。
ウ 死亡慰謝料
訴外Aの年齢、本件事故の態様その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、訴外Aの死亡慰謝料は二二〇〇万円が相当である。
エ 葬儀費用及びその他の費用
原告らは、上記のとおり、葬儀費用及びその他の費用として仏壇購入費用、四十九日法要の費用等合計四〇九万二九〇六円を請求し、証拠(甲八ないし一四)及び弁論の全趣旨によれば、これら費用が支出されたことが認められるけれども、これらが直ちに本件事故と相当因果関係のある損害と認められるわけではなく、本件においては、訴外Aの死亡場所が居住地から離れたところであること、原告らも本件事故により重傷を負い、葬儀を二回行う必要があったことなどの事情があることを考慮し、上記葬儀費用及びその他の費用を一括して二〇〇万円の範囲で本件事故と相当因果関係がある損害と認める。
オ したがって、訴外Aの損害は合計七一五〇万〇九六三円となり、上記のとおり、一割の過失相殺を行うと六四三五万〇八六六円となる。そして、二四二万八一八〇円の支払を受けているのでこれを控除すると、残額は六一九二万二六八六円となり、原告X1及び同X2は、それぞれ二分の一に相当する三〇九六万一三四三円(円未満切り捨て)を相続したと認められる。
(2) 原告ら固有の慰謝料
原告らと訴外Aの関係、訴外Aの年齢、本件事故の態様その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、原告ら固有の慰謝料としては各二〇〇万円が相当であり、上記のとおり、一割の過失相殺を行うと、各一八〇万円となる。
(3) 以上によれば、原告X1及び同X2の損害は、訴外Aの請求権を相続した分と固有の慰謝料を併せた各三二七六万一三四三円、原告X3の損害は固有の慰謝料一八〇万円となり、弁護士費用としては、それぞれその約一割に相当する原告X1及び同X2については三三〇万円、原告X3については二〇万円が相当である。
そうすると、原告X1及び同X2の損害額は各三六〇六万一三四三円、原告X3の損害額は二〇〇万円となる。
四 よって、原告らの請求は、不法行為に基づく損害賠償として、原告X1及び同X2については各三六〇六万一三四三円、原告X3については二〇〇万円及びこれらに対する不法行為の日である平成二四年八月一七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判官 脇由紀)
別紙<省略>