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京都地方裁判所 平成10年(ワ)2980号 判決 1999年12月24日

京都市南区上鳥羽北戒光町八-一

原告

笹山信泰

右同所

原告

株式会社タモツ紙工

右代表者代表取締役

笹山信泰

右両名訴訟代理人弁護士

筒井豊

奈良県天理市櫟本町三一二八番地の四

被告

堀川経木株式会社

右代表者代表取締役

堀川新是

右訴訟代理人弁護士

及川昭二

右補佐人弁理士

大内俊治

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  被告は、別紙イ号物件目録記載の物件を製造し、販売し、又は販売のために展示してはならない。

二  被告は、原告笹山信泰に対し、金三七万五〇〇〇円及びこれに対する平成一〇年一一月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告は、原告株式会社タモツ紙工に対し、金一五〇万円及びこれに対する平成一〇年一一月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

一  基礎的事実

以下の事実は、当事者間に争いのない事実、文中記載の証拠及び弁論の全趣旨によって認定した事実で、争点判断の基礎となるものである。

1  原告笹山信泰(以下「原告笹山」という。)の権利

(一) 原告笹山は、別紙意匠権目録記載のとおり、左記の意匠権(以下「本件意匠権」といい、その登録意匠を「本件登録意匠」という。)を有している。

(1) 意匠登録番号 第七三三二六一号

(2) 出願年月日 昭和五九年四月二七日

(3) 出願番号 昭五九-一七七六六

(4) 登録年月日 昭和六三年一月二八日

(5) 意匠に係る物品 化粧箱

(6) 登録意匠 別紙意匠公報(甲四の15)及び願書に添付した図面(甲五)のとおり

(二) 原告笹山は、平成一〇年法律第五一号特許法等の一部を改正する法律による改正前の意匠法一〇条に基づき、本件登録意匠を本意匠として、別紙類似意匠目録(1)ないし同目録(14)記載の合計一四の各類似意匠(以下「本件各類似意匠」と総称し、個別の類似意匠を表す場合は「本件類似意匠(1)」等と表記する。)の登録を得た。

なお、本件登録意匠にかかる物品は「化粧箱」であり、本件各類似意匠にかかる物品は「小物入れ」であるが、これは意匠法の物品の分類に基づく特許庁審査官の指示に従ったものであり、両者は実質的には同じ物品である。

(三) 本件登録意匠及び本件類似意匠(8)については、特許庁が保管する各意匠登録願書に添付した図面を写真撮影し、これに特許庁の認証を受けたもの(甲五、六)によって願書に添付した意匠の図面の色彩を明らかにしている。

2  別紙「タモツ紙工の製品説明書」記載の化粧箱(以下「原告商品」という。)の製造販売

原告株式会社タモツ紙工(以下「原告会社」という。)は、昭和六三年ころから、原告商品を製造販売している(甲一、一九、原告兼原告代表者笹山信泰)。

3  被告の行為

被告は、平成九年一一月ころから、別紙イ号物件目録記載の物件(以下「イ号物件」という。)を製造し、販売し、販売のため展示していたが、原告が京都地方裁判所にイ号物件の製造、販売、販売のための展示の停止を求める仮処分を申し立て(平成一〇年(ヨ)第七〇二号)、右仮処分手続において、本案訴訟の結論が出るまでは右各行為を停止する旨の和解が成立した。

二  請求の概要

本件請求は、本件意匠権を有する原告笹山が被告に対し、イ号物件の意匠(以下「イ号意匠」という。)が、本件登録意匠に類似する旨主張し、本件意匠権に基づき、イ号物件の製造販売、販売のための展示の停止(請求一)及び実施料相当額の損害賠償として金三七万五〇〇〇円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成一〇年一一月一三日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払(請求二)を求め、原告商品を製造販売する原告会社が被告に対し、<1>原告商品の形態は商品表示性を取得し、周知性を獲得しているところ、イ号物件の形態は原告商品の形態に類似し、イ号物件の製造販売により原告商品との誤認混同が生じるとして、不正競争防止法二条一項一号、三条一項、四条本文に基づき、イ号物件の製造販売、販売のための展示の停止(請求一)及び被告がイ号物件の製造販売によって得た純利益相当額の損害賠償として金一五〇万円及びこれに対する平成一〇年一一月一三日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払(請求三)を求め、<2>被告によるイ号物件の製造販売は不法行為に該当するとして、<1>の金員支払請求についての予備的請求として右同額の支払(請求三)を求めたものである。

三  争点

1  イ号意匠は本件登録意匠に類似するか。

2  原告商品の形態は商品表示性を取得し、周知性を獲得しているか。

3  イ号物件の形態は原告商品の形態に類似し、被告の行為によって原告商品との誤認混同を生じるか。

4  被告の行為は不法行為に該当するか。

5  被告が損害賠償責任を負う場合に、原告らに賠償すべき損害の額。

第三  争点に関する当事者の主張

一  争点1(イ号意匠は本件登録意匠に類似するか。)

【原告らの主張】

1 本件登録意匠及び本件各類似意匠は、いずれも形状は略共通であると共に、その意匠としての特徴は、主に意匠を構成する箱及び蓋の「外観の模様」及び「色彩の組合せ」にある。そして、これらの各意匠のうち、本件に最も密接に関係するのは、本件登録意匠及び本件類似意匠(8)である。

2 本件登録意匠の構成

(一) 直方体状の略同じ高さの箱を二段に重ね、その上に箱の高さの約三分の二の高さの直方体状の蓋をかぶせ、蓋及び箱を相互に分離可能に構成した形状のものである。

(二) 蓋の側面の上縁と下縁及び各箱の側面の上縁と下縁にそれぞれ略一定幅の細幅帯状の朱赤線(以下「朱赤線模様」という。)を形成してあり、この結果、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、朱赤線模様の約二倍幅の線模様が形成される。

(三) 蓋の上面四周及び下位の箱の下面四周にそれぞれ朱赤線模様を形成している。

(四) 朱赤線模様以外の部分は白色無地である。

3 本件類似意匠(8)の構成

(一) 直方体状の略同じ高さの箱を二段に重ね、その上に箱の高さの約三分の二の高さの直方体状の蓋をかぶせ、蓋及び箱を相互に分離可能に構成した形状のものである。

(二) 蓋の側面の上縁と下縁及び各箱の側面の上縁と下縁にそれぞれ略一定幅の細幅帯状の金色線(以下「金色線模様」という。)を形成してあり、この結果、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、金色線模様の約二倍幅の線模様が形成される。

(三) 蓋の上面四周及び下位の箱の下面四周にそれぞれ金色線模様を形成している。

(四) 金色線模様以外の部分は薄茶色の木目模様を形成している。

4 イ号意匠の構成

(一) 直方体状の略同じ高さの箱を二段に重ね、その上に箱の高さ分約三分の二の高さの直方体状の蓋をかぶせ、蓋及び箱を相互に分離可能に構成した形状のものである。

(二) 蓋の側面の上縁及び各箱の側面の上縁にそれぞれ略一定幅の金色線模様を形成してあり、この結果、蓋の上縁、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、略同一幅の金色線模様が形成される。

(三) 蓋の上面四周に金色線模様を形成している。下位の箱の側面下縁及び下面四周には金色線模様は形成されていない。

(四) 金色線模様以外の部分は白木色の木目模様を形成している。

5 本件登録意匠とイ号意匠の対比

(一) 本件登録意匠の構成(一)とイ号意匠の構成(一)について

同じである。

(二) 本件登録意匠の構成(二)とイ号意匠の構成(二)について

(1) 右両者の共通点は、蓋の側面の上縁及び各箱の側面の上縁にそれぞれ略一定幅の線模様を形成している点である。

(2) 相違点は、本件登録意匠の線模様が朱赤線模様であるのに対し、イ号意匠の線模様が金色線模様であること、本件登録意匠では蓋と各箱の側面の下縁に朱赤線模様が形成され、この結果、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、朱赤線模様の約二倍幅の線模様が形成されているのに対し、イ号意匠では蓋と各箱の側面の下縁に線模様が形成されず、この結果、蓋の上縁、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、略同一幅の金色線模様が形成されていることである。

(3) 右の各相違点について検討すると、線模様が金色線模様に形成される点は、本件類似意匠(8)にもみられるところであるから、イ号意匠の金色線模様は、本件登録意匠の朱赤線模様に類似する。

また、本件登録意匠の線模様の幅が蓋の上縁に比べて各中間部において約二倍になる点は、本件登録意匠の要部が線模様及びその色彩と線模様以外の部分の色彩の結合の点にあり、この結果、本件登録意匠の蓋の上縁及び下位の箱の下縁の線模様の幅と、蓋と箱及び箱と箱の接する部分の線模様の幅に約二倍程度の差異があっても、看る者の印象にほとんど影響を与えないことから、イ号意匠において右のような線模様の幅に差異がなく、線模様の幅が略同一であっても、この点に関する相違は意匠上の微差である。

(4) 以上から、イ号意匠の構成(二)は、本件登録意匠の構成(二)と類似する。

(三) 本件登録意匠の構成(三)とイ号意匠の構成(三)について

(1) 右両者の共通点は、蓋の上面四周に線模様が形成されている点である。なお、イ号意匠の金色線模様は、本件登録意匠の朱赤線模様に類似することは前記のとおりである。

(2) 相違点は、本件登録意匠では下位の箱の側面下縁及び下面四周にも線模様が形成されているのに対し、イ号意匠ではこれらの部分に線模様が形成されていない点である。

(3) 右の相違点について検討すると、下位の箱の下縁の線模様の有無は、蓋と箱及び箱と箱の中間部や、蓋の上縁の線模様に比べて、重ね箱の最下端であるために、看者に与える印象は極めて弱く、したがって、この点の相違は意匠上の微差である。

また、下位の箱の下面四周の線模様の有無については、下位の箱の下面がほとんど看る者の注意を惹くことのない部分であるために、意匠的に重要でなく、したがって、この点の相違も意匠上の微差である。

(4) 以上から、イ号意匠の構成(三)は、本件登録意匠の構成(三)と類似する。

(四) 本件登録意匠の構成(四)とイ号意匠の構成(四)について

右両構成を対比すると、前者の線模様以外の部分が白色無地であるのに対し、後者の線模様以外の部分が白木色の木目模様である点で異なるが、線模様以外の部分が木目模様である意匠は本件類似意匠(8)や本件類似意匠(10)として類似意匠登録されていること、本件類似意匠(8)の線模様以外の部分は薄茶色の木目模様に彩色されているが、白木色の木目模様と薄茶色の木目模様とは看者に対する印象に差異がないことから、イ号意匠の構成(四)は本件登録意匠の構成(四)に類似する。

(五) 結論

以上から総合的に判断すれば、イ号意匠は本件登録意匠に類似する。

6 本件登録意匠の要部についての被告の主張に対する反論

(一) 本件登録意匠と本件各類似意匠の全体を総合して観察すると、本件登録意匠の要部は容易に理解できる。

すなわち、本件登録意匠は、蓋の側面の上縁・下縁及び箱の側面の上縁・下縁並びに蓋の上面四周及び箱の下面四周にそれぞれ朱赤線模様を形成し、線模様以外の部分を白色無地とした、線模様及びその色彩と線模様以外の地の部分の色彩との結合が、新規性ある意匠の創作と認められたのである。

また、本件各類似意匠においても、線模様とそれ以外の地の部分において様々な色彩の組み合わせが用いられているが、線模様及びその色彩と線模様以外の地の部分の色彩(無地又はこれに近似した桐の白木様の木目模様)との結合の点で、本件登録意匠とモチーフが共通しているものとして、それぞれ類似意匠登録が認められたものと考えられる。

以上からすると、本件登録意匠の要部は、線模様及びその色彩と線模様以外の地の部分の色彩(無地又はこれに近似した桐の白木様の木目模様)との結合にあると解すべきことは明らかである。

(二) 被告は、本件登録意匠の構成(二)(後記【被告の主張】1(二)のとおり修正)については、本件登録意匠の出願前、蓋と箱及び箱と箱が接する位置に沿って線模様を施してなる意匠は乙二(株式会社淡交社刊/竹西寛子・川田聖見著/古寺巡礼・奈良・13・長谷寺)において、蓋及び箱の各上縁にのみそれぞれ一定幅の線模様を施してなる意匠は乙三(加賀山中漆器協同組合「暮らしの器」)において、それぞれ公知であるとし、本件登録意匠の構成(三)については、蓋の上面四周に線模様を形成した点は乙二、三により公知であるから、下位の箱の下面四周に線模様を形成した点が新規な部分といえるとした上で、本件登録意匠の要部について、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部の線模様が蓋の上縁に形成した線模様の幅の二倍幅をもって形成されていて、その中間部の線模様の中心位置にその線模様を二等分するように蓋と箱及び箱と箱の接する線が位置していると共に、下位の箱の下縁にも蓋の上縁の線模様の幅と等しい幅の線模様が上下対称に形成されていることにある旨主張する。

(1) しかし、被告の引用する乙二、三に記載されている意匠は、いずれも蒔絵ないし漆器にかかるものであり、これらに関しては、古くからその表面に描かれる絵模様について様々な意匠が凝らされてきたものである。したがって、これら蒔絵ないし漆器の重箱において、絵模様とともに、蓋の側面の上縁や蓋と箱及び箱と箱とが接する位置に沿って線模様が施されていても、絵模様の印象が強力であるために、それらの線模様が看る者の注意を惹きつける力は極めて微弱であるか又はアクセントとしての副次的な役割しかなく、当該蒔絵や漆器の重箱の意匠の要部を構成するとは到底考えられない。

これに対し、本件登録意匠は、線模様及びその色彩と線模様以外の地の部分の色彩(無地又はこれに近似した桐の白木様の木目模様)との一体的な結合を要部とすることにより、蒔絵又は漆器のような絵模様を中心とする意匠とは異なった、シンプルで新たな美感を創作し得たのである。

被告の主張は、本件登録意匠から線模様のみを切り離して、このような線模様自体は乙二、三により公知であるから本件登録意匠の要部を判断するにあたって考慮する必要がないと主張しているに過ぎず、本来一体的全体的にとらえるべき本件登録意匠を、脈絡なく細分化して微視的にとらえたもので、失当である。

(2) 被告主張の本件登録意匠の要部は、看者の注意を惹くものではない。

前記(二)のとおり本件登録意匠の要部をとらえれば、本件登録意匠において看者の注意を強く惹くのも、単に線模様の部分だけではなく、線模様とそれ以外の地の部分の色彩(無地又はこれに近似した桐の白木様の木目模様)との組み合わせにあることは明らかである。

したがって、本件登録意匠において、蓋の上縁や下位の箱の下縁に形成される朱赤線模様の幅に比べて、蓋と箱及び箱と箱がそれぞれ接する中間部に形成される線模様の幅が約二倍であるとしても、そのことが、線模様及びその色彩とそれ以外の地の部分の色彩との結合という本件登録意匠の要部の基本的構成に与える影響は極めて小さく、しかも、線模様の幅に比べて蓋と箱の横の長さが十分に長いために、中間部の線模様の幅が蓋の上縁と下位の箱の下縁の各線模様の幅の約二倍であることが看る者に印象づけられることはほとんどない。

むしろ、本件登録意匠にかかる重ね箱の上面及び側面に沿って上から下へ視線を移動させたときに、蓋の上面及び側面の上縁の線模様、蓋と箱との接合線に沿って形成された線模様及び下位の箱の側面の下縁の線模様というように、同一色彩の線模様のパターンが白色無地の部分を間にはさんで繰り返し現われることの印象の方がより強烈であるといえる。

また、約二倍幅の線模様の中心に蓋と箱及び箱と箱が接する線が位置していることも、意匠的に重要視される点ではない。むしろ、これらの接合線は、同じ色の線模様にはさまれた接合線であり、かつ、接合線自体は蓋や箱のエッジであって、それ自体色彩を持たないものであることからも、右の接合線が看者に与える印象は極めて微弱である。

7 本件登録意匠とイ号意匠の対比についての被告の主張に対する反論

この点についての被告の主張は、本件登録意匠の要部についての理解を過っていることから、基本的に成り立たないものである。

前記6(二)(2)第二段で指摘したところからすると、イ号意匠の蓋の上縁、蓋と箱及び箱と箱がそれぞれ接する中間部の線模様が略一定幅であったとしても、この点に関する本件登録意匠との相違は看者の注意を惹くことはほとんどない。

また、同第三段で指摘した、同一色彩の線模様が無地の部分をはさんで繰り返される点で、本件登録意匠とイ号意匠は共通している。もつとも、イ号意匠には下位の箱の下縁に線模様はないが、下位の箱の下縁は食卓等に接する部分であり、この部分の印象は看者にとって薄弱である。

さらに、本件登録意匠においては約二倍幅の線模様の中心に蓋と箱及び箱と箱が接する線が位置しているのに対し、イ号意匠では一定幅の線模様が蓋と箱及び箱と箱が接する線より下方に位置している点についても、むしろ、これらの接合線は、蓋や箱のエッジであり、それ自体色彩を持たないことからも、接合線と線模様との位置関係の相違が看者に与える印象は極めて微弱である。

そうすると、被告主張の本件登録意匠とイ号意匠の相違点は、本件登録意匠の要部に関するものではなく、意匠上の微差というべきである。

【被告の主張】

1 本件登録意匠の構成

以下のとおりであり、傍線部を追加するほかは原告の主張と同様である。

(一) 直方体状の略同じ高さの箱を二段に重ね、その上に箱の高さの約三分の二の高さの直方体状の蓋をかぶせ、蓋及び箱を相互に分離可能に構成した形状のものである。

(二) 蓋の側面の上縁と下縁及び各箱の側面の上縁と下縁にそれぞれ略一定幅の朱赤線模様を形成してあり、この結果蓋の上縁と下位の箱の下縁とに一定幅の線模様が上下対称に、また、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、朱赤線模様の約二倍幅の線模様が形成される。

(三) 蓋の上面四周及び下位の箱の下面四周にそれぞれ朱赤線模様を形成している。

(四) 朱赤線模様以外の部分は白色無地である。

2 本件類似意匠(8)の構成

以下のとおりであり、傍線部を追加するほかは原告の主張と同様である。

(一) 直方体状の略同じ高さの箱を二段に重ね、その上に箱の高さの約三分の二の高さの直方体状の蓋をかぶせ、蓋及び箱を相互に分離可能に構成した形状のものである。

(二) 蓋の側面の上縁と下縁及び各箱の側面の上縁と下縁にそれぞれ略一定幅の金色線模様を形成してあり、この結果蓋の上縁と下位の箱の下縁とに一定幅の線模様が上下対称に、また、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、金色線模様の約二倍幅の線模様が形成される。

(三) 蓋の上面四周及び下位の箱の下面四周にそれぞれ金色線模様を形成している。

(四) 金色線模様以外の部分は薄茶色の木目模様を形成している。

3 本件登録意匠の要部

一般に、登録意匠の要部となるのは、物品の取引者又は需要者の目につきやすく、公知の意匠にない新規で、看者の注意を強く惹く部分である。そして、もともと公知意匠と類似しない意匠のみが意匠登録されるのであるから、登録意匠の要部を認定するに当たっては、当該登録意匠の分野における公知意匠を参酌して、登録意匠のどの部分に創作性のある新規な部分があるのか、その程度はどのようなものかを把握して意匠の要部を定めなければならないのは当然のことである。

また登録意匠に類似意匠が付帯するときは、類似意匠は当該登録意匠(本意匠)の要部を把握し登録意匠の意匠範囲を明確にする有力な証拠であるから、その要部を認定するに当たって類似意匠を参酌するのは当然であり、登録意匠(本意匠)と類似意匠とに共通する部分が要部となるというべきである。

右の観点から、本件登録意匠の要部を検討すると、以下のとおりである。

(一) 本件登録意匠の構成(一)については、食品用蓋物や小物入れなどの重ね箱においてありふれた形態であって、格別新規なものではない。

(二) 本件登録意匠の構成(二)については、本件登録意匠の出願前、蓋と箱及び箱と箱が接する位置に沿って線模様を施してなる意匠は乙二において、蓋及び箱の各上縁にのみそれぞれ一定幅の線模様を施してなる意匠は乙三において、それぞれ公知である。特に乙三における公知の意匠は蓋の上縁、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが後する中間部に同一幅の線模様が形成され、その中間部の線模様は蓋と箱及び箱と箱の接する線の下方に位置している。そこで、右公知意匠を参酌して、本件登録意匠の構成を検討すると、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部の線模様が蓋の上縁に形成した線模様の幅の二倍幅をもって形成されていて、その中間部の線模様の中心位置にその線模様を二等分するように蓋と箱及び箱と箱の接する線が位置していると共に、下位の箱の下縁にも蓋の上縁の線模様の幅と等しい幅の線模様が上下対称に形成されている点で公知意匠と相違し、この相違点である線模様の配置関係に本件登録意匠の新規な部分が存するのである。これは、本件各類似意匠のすべてが本件登録意匠の右構成を共通にしていることからも明らかである。

(三) 本件登録意匠の構成(三)については、蓋の上面四周に線模様を形成した点は乙二、三により公知であるから、下位の箱の下面四周に線模様を形成した点が新規な部分といえる。

(四) 本件登録意匠の構成(四)については、物品の性質上、物品を構成する材料自体の生地又は漆などの塗装に伴う色彩などが適宜表現されることが一般的であるから、この部分を白色無地としたことに格別新規な点が存するものではない。

(五) 以上のことから、本件登録意匠の構成のうち、構成(二)と、(三)のうち「下位の箱の下面四周に線模様を形成した」点にそれぞれ創作性のある新規な部分が存するということができる。

(六) 以上を前提に、本件登録意匠の要部を検討すると、蓋と上下二つの箱とを積層してなるありふれた形態のこの種物品において、その物品の形態、用途等からみてその取引過程ないし使用状態において取引者又は需要者の目に最も触れる部分は、その上面及び側面である。そして、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部の線模様が蓋の上縁に形成した線模様の幅の二倍幅をもって形成されていて、その中間部の線模様の中心位置にその線模様を二等分するように蓋と箱及び箱と箱の接する線が位置している新規な構成が取引者又は需要者の目に最も触れる側面に存することから、本件登録意匠の要部は構成(二)にあるといえる。

4 本件登録意匠とイ号意匠の対比

本件登録意匠の要部である構成(二)と、これに対応するイ号意匠の構成(二)を対比すると、本件登録意匠の構成(二)が蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部の線模様が蓋の上縁に形成した線模様の幅の二倍幅をもって形成されていて、その中間部の線模様の中心位置にその線模様を二等分するように蓋と箱及び箱と箱の接する線が位置していると共に、下位の箱の下縁にも蓋の上縁の線模様の幅と等しい幅の線模様が上下対称に形成されているのに対し、イ号意匠の構成(二)では、蓋及び箱の各上縁にのみそれぞれ一定幅の線模様を施してなり、この各線模様は蓋と箱の接する線及び箱と箱の接する線の下方に位置しており、しかもこのようなイ号意匠の構成は乙二、三(特に乙三)の公知意匠の延長線上にあるのであるから、両者は顕著な相違を有し、かつ、この相違点は看者をして明白に区別させることができるものであるから、美感においても著しい相違を生じることになる。

そうすると、本件登録意匠とイ号意匠は要部の構成、それによって生じる意匠の美感も著しく相違するから、類似しないものというべきである。

5 本件登録意匠の要部についての原告らの主張に対する反論

(一) 原告らの主張は、【原告ら分主張】6(一)にもあるとおり、いったんは「蓋の側面の上縁・下縁及び箱の側面の上縁・下縁並びに蓋の上面四周及び箱の下面四周にそれぞれ朱赤線模様を形成し、線模様以外の部分を白色無地.とした、線模様及びその色彩と線模様以外の地の部分の色彩との結合」という具体的構成態様が、新規性ある意匠の創作であるとしておきながら、本件登録意匠の要部を、線模様及びその色彩と線模様以外の地の部分の色彩(無地又はこれに近似した桐の白木様の木目模様)との結合という、極めて抽象的なものとした点において論理の飛躍がある。

(二) 原告らは、乙二、三の蒔絵や漆器の重箱にかかる意匠の線模様が看る者の注意を惹きつける力は極めて微弱であるか又はアクセントとしての副次的な役割しかなく、当該意匠の要部を構成するとは到底考えられない旨主張するが、被告は乙二、三において線模様が当該意匠の要部を構成すると主張したことはない。被告は、重ね箱において蓋及び箱の縁に沿って線模様を形成する手法は公然知られたものであるとの主張を裏付ける趣旨でこれら書証を提出しているものである。

(三) 原告らは、被告の主張は、本件登録意匠から線模様のみを切り離して、このような線模様自体は乙二、三により公知であるから本件登録意匠の要部を判断するにあたって考慮する必要がないと主張しているに過ぎず、本来一体的全体的にとらえるべき本件登録意匠を、脈絡なく細分化して微視的にとらえたものである旨主張する。

しかし、被告は、原告らが本件登録意匠の要部の主張において、単に線模様があればよいかのように抽象的に主張しているので、線模様を形成した意匠が公知であることを示す趣旨で乙二、三を提出したものである。

そして、被告は、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部の線模様が蓋の上縁に形成した線模様の幅の二倍幅をもって形成されていて、その中間部の線模様の中心位置にその線模様を二等分するように蓋と箱及び箱と箱の接する線が位置していると共に、下位の箱の下縁にも蓋の上縁の線模様の幅と等しい幅の線模様が上下対称に形成されていることを本件登録意匠の要部とした上で、その結果として蓋と二つの箱とを重ねた状態において、上下に細幅の線模様が対称に位置し、その間に太幅の線模様が二段に位置して計四本の線模様により全体として均整のとれた独自の美感を形成している旨主張しているのであって、細分化して微視的な視点に立っているものではない。

(四) 本件登録意匠の要部として原告らが主張する「線模様以外の地の部分の色彩」についてみると、この種物品において線模様のほかに線模様以外の地の部分に様々な意匠が凝らされているのは周知の事実であり、線模様以外の地の部分に単に白色無地を含めた適宜色彩を施したに過ぎないありふれた構成をもって、「線模様と線模様以外の地の部分の色彩とを一体的に結合」した点に本件登録意匠の要部が存するという原告らの主張は誤りであ.る。

6 本件登録意匠とイ号意匠の対比についての原告らの主張に対する反論

原告らが本件登録意匠の要部についての理解を誤っていることは5記載のとおりであるから、この点に関する原告らの主張も誤りである。

二  争点2(原告商品の形態は商品表示性を取得し、周知性を獲得しているか。)

【原告らの主張】

1 包装用紙器について

紙製の箱等の包装用容器は「紙器」と呼ばれ、地域ごとに紙器工業組合が設立され、全国組織として全日本紙器工業組合連合会がある。なお、紙器製造業者の減少により、段ボール箱の製造業者も加盟した紙器段ボール箱工業組合が設立された地域もあり、京都府も、同様の事情から、従来の京都府紙器工業組合から、京都府紙器段ボール工業組合となっている。原告会社は、京都府紙器工業組合の時代から加入している。

2 貼箱等とVカットの箱について

(一) 紙器には大別して、貼箱、印刷箱、簡易箱等がある。

貼箱は、一般に厚さ一ミリメートル未満の板紙を切り貼りして蓋付きの箱等に形成するとともに、蓋と箱の表裏面、縁等に化粧紙等を貼るなどして装飾を施したものであり、菓子、食品、衣類その他様々な商品の包装用容器として用いられている。また、簡易箱は通常貼箱の用紙より薄い紙を材料とするものであり、貼箱に比べて簡易な構造である。また、印刷箱は箱の表面に詳細な印刷を施す点に特徴のある包装用箱である。

(二) これに対し、原告商品等、原告会社が本件登録意匠(本件各類似意匠を含む。)の実施品として製造販売している紙箱は、いわゆるVカットと呼ばれる方法で製造される。

Vカットの箱の製造に用いる紙は、薄い紙を通常二十数層張り合わせた極厚の板紙であり、通常の厚紙と異なって非常に密度が高く、木材よりも硬い。Vカットとは、この極厚の紙に切削用刃物(超硬鋼でできている。)を使って断面V状の溝を切削することであり、切削した用紙をそのV字状の溝の部分で直角に折り曲げて箱の形を形成するまともに、その表裏面や切断面に化粧紙を貼り、包装用箱として完成させたものである。したがって、このVカットの方法で製造した箱は、通常の貼箱に比べて非常に頑丈であり、木箱に匹敵する強度がある。

ただ、極厚の厚紙を効率的にVカットするための機械装置や切削用刃物のコストが高いため、少なくとも京都府ではVカット用の機械装置を導入している紙器製造業者は、原告会社だけである。

3 原告商品の開発と商品表示性、周知性の獲得

(一) 原告会社では昭和五〇年代中頃までは貼箱、簡易箱等のみを製造販売していたが、原告笹山は、様々な研究の末、昭和五〇年代末ころから用紙を効率的にVカットすることができる機械装置を購入してVカットの箱の製造を開始した。

そして、そのころ、原告笹山はVカットの蓋・箱の表面のデザインとして、白地に赤色の線模様を施した意匠を創作し、本件登録意匠として登録されるに至ったことから、これを本意匠として多くの類似意匠を出願し登録を受けるとともに、それらの実施品を何種類も製造販売するようになつた。その中の一つが、本件類似意匠(8)の実施品である原告商品である。

(二) 平成四年ころに、食品用の容器、弁当箱等を扱う大手商社である株式会社大食美術(当時の商号は株式会社ダイシヨク。以下「大食美術」という。)が仲介して、株式会社東豊物産(以下「東豊物産」という。)の注文により原告商品をおせち料理の容器向けに使う新たな用途が開けて、原告会社は、同年末、東豊物産が経営する「あづま寿司」チエーンに相当数量(約二〇〇〇個)の原告商品を納入した。その後も、「あづま寿司」チエーンへの納入は現在に至るまで途切れることなく行われている。

また、原告会社が平成五年六月に開催された京都府紙器工業組合主催の展示会に原告商品を出品したところ、桐の箱の木目模様を模し、かつ、金色線模様を施した化粧箱が従来市場になかったために非常な好評を博し、特に原告商品をおせち料理に使いたい旨の注文が多く寄せられるようになった。

そして、平成六年ころからは、大食美術が原告会社に対し、おせち料理の容器用として原告商品を大量に注文し、これを近畿地方のほか、九州方面や東京方面に出荷するようになり、また、株式会社ノムラフーズ(以下「ノムラフーズ」という。)その他の会社からもおせち料理用の容器としての注文を多く受けるようになった。これらを合わせると、原告会社は、平成六、七年以降、毎年約二万五〇〇〇セットから二万八〇〇〇セット、最大時には約三万セットの原告商品を販売してきた。

この結果、原告商品の売上は、平成五年一二月から平成六年一月にかけ約八〇六万円、平成六年一二月から平成七年一月まで約六〇四万用、平成七年一二月から平成八年一月まで約六六八万円、平成八年一二月から平成九年一月まで約一二五八万円、平成九年一一月から平成九年一二月まで約一二五三万円と推移してきた。

以上のような順調な売れ行きの結果、原告商品は、遅くとも平成八年末ころまでには、特に京都府やその近府県の紙器の製造業者や取扱業者の間で、これらの業者が桐の木目模様に金色の細幅の線が施された原告商品の形状、模様及び色彩の組合せを見ただけで、ただちにそれが原告会社の商品と判断できるほどの周知性を獲得するに至っている。

(三) 原告会社の量産装置をもってしても、Vカットの箱は、その製造原価が貼箱等に比べて約一〇倍近くにもなるため、当初高級茶その他の高価な商品の容器としての限られた用途しかなく、販売額も少なかつた。しかし、(二)記載のとおり、平成四年ころからおせち料理の箱としての用途が開けた結果、その後大幅に需要が伸びるに至った。この結果、現在では、Vカットの箱の売上が原告会社の全体の売上の中でもかなりの部分を占めるまでに至っている。

すなわち、最近における原告会社の貼箱等を含む全体の売上は、年間約一億五〇〇〇万円から二億円弱であるが、そのうち本件登録意匠及び本件各類似意匠の実施品であるVカットの箱の売上は、おせち料理用のほか高級茶その他高級商品の包装用を含め年間約二〇〇〇万円程度であり、Vカットの箱だけに限れば、原告会社のシエアが九十七、八パーセントに達する。これは、現在京都府内で営業する紙器製造業者が大部分小規模業者であり、効率的にVカットができる機械装置を導入しておらず、手作業の要素の強い装置を使用しているためである。なお、京都府全体における貼箱等の紙器の市場規模は、約十数億円といわれている。

【被告の主張】

1 商品表示性について

原告らが原告商品の形態的特徴として主張しているのは、「金色による縁取り」及び「桐の木目模様」の二点である。しかし、原告商品である「重ね箱」はありふれた形状のものであるし、原告らの主張する右二点の特徴も、乙二、三、五、六に照らすまでもなくこの種商品において古くから広く実施されてきた。したがって、右の「特徴」故に原告商品の形態が出所表示機能すなわち商品表示性を得るに至ったものということはできない。

2 周知性について

原告商品が長年にわたって使用されたり、強力な宣伝広告の結果によって周知性を獲得するに至つたことを示す証拠はない(甲一八の1ないし10の陳述書は原告への資材納入業者や取引先に過ぎない。)。

また、原告の主張によっても、原告商品の売上は平成八年一二月から平成九年一月まで約一三五八万円に過ぎないのであり、この程度の売上で原告商品が「需要者の間に広く認識されている」と認めることはできない。

三  争点3(イ号物件の形態は原告商品の形態に類似し、被告の行為によって原告商品との誤認混同を生じるか。)

【原告らの主張】

イ号物件は、その形状、模様及び色彩の組合せが原告商品と酷似している。このため、紙器業界の製造業者、取扱業者から原告会社に対し、イ号物件が原告会社の商品であると誤解した問い合わせが多く寄せられるようになり、イ号物件が原告会社の商品であるとの誤認混同が生じている。

なお、被告がイ号物件を販売しているノムラフーズに対しては、平成八年末まで、原告会社がおせち料理の容器用に原告商品を納入していた実績があることから、被告がノムラフーズに対し原告商品と形態が酷似したイ号物件を販売したことは、被告の不正競争の意思を示すものである。

【被告の主張】

本件登録意匠とイ号意匠が類似しない以上、本件登録意匠と類似する本件類似意匠(8)の実施品である原告商品の形態とイ号物件の形態が類似することもない。

四  争点4(被告の行為は不法行為に該当するか。)

【原告らの主張】

1 <1>人が物品に創作的な模様を付し、その創作的要素によって商品としての価値を高め、この物品を製造販売することによって営業活動を行っている場合において、<2>該物品と実質的に同一の模様を付し、<3>その者の販売地域と競合する地域においてこれを廉価で販売することによってその営業活動を妨害する行為は、公正かつ自由な競争原理によって成り立つ取引社会において、著しく不公正な手段を用いて他人の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害するものとして、不法行為を構成するというべきである(東京高判平成三年一二月一七日知的財産関係民事・行政裁判例集二三巻三号八〇八頁)。この観点からすると、被告の行為は不法行為に該当する。

2 要件<1>について。

本件類似意匠(8)の実施品である原告商品の形態には創作性(この点は、必ずしも高度な創作性を意味すると解する必要はなく、いわゆるオリジナリテイが認められればよいと解される。)がある。表面に白木の木目模様だけを施した包装用箱は従前からみられたが、原告商品のように白木の木目模様と金色線模様を組み合わせた意匠はそれまで全くみられなかったという点において明らかにオリジナリテイを備えるものであり、すくなくとも、京都府の紙箱の業界ではこの点は十分に認められていた。本件類似意匠(8)の類似意匠登録の事実からも、オリジナリテイは裏付けられる。

そして、原告商品が好評を博し、売上を増大させたことは二【原告らの主張】3記載のとおりであるが、これは右創作要素によって原告商品の価値が高められたことによるものである。すなわち、原告商品がおせち料理の容器として高い人気を獲得したのは、箱の地の色を日本人が好む白木の木目模様とするとともに、その開口部の四周(上縁)を金色線模様で縁取ったことにあり、このような構成の結果、開口部(上縁)四周に設けた金色線が内容物であるおせち料理を囲むことになり、おせち料理をより豪華に引き立てるという印象を与えるのである。

3 要件<2>について。

イ号物件は、原告商品と同様に、Vカットの手法で製造されたものであるが、金色線模様の配置の点では部分的に相違する。具体的には、蓋及び箱のそれぞれを独立して観察すれば、それぞれの上縁四周に金色線模様が設けられている点では両者共通であるが、原告商品では蓋及び箱の下縁四周にも金色線模様が設けられているのに対し、イ号物件ではこれらの部分には金色線模様が設けられていない。

しかし、原告商品が高い人気を獲得した理由は、前記2後段記載のとおり箱の地の色を白木の木目模様とし、開口部の上縁を金色線模様で縁取ったことにある。そうすると、原告商品でもイ号物件でも重要な点は蓋及び箱の上縁四周に金色線模様が設けられていることにあり、前記差異は、原告商品やイ号物件をおせち料理の容器として用いる場合は、ほとんど印象に残ることはない。

その結果、イ号物件の形態は原告商品と実質的に同一ということができる。

4 要件<3>について。

被告は、平成九年暮れころに、ノムラフーズに対し、イ号物件を納入販売し、ノムラフーズはこれを西友ストアが販売するおせち料理の容器として同ストアに販売した。

すなわち、原告会社は、平成七年暮れ及び平成八年暮れに、ノムラフーズに対し、おせち料理の容器として原告商品を納入した実績があったが(毎年約五〇〇〇セット)、被告が原告商品よりも廉価にイ号物件を売り込んだため、ノムラフーズは、平成九年暮れには、原告会社に対する原告商品の注文をやめ、被告に対し、その数量に相当するイ号物件を注文し、その納入を受けたのである。

蓋及び箱の地の色彩、模様や線模様の色彩について無数の組み合わせが考えられるにもかかわらず、被告は原告会社が生産するまではこの世に存在しなかった原告商品と実質的に同一の形態を有する原告商品を製造販売するに至ったものであり、不法行為が成立することは明白である。

5 被告の主張について。

被告が原告商品の創作的要素について主張するところは、意匠の類否に関する考え方に拘泥し、本来営業活動における奴隷的模倣による不法行為の成否の判断においては、一般消費者ないし需要者を基準として「実質的に同一」かどうかを判断すれば足りることを看過したものである。

すなわち、意匠法における意匠の類否判断に際しては、公知意匠に対して出願意匠が新規性その他の登録要件を備えるか否か、あるいは無権限者の実施する意匠が登録意匠の範囲に属するか否か等、極めて専門的かつ観念的な判断が求められるのに対して、営業活動における不法行為の成否、つまり営業活動における著しく不公正な手段といえるか否かを判断する場合には、一般消費者ないし需要者からみて「実質的に同一」であれば創作者の営業活動の機会が奪われる可能性が十分認められることから、意匠の類否判断のように厳密な意匠の「同一性」まで要求する必要はなく、実質的同一をもって足りるというべきである。

【被告の主張】

1 原告商品に創作的要素があるとすれば、本件登録意匠の創作性のある新規な部分について検討したとおり、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部の線模様が蓋の上縁に形成しだ線模様の幅の二倍幅をもって形成されていて、その中間部の線模様の中心位置にその線模様を二等分するように蓋と箱及び箱と箱の接する線が位置していると共に、下位の箱の下縁にも蓋の上縁の線模様の幅と等しい幅の線模様が上下対称に形成されている点、換言すれば「蓋の下端の彩色と上段の箱の上端の彩色が視覚上一体となって、一本の太帯状の彩色と感得されるものとなっており、また上段の箱の下端の彩色と下段の箱の上端の彩色が一体となって、同じく一本の太帯状の彩色と感得され、合わせて二本の太帯状彩色が感得され、その上下の細帯状の彩色に挟まれたように感得される」(乙七〔平成一〇年判定請求第六〇〇四一号判定謄本〕八頁一八行ないし九頁四行)点にある。イ号物件はこのような特徴を有しないのであるから、イ号物件の製造販売について不法行為が成立する余地はない。

2 原告は、不法行為成立に必要な創作性としてオリジナリティがあれば足りる旨主張するが、ここでいうオリジナリティは、金色線模様と白木の木目模様の組み合わせを意味していると解される。

しかし、これらの要素がこの種物品において広く実施されてきたものであることは二【被告の主張】1記載のとおりである。

そうすると、これらの要素の組み合わせだけでは創作的要素を有すると認めるに足りず、これらを超えた創作性例えば意匠法三条二項に規定する程度の創作性が必要と解すべきである。

五  争点5(被告が損害賠償責任を負う場合に、原告らに賠償すべき損害の額)

【原告らの主張】

1 意匠権侵害について

イ号物件の販売数量は五〇〇〇個、単価は一五〇〇円、相当な実施料は販売価格の五パーセントであるから、原告笹山は三七万五〇〇〇円の実施料相当額の損害を被った。

2 不正競争行為について

被告の不正競争行為により被告が得た純利益は原告会社の損害と推定されるが、イ号物件の販売数量及び単価は前記1のとおりでおり、被告の純利益は販売額の二〇パーセントであるから、原告会社は一五〇万円の損害を受けたと推定される。

3 不法行為について

例年の原告商品の納入数量からみて、原告会社が平成九年にノムラフーズから受注できなかったことによる損害は一五〇万円を下らない。

第四  争点に対する判断

一  争点1(イ号意匠は本件登録意匠に類似するか。)について

1  本件登録意匠の構成態様

本件登録意匠の構成態様は以下のとおりである。

(一) 基本的構成態様

全体が同形の上面開放状の平面視方形箱二個を二段重ねにし、その上に上方視同形で右箱より背の低い下面開放状の蓋を重ねている。

(二) 具体的構成態様

(1) 正面視及び背面視長方形を形成し、高さを一とすると底辺は約三.一三である。

蓋の高さは各箱の約三分の二である。

蓋の上縁と下縁及び各箱の上縁と下縁に朱赤線模様を形成してあり、この結果、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、朱赤線模様の約二倍幅の線模様が形成される。

(2) 平面視及び底面視長方形を形成し、高さを一とすると底辺は約二・一七である。

いずれも四周に朱赤線模様が形成されている。

(3) 左右側面視長方形を形成し、高さを一とすると底辺は約一・五〇である。

蓋の高さは各箱の約三分の二である。

蓋の上縁と下縁及び各箱の上縁と下縁に朱赤線模様を形成してあり、この結果、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、朱赤線模様の約二倍幅の線模様が形成される。

(4) 朱赤線模様以外の部分は白色無地である。

2  本件登録意匠の要部

登録意匠の要部となるのは、物品の形態及び用途等からみて、具体的に当該物品が取引ないし使用される過程において、取引の場で取引者又は需要者の目につきやすく、公知意匠にない新規で、看者の注意を強く惹く部分である。公知意匠を参酌すべきことは、公知意匠と類似しない意匠のみが意匠登録される(意匠法三条一項)ものであることから当然である。また、登録意匠に類似意匠が付帯するときは、類似意匠は当該登録意匠(本意匠)の要部を把握し類似範囲を明確にする有力な資料であるから、その要部を認定するにあたって類似意匠を参酌するのは当然であり、登録意匠(本意匠)と類似意匠とに共通する部分が要部となるというべきである。

(一) 本件登録意匠の基本的構成態様は、重箱などにみられる周知の構成である。

(二) 本件登録意匠の具体的構成態様(1)のうち、正面視及び背面視長方形を形成しているのは周知の構成であるし、高さを一とすると底辺は約三・一三である点、蓋の高さは各箱の約三分の二である点は、これらの比率が本件各類似意匠でまちまちであることから、ただちに要部とはいえない(ただ、正面視及び背面視長方形の高さと底辺の比が一対二を下回るものがないことは注意しておく必要がある。)。蓋の上縁と下縁及び各箱の上縁と下縁に朱赤線模様を形成してある点については、蓋の下縁及び最下段を除く各箱の上縁と下縁、下位の箱の上縁に線模様が施された公知意匠(乙二、蓋及び箱の各上縁に線模様が施された公知意匠(乙三)の存在により公知のものといえる。

これに対し、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、朱赤線模様の約二倍幅の線模様が形成される点については、これに相応する公知意匠が存在せず、また、需要者の注目を集める正面部にあることからも本件登録意匠の要部ということができる。なお、本件各類似意匠が線模様の色を赤に限っていないところからすると、線模様の色については蓋本体ないし箱本体の色と異なっていれば足りるもので、本質的部分ではなく、正確には、同一の幅の蓋上縁の線模様と箱下縁の線模様が上下に配置され、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、右各模様の約二倍幅の線模様が形成されることが本件登録意匠の要部というべきである。

(三) 本件登録意匠の具体的構成態様(2)のうち、平面視及び底面視長方形を形成し、高さを一とすると底辺は約二・一七である点は前同様の理由により要部とはいえない。

また、いずれも四周に朱赤線模様が形成されている点についても、前記乙二、三の公知意匠の存在により(また、底面視四周に朱赤線模様が形成されている点は、底面がこの種物品の取引過程において目に入らない部分であることからも)要部とはいえない。

(四) 本件登録意匠の具体的構成態様(3)のうち、要部といえるのは、具体的構成態様(2)について説示したのと同じ理由で、同一の幅の蓋上縁の線模様と箱下縁の線模様が上下対称に現れ、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、右各模様の約二倍幅の線模様が形成されることにあるというべきである。

(五) 本件登録意匠の具体的構成態様(4)は、周知のものであるから、要部とはいえない。

(六) 原告らの主張について

原告らは、本件登録意匠は、線模様及びその色彩と線模様以外の地の部分の色彩(無地又はこれに近似した桐の白木様の木目模様)との一体的な結合を要部とすることにより、乙二、三にみられる蒔絵又は漆器のような絵模様を中心とする意匠とは異なった、シンプルで新たな美感を創作し得たものである旨主張するが、本件各類似意匠の地の部分の色彩がそれぞれ異なること、また、「無地」と「桐の白木様の木目模様」が近似するとただちにいえるか疑わしいことからすると(後者は見方によっては絵模様に近いともいえる。)、要部の捉え方としてな抽象的に過ぎ、ただちに採用できない。

また、原告らは、本件登録意匠において、蓋の上縁や下位の箱の下縁に形成される朱赤線模様の幅に比べて、蓋と箱及び箱と箱がそれぞれ接する中間部に形成される線模様の幅が約二倍であるとしても、そのことが、線模様及びその色彩とそれ以外の地の部分の色彩との結合という本件登録意匠の要部の基本的構成に与える影響は極めて小さく、しかも、線模様の幅に比べて蓋と箱の横の長さが十分に長いために、中間部の線模様の幅が蓋の上縁と下位の箱の下縁の各線模様の幅の約二倍であることが看る者に印象づけられることはほとんどない旨主張するが、中間部の線模様の幅が蓋の上縁と下位の箱の下縁の各線模様の幅の約二倍であるとの構成が公知意匠にない新規なものであることは前記のとおりであり、かつ、蓋の上縁と下位の箱の下縁の細い線模様、両者の中間部の太い線模様という法則性をもった配置は、微妙なコントラストによって独自の美感を醸し出すものであるから、採用できない。

3  イ号意匠の構成態様

イ号意匠の構成態様は以下のとおりである。

(一) 基本的構成態様

全体が同形の上面開放状の平面視方形箱二個を二段重ねにし、その上に上方視同形で右箱より背の低い下面開放状の蓋を重ねている。

(二) 具体的構成態様

(1) 正面視及び背面視長方形を形成し、高さを一とすると底辺は約一・三三である。

蓋の高さは各箱の約三分の二である。

蓋の上縁及び各箱の上縁に金色線模様を形成してあり、この結果、蓋の上縁、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、略同一幅の金色線模様が形成される。

(2) 平面視及び底面視正方形を形成している。

平面視四周に金色線模様が形成されている。

(3) 左右側面視の構成は(1)と同じである(平面視及び底面視正方形であることから、実際上、正面視、背面視及び左右側面視を区別する実益はないが、本件登録意匠との対比のため記載する。)。

(4) 金色線模様以外の部分は白木色の木目模様を形成している。

4  本件登録意匠とイ号意匠の対比

(一) 基本的構成態様

基本的構成態様は、同一である。

(二) 具体的構成態様(1)のうち、正面視及び背面視長方形を形成している点、蓋の高さは各箱の約三分の二である点、蓋の上縁、各箱の上縁に線模様を形成してある点は、共通する。

これに対し、正面視高さを一とした場合底辺は本件登録意匠では約三・一三であるのに対しイ号意匠では約一・三三である点、本件登録意匠では同一の幅の蓋上縁の線模様と下位の箱下縁の線模様が上下に配置され、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、右各模様の約二倍幅の線模様が形成されるのに対し、イ号意匠では蓋の上縁、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、略同一幅の線模様が形成される点は、相違する。

(三) 具体的構成態様(2)のうち、平面視四周に線模様が形成してある点は共通する。

これに対し、本件登録意匠は平面視及び底面視長方形を形成し、高さを一とすると底辺は約二・一七であるのに対しイ号意匠は平面視及び底面視正方形を形成している点、本件登録意匠では底面視四周に線模様が形成されているのに対しイ号意匠ではこれが形成されていない点は相違する。

(四) 具体的構成態様(3)のうち、左右側面視長方形を形成している点、蓋の高さは各箱の約三分の二である点、蓋の上縁、各箱の上縁に線模様を形成してある点は、共通する。

これに対し、左右側面視高さを一とした場合底辺は本件登録意匠では約一・五〇であるのに対しイ号意匠では約一・三三である点、本件登録意匠では同一の幅の蓋上縁の線模様と箱下縁の線模様が上下に配置され、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、右各模様の約二倍幅の線模様が形成されるのに対し、イ号意匠では蓋の上縁、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、略同一幅の線模様が形成される点は、相違する。

(五) 具体的構成態様(4)については、線模様以外の部分が、本件登録意匠では白色無地であるのに対七、イ号意匠は白木色の木目模様である点で相違する。

5  類否の判断

4に基づき検討するに、本件登録意匠とイ号意匠の共通点は、いずれも本件登録意匠の要部に関しないものばかりである。

そして、本件登録意匠とイ号意匠は、<1>具体的構成態様(1)(3)において、本件登録意匠では同一の幅の蓋の上縁の線模様と下位の箱の下縁の線模様が上下に配置され、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、右各模様の約二倍幅の線模様が形成されるのに対し、イ号意匠では蓋の上縁、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、略同一幅の線模様が形成されるという要部において異なり、そのほか、<2>具体的構成態様(1)において、正面視高さを一とした場合底辺は本件登録意匠では約三・一三であるのに対しイ号意匠では約一・三三である点、<3>具体的構成態様(2)のうち、本件登録意匠は平面視及び底面視長方形を形成し、高さを一とすると底辺は約二・一七であるのに対しイ号意匠は平面視及び底面視正方形を形成している点、<4>具体的構成態様(2)のうち、本件登録意匠では底面視四周に線模様が形成されているのに対しイ号意匠ではこれが形成されていない点、<5>具体的構成態様(3)のうち、左右側面視高さを一とした場合底辺は本件登録意匠では約一・五〇であるのに対しイ号意匠では約一・三三である点、<6>具体的構成態様(4)において相違する。そして、正面視ないし左右側面視において、本件登録意匠が蓋の上縁と下位の箱の下縁の細い線模様、両者の中間部の太い線模様という法則性をもった配置により、微妙なコントラストによって独自の美感を醸し出すのに対し、イ号意匠は略同一幅の線模様が蓋の上縁、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部にのみ形成される(下位の箱の下縁には形成されない)ため、シンプルないしは単調で、やや装飾性に欠ける印象を与え(相違点<1>)、また、本件登録意匠が平面視長方形であること及び各辺の長さの比率(なお、前記のとおり、本件各類似意匠における正面視及び背面視長方形の高さと底辺の比は様々であるが、これが一対二を下回るものはない。)から全体として扁平な印象を与えるのに対しイ号意匠は平面視正方形であること及び各辺の長さの比率から全体としてコンパクトにまとまった印象を与え(相違点<2><3><5>)、両者は全体的に観察しても見る者に与える美観を異にし、類似しないものというべきである。

原告らは、下位の箱の下縁は食卓等に接する部分であり、この部分の印象は看者にとって薄弱である旨主張するが、右に説示したところから、採用できない。

6  結論

よって、原告笹山の本件意匠権に基づく請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。

二  争点2(原告商品分形態は商品表示性を取得し、周知性を獲得しているか。)について

商品の形態は、商品の機能を合理的に実現したり、その美観を高めるために選択されるものであり、商標等と異なり、直接商品の出所を表示することを目的として選択されるものではない。しかし、商品の形態が極めて特殊であるとか(当該商品が同一の形態をもって長期間独占的に販売されるとか、あるいは短期間にせよその形態自体が強力に宣伝広告されるなどの事情により、取引上ただちにその形態によって商品の見分けがつき、その出所がわかるようになることによって、商品形態が商品表示性を取得し、周知性を獲得する場合がある。そして、商品形態が商品表示性を取得し、周知性を獲得したか香かを判断するには、右の要素のほか、当該商品の特色と取引の実状を考慮すべきである。

1  原告商品開発の経緯について

証拠(甲一、二、七ないし一四、一七、一九ないし二一、二二の1・2、検甲一、原告兼原告代表者笹山信泰)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

(一) 原告会社は、昭和三八年に原告笹山が始めた個人営業を昭和四九年一一月一九日に法人化したものであり、貼箱(厚さ一ミリメートル未満の板紙を切り貼りして蓋付きの箱等に形成するとともに、蓋と箱の表裏面、縁等に化粧紙等を貼るなどして装飾を施したもの)を中心に製造販売してきたが、昭和五十六、七年ころ用紙を効率的にVカット(薄い紙を通常二十数層張り合わせた厚さ約二~三ミリの厚紙に超硬鋼でできた切削用刃物を使って断面V状の溝を切削すること)することができる機械装置を約一二〇〇万円かけて購入してVカットの箱の製造を開始した。Vカットの箱は、右の厚紙をVカットした溝で直角に折り曲げて箱の形としたもので、強度が高い。

(二) Vカットの箱には、厚紙の表面に化粧紙を貼ってあっても、裁断した切り口でもとの厚紙の地が見えて見栄えが悪いという問題があったので、原告会社は、昭和五九年ころ、それらの切り口の部分にすべて細い帯状の化粧紙を貼ることとし、最初に白地の厚紙に朱赤色の細幅帯状の紙を貼った化粧箱を製造した。これについては、原告笹山において意匠登録出願し、登録された(本件登録意匠)。本件登録意匠の実施品については、高級茶用の包装容器として販売され、京都府のデザイン賞を受賞した。

(三) 原告会社は、昭和六三年八月一五日本件類似意匠(8)を出願した後、桐の白木の木目模様を地の色とし、蓋と箱のそれぞれの上端・下端の四周に金色線模様を施したVカットの箱の製造販売を開始したが、当初は菓子の容器その他小物入れに少量販売する程度であった。

しかし、平成四年ころに、大食美術を通じ、東豊物産が経営する「あづま寿司」チェーンに相当数量(約二〇〇〇個)の原告商品を納入することとなった。あづま寿司チェーンの採用のポイントとなったのは、原告商品のデザインのほか、素材がプラスチックに比べて壊れにくく、木に比べて処理しやすいことであった。さらに平成六年ころからは、大食美術が原告会社に対し、おせち料理の容器用として原告商品を注文し、これを近畿地方のほか、九州、東京、広島、北海道など二〇ほどの取引先に出荷するようになった。これらを合わせると、原告会社は、平成六、七年以降、毎年約二万五〇〇〇セットから二万八〇〇〇セット、最大時には約三万セットの原告商品を販売してきた。

この結果、原告商品の売上は、平成五年一二月から平成六年一月にかけ約八〇六万円、平成六年一二月から平成七年一月まで約六〇四万円、平成七年一二月から平成八年一月まで約六六八万円、平成八年一二月から平成九年一月まで約一三五八万円、平成九年一一月から平成九年一二月まで約一二五三万円と推移してきた。

なお、Vカットの箱は、その製造原価が貼箱等に比べて約一〇倍近くにもなるため、当初高級茶その他の高価な商品の容器としての限られた用途しかなく、販売額も少なかったが、原告商品の需要が伸びたことにより原告会社の商品の販売高の中でもかなりの割合を占めるようになった。最近における原告会社の貼箱等を含む全体の売上は、年間約一億五〇〇〇万円から二億円弱であるが、そのうちVカットの箱の売上は、おせち料理用のほか高級茶その他高級商品の包装用を含め年間約二〇〇〇万円程度である。

2  検討

1にみたところから検討するに、原告商品が使用されたおせち料理用の箱という用途においては、正月用のものという性質からして相当程度デザインが重視されることは否定できない。

しかし、原告商品の採用については、素材がプラスチックに比べて壊れにくく、木に比べて処理しやすいことが影響しており、また、後記三認定のとおり、ノムラフーズが原告商品の購入をやめて被告商品を購入するに至ったのも、原告商品に機能上不十分な面があったことによるものであることからすると、この種商品においても結局は機能が重要なのであって、形態を主たる要素として取引されるものと認めることはできない。

したがって、原告商品の需要の伸びも、その形態によるもののほか、素材の特性、機械設備の充実などによるところが大きいというべきである。

そして、原告商品の形態も極めて特殊であるとまではいえず、販売高も長期間独占的に販売されたといえるかは疑わしいものがあり(原告はVカットの箱だけに限れば、原告会社のシェアが京都府内で九十七、八パーセントに達する旨主張するが、商品表示性を判断するシェアの算出の基礎となる販売高としては、Vカットの箱ではなく市販のおせち料理用の箱によるべきである。)、形態自体について強力な宣伝広告が行われたとも認めがたいから、原告商品が商品表示性を取得し、周知性を獲得したと認めるには不十分であるといわざるを得ない。

原告らが、原告商品が商品表示性を取得し、周知性を獲得したことの証拠とする陳述書(甲一八の1ないし17)の作成者には、原告会社と親会社子会社の関係にある者や準社員などを含んでいるばかりでなく、顧問税理士、自動車販売整備業者、鉄工加工製作を行っている原告代表者の友人など、およそ「紙箱業界の者」の取引の実状を証言するにふさわしくない者まで含まれており、これをもって原告らの主張を採用するに足りない。

3  結論

よって、原告会社の不正競争防止法に基づく請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がないというべきである。

三  争点4(被告の行為は不法行為に該当するか。)について

1  意匠法ないし著作権法の保護対象とならず、また、不正競争防止法二条一項一号の商品表示性を取得するに至らず、原告商品のように販売開始時期の関係から不正競争防止法二条一項三号が適用されない商品の形態を模倣しても、不法行為は成立しないのが原則である。特に、不正競争防止法二条一項三号が商品形態の模倣行為の禁止を商品販売後三年に限っていることは、同号の保護が損害賠償請求権にとどまらず差止請求権など強力であることによるものであるにしても、十分に考慮されなければならない。しかし、右模倣行為に著しい違法性が認められる場合は、不法行為法上の保護が認められるべきである。そして、著しい違法性が認められるか否かは、先行者の商品形態の特性、模倣者の側の販売の動機、態様、模倣の程度がいわゆるデッドコピーの域に達しているか、取引において形態の占める重要性などを総合して判断すべきである。商品形態の創作性については、総合判断の一要素として考慮すれば足り、原告らの主張するようにオリジナリティがあれば足りるとか、被告の主張するように意匠法三条二項に規定する程度の創作性を要するとか一律に定めるべき性質のものではない(前者は著作権成立の要件であり、後者は意匠登録の要件であるから、ここでの問題とは局面を異にする。)。

2  被告商品販売の経緯

証拠(乙一、検乙一ないし四、五の1・2、証人堀川新麿、原告兼原告代表者笹山信泰)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

(一) 被告は、明治三五年の被告代表者の曾祖父による経木の製造販売の個人営業に始まり、昭和二九年被告代表者の代になって事業内容を紙、紙製品の製造販売、木材及び木材の加工販売にも拡大し、昭和五二年一一月二日会社組織として設立されたものである。

被告は、昭和四四年ころには、木の箱がコスト高になることから、面積の一番大きい蓋と底を紙にして、それに木目模様をつけるなどの工夫をしていた。

(二) 原告商品は、おせち料理の箱として使用された場合、水分を含む食品を入れた状態で零下六〇度で急速冷凍され、その後零下二五度で二~三か月保存されるが、その間に箱のコーナーの接合部が開き、はがれやすく、その後常温の場所に出されたときに破損することがあり、破損すると商品の性質上縁起が悪く見苦しくなるという問題があった。

そのため、ノムラフーズが西岡商店を通じて被告により機能の高いおせち料理用の箱はないかと打診してきた。

被告は、ダブルVカット(約二ミリの厚紙を二重にし、全体として厚さが約四ミリであるので、原告のVカットの箱より堅牢になる)製法を用い、単紙を耐油・耐水性を施した上張りの原紙でくるんだため、冷凍にも耐える性能を発揮するサンプル品を製造して、ノムラフーズに提示した。右サンプル品については、原告商品とほぼ同じデザインのものであったが(西岡商店から原告商品を示されて「これと同じものができないか」と言われていたことによる。)、被告は、その後、本件意匠権の存在を知り、弁理士と相談の上、下位の箱の下縁の金色線模様をなくすなどして、現在の形態の被告商品とした。

(三) 平成九年末から平成一〇年二月ころにかけて、原告ら側と被告側で意匠権侵害の有無について内容証明郵便によるやりとりがあったが、話し合いはつかなかった。

3  原告商品の形態

原告商品の形態は以下のとおりである。

(一) 基本的構成

全体が同形の上面開放状の平面視方形箱二個を二段重ねにし、その上に上方視同形で右箱より背の低い下面開放状の蓋を重ねている。

(二) 具体的構成

(1) 正面視及び背面視長方形を形成し、高さを一とすると底辺は約一・三五である。

蓋の高さは各箱の約三分の二である。

蓋の上縁と下縁及び各箱の上縁と下縁に金色線模様を形成してあり、この結果、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、金色模様の約二倍幅の線模様が形成される。

(2) 平面視及び底面視正方形を形成している。

いずれも四周に金色線模様が形成されている。

(3) 左右側面視長方形を形成し、高さを一とすると底辺は約一・三五である。

蓋の高さは各箱の約三分の二である。

蓋の上縁と下縁及び各箱の上縁と下縁に金色線模様を形成してあり、この結果、蓋と箱とが接する中間部及び箱と箱とが接する中間部には、金色線模様の約二倍幅の線模様が形成される。

(4) 金色線模様以外の部分は薄茶色の木目模様である。

4  検討

2、3及び前記一、二で認定したところに鑑み検討する。

(一) 原告商品の形態とイ号物件の形態は、両者とも平面視正方形であることや、各辺の長さの比率などから、本件登録意匠とイ号意匠を対比した場合に比べ近似した印象があることは否定できない。

しかし、被告側において、本件意匠権侵害を回避するために、蓋の下縁、各箱の下縁の線模様を付さないなどしていることからすると、いまだいわゆるデッドコピーの域に達しているとはいえない。

(二) また、ノムラフーズが原告商品の購入をやめてイ号物件を採用するに至ったのは、原告商品に機能上の問題点があり、イ号物件がそれを解決するものだったからであり、被告においてイ号物件を形態だけを売り物に安く売り込んだというものでもない(結果として原告商品とイ号物件の形態が近似するに至ったのは、被告が当初原告商品を示されて「これと同じものができないか」と言われていたことによる。)。

そうすると、機能が重要性を有するこの種商品において、被告の行為が著しい違法性を有するとはただちにいえないというべきである。

5  結論

以上によれば、原告会社の不法行為に基づく請求も、その余の点について判断するまでもなく理由がない。

四  結語

よって、原告らの請求は、いずれも理由がないから棄却することとする。

(口頭弁論終結の日 平成一一年一一月八日)

(裁判官 本吉弘行 裁判官 鈴木紀子 裁判長裁判官井垣敏生は差し支えのため署名押印することができない。 裁判官 本吉弘行)

右は正本である。

平成一一年一二月二四日

京都地方裁判所 第二民事部

裁判所書記官 大槻信夫

意匠権目録

一 意匠登録番号 第七三三二六一号

二 出願年月日 昭和五九年四月二七日

三 出願番号 昭五九-〇一七七六六

四 登録年月日 昭和六三年一月二八日

五 意匠に係る物品 化粧箱

六 登録意匠 別紙意匠公報及び願書に添付した図面のとおり

日本国特許庁

昭和63年(1988)5月20日発行 意匠公報(S)

C0-110

733261 意願 昭59-17766 出願 昭59(1984)4月27日

登録 昭63(1988)1月28日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽東師菱川町559番地90 株式会社 タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽東師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

審査官 太田昭彦

意匠に係る物品 化粧箱

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

意匠登録出願人の氏名(名称) 笹山信泰 本意匠の表示

意匠登録出願人の住所(居所) 京都市伏見区羽東師菱町559番地90(株)タモッ紙工内

代理人の氏名   出願番号 意匠昭

意匠に係る物品 化粧箱 出願日 昭和 年 月 日

意匠の説明 本意匠の化粧箱は上下に分離する 登録番号

登録日 昭和 年 月 日

類似意匠権目録(1)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第一号

二 出願年月日 昭和五九年九月三日

三 出願番号 昭五九-〇三六七四二

四 登録年月日 昭和六三年九月九日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

昭和63(1988)12月26日発行 意匠公報(S)

C0-111類似

733261の類似1 意願 昭59-36742 出願 昭59(1984)9月3日

登録 昭63(1988)9月9日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

審査官 太田昭彦

意匠に係る物品 小物入れ

<省略>

類似意匠権目録(2)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第二号

二 出願年月日 昭和六三年三月三一日

三 出願番号 昭六三-〇一三一八五

四 登録年月日 平成三年一月三一日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月4発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似2 意願 昭63-13185 出願 昭63(1988)3月31日

登録 平3(1991)1月31日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石類貴金属その他種々の小物を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

類似意匠権目録(3)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第三号

二 出願年月日 昭和六三年三月三一日

三 出願番号 昭六三-〇一三一八六

四 登録年月日 平成三年一月三一日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月4日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似3 意願 昭63-13186 出願 昭63(1988)3月31日

登録 平3(1991)1月31日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石類貴金属その他種々の小物を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

類似意匠権目録(4)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第四号

二 出願年月日 昭和六三年三月三一日

三 出願番号 昭六三-〇一三一八七

四 登録年月日 平成三年一月三一日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月4日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の煩似4 意願 昭63-13187 出願 昭63(1988)3月31日

登録 平3(1991)1月31日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石類貴金属その他種々の小物を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

類似意匠権目録(5)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第五号

二 出願年月日 昭和六三年三月三一日

三 出願番号 昭六三-〇一三一八八

四 登録年月日 平成三年一月三一日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月4日発行 意匠公報(S)

733261の類似5 意願 昭63-13188 出願 昭63(1988)3月31日

登録 平3(1991)1月31日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石類貴金属その他種々の小物を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

類似意匠権目録(6)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第六号

二 出願年月日 昭和六三年三月三一日

三 出願番号 昭六三-〇一三一八九

四 登録年月日 平成三年一月三一日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月4日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似6 意願 昭63-13189 出願 昭63(1988)3月31日

登録 平3(1991)1月31日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石類貴金属その他種々の小物を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

類似意匠権目録(7)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第七号

二 出願年月日 昭和六三年三月三一日

三 出願番号 昭六三-〇一三一九〇

四 登録年月日 平成三年一月三一日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月4日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似7 意願昭63-13190 出願昭63(1988)3月31日

登録 平3(1991)1月31日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石類貴金属その他種々の小物を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

<省略>

類似意匠権目録(8)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第八号

二 出願年月日 昭和六三年八月一五日

三 出願番号 昭六三-〇三二五四一

四 登録年月日 平成三年一月三一日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報及び願書に添付した図面のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月4日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似8 意願昭63-32541 出願昭63(1988)8月15日

登録平3(1991)1月31日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石類貴金属その他種々の小物を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

<省略>

類似意匠権目録(9)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第九号

二 出願年月日 平成元年八月一一日

三 出願番号 平一-〇二九六六八

四 登録年月日 平成三年一月三一日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月4日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似9 意願 平1-29668 出願 平1(1989)8月11日

登録 平3(1991)1月31日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石類貴金属その他種々の小物を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

類似意匠権目録(10)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第一〇号二 出願年月日 平成元年八月一一日

三 出願番号 平一-〇二九六六九

四 登録年月日 平成三年一月三一日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月4日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似10 意願 平1-29669 出願 平1(1989)8月11日

登録 平3(1991)1月31日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石類貴金属その他種々の小物を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

<省略>

類似意匠権目録(11)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第一一号二 出願年月日 昭和六三年三月一九日

三 出願番号昭六三-〇一一三四五

四 登録年月日 平成三年二月一四日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月21日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似11 意願 昭63-11345 出願 昭63(1988)3月19日

登録 平3(1991)2月14日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石、貴金属その他種々の小物類を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

類似意匠権目録(12)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第一二号二 出願年月日 昭和六三年三月一九日

三 出願番号 昭六三-〇一一三四六

四 登録年月日 平成三年二月一四日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成3年(1991)6月21日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似12 意願 昭63-11346 出願 昭63(1988)3月19日

登録 平3(1991)2月14日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

審査官 菅原英

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石、貴金属その他種々の小物類を収容する化粧箱である。背面図は正面図と、右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

類似意匠権目録(13)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第一三号二 出願年月日 平成元年五月三一日

三 出願番号 平一-〇二〇二二一

四 登録年月日 平成四年七月二三日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成4年(1992)11月13日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似13 意願 平1-20221 出願 平1(1989)5月31日

登録 平4(1992)7月23日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90 株式会社タモツ紙工内

審査官 遠藤行久

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石類貴金属その他種々の小物を収容する化粧箱である。本物品は黒地に金帯線を付した色彩の組み合わせを構成の主要部としているものである。背面図は正面図と同一にあらわれる。右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

類似意匠権目録(14)

一 類似意匠登録番号 第七三三二六一号の類似第一四号二 出願年月日 平成二年二月五日

三 出願番号 平二-〇〇三三九四

四 登録年月日 平成四年七月二三日

五 意匠に係る物品 小物入れ

六 登録意匠 別紙意匠公報のとおり

日本国特許庁

平成4年(1992)11月13日発行 意匠公報(S)

C0-110類似

733261の類似14 意願 平2-3394 出頭 平2(1990)2月5日

登録 平4(1992)7月23日

創作者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

意匠権者 笹山信泰 京都府京都市伏見区羽束師菱川町559番地90株式会社タモツ紙工内

審査官 遠藤行久

意匠に係る物品 小物入れ

説明 本物品は宝石貴金属その他種々の小物を収容する積重型の化粧箱である。本物品は黒地に金帯線を付した色彩の組み合わせを構成の主要部としている。背面図は正面図と同一にあらわれる。右側面図は左側面図と同一にあらわれる。

色彩の印刷を省略したから原本を参照されたい

<省略>

イ号物件目録

一 物件の種別

化粧箱(又は小物入れ)

二 図面の説明

第一図 平面図

第二図 側面図

第三図 蓋を開いた状態の斜視図

第四図 底面の方向から見た斜視図

第五図 箱体を四段に重ねた状態の斜視図

三 意匠の説明

別紙第一図ないし第五図に表されたとおりの意匠であり、蓋体及び箱体はそれぞれ上下に分離することができる。

第1図(平面図)

<省略>

第2図(側面図)

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第3図(蓋を開いた状態の斜視図)

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第4図(底面の方向から見た斜視図)

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第5図(箱体を四段に重ねた状態の斜視図)

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タモツ紙工の製品説明書

一 種類

化粧箱(又は小物入れ)

二 図面の説明

第一図 平面図

第二図 側面図

第三図 蓋を開いた状態の斜視図

第四図 底面の方向から見た斜視図

三 意匠の説明

別紙第一図ないし第四図の写真で表されたとおりの意匠であり、蓋体及び箱部はそれぞれ上下に分離することができる。

第1図(平面図)

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第2図(側面図)

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第3図(蓋を開いた状態の斜視図)

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第4図(底面の方向から見た斜視図)

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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