京都地方裁判所 平成13年(ワ)2328号 判決 2002年2月08日
京都市左京区一乗寺樋ノ口町57番地
原告
安山英市
訴訟代理人弁護士
坂和優
京都市右京区梅ヶ畑向ノ地町40番地の12
被告
西尾正彦
主文
1 被告は、原告に対し、785万円並びにうち65万円に対する平成14年1月11日から支払済みまで年6分の割合による金員及びうち720万円に対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 1項は仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
主文と同旨
第2 請求の原因
(ロイヤリティ請求)
1 原告は、「蛸安」の屋号で飲食店を営む者である。
2 被告は、平成5年3月ころ、原告に対し、原告が被告に上記「蛸安」の表示を使用することを許諾し、原材料の仕入先を紹介し、営業上の秘訣(味付、焼き方)を指導し、オープン時に応援することについての対価として、1か月5万円のロイヤリティを支払うことを約し(以下「本件ロイヤリティ合意」という。)、蛸安千本出水店を開店した。
3 よって、原告は、被告に対し、本件ロイヤリティ合意に基づき、平成8年7月分、平成9年3、6、11月分、平成10年1、5、9月分、平成11年1、7、9月分、平成12年2、4、7月分のロイヤリティ合計65万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成14年1月11日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(損害賠償請求)
1 原告は、「蛸安」の表示を30年以上屋号として使用し、需要者の間に原告の営業であることを示す表示として広く周知されている。
2 被告は、平成13年3月2日以降、上記蛸安千本出水店と同じ場所において、「蛸宴千本出水店」の表示を使用し、同月6日以降、滋賀県草津市草津1丁目において、当初は「蛸安草津店」、その後は「蛸宴草津店」の表示を使用して、飲食業を営んでいる。被告使用にかかる「蛸宴」の表示は、「宴」の字の「日」の部分が極端に小さいので、少し離れてみれば「安」としか読めず、原告の周知営業表示と類似の表示を使用し、原告の営業との混同を生じさせているものというべきである。
3 被告は1店舗につき1か月当たり60万円の利益を得ているので、2店舗で平成13年3月から8月までの6か月間に720万円の利益を得、これが不正競争防止法5条1項により原告の損害と推定される。
4 よって、原告は、被告に対し、不正競争防止法4条本文に基づく損害賠償請求として、720万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成14年1月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
第3 判断
被告は適式の呼出を受けなから本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を明らかに争わないものと認め、これを自白したものとみなす。
そうすると、原告の請求は理由がある。
(裁判長裁判官 赤西芳文 裁判官 本吉弘行 裁判官 矢作泰幸)