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京都地方裁判所 平成13年(行ウ)16号 判決 2002年3月26日

主文

一  被告株式会社岩崎建設工業は,宇治市に対し,290万1200円及びこれに対する平成13年6月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

二  被告aは,宇治市に対し,42万7200円及びこれに対する平成13年6月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

三  被告重機建設工業株式会社は,宇治市に対し,196万6800円及びこれに対する平成13年6月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

四  被告株式会社南総は,宇治市に対し,804万6000円及びこれに対する平成13年6月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

五  訴訟費用は被告らの負担とする。

六  この判決は,仮に執行することができる。

事実

第一請求の趣旨

主文と同旨

第二請求原因

一  当事者

1  原告らは,宇治市の住民である。

2  被告らは,それぞれ宇治市において土木建設等を業とする者である。

二  被告らの談合に至る経緯

1  宇治市では,宇治市が発注する土木建設工事につき入札が行われる場合,宇治市に登録された業者のみが入札に参加でき,さらに,各業者はその実績等に応じたAからEまでの格付けに対応した規模の入札に参加できることになっていた。

2  bは,平成6年ないし7年ころから,宇治市のBランク以下の土木建設業者を中心に構成される協力会と称する会の取りまとめ役を務めていた。bは,宇治市の担当者に対し,宇治市発注の土木建設工事について,特定の業者に入札資格を付与するように働きかけたり,同担当者から宇治市発注の土木建設工事の設計金額を聞き出した上,同設計金額に近似する金額を上記協力会に加盟する特定の業者に教えるなどしていた。

3  bは,上記方法によりBランク以下の業者に対して影響力を行使し,上記協力会に参加する業者から年会費を徴収したり,bを通じた談合によって落札に成功した業者から落札金額に比例した一定割合の金額(別紙談合一覧表「部金」欄記載の金員)を部金と称して受領していた。

三  被告らによる談合

被告らは,全てBランク以下の業者であり,bを通じて,被告らが土木建設工事を落札することができるように談合決定した上,それぞれ,別紙談合一覧表の「工事名」欄記載の土木建設工事に対して,同一覧表「入札日」記載欄の入札日に入札を行い,同一覧表「落札金額」欄記載の金額で落札した。

四  宇治市の損害

被告らによる上記談合がなく,適正に入札が行われておれば,落札金額は別紙談合一覧表の「設計金額」欄記載の金額の8割になるところ,談合の結果,同一覧表「落札金額」欄記載の金額で落札されており,宇治市は,同一覧表「設計金額」欄記載の金額の8割相当額と「落札金額」欄記載の金額との差額相当額(同一覧表「損害額」欄記載の金額)の損害を蒙った。

五  原告らは,平成13年3月2日,被告らに損害賠償請求を求める監査請求を行ったが,監査委員は,同年4月27日付けで監査請求を却下した。

六  よって,原告らは,地方自治法242条の2第1項4号後段に基づき,被告らに対し,宇治市に対する別紙談合一覧表「損害額」欄記載の金員の支払いを求める。

理由

一  被告らは,いずれも本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面も提出しない。したがって,被告らにおいて請求原因事実を明らかに争わないものとして,これを自白したものとみなす。被告らに対する本件訴状送達の日の翌日は,いずれも,平成13年6月22日であることが記録上明らかである。よって,原告らの請求は理由がある。

二  原告らの請求原因事実によれば,原告らの被告らに対する本件請求はいずれも理由がある。

(裁判長裁判官 八木良一 裁判官 飯野里朗 裁判官 谷田好史)

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