京都地方裁判所 平成14年(行ウ)17号 判決 2004年1月30日
原告 甲
原告訴訟代理人弁護士 成瀬寿一
被告 宇治税務署長
池月久芳
被告指定代理人 横田昌紀
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
原告の被相続人乙(以下「乙」という。)に係る相続税につき、被告が平成12年4月18日付でした更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(ただし、いずれも、平成14年3月13日の裁決で一部取り消された後のもの。)のうち本税として納付すべき税額47万4000円を超える部分をいずれも取り消す。
第二 事案の概要
本件は、平成9年12月10日に死亡した乙の相続人の1人である原告が、別紙物件目録記載の土地建物(以下「本件各不動産」といい、個別に表示する場合は、番号に従い、「本件不動産1」などという。)のうち、乙死亡時において、本件不動産1ないし4及び本件不動産6ないし8は、原告がすでに生前贈与を受けたものであり、また、本件不動産5は、登記簿上、その2分の1は乙名義であったが、原告が昭和60年ころその費用を支出して建築した建物で全部原告の所有であったもので、いずれも、乙死亡当時乙の所有に係る不動産ではなく、原告の所有に係る不動産であったにもかかわらず、被告は、上記各不動産(本件不動産5については持分2分の1)は、乙の相続財産に当たるとして、原告に対して本件更正処分等を行ったものであり、同処分は相続税法に反するなどと主張して、同処分の取消を求めた抗告訴訟である。
一 争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実は、以下のとおりである。
1 原告(昭和22年8月24日生)は、昭和56年5月23日、乙(明治41年12月17日生)との間で養子縁組の届出をし、乙の養子となった。乙は、昭和57年2月12日当時、本件不動産5及び10を除く本件各不動産を所有していた。
2 乙の親族関係は、別表1(相続関係図)のとおりであった。
3 昭和57年2月12日付で、以下のとおりの内容の、大阪法務局所属公証人の不動産贈与契約公正証書(甲1、以下「本件公正証書」という。)が作成された。
(1) 昭和56年12月15日、乙は、本件不動産1ないし4(但し、本件不動産2及び3は、当時一筆の土地であった。)、6ないし8及び13ないし15の各不動産(以下、これらを「本件贈与不動産」という。)を原告に贈与することを約し、原告はこれを承諾した。
(2) 本件贈与不動産の所有権は、上記契約の締結と同時に乙より原告に移転するものとし、乙は原告から請求があり次第、速やかに本件贈与不動産を引き渡し、所有権移転登記手続をしなければならない。この登記に要する費用は原告の負担とする。
(3) 乙は、本件贈与不動産を現状のまま贈与するものとし、これに抵当権、質権の設定その他所有権行使を阻害する行為をしてはならない。
(4) 本件贈与不動産により生じる収益及び本件贈与不動産に対する公租公課、ガス・電気・水道料金等の支払は、引渡しの時を境にして清算する。
4 平成2年12月11日付で、以下のとおりの内容の大阪法務局所属公証人の乙の遺言公正証書(以下「本件遺言①」という。)が作成された(乙7の1)。
(1) 本件不動産6及び8ないし10を丙(以下「丙」という。)に相続させる。
(2) 本件不動産1ないし4及び本件不動産5(持分2分の1)を原告に相続させる。
(3) 遺言執行者として丁を指定する。
5 平成4年3月3日付で、以下のとおりの内容を含む福井地方法務局所属公証人の乙の遺言公正証書(以下「本件遺言②」という。)が作成された(乙7の2)。
(1) 本件遺言①を変更し、本件不動産1ないし3(地積合計2509平方メートル)について、地積661.15平方メートル(200坪)を丙に、地積495.86平方メートル(150坪)を戊(以下「戊」という。)に、地積330.57平方メートル(100坪)をA(以下「A」という。)に、地積残り全部を原告に、それぞれ、相続並びに遺贈する。
(2) 本件不動産11を戊に遺贈する。
(3) 本件不動産12をB(以下「B」という。)に遺贈する。
(4) 遺言執行者として丙を指定する。
6 平成4年6月16日付で、以下のとおりの内容を含む福井地方法務局所属公証人の乙の遺言一部変更遺言公正証書(以下「本件遺言③」という。)が作成された(乙7の3)。
(1) 本件遺言②を変更し、本件不動産1ないし3(地積合計2509平方メートル)について、地積991.73平方メートル(300坪)を丙に、地積330.57平方メートル(100坪)を戊に、地積330.57平方メートル(100坪)をAに、地積残り全部を原告に、それぞれ、相続させ、遺贈する。
(2) 遺言執行者として丙を指定する。
7 平成4年7月16日付で、以下のとおりの内容を含む福井地方法務局所属公証人の乙の遺言一部変更遺言公正証書(以下「本件遺言④」という。)が作成された(乙7の4)。
(1) 本件遺言③を変更し、本件不動産1ないし3(地積合計2509平方メートル)について、戊に対する遺贈部分を取り消し、新たに、地積330.57平方メートルをBに、地積330.57平方メートルをC(以下「C」という。)に、それぞれ、その割合で遺贈し、丙、B、C及びAの相続分及び遺贈分を引いた地積残り全部を原告に相続させる。
(2) 遺言執行者として丙を指定する。
8 平成4年8月7日付で、(1)乙は、同年7月23日、本件不動産1ないし3の持分25万0900分の9万9173を丙に死因贈与する、(2)乙は、この贈与に基づく始期付所有権移転の仮登記をすることに同意する、等の内容を含む、福井地方法務局所属公証人の死因贈与契約公正証書(以下「本件証書⑤」という。)が作成された(乙8の1)。
9 平成5年10月19日付で、乙は、同年8月19日に本件不動産11をCに死因贈与する旨の(乙8の2)、同日に本件不動産12をBに死因贈与する旨の(乙8の3)、同日に本件不動産6ないし10を丙に死因贈与する旨の(乙8の4)、いずれも福井地方法務局所属公証人の死因贈与契約公正証書(以下、順次、それぞれ、「本件証書⑥」、「本件証書⑦」、「本件証書⑧」という。)が、それぞれ、作成された。
10 その後、乙は、平成9年12月10日に死亡し、いずれもその養子である原告、その妻のD(以下「D」という。)、丙、その妻のE(以下「E」という。)及び戊が乙を相続した。
11 原告は、本件贈与不動産及び本件不動産5の乙の2分の1の持分の登記名義分については、乙の遺産ではないとして、これを除外し、本件不動産9ないし12のみが乙の相続財産に当たるとして、これを相続税の課税価格に算入し、別表2の「申告」欄のとおり、平成10年10月7日、課税価格1822万7000円、納付すべき税額47万4000円とする、被相続人乙に係る相続税の申告をした。
12 被告は、前記の申告において課税価格に算入されていなかった本件不動産1ないし8(但し、本件不動産5は持分2分の1)についても、乙の相続財産に当たり、本件不動産1ないし4及び本件不動産5(持分2分の1)を原告が、本件不動産6ないし8を丙が相続又は遺贈により取得し、更に、原告の当初申告において未分割であった本件不動産9ないし12のうち、本件不動産9及び10を丙が、本件不動産11をCが、本件不動産12をBが、それぞれ、相続又は遺贈により取得したものとして、別表2の「更正処分」欄のとおり、平成12年4月18日付で、原告に対し、課税価格2億8005万8000円、納付すべき税額7515万5000円とする本件更正処分及び過少申告加算税1117万7000円の賦課決定処分をした。
13 原告は、本件更正処分等を不服として、平成12年6月16日、被告に対し、異議の申立をしたところ、被告は、同年9月13日付で、これを棄却した。
14 そこで、原告は、平成12年10月10日、国税不服審判所長に対し、審査請求をした。同所長は、本件不動産1ないし3について、原告が相続したのは全面積(合計2509平方メートル)のうち、525.63平方メートルにすぎないと判断し、その他は本件更正処分のとおりと判断し、別表2の「裁決」欄のとおり、平成14年3月13日付で、課税価格を1億0317万4000円、納付すべき税額2768万7300円、過少申告加算税405万6500円とし、審査請求の一部を認容し、本件更正処分等の一部を取り消す旨の裁決をした。
15 原告は、上記裁決を不服として、平成14年4月17日、本件更正処分等の取消を求めて本件訴訟を提起した。
16 乙の相続財産の内訳及びその価額についての被告の主張は、別表3「土地及び建物の内訳表」の「被告主張額(円)」欄記載のとおりであり、被告が主張する原告が納付すべき相続税額及び過少申告加算税の金額は、別表4「課税価格及び相続税の総額の計算明細表」及び別表5「過少申告加算税の計算明細表」のとおりである。
二 争点
本件不動産1ないし4及び本件不動産6ないし8は、本件公正証書により、乙から原告に生前贈与され、乙の相続財産とはならないのかどうか。本件不動産5は、乙がその建築費の一部を負担して建築したもので、その2分の1の持分は乙の遺産かどうか。原告は、相続又は遺贈により本件不動産1ないし5(本件不動産5については持分2分の1)を取得したといえるかどうか。
三 争点に関する当事者の主張
1 被告の主張
(1) 本件公正証書は、以下の事情からすれば、相続税及び贈与税の課税逃れのために作成されたものであるといえ、これに記載された贈与契約は効力を生じないか、又は、せいぜい死因贈与としての効果しかない。したがって、原告は、本件公正証書により、本件不動産1ないし4を生前贈与により取得していなかった。また、本件不動産5の建物の2分の1の持分についても、登記簿上の名義のとおり、乙が有していた。
ア まず、乙は、本件公正証書が作成された昭和57年2月当時、原告及びDと養子縁組をしたばかりで、原告夫婦と同居して身辺の世話を受けたということはなかった。乙が原告に本件贈与不動産を贈与をする動機はなく、また、本件贈与不動産は、当時、乙の資産のほとんどであり、さらに、この時点で、乙の推定相続人は原告夫婦のみであり、即時に費用を支払ってまで公正証書を作成して贈与をする必要はなく、遺言又は死因贈与すれば足りるのであって、本件公正証書を作成する必要はなかった。また、本件公正証書には、所有権移転時期を契約締結と同時とする旨の定めがある一方、受贈者にとり最も関心があるはずの登記や引渡の時期が曖昧に定められている。
イ 次に、乙は、本件不動産13ないし15を第三者に売却し、また、本件贈与不動産が自己の所有物であることを前提として、本件公正証書作成後、本件公正証書の内容と矛盾する本件遺言①ないし④及び死因贈与契約の公正証書である本件証書⑤ないし⑧を作成しており、さらに、原告と乙及び丙間の訴訟において、乙は本件公正証書の効力を争う等、乙は本件公正証書と相容れない処分行為を行った。
ウ さらに、原告は、本件公正証書が作成されてから、乙が死亡するまでの14年以上の長期にわたり、本件贈与不動産について、自己への所有権移転登記を経由しておらず、又、農地法上の手続も一切採っておらず、贈与税の申告をしていないことはもとより、納税の目算も全く立たない状態であった。さらに、原告は、贈与税の更正の除斥期間経過後も、本件贈与不動産について自己名義に所有権移転登記を経由しなかった等、本件公正証書の内容は、乙の生前、一切履行されておらず、履行の準備がされた形跡もなかった。
エ また、乙は、本件不動産1ないし4及び本件不動産5(持分2分の1)について、公租公課を負担していたし、本件不動産1ないし3について、原告が経営する会社に賃貸し、賃料を収受し、所有者として、農地法4条1項5号の規定による農地転用届出書を提出する等、乙が本件贈与不動産の管理をしていた。原告自身、様々な手続等において、すべて、本件贈与不動産が登記簿上の所有名義どおり、乙所有であることを前提に、原告が経営する会社の地代を支払い、同社及び自らの納税申告、納税管理人の届出等を行った。
(2) 以上より、本件公正証書は、相続税及び贈与税逃れのために作成された効力を有しないものであり、仮に無効なものでないとしても、即時に所有権を移転させる趣旨のものではなく、せいぜい、死因贈与としての意味しか有しないものである。
(3) いずれにしても、本件不動産1ないし4及び本件不動産6ないし8は、乙から原告へ生前贈与されたものではなく、乙の相続財産である。本件不動産5の2分の1の持分も建築当時から乙が有していた。
(4) また、乙の本件公正証書による贈与は、せいぜい死因贈与としての効力しかないので、乙が、その後、本件遺言①ないし④及び本件証書⑤ないし⑧の遺言や死因贈与をしたことにより(地積を示した遺贈や相続させる旨の処分は、公簿地積との地積割合の持分についての遺贈や相続させる旨の処分と解すべきである。)、原告は、乙の死亡による相続又は乙からの遺贈によって、本件不動産1ないし3の少なくとも、2509分の525.63の持分(原告に取得させる地積は525.56平方メートルとなるが、本件不動産2及び3の地目変更の際0.07平方メートル分が増加するので、本件不動産1ないし3の公簿上の合計地積2509平方メートルに対する原告が取得する地積割合は、この割合となる。)、本件不動産4及び本件不動産5の2分の1の持分を取得したことになる。
2 原告の主張
(1) 原告は、昭和57年2月12日、乙との間で、本件贈与不動産を乙から原告に贈与する旨の贈与契約を締結し、本件公正証書を作成した。また、原告は、昭和60年ころ、本件不動産4の上に本件不動産5の建物を新築し、乙死亡後に真正な名義の回復を原因とする原告の単独所有名義にする合意の下、原告と乙の2分の1ずつの持分とする旨の保存登記をした。
(2) 原告は、遅くとも昭和63年1月1日には、乙から、本件不動産1ないし4及び本件不動産5(持分2分の1)について、現実の引渡しを受けていた。原告は、本件不動産1ないし3の上に日本電信電話株式会社が立てた電柱の土地使用の承諾を自己名義で行い、原告の口座にその使用料を振り込ませており、また、本件不動産4及び5(持分2分の1)に係る固定資産税等を支払っており、これらの不動産を管理していた。本件公正証書による贈与以降、乙が本件不動産1ないし4及び本件不動産5(持分2分の1)を管理していた事実はない。登記簿上の名義残りのため、原告が実質支配管理しながら、名義人である乙から捺印を貰ったり、形式的に乙の納税管理人になったり、乙名義の通帳を作り対税上の操作をしていたに過ぎない。
(3) 本件不動産1ないし4及び本件不動産5(持分2分の1)について、原告と丙、D、E及び戊との間において、これらの不動産の所有権が原告に属することが確認されるとともに、乙から原告への所有権移転登記手続を認める旨の各判決が確定している。乙が死亡した当時、本件贈与不動産の所有権が裁判で争われていたため、所有権移転登記手続が未了であったに過ぎない。本件更正処分等は、かかる判決の効力に反する。
(4) 被告は、本件公正証書が贈与税及び相続税を逃れるために作成されたものである旨の主張をするが、本件公正証書は、昭和57年2月当時、原告の兄である丙から、甲家の財産を守るために作成されたものであり、相続税を免れる意図で作成されたものではない。また、本件遺言①ないし④及び本件証書⑤ないし⑧の各公正証書の作成は丙の主導で行われたものであり、乙の意思で行われたものではない。事が発覚してからは、原告は、乙とも連絡を取り、乙に無断でこれらの行為を行った丙を主たる当事者として訴訟を提起した。原告が乙との間で本件不動産1ないし3の賃貸借契約を締結していたのも、税対策上のことである。原告は、本件公正証書作成当時、高額の贈与税を支払う能力がなく、贈与を原因とする所有権移転登記手続に着手することができなかったが、贈与税を支払う意思がなかったわけでは決してない。
第三 当裁判所の判断
一 甲1ないし58(枝番を含む。)、乙1ないし22(枝番を含む。)及び証人Hの証言(以下「本件各証拠」という。)、前記第二の一の認定事実並びに弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。
1 乙は、昭和7年1月10日、甲家を家督相続し、その後、売買等により、本件各不動産の所有権を取得した。
2 その後、乙は、独身で子供がいなかったことから、昭和56年5月23日、乙の弟であるFの子である原告及びその妻であるDとの間で養子縁組の届出をし、原告及びDを養子にした。
3 一方、乙は、自己の多額の借金の返済のために甲家の財産を処分等してきた原告の兄である丙に財産を処分させないため、昭和56年12月ころから、本件贈与不動産を原告に取得させたいと考えるようになった。乙は、当時よく相談していたP税理士から、確実を期するため、公正証書を作成しておいた方がよい旨の助言を受け、その後、昭和57年2月12日、原告との間で、本件贈与不動産を原告に贈与することを合意し、その旨の本件公正証書を作成した(甲1)。
4 ただし、乙も、原告も、本件贈与不動産について原告への所有権移転登記を経由すると、原告に多額の贈与税が課せられることになることは承知しており、原告は、当時、そのような多額の税金を納付することが事実上困難であったし、また納付したくもなかった。そこで、原告は、乙と相談し、所有権移転登記手続については税金対策が十分できてから原告が求めたときに何時でも応じるということにしたい旨の要望をした。その結果、本件公正証書は、前記第二の一の3のとおりの内容のものとなった。このような経過で、原告は、本件公正証書作成後も、乙に対し、本件贈与不動産の所有権移転登記手続を求めることのないまま推移した。
5 その後、原告は、本件不動産1ないし3を造成してテニスコートを造り、スポーツ施設を経営するということを計画したが、途中でこの計画を断念した。原告は、次に、同土地上に貸店舗を建築して、これをレストランとして第三者に賃貸することを計画し、昭和62年8月27日、不動産賃貸等を業とする有限会社Gを設立した。そして、原告は、乙から印鑑を借りて、乙名義の手続で、同土地の農地転用を済ませ(甲16)、昭和62年8月26日付で、土地改良区の「受理証明書」の交付を受け(甲17)、さらに、同年9月19日付で、農業委員会の「受理通知書」の交付を受け(甲18)、昭和63年1月14日付で、同土地の地目を田から宅地へと変更した。これらの手続は、すべて、登記簿上の所有名義人である乙名義でされた。そして、原告は、前記計画のとおり、本件不動産1ないし3の各土地上に貸店舗用の建物を建築し、これをレストランとして有限会社Gを貸主として、第三者に賃貸した。そして、原告は、本件不動産1ないし3の各土地について、昭和62年8月1日付で、乙を賃貸人、有限会社Gを賃借人、賃料1か月10万円、期間同日より25年間とする土地賃貸借契約書を作成し(乙5)、有限会社Gは、平成9年4月1日から平成10年3月31日の事業年度に至るまで、本件不動産1ないし3を乙から賃借しているとして、法人税の確定申告をした(乙10の1ないし3)。なお、有限会社Gは、後記のとおり、平成9年3月、原告と丙及び乙との間で、本件不動産1ないし3の所有権が原告にあることを確認する旨の判決が言い渡された後は、平成10年4月1日から平成11年3月31日の事業年度以降、本件不動産1ないし3を原告から賃借しているとして、法人税の確定申告をするようになった(乙10の4)。
6 原告と乙は、大阪府堺市向陵中町所在の本件不動産4の土地上に建物を新築することとし、新築費用に充てるため、昭和59年12月18日付で、本件不動産13を、原告の母の弟であるH(以下「H」という。)に代金1500万円で売却する手続をし、乙は、本件不動産13について、同月24日、同月18日売買を原因とし、所有者を乙からH名義にする所有権移転登記を経由した。そして、原告と乙は、昭和60年4月ころ、本件不動産4の土地上に本件不動産5の建物を新築し、前記売却代金はこの建築費用に充てられた。そして、乙は、本件不動産4の地目を田から宅地へと変更し、昭和60年4月25日、本件不動産4及び5を共同担保として、昭和60年3月30日保証委託契約による求償債権を担保するため、同年4月25日設定を原因とし、債権額を1200万円、債務者を原告、抵当権者を株式会社Qとする抵当権を設定し、これにより、原告は、株式会社Qから1200万円を借り入れた。その後、乙は、抵当権者を変更することとし、昭和62年9月30日付で、同様に、本件不動産4及び5を共同担保として、債権額を1200万円、債務者を原告、抵当権者をI株式会社とする抵当権を設定した(甲9、10)。
原告は、昭和60年4月5日に本件不動産5を新築後、これを自宅として、Dと共にこれに居住するようになった。そして、本件不動産5の建物について、昭和60年4月25日、原告と乙は、共有者を原告及び乙(持分2分の1ずつ)とする所有権保存登記を経由した。このように、原告は、本件贈与不動産について、その売却や担保権設定をする際に、自らも、乙の登記手続に関与しながら、本件公正証書に基づいて、原告への所有権移転登記の手続をすることを乙に求めたりしなかった。原告は、移転登記手続をすると贈与税が課説されることになり、それを納付するつもりはなかったからであった。
7 ところが、丙は、昭和62年1月ころ、乙から原告へ本件贈与不動産を贈与する旨の本件公正証書があることを知り、乙に対して、これを激しく非難するとともに、自らにも財産を取得させるように求め、乙及び原告はやむなく、丙にも本件贈与不動産の一部を分けることとし、本件公正証書による約束を一部合意解消して、丙との間で、本件不動産6ないし8を含む不動産を丙に取得させることを約した。その後、乙は、上記各不動産につき、丙への所有権移転登記手続はせずに、登記簿上、乙の所有名義のままで、上記各不動産を共同担保として、平成6年6月7日、丙が代表取締役を務める株式会社Jを債務者として、同年5月31日設定を原因とし、極度額を6000万円、根抵当権者を株式会社K銀行とする根抵当権設定手続を経由し、その後、平成8年8月12日、丙を債務者として、同月7日設定を原因とし、極度額を3000万円、根抵当権者をLとする根抵当権設定登記手続等を経由した。
8 また、丙及びその妻であるEは、平成元年3月6日、乙との間で養子縁組の届出をし、乙の養子となった。
9 丙は、平成元年11月21日、本件不動産9について、乙からその持分10分の7を移転する旨の所有権移転登記を経由してもらった。丙は、更に、原告の母であるM(以下「M」という。)に詰め寄り、Mを脅し、平成2年12月7日、原告の亡父Fの所有名義であった大阪府南河内郡美原町所在の土地建物について、丙が単独でFから相続した旨の所有権移転登記を経由させた。
10 乙は、平成2年12月11日、大阪法務局所属公証人N役場において、H及び乙の友人である丁を証人として、本件不動産6及び8ないし10を丙に、本件不動産1ないし4及び本件不動産5(持分2分の1)を原告に、それぞれ、相続させる旨の記載がされた本件遺言①を作成した(乙7の1)。その際、乙は、Hに対し、既に原告に対して本件贈与不動産(本件不動産6ないし8は除く)を贈与しているので、心しておいて欲しいという旨を伝えた。
11 その後、乙は、平成3年6月ころになると、体調を崩し、大阪府堺市所在の自宅の近くにある病院に入院することとなった。
12 ところが、福井市に居住する乙の姉の子である戊は、自分の息子であり医師であるBの勤務する病院において乙を診察させるため、乙を福井市に連れて行き、それ以降、乙は、福井市内の戊宅で療養することとなった。乙の住民票は、平成5年12月6日に福井市に移された。
13 乙は、福井市内の戊宅に連れて行かれて居住するようになった後、平成4年3月3日、同年6月16日及び同年7月16日の3回にわたり、福井地方法務局所属の公証人の役場で、前記第二のとおり、本件遺言②ないし④が作成された。
14 その後、平成4年8月7日、前記第二のとおり、乙が本件不動産1ないし3の持分25万0900分の9万9173を丙に死因贈与する旨の、乙の死亡を始期とする本件証書⑤が作成され(乙8の1)、本件不動産1ないし3につき、同年9月11日、同年7月23日贈与(始期乙の死亡)を原因とし、権利者を丙とする始期付所有権一部移転仮登記が経由された。
また、平成5年10月19日、乙が、本件不動産6ないし10を丙に、本件不動産11をCに、本件不動産12をBに、それぞれ、死因贈与する旨の、乙の死亡を始期とする本件証書⑥ないし⑧が作成された(乙8の2ないし4)。
15 その後、原告は、本件不動産1ないし3について、前記の始期付所有権一部移転仮登記手続が経由されたことを知り、丙が更に本件不動産1ないし3を担保に入れたりすることを防ぐため、乙と共に、平成6年4月11日、昭和62年8月1日設定を原因とし、権利者を有限会社Gとする賃借権設定仮登記手続をした。原告は、乙と共に、平成6年4月12日、上記と同様の目的で、本件不動産4についても、昭和60年4月5日設定を原因とし、権利者を原告とする賃借権設定仮登記を経由した。なお、原告は、このような事態になっても、丙に対し、本件公正証書により本件不動産1ないし3はすでに自己に贈与されたもので、本件不動産1ないし3についての丙のための前記の仮登記は乙に無断でされたものであるなどと主張し、前記仮登記の抹消を求めること等はなかった。原告としては、この時点でも、贈与税を支払う余裕がなかった。
16 その後、丙は、平成7年4月4日、乙に無断で、乙の名義を冒用して、本件不動産1の原告の借地権設定仮登記の抹消を求めて、処分禁止の仮処分を求める申立てをしたり、同年6月16日、乙に無断で、乙の名義を冒用して、被告を有限会社Gとして、前記の借地権設定仮登記の抹消を求める訴えを提起したが(甲28)、いずれも、取り下げられた。
17 平成7年8月10日、本件不動産1ないし3について、同日売買を原因とし、丙が持分250908分の33057を取得した旨の所有権一部移転登記が経由された。
18 丙は、平成7年8月末ころ、乙を福井市内の戊宅から京都府京田辺市所在の本件不動産10の丙宅に連れて帰り(甲37)、乙は、以後、丙宅に引き取られて同居するようになった。そして、丙は、原告が乙と面会するのも拒絶したため、原告は、それ以降、乙と面会したりすることができなくなった。
また、丙は、平成7年12月20日、本件不動産1につき、同日共有物分割を原因とし、丙が全部の持分を取得した旨の乙持分全部移転登記を経由した。
19 原告は、平成8年、丙と乙を相手方として、本件不動産1について、原告と丙及び乙との間で、原告に所有権があることの確認、並びに、丙に対し、丙の前記の始期付所有権一部移転仮登記、所有権一部移転登記及び乙持分全部移転登記の各抹消登記手続を、乙に対し、本件公正証書による贈与を原因とする原告へ所有権移転登記手続を、それぞれ、求める訴訟を提起した(大阪地裁堺支部平成8年(ワ)第435号)。
そして、平成9年3月11日、請求を全部認容する旨の第一審判決が言い渡された(甲2の1)。丙及び乙は、これに控訴し(乙12)、その後、乙が平成9年12月10日に死亡し、D、丙、E及び戊が訴訟を承継し、Dは、平成11年7月15日、請求を認諾し、丙及びEは、同年12月17日、戊は、平成12年1月17日、それぞれ、控訴を取り下げ、結局、前記の第一審判決は、確定した(甲2の2)。
20 ただし、原告は、現在に至るまで、本件不動産1について、この確定判決に基づいて、自己への所有権移転登記手続を経由しておらず、また、前記の丙の始期付所有権一部移転仮登記、所有権一部移転登記及び乙持分全部移転登記の各抹消登記手続も経由していない。
21 原告は、平成11年、丙を相手方として、本件不動産2ないし4について原告に所有権があることの確認、並びに、本件不動産2及び3についての丙の前記始期付所有権一部移転仮登記、所有権一部移転登記及び乙持分全部移転登記の各抹消登記手続を求めると共に、D、E及び戊に対し、本件不動産2ないし4について原告に所有権があることの確認を求める訴訟を提起した(大阪地裁堺支部平成11年(ワ)第933号)。そして、平成11年12月24日、原告の請求を全部認容する旨の判決が言い渡され(甲3の1)、同判決は、平成12年1月13日の経過により確定した(甲3の3)。このようにして、乙の相続人である原告と丙、D、E及び戊の間では、本件不動産1ないし4は、いずれも、原告の所有に属することが前記の各確定判決によって、確定した。
22 さらに、原告は、平成11年、丙、E、D及び戊に対し、本件不動産5の乙の2分の1の共有持分について、真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めて訴訟を提起し(大阪地裁堺支部平成11年(ワ)第1603号)、平成12年1月27日、原告の上記請求をいずれも認容する旨の調書判決が言い渡され(甲4の1)、同判決は、同年2月14日の経過により確定した(甲4の2)。その後、本件不動産5について、平成12年2月16日、O信用金庫の代位により、平成9年12月10日相続を原因とし、共有者を原告、D、丙、E、戊(持分10分の1ずつ)とする乙持分全部移転登記手続が経由されたが、原告は、平成12年10月31日、真正な名義の回復を原因とし、結局、原告が全部の所有権を有する旨の甲を除く共有者全員持分全部移転登記が経由された。
二 争点に対する判断について
1 被告は、昭和57年2月当時、乙や原告において、相続税及び贈与税の回避目的以外に本件公正証書を作成する必要はなかったこと、乙は本件公正証書の内容と相容れない処分行為を行ったこと、乙の生前、本件公正証書の内容は、一切履行されておらず、履行の準備がされた形跡もなかったこと、乙が本件贈与不動産の支配管理をしていたこと、昭和57年2月当時、原告に贈与税の支払能力がなかったこと等を理由として、本件公正証書は、贈与税及び相続税逃れのために作成された無効なものである旨の主張をする。
2 しかしながら、本件公正証書が存在する以上、通常は、乙と原告の間のその内容に沿う贈与契約の表示行為があったものというべきであり、前記第二の一及び第三の一の各認定事実(以下「本件事実関係」という。)並びに本件各証拠によれば、この表示行為があったことは明らかに認められる。そして、乙の本件公正証書による原告への贈与が有効であるかどうかは、乙と原告との間にその贈与の内容の内心の効果意思がなかったこと、すなわち、それが虚偽表示であることが被告によって証明されるかどうかに係るものというべきである。そして、本来、法律上当然に納付すべきことなる相続税や贈与税の負担を違法に免れる目的で、贈与契約の表示行為がされて贈与契約が仮装されることは勿論あり得るけれども、本件事実関係によっても、また、本件各証拠によっても、乙も原告も、本件贈与不動産の贈与をする意思がないのに、相続税や贈与税の負担を免れる目的で本件公正証書の作成依頼をしたとまでは到底認められない。むしろ、本件事実関係及び本件各証拠によれば、乙としては、当時、本件贈与不動産の所有権を原告に無償で取得させる意思はあったものと認められる。被告の主張は、租税回避の目的がある法律行為について、広く、その私法上の効果を否定しようとする趣旨とも解されるが、そのような趣旨であれば、その限りで失当である。
3 もっとも、本件事実関係及び本件各証拠によれば、乙も、原告も、本件贈与不動産について、原告への所有権移転登記をすれば、原告に多額の贈与税が課せられること、しかし、原告は、当時、本件贈与不動産の売却をせずにその贈与税を納付する資力もなく、また、そもそも原告には、その贈与税を支払う意思がないことを承知の上で、敢えて、本件贈与不動産の所有権は、契約の締結と同時に乙から原告へ移転するものとする旨を約定して(以下、この約定を「本件約定」という。)、本件公正証書を作成したものであったこと、更に、乙が本件公正証書を作成した最大の理由は、原告が本件贈与不動産の使用を直ちに必要としていたのではなく、あくまで丙から甲家の財産を守るためであったこと、結局、本件公正証書作成後、乙は、本件贈与不動産について、本件遺言①ないし④及び本件証書⑤ないし⑧の各遺言公正証書及び死因贈与公正証書を作成したことに照らすと(それらの効果について問題があるとしても、本件各証拠によれば、少なくとも、本件遺言①は、乙の意思に基づくものと認められ、有効というべきである。)、本件公正証書作成当時、原告と乙は、本件約定に拘わらず、乙が本件贈与不動産の所有権を直ちに原告に移転させるのではなく、結局、乙の死後、本件贈与不動産を原告に贈与するとの意思で、そのような合意をしたもの、すなわち、死因贈与の契約をしたものと認めるのが相当である。したがって、本件公正証書は有効なものであるけれども、それは、乙が、原告との間で、本件贈与不動産を死因贈与する契約であったというべきである。
4 そうすると、乙の本件公正証書による贈与は、直ちに本件贈与不動産の所有権移転の効果を生じるものではなく、その後、乙が、本件遺言①ないし④及び本件証書⑤ないし⑧の遺言や死因贈与契約をしたことにより、これらの乙の法律行為がすべて有効であれば、民法554条、1023条によって(最一小判昭和47年5月25日・民集26巻4号805頁、最二小判昭和58年1月24日・民集37巻1号21頁参照。なお、本件事実関係や本件各証拠によっても、この死因贈与について後の遺言によって取り消すことができないような事情は認めるに足らない。)、乙は、最終的に、原告に対し、本件不動産1ないし3の2509分の525.56の持分(なお、本件遺言①ないし④及び本件証書⑤は、本件不動産1ないし3の地積を遺贈や相続させる処分、又は死因贈与の対象としているが、それらは、全体の地積と当該地積との地積割合による共有持分権を対象とするものと解される。)、本件不動産4を死因贈与又は遺贈したものというべきである。
5 そして、本件公正証書による贈与が死因贈与である以上、本件不動産1ないし4、本件不動産6ないし8が、被相続人乙の相続税の算定上、その相続財産になることも明らかである。
6 本件不動産5の建物については、本件事実関係及び本件各証拠によれば、昭和60年4月ころ、本件贈与不動産の1つである本件不動産4の土地上に建築されたもので、同月25日、原告と乙が各2分の1の割合の持分を有する旨の保存登記が経由されたこと、原告は、その後、本件不動産5の建物を自宅として、これに居住するようになったこと、乙は、平成2年12月11日、本件遺言①によって、本件不動産5を原告に相続させる旨の遺言をしたこと、本件不動産5の建築資金は本件贈与不動産の1つである本件不動産13の売却代金が充てられたこと、以上が認められる。これらの事実や本件不動産13は原告に死因贈与されたものではあるが、売却当時は乙の所有であり、その売却代金は乙に帰属することに照らしても、乙は、その死亡時まで、本件不動産5の建物の少なくとも2分の1の持分を有していたものというべきである。なお、大阪地裁堺支部平成11年(ワ)第1603号事件の確定判決は、原告と他の相続人全員との間で、本件不動産5の乙の2分の1の登記名義を「真正な登記名義回復」を原因として原告へ移転登記することを命ずるものであるが、本件事実関係によれば、他の相続人全員が乙の遺産の中の本件不動産5の乙の2分の1の持分の帰属を確定させるために、かような内容の判決を確定させたことが明らかであり、この確定判決は、本件不動産5の建築による所有権取得の前記判断を何ら左右するものではない。
7 次に、原告が、被相続人乙の相続財産から、相続又は遺贈により取得した財産について検討する。
本件事実関係によれば、原告は、本件不動産1ないし4の所有権の帰属について、乙の他の相続人である丙、D、E及び戊との間で、別件訴訟においてこれを争い、結局、いずれの別件訴訟においても、原告が本件不動産1ないし4の所有権を有することが確定判決で認められており、乙の全相続人の間では、原告は本件不動産1ないし4の所有権を取得したことが既判力で確定したことになる(なお、前記の大阪地裁堺支部平成8年(ワ)第435号事件では、丙、E及び戊は控訴審で控訴を取り下げ、この3名の関係では、第一審判決の口頭弁論終結時を基準とする同判決が確定したが、この3名は、口頭弁論終結後の承継人であると解される。)。
そうすると、本件事実関係によれば、原告は、本件公正証書による死因贈与の後に、乙が本件遺言①ないし④及び本件証書⑤による遺言や死因贈与を有効にしたのであれば、本件不動産1ないし3については、その2509分の525.56の持分しか取得できない筈であったところ、前記の各別件訴訟の結果、いずれにしても、原告は、その全部の所有権を取得することになったものである。そして、本件事実関係によれば、原告がこのように本件不動産1ないし3の所有権を取得した原因は、本件公正証書による死因贈与又は本件遺言①による相続させる処分によるものであるといわざるを得ない。
このようにみてくると、原告は、結局、全相続人との間で、本件不動産1ないし3の所有権を、相続税法2条1項、1条1号の「相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下、同じ。)に因り」取得したものというべきである。
第四 結論
一 以上の判断を前提とすると、本件不動産1ないし8(ただし、本件不動産5は2分の1の持分。)は、被相続人乙の相続税の算定上、その相続財産になることは明らかである。また、本件事実関係及び弁論の全趣旨によれば、本件不動産9ないし12もその相続財産に含まれるものというべきであり、それらの乙の相続開始時の評価額は、別表3の「評価額(円)」欄のとおりであると認められる。
二 そして、本件事実関係及び前記判示したところによれば、原告は、相続又は遺贈により、本件不動産1ないし4を取得し、本件不動産5の持分2分の1を本件遺言①の相続させる処分により取得したものというべきである。
三 そうすると、本件更正処分及び過少申告加算税の賦課決定(国税不服審判所の平成14年3月13日の裁決により一部取り消された後のもの)は、前記一、二の範囲内でされたもので適法であることが明らかである。
四 以上の次第であり、原告の本訴請求は、いずれも理由がないので、これらを棄却することとし、主文のとおり、判決する。
(裁判長裁判官 八木良一 裁判官 古谷恭一郎 裁判官 谷田好史)
(別紙) 物件目録
1 所在 大阪南河内郡美原町
地番
地目 宅地
地積 357.02平方メートル
2 所在 大阪府南河内郡美原町
地番
地目 宅地
地積 1160.32平方メートル
3 所在 大阪府南河内郡美原町
地番
地目 宅地
地積 991.73平方メートル
4 所在 堺市向陵中町
地番
地目 宅地
地積 221.01平方メートル
5 所在 堺市向陵中町
家屋番号
種類 居宅
構造 鉄骨造陸屋根3階建
床面積 1階 32.40平方メートル
2階 71.56平方メートル
3階 56.07平方メートル
6 所在 堺市中田出井町
地番
地目 宅地
地積 171.57平方メートル
7 所在 堺市中田出井町
地番
地目 宅地
地積 158.67平方メートル
(但し、上記7は、平成12年3月27日付で、上記6に合筆された。)
8 所在 堺市中出井町
家屋番号
種類 居宅
構造 木・鉄骨造瓦・亜鉛メッキ鋼板葺3階建
床面積 1階 172.74平方メートル
2階 42.96平方メートル
3階 36.18平方メートル
(但し、上記8は、平成12年2月25日付で、取毀された。)
9 所在 京田辺市大住池島
地番
地目 宅地
地積 661.18平方メートル
10 所在 京田辺市大住池島
家屋番号
種類 工場
構造 鉄骨造陸屋根4階建
床面積 1階 390.64平方メートル
2階 124.00平方メートル
3階 124.00平方メートル
4階 390.64平方メートル
11 所在 福井市大町
地番
地目 宅地
地積 461.96平方メートル
12 所在 福井市大町
地番
地目 宅地
地積 134.92平方メートル
13 所在 大阪府南河内郡美原町
地番
地目 宅地
地積 222.88平方メートル
14 所在 堺市中長尾町
地番
地目 宅地
地積 215.08平方メートル
15 所在 堺市中長尾町
地番
地目 宅地
地積 215.92平方メートル
別表1
【相続関係図】
file_2.jpgey 2 Fa = ewe ee bd wh M ee] 3 1 12 z 7 Frere sr 1565.23 Fa] |S RH x 13 % 3 g 22 hy 8 : 7 2 g a a 20 Es 3
別表2
課税の経緯
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別表3
土地及び建物の内訳表
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別表4
課税価格及び相続税の総額の計算明細表
file_5.jpgWi by = @ EOWHOBRA!S AO Gt B oO cy 98, 371, 015, 383, 812, 762 @/|* B + * & 4, 803, 934 55, 005, 996 59, 809, 930 @ |# ‘ii Ed 0 0 0 @ |R & ct a & 0 0 0 ® |# Lg A a z 0 0 0 @©@|t o th uw 0 0 0 ® | RBLEMEDSH (O~OnIt) 103, 174, 949 340, 447, 743 443, 622, 692 @i|t © - FAR A 0 0 0 QI FAAS mR BH 0 0 0 @ |RR HR (O-O+@) 103, 174, 000 340, 446, 000 443, 620, 000 OME KRSER RH B 5000GA+ (10007 x 2A, 70, 000, 000 OlkRs ns HERB Qoste-D 373, 620, 000 Blt A Ok € ff 2 1/2 1/2 1 O@ | RERRRCETS eR (DB 186, 810, 000 186, 810, 000 373, 620, 000 BS OkHtseAaARS Bx 10% x 40% * AO ff #@ BH B @ (BOSHXFADD+ O08 27, 687, 341 19, 047, 998 ab) SG | HAEMR ABA O REM om om oe (BH) 1 SADOMATOBIA, 100 0MAMOMRE DY HCREMTH 4. 2 ORD (Sit) METEADBMIS, 10 OMAMOMMEY HREM CHS,
別表5
過少申告加算税の計算明細表
file_6.jpgcates: PD) i Ly O Sa HICHT DHT RE RO) MD THA ere O APEC SANE tae PBR (He) MO [AAT Se BL AD Ce Te @ RRO RMR 25 BE @-0) 27, 213, 300 ED OED MRO BS eS (OD 1 BARB OMA 9 HT te AHA) ba, aioaieto © WRROWD HH MAB (OX 10%) 2,721, 000 © OORKE 5S OFALOVT RMS oR 500, 000 © MHENS ODF EMRAOERE OR 1 BAAD Me IY ET i) )-) 26, 710, 000 ® MHENSBrHwMRBB (Ox 5%) 1, 335, 500 @ BHR MRBLD eee ®) 4, 056, 500 c) BRAGS OEM LR, RPDERES 5H 1 ROME LS LOTHY, @ MESSED HS MABE LL, MR ZHOMEICLSLOTHS.