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京都地方裁判所 平成21年(ワ)988号 判決 2009年8月06日

原告

X1 他2名

被告

Y1 他1名

主文

一  被告らは、亡A訴訟承継人兼本人原告X1に対し、連帯して、四四二万八三四四円及びうち三二〇万円に対する平成一五年二月二三日から、うち一二二万八三四四円に対する平成一八年六月六日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、亡A訴訟承継人兼本人原告X2に対し、連帯して、二四二万二八三八円及びうち一六〇万円に対する平成一五年二月二三日から、うち八二万二八三八円に対する平成一八年六月六日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは、亡A訴訟承継人兼本人原告X3に対し、連帯して、二四二万二八三八円及びうち一六〇万円に対する平成一五年二月二三日から、うち八二万二八三八円に対する平成一八年六月六日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

五  訴訟費用は、これを二五〇分し、その一九を被告らの負担とし、その余を原告らの負担とする。

六  この判決は、第一項ないし第三項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告らは、亡A訴訟承継人兼本人原告X1に対し、連帯して、六六五九万六六六六円及びうち一六〇五万円に対する平成一五年二月二三日から、うち五〇五四万六六六六円に対する平成一八年六月六日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、亡A訴訟承継人兼本人原告X2に対し、連帯して、二九九九万八三三三円及びうち四七二万五〇〇〇円に対する平成一五年二月二三日から、うち二五二七万三三三三円に対する平成一八年六月六日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは、亡A訴訟承継人兼本人原告X3に対し、連帯して、二九九九万八三三三円及びうち四七二万五〇〇〇円に対する平成一五年二月二三日から、うち二五二七万三三三三円に対する平成一八年六月六日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  本件は、歩行中の亡A(以下「A」という。)が、被告Y1(以下「被告Y1」という。)が運転し、被告Y2(以下「被告Y2」という。)が所有する普通乗用自動車に衝突され、これが原因で約五年四か月後に死亡した交通事故につき、Aの妻ないし子である原告らが、被告らに対し、不法行為ないし自賠法三条に基づき、損害賠償の請求をした事案である。

二  当事者間に争いのない事実等

(1)  次の交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した(甲一ないし三)。

ア 発生日時 平成一五年二月二三日午前一時二七分ころ(天候は雨)

イ 発生場所 京都府舞鶴市字行永四六五番地(以下「本件事故現場」という。)

ウ 加害車両 被告Y1が運転し、被告Y2が所有する普通乗用自動車フォルクスワーゲン(〔ナンバー省略〕)(以下「被告車」という。)

エ 事故態様 府道舞鶴和知線を北進してきた被告車が、徒歩で、横断歩道から約二三メートル南の地点を横断中のAに衝突した。

(2)  本件事故現場の状況等(甲三、甲二一の一ないし四)

本件事故現場付近の状況は、別紙交通事故現場見取図(甲三―三枚目)(以下「見取図」という。)のとおりである。本件事故現場付近をほぼ南北に走る府道舞鶴和知線は、車道中央線で全一車線の北行車線(東舞鶴駅方面)(以下「北行車線」という。)と全一車線の南行車線(舞鶴市亀岩町方面)(以下「南行車線」という。)とに区切られたほぼ直線の道路である。車道部分の幅員は、北行車線、南行車線とも約三メートルであり、北行車線の西側には本件事故現場付近で幅員約一・〇メートルの路肩を挟んで幅員約二・二メートルの歩道(以下「本件歩道」という。)が設けられており、南行車線の東側には本件事故現場付近で幅員約二・五メートルの路肩を挟んで幅員約二・一メートルの歩道が設けられている。本件事故現場付近の府道舞鶴和知線では、最高速度時速四〇キロメートル、駐車禁止、追越しのための右側部分はみ出し通行禁止の交通規制が実施されていた。

見取図のfile_4.jpgの地点(北行車線の西側の外側線から東に約一・一メートル、車道中央線から西に約一・九メートルの地点)が衝突地点であり、衝突地点から、約二三メートル北の地点に横断歩道が設けられている。

本件事故現場付近は、本件事故当時夜間であったが、やや明るく、被告車から進行方向(北向き)の見通しはよく、見取図のfile_5.jpgの地点を見取図のfile_6.jpgの地点(見取図のfile_7.jpgの地点の手前約三七・四メートルの地点)から見通すことができた。

(3)  被告車の損傷状況等(甲三、二三、二四)

本件事故による被告車の損傷状況は、次のとおりである。

すなわち、

ア 前部ナンバープレートに曲損が、

イ ボンネットには、地上高約〇・七六メートルの地点に軟体物が衝突したと認められる凹損が、

ウ フロントガラスには、地上高約一・二メートル、前部から後方に向けて約一・七メートルの地点に、同地点を中心とする蜘蛛の巣状の割損が、

エ 左フロントピラーには、地上高約一・二メートル、前部から後方に向けて約一・七メートルの地点に、軟体物が衝突したと認められる凹損が

それぞれ認められたほか、

オ フロントピラーとフロントガラスとの境目には、Aの頭部より抜け落ちたと認められる頭髪様の物が付着していた。

(4)  Aの受傷状況等

A(昭和○年○月○日生〔当時七〇歳〕)は、本件事故により、外傷性くも膜下出血、気脳症髄液漏、頭蓋骨骨折外傷性ショック、脳挫傷、右肩関節脱臼骨折の傷害を負った(甲四、乙一―五七枚目)。

(5)  Aが受けた治療の経緯等

Aは、平成一五年二月二三日から平成一六年二月四日までの三四七日間、独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センター(当時・国立舞鶴病院)(以下「舞鶴医療センター」という。)で入院治療を受け(甲五)、その後、左片麻痺、高次脳機能障害(発語困難、認識困難、記銘力障害、嚥下困難)につき在宅で、医療法人社団悠慈会a医院(以下「a医院」という。)のB医師(以下「B医師」という。)による往診を受けてきたが(甲六)、平成二〇年七月六日午前九時三五分、舞鶴医療センターにおいて、本件事故による急性呼吸不全のため死亡した(甲四三)(本件事故とAの死との間に因果関係があることについては、当事者間に争いがない。)。

その間、Aは、損害保険料率算出機構において、頭部外傷による神経系統の機能又は精神の障害が自賠法施行令別表第一第一級一号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」に該当するとの認定を受けている(甲七)。

(6)  既払金

Aは、本件交通事故の損害金の内金として被告Y2の任意保険会社(株式会社○○損害保険)から一〇五四万四三一四円の支払を受けたほか、平成一八年六月五日に自賠責保険金四〇〇〇万円の支払を受けている(甲八、二〇)。

(7)  責任原因

被告Y1は、前方注視義務を怠ったことによって、本件事故を発生させたのであるから、不法行為に基づき、亡A及び原告らに発生した損害を賠償する責任がある。

被告Y2は、自己のために被告車を運行の用に供する者であり、自賠法三条に基づき、亡A及び原告らに発生した損害を賠償する責任がある。

(8)  相続

亡A訴訟承継人兼本人原告X1(昭和○年○月○日生)(以下「原告X1」という。)は、Aの妻であり、亡A訴訟承継人兼本人原告X2(昭和○年○月○日生)(以下「原告X2」という。)及び亡A訴訟承継人兼本人原告X3(昭和○年○月○日生)(以下「原告X3」という。)は、いずれもAの子である(甲三〇の一ないし三)。原告X1、原告X2及び原告X3は、Aの死亡により、被告らに対する損害賠償請求権を、法定相続分の割合(原告X1につき二分の一、原告X2及び原告X3につき各四分の一)で相続した。

三  争点

(1)  本件事故態様(過失割合)

(2)  損害

四  争点に関する当事者の主張

(1)  争点(1)(本件事故態様〔過失割合〕)について

(被告らの主張)

ア 被告Y1は、被告車を運転して、見取図の②の地点に差し掛かった際、府道舞鶴和知線を西側(本件歩道付近)から東側(南行車線路肩付近)に向かって横断しようとしていたAが、北行車線と路肩との区分線上の至近距離(見取図のfile_8.jpgの地点〔見取図の②の地点から約一一・四メートルの地点〕)にいるのを発見し、急制動の措置を講じたが間に合わず、北行車線に進入してきたAと衝突した。

イ 本件事故現場から約二三メートル北の地点には、横断歩道が設置されていること、本件事故は夜間に発生したこと、Aは、被告車の直前を横断したこと、Aは、本件事故当時、七〇歳であったことからすると、本件事故における過失割合は、A三五パーセント、被告Y1六五パーセントである。

ウ 原告らの主張イを否認し、ウを争う。

(原告らの主張)

ア 被告らの主張アを否認し、イを争う。

イ Aは、府道舞鶴和知線を東側(南行車線路肩付近)から西側(本件歩道付近)に向かって横断していたところ、本件歩道に差し掛かる寸前に、北行車線を北進してきた被告車に衝突された(①Aが乗車していたタクシーは、府道舞鶴和知線の東側〔南行車線路肩付近〕に停車したため、Aが自宅に戻るためには、府道舞鶴和知線を東側〔南行車線路肩付近〕から西側〔本件歩道付近〕に向かって横断する必要がある。②本件事故によりAの右側脳部に脳挫傷が生じているところ、外力が側頭部に働く場合には、主として衝撃を受けた場所と反対側に脳挫傷が生ずること、Aの左耳に耳漏が認められることからすると、Aの頭部の左側が被告車のフロントガラスに衝突したことになる。③以上によれば、Aが、府道舞鶴和知線を東側〔南行車線路肩付近〕から西側〔本件歩道付近〕に向かって横断していたことは明らかである。)。

ウ 本件事故は、被告Y1の一方的過失によって発生した事故である。

(2)  争点(2)(損害)について

(原告らの主張)

ア Aに生じた損害について

(ア) 治療関係費 一二三万三一八〇円

平成一五年二月二三日から平成一六年二月四日まで舞鶴医療センターに入院したことによるもの 一二二万四七八〇円

平成二〇年七月二日から同月六日まで舞鶴医療センターに入院したことによるもの 八四〇〇円

(イ) 付添看護費 三一一万二五四三円

a 原告X1分 二四二万九〇〇〇円

原告X1は、入院期間を通じて、Aに付き添って看護をした。一日七〇〇〇円の三四七日分で、上記金額となる。計算式は、7000円×347日=242万9000円である。

b 原告X3分 二八万二九四八円

原告X3は、平成一五年二月二四日から同年三月三一日までの一一日間、Aに付き添って看護をした。この間の休業損害は、上記金額となる。

c 原告X2分 四〇万〇五九五円

原告X2は、平成一五年二月二三日から同年四月八日までの三三日間、Aに付き添って看護をした。この間の休業損害は、上記金額となる。

d 小計 三一一万二五四三円

(ウ) 付添交通費 三三万四七四〇円

a 駐車場代 四万九九〇〇円

b タクシー代 二八万四八四〇円

c 小計 三三万四七四〇円

(エ) 住宅改造費 三九一万五〇〇〇円

Aは、本件事故により、完全介護を要する状態となったため、在宅療養にあたって、住宅の改造が必要となった。

(オ) 後見人申請費用 五万円

(カ) 介護用ベッド 五八万八五〇〇円

Aの介護のために必要なベッド一台の価格は二九万四二五〇円であり、このベッドの耐用年数は五年であるから、将来少なくとも一回買い換える必要がある。計算式は、29万4250円×2=58万8500円である。

(キ) 雑費 一一一二万五二五一円

a 平成一七年一一月三〇日まで 二八一万九二五一円

舞鶴医療センターへの入院日である平成一五年二月二三日から平成一七年一一月三〇日までの一〇一一日間に必要となった雑費の合計は、上記金額となる。

b 平成一七年一二月一日以降 八三〇万六〇〇〇円

平成一七年七月分から九月分までの三か月間の雑費の合計は、二五万〇六〇九円であり、一年分に換算すると約一〇〇万円となる。そして、平成一七年一二月一日の時点で、Aは、七三歳であったから、平均余命一一年の雑費は、ライプニッツ係数八・三〇六を乗じて中間利息を控除すると、上記金額となる。計算式は、100万円×8.306=830万6000円である。

c 小計 一一一二万五二五一円

(ク) 介護費用 四三九五万九五〇五円

Aには、二四時間の介護が必要であり、泊まり込みの職業付添人を頼んだ場合の料金は、一日あたり、一万四五〇〇円となる。内訳は、日当一万二〇〇〇円、紹介料二二〇〇円及び交通費三〇〇円の合計一万四五〇〇円である。被告Y2の任意保険会社が支払を停止した平成一七年一二月一日の時点で、Aは、七三歳であったから、平均余命一一年の介護費用は、ライプニッツ係数八・三〇六を乗じて中間利息を控除すると、上記金額となる。計算式は、1万4500円×365日×8.306=4395万9505円である。

(ケ) 葬儀関係費用 一七五万六七一〇円

内訳は、葬儀代四〇万四六七四円、葬儀場送迎タクシー代二万二〇三〇円、死装束代二万三七三〇円、供物代(棺桶に納めたもの)四二四〇円、仏壇代六〇万円、戒名彫刻代四万七〇〇〇円、花代一万九〇三六円、寺への布施代その他六三万六〇〇〇円の合計一七五万六七一〇円である。

(コ) 休業損害 一二八万三五六二円

Aは、本件事故当時、アルバイトに従事しており、年金以外に年額一三五万四〇四七円の収入があった。休業期聞は、平成一五年二月二四日から平成一六年二月四日までの三四六日間であるから、休業損害は、上記金額となる。計算式は、135万4047円÷365日×346日=128万3562円(一円未満切り捨て)である。

(サ) 死亡逸失利益 二二九四万三二二六円

基礎収入を平成一六年度賃金センサス(産業計・企業規模計・学歴計・男性労働者・六五歳以上)による平均賃金三九六万五三〇〇円とし、舞鶴医療センター退院時点の七一歳から七年間のライプニッツ係数五・七八六を乗じて中間利息を控除すると、上記金額となる。計算式は、396万5300円×5.786=2294万3226円(一円未満切り上げ)である。

(シ) 慰謝料 四三二一万円

内訳は、入院慰謝料三二一万円及び死亡慰謝料四〇〇〇万円の合計で四三二一万円である。

(ス) 小計 一億三三五一万二二一七円

(セ) 既払金控除後の小計 一億〇一〇九万三三三二円

上記損害費目のうち、平成二〇年七月二日から同月六日まで舞鶴医療センターに入院したことによる治療関係費八四〇〇円及び葬儀関係費用一七五万六七一〇円を除いた小計は、一億三一七四万七一〇七円となり、この額から、被告Y2の任意保険会社(株式会社○○損害保険)から支払を受けた一〇五四万四三一四円を控除すると、一億二一二〇万二七九三円となる。そして、同金員に対する本件事故の日である平成一五年二月二三日から自賠責保険金四〇〇〇万円の支払を受けた平成一八年六月五日までの間に生じた遅延損害金は、一九八九万〇五三九円であるから、自賠責保険金四〇〇〇万円について、遅延損害金一九八九万〇五三九円、元金一億二一二〇万二七九三円の順に充当すると、同日時点における損害金元金は、上記金額となる。

(ソ) 弁護士費用 一〇一〇万円

(タ) 合計 一億一一一九万三三三二円

イ 原告X1固有の損害について

(ア) 慰謝料 一〇〇〇万円

(イ) 弁護士費用 一〇〇万円

(ウ) 小計 一一〇〇万円

ウ 原告X2及び原告X3の固有の損害について

(ア) 慰謝料 各二〇〇万円

(イ) 弁護士費用 各二〇万円

(ウ) 小計 各二二〇万円

エ 請求金額の合計

(ア) 原告X1に係る請求金額 六六五九万六六六六円

Aに生じた損害の残金は一億一一一九万三三三二円であり、原告X1は、相続により、その二分の一である五五五九万六六六六円を承継し、これに、原告X1固有の損害一一〇〇万円を加えると、上記金額となる。

そして、請求金額合計六六五九万六六六六円のうち、Aに生じた損害についての弁護士費用相当額五〇五万円(一〇一〇万円の二分の一)及び原告X1固有の損害一一〇〇万円の合計一六〇五万円については、本件事故の日である平成一五年二月二三日から、その余の五〇五四万六六六六円については、自賠責保険金支払日の翌日である平成一八年六月六日からそれぞれ支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(イ) 原告X2及び原告X3に係る請求金額 各二九九九万八三三三円

Aに生じた損害の残金は一億一一一九万三三三二円であり、原告X2及び原告X3は、相続により、それぞれ四分の一である二七七九万八三三三円を承継し、これに、原告X2及び原告X3の固有の損害各二二〇万円を加えると、上記金額となる。

そして、請求金額合計各二九九九万八三三三円のうち、Aに生じた損害についての弁護士費用相当額各二五二万五〇〇〇円(一〇一〇万円の四分の一)及び原告X2及び原告X3固有の損害各二二〇万円の合計各四七二万五〇〇〇円については、本件事故の日である平成一五年二月二三日から、その余の各二五二七万三三三三円については、自賠責保険金支払日の翌日である平成一八年六月六日からそれぞれ支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(被告らの主張)

ア Aに生じた損害について

(ア) 治療関係費(ア)は不知。平成一五年二月二三日から平成一六年二月四日まで舞鶴医療センターに入院したことによる治療関係費一二二万四七八〇円については、本件事故とは無関係の糖尿病に対する治療費合計二三万一五七〇円と、本件事故と因果関係のない立替治療費及び文書料六五二〇円が含まれている。

(イ) 付添看護費(イ)は不知。仮に、付添看護を要するとしても、原告X1による近親者付添看護費として一日あたり四五〇〇円とするのが相当である。

(ウ) 付添交通費(ウ)は否認する。

(エ) 住宅改造費(エ)は不知。

(オ) 後見人申請費用(オ)は不知。

(カ) 介護用ベッド(カ)は否認する。将来一回買い替えるためのものは将来請求であり、Aの死亡によって死亡時以降のものは発生しないことが確定した。

(キ) 雑費(キ)はAの死亡時までのものは不知、死亡時以降のものは否認する。

(ク) 介護費用(ク)はAの死亡時までのものは、原告X1による近親者介護費用として一日あたり六〇〇〇円程度とするべきであり、死亡時以降のものは否認する。

(ケ) 葬儀関係費用(ケ)は不知。

(コ) 休業損害(コ)は不知。

(サ) 死亡逸失利益(サ)は否認する。アルバイトによる現実収入一三五万四〇四七円を基礎収入とすべきである。

(シ) 慰謝料(シ)は争う。

(ス) 小計(ス)は争う。

(セ) 既払金控除後の小計(セ)は不知。

(ソ) 弁護士費用(ソ)は争う。

(タ) 合計(タ)は争う。

イ 原告X1固有の損害について

(ア) 慰謝料(ア)は争う。

(イ) 弁護士費用(イ)は争う。

(ウ) 小計(ウ)は争う。

ウ 原告X2及び原告X3固有の損害について

(ア) 慰謝料(ア)は争う。

(イ) 弁護士費用(イ)は争う。

(ウ) 小計(ウ)は争う。

エ 請求金額の合計

(ア) 原告X1に係る請求金額(ア)は争う。

(イ) 原告X2及び原告X3に係る請求金額(イ)は争う。

第三当裁判所の判断

一  争点(1)(本件事故態様〔過失割合〕)について

(1)  当事者間に争いがない事実等、証拠(甲三〔実況見分調書〕、甲二二及び二三〔被告Y1の供述調書〕、甲二七〔Cの供述調書〕、被告Y1本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。すなわち、

被告Y1は、平成一五年二月二三日午前一時二七分ころ(天候は雨)、Cを助手席に同乗させて被告車を運転し、前照灯を下向きに点けワイパーを作動させ、時速約五〇キロメートルの速度で北行車線を北進していたところ、見取図の①の地点で対向車線(南行車線)の東側の路肩(見取図のfile_9.jpgの地点)に停止中の車両を認め、そのまま進行を続けて見取図の②の地点で、Aが、北行車線とその西側の路肩との区分線付近(見取図のfile_10.jpgの地点〔見取図の②の地点から約一一・四メートルの地点〕)から府道舞鶴和知線を東側に向け徒歩で横断しようとしているのを発見し、危険を感じて急制動の措置を講じたものの間に合わず、見取図の③の地点(見取図の②の地点から約九・三メートルの地点)まで進行して見取図のfile_11.jpgの地点(見取図のfile_12.jpgの地点から約一・一メートルの地点)で、被告車の前部をAに衝突させ、その結果、Aは、見取図のfile_13.jpgの地点(見取図のfile_14.jpgの地点から約九・一メートルの地点)に転倒した。被告Y1は、被告車を、通行の邪魔にならないようにするため、北行車線の左端(見取図の④の地点〔見取図の③の地点から約二七・〇メートルの地点〕)に停止させた(被告Y1本人―二一頁)。

(2)  これに対し、原告らは、本件事故が発生した際、Aは、府道舞鶴和知線を東側(南行車線路肩付近)から西側(本件歩道付近)に向かって横断していたところ、本件歩道に差し掛かる寸前に、北行車線を北進してきた被告車に衝突された(①Aが乗車していたタクシーは、府道舞鶴和知線の東側〔南行車線路肩付近〕に停車したため、Aが自宅に戻るためには、府道舞鶴和知線を東側〔南行車線路肩付近〕から西側〔本件歩道付近〕に向かって横断する必要がある、②本件事故によりAの右側脳部に脳挫傷が生じているところ、外力が側頭部に働く場合には、主として衝撃を受けた場所と反対側に脳挫傷が生ずること、Aの左耳に耳漏が認められることからすると、Aの頭部の左側が被告車のフロントガラスに衝突したことになる、③以上によれば、Aが、府道舞鶴和知線を東側〔南行車線路肩付近〕から西側〔本件歩道付近〕に向かって横断していたことは明らかである。)と主張し、②に沿う証拠(甲二五〔舞鶴医療センターのD医師作成の意見書〕)がある。しかしながら、原告らの主張に沿う上記証拠をにわかに採用することはできず、原告らの主張を採用することはできない。その理由は、次のとおりである。

まず、証拠(甲二三、被告Y1)によれば、本件事故当時見取図のfile_15.jpgの地点に停止していた車両がタクシーであったことが認められるものの、Aがそのタクシーに乗車してきて本件事故現場付近でそのタクシーから降車したことを認めるに足りる証拠はなく、しかも、仮にAがそのタクシーに乗車してきたとしても、いったん府道舞鶴和知線を東側から西側に横断した後、再び、西側に引き返そうとして本件事故に遭った可能性を否定することができない。

以上によれば、原告ら指摘の根拠①は、上記の認定・判断を左右しない。

次に、証拠(甲三一〔脳損傷の特徴及び成立機序に関する文献〕)が引用する剖検例によれば、側頭部に衝撃が加わった場合で、受傷部位の反対側に脳損傷が生じた症例が三五件中二〇件であるのに対し、受傷直下に脳損傷が生じた症例が三五件中六件であり、側頭部に衝撃が加わった場合で、受傷部位の反対側に脳損傷が生じた割合が全症例の六〇パーセント程度にすぎないことが認められること、証拠(乙一―三枚目、乙五〔済生会京都府病院脳神経外科部長E作成の意見書〕)によれば、舞鶴医療センターにおいて、救急搬送を受けた平成一五年二月二三日当日の午前四時四〇分の時点で、Aに髄膜炎の危険があるとの所見が示されていたこと、頭部外傷により髄膜炎が発症したことにより、左側頭部に頭蓋内圧亢進を来たし、その結果、Aの左耳から出血及び髄液漏が出現したことが考えられることからすると、脳挫傷が生じた位置や、Aの左耳に耳漏が認められたことから直ちに、Aの頭部の左側が被告車のフロントガラスに衝突したものと認めることはできない。

以上によれば、原告ら指摘の根拠②は上記の認定・判断を左右しない。

さらに、(ア)前判示のとおり、被告車のボンネットには、地上高約〇・七六メートルの地点に軟体物が衝突したと認められる凹損が生じているところ、当事者間に争いがない事実等及び証拠(乙一―二二、二四、四五枚目、乙二―八、一〇枚目)によれば、Aの右肩関節には、本件事故による外傷性の脱臼骨折が認められる一方で、Aの左半身には、目立った損傷は認められないことからすると、上記ボンネットの損傷は、Aの右肩部分が衝突したことによって生じたものであることを推認することができ、また、(イ)前判示のとおり、被告車のフロントガラスには、地上高約一・二メートル、前部から後方に向けて約一・七メートルの地点に、同地点を中心とする蜘蛛の巣状の割損が生じ、左フロントピラーには、地上高約一・二メートル、前部から後方に向けて約一・七メートルの地点に、軟体物が衝突したと認められる凹損が生じ、フロントピラーとフロントガラスとの境目には、Aの頭部より抜け落ちたと認められる頭髪様の物が付着していたことからすると、上記フロントガラス等の損傷は、Aの頭部が衝突したことによって生じたものであることが推認できるところ、当事者間に争いがない事実等及び証拠(甲四、乙一―二、三、一〇、二三、一四五枚目、乙五ないし七、九、一七)によれば、本件事故によって、Aの頭部には、右側頭葉骨折、右急性硬膜下血腫、右頭頂葉挫傷、左硬膜下血腫がそれぞれ生じるなど、主として右側に損傷が生じていることが認められる。これら(ア)(イ)の事実は、Aが、府道舞鶴和知線を西側(本件歩道付近)から東側(南行車線路肩付近)に向かって横断しようとしていた際に、被告車が右側からAに衝突したことに沿うものというべきである。

以上の次第で、原告らの上記主張を採用することはできない。

(3)  前記認定の本件事故現場の状況(本件事故現場から約二三メートル北の地点に横断歩道が設けられていること、夜間であったがやや明るく被告車から進行方向〔北向き〕の見通しがよかったこと)、本件事故の態様(Aが被告車の直前を西側から東側に向かって横断しようとしたこと)、Aの年齢等の事実関係によれば、本件事故における過失割合は、A三〇パーセント、被告Y1七〇パーセントと認めるのが相当である。

二  争点(2)(損害)について

(1)  診療経過等について

当事者間に争いがない事実等、証拠(甲二九〔原告X1の陳述書〕、原告X1本人のほか、後掲のもの)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

ア Aは、本件事故後の平成一五年二月二三日午前一時四〇分ころ、舞鶴医療センターに救急搬送され、その際、収縮期血圧は五九mmHgで、拡張期血圧は三四mmHgであり、意識レベル(JCS)は三〇〇であった。昇圧剤の投与により、収縮期血圧は一〇〇mmHg、意識レベル(JCS)は三〇にまで回復したが、Aには発声はあるものの、発語はなく、また、脳に対するCT検査の結果、気脳症、外傷性くも膜下出血、右急性硬膜下血腫がそれぞれ確認された(乙一―二、七三枚目)。

イ 同日午前四時四〇分ころ、Aの収縮期血圧は一〇〇mmHgを維持しており、また、意識レベル(JCS)は二〇まで回復した。舞鶴医療センターの医師は、そのころ、原告らに対し、頭部は出血所見はわずかであるが、意識障害が強いこと、アルコールの影響もあるが、脳全体のダメージが強いこと、外傷性のショック状態のため、全身管理が必要であり、血圧を維持できなければ、生命にかかわること、髄膜炎の危険があることなどを説明した(乙一―二、三枚目)。

ウ 同日午後零時三〇分ころ、フォローCT検査の結果から、Aの脳挫傷の位置が右頭頂葉であると特定できたこと、中脳の圧迫が軽度であることが確認されたことをふまえ、舞鶴医療センターの医師は、原告らに対し、脳幹への圧迫は現時点では軽度であること、びまん性脳障害による意識障害であること、局所の腫瘍効果が問題となる場合には、手術を実施すること、脳腫瘍の悪化により、致命的となる可能性があること、バイタルは一応安定しているものの、肺挫傷等の悪化により、急変する可能性があることなどを説明した(乙一―三枚目)。

エ 同日午後五時三〇分ころ、フォローCT検査の結果、血腫がやや増大していること、中脳に軽度の圧迫が認められたことから、舞鶴医療センターの医師は、このまま腫瘍効果が増大すると生命にかかわると考え、Aに対し、開頭血腫除去術、外減圧術を施術し(以下「本件開頭血腫除去術」という。)、その結果、Aの意識レベル(JCS)は、依然三桁台を示していたものの、術前と比べ、落ち着きを示すようになった(乙一―四、六、一〇、五七、六七枚目)。

オ 平成一五年二月二四日午前一時ころ、舞鶴医療センターの医師は、原告らに対し、本件開頭血腫除去術によって、血腫は除去できたものの、今後も再出血し、脳腫張を起こす可能性があること、全身合併症に注意を要すること、Aの意識が戻らないこともあり得ることなどを説明した(乙一―六枚目)。

カ 平成一五年二月二六日ころ、Aは、誤嚥性肺炎を発症し、同年三月一日には、原告らに対して、誤嚥性肺炎が悪化し呼吸状態も悪くなっている旨の説明がなされ、同月二七日まで人工呼吸管理を受けた(乙一―七、一二枚目、乙二―三六枚目、乙一二の二)。

キ 平成一五年三月三日ころには、「生命の危険を脱する」ことを看護目的と定めた問題リスト(乙一―一三九枚目)に抽出されていた、「外傷性くも膜下出血に関連した合併症の潜在的状態(頭蓋内圧亢進、循環不全、呼吸器合併症等)、感染のハイリスク状態、本件開頭血腫除去術後に関連した合併症の潜在的状態(頭蓋内圧亢進、後出血、脳浮腫)及び身体損傷の潜在的状態」といった諸問題が解決されたとして、同リストから外され、また、同月三一日には重症管理が解除され(乙一―七六枚目、一三九枚目)、同年四月一五日ころから、Aの意識レベル(JCS)は、三ないし一〇に回復するようになり、徐々に意識障害は改善していったが、Aには、強い左片麻痺、失語症などの高次機能障害が残存し、あいさつ程度の言葉を発することが時にみられるものの、細かい意思疎通は困難となり、ベッドでの寝たきり状態が続いた(乙一―三二、五七、六七、一五八枚目、乙二―三六枚目)。

ク 平成一五年五月二六日ころから、Aに対し、車いすでの生活の確立を目指したリハビリテーションが開始され、ベッドサイドにおいて、四肢の可動域訓練が行われ、また、同年六月九日、観血的脱臼整復術を行ったが、修復不能であり、同年八月四日、経皮的胃瘻造設術が行われた(乙一―二五、二七、二九ないし三二、四六ないし五二枚目、乙二―一四、一〇六枚目)。

ケ 舞鶴医療センターでの入院中、Aに対し、全身の清拭や、排泄面の介助、吸痰、口腔ケアなど、完全看護の態勢が採られていたが、原告X1は、医師から、Aに刺激を与えることが必要だとの指示を受けたことから、Aに話しかけたり、常時テレビを付けるなどして、ほぼ毎日、朝から夕方までの間、Aに付き添い、また、平成一五年一二月二三日ころから、退院後自宅で介護を行えるようにするため、介護の練習を始めた(乙一―一二三、一二四、一四六、一六三枚目)。

コ 平成一五年七月一八日、Aの主治医(F医師)は、診断名を「脳挫傷、外傷性くも膜下出血、気脳症髄液漏、外傷性ショック、右肩脱臼骨折」とし、症状としての安定度は「安定」、障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)は最大値の「C二」、日常の意思決定を行うための認知能力は「判断できない」、自分の意思の伝達能力は「伝えられない」、食事は「全面介助」とする所見を示すとともに、Aには、重度の四肢麻痺があり、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリテーションが必要であるとの所見を示し(乙一―五九枚目、六〇枚目)、Aは、同年一一月四日、舞鶴市から、介護保険法に基づく、要介護五の認定を受けた(乙二―一七枚目)。

サ 平成一六年二月四日、Aは、舞鶴医療センターを退院し、自宅介護となったが、上記のような高次機能障害が残ったため、自ら寝返りもできず、また、体温の調整もできない状態であり、エアコンで室温を管理する必要があるなど、常時介護が必要な状態であった。Aに対する介護は、主として原告X1が、紙おむつの交換、痰の吸引、温度調節、胃瘻による食事、洗面、歯磨き、ひげそり、身体清拭、体位変換、着替え等を担っていたほか、a医院のB医師による月一回程度の往診や、看護師による訪問看護、ヘルパーによる訪問介護が行われた(火曜日及び金曜日には、午後二時三〇分ころから一時間半程度、看護師一名とヘルパー一名による、摘便、吸引、身体清拭等の介護が、水曜日には午前九時五〇分ころから一時間程度、ヘルパー二名による入浴介助が、木曜日には午前一〇時三〇分ころから一時間程度、看護師一名とヘルパー一名によるリハビリテーションが、土曜日には午後零時三〇分ころから四時間半程度、ヘルパーによる介護がそれぞれ行われた。)(甲六、甲二八の一ないし四、甲二九、乙一―六〇、六七、一六四枚目、乙二―三四、一〇六枚目、乙四、五、原告X1本人)。

シ Aは、平成二〇年七月二日、本件事故による急性呼吸不全に陥り、同日、舞鶴医療センターに入院したが、同月六日午前九時三五分、舞鶴医療センターにおいて、本件事故による急性呼吸不全のため死亡した(甲三五の一、甲四三)。

(2)  Aに生じた損害について

ア 治療関係費 一一二万八四二〇円

説明・前記認定の事実関係によれば、Aが本件事故により負った傷害の治療のために入院を必要とした期間は、平成一五年二月二三日から平成一六年二月四日まで及び平成二〇年七月二日から同月六日までである。

証拠(乙一―八枚目、乙一二ないし一六の各二〔診療報酬明細書〕、乙一九の一ないし四)によれば、Aは、市立舞鶴市民病院において平成一三年一二月から二型糖尿病・高脂血症で治療中であったこと、平成一五年二月二三日から平成一六年二月四日までの間における治療費の合計は一二一万八二六〇円であるが、この期間に、本件事故による傷病とは言い難い糖尿病治療として、グリミクロン錠の投与や、試験紙法検査、ヘモグロビンAlC検査が行われており、これら治療費の総額は九万八二四〇円であることが認められる(診療報酬明細書〔乙一二ないし一六の二〕記載の診療行為のうち「グリミクロン錠」「試験紙法・アンプル法・固定化酸素電極による血中のケトン体・糖・クロール検査」「ヘモグロビンAlC」の記載のあるものの合計額)。したがって、上記期間における本件事故と相当因果関係のある治療関係費は、一一二万〇〇二〇円となる(計算式は、121万8260円-9万8240円=112万0020円である。)。

これに対し、被告らは、上記診療報酬明細書中「ヒューマリンR注四〇〇」との記載のある治療行為についても、糖尿病治療として行われたものであるから、その治療費総額一三万三三三〇円についても、本件事故とは相当因果関係のない治療費であると主張する。しかしながら、証拠(乙一九の一及び二)によれば、ヒューマリンR注は、糖尿病治療として投与されるのみならず、重症疾患や術後管理を目的として投与される場合もあるところ、前判示のとおり、Aは、本件事故により、外傷性くも膜下出血、気脳症髄液漏、頭蓋骨骨折外傷性ショック、脳挫傷、右肩関節脱臼骨折の傷害を負い、平成一五年二月二三日に本件開頭血腫除去術を受け、平成一五年三月三一日まで重症管理が行われていたのであり、ヒューマリンR注の全投与量の約九七パーセントも同月中に投与されていること、証拠(乙一二ないし一六の各二、乙一九の一)によれば、グリミクロン錠の投与やヘモグロビンAlC検査については、舞鶴医療センター退院間際まで継続的に行われていたのに対し、ヒューマリンR注の投与は同年七月以後は行われていないことからすれば、ヒューマリンR注の投与は、糖尿病治療として行われたものではなく、本件事故と相当因果関係のある治療行為であるというべきである。

そして、証拠(甲三五の一・二)によれば、平成二〇年七月二日から同月六日までの間における本件交通事故と相当因果関係のある治療関係費は八四〇〇円であるから、同金額に一一二万〇〇二〇円を加えた一一二万八四二〇円を治療関係費と認めるのが相当である。

イ 付添看護費 二〇八万二〇〇〇円

説明・前記認定の事実関係によれば、平成一五年二月二三日から平成一六年二月四日までの舞鶴医療センター入院中、Aに対しては、全身の清拭や、排泄面の介助、吸痰、口腔ケアなど、完全看護の態勢が採られていたが、原告X1は、意識障害に陥っていたAに対して刺激を与えることが必要だとの医師の指示に基づき、ほぼ毎日、朝から夕方までの間、Aに話しかけるなどしてAに付き添っていたことのほか、前判示のAの受傷内容、症状、年齢に照らせば、原告X2及び原告X3による付添い看護の必要性を認めることはできないものの、原告X1による付添い看護については、その必要性及び相当性を、すなわち、原告X1による付添い看護に要した費用と本件事故との間に相当因果関係を認めることができる。

そして、証拠(乙一八)によれば、原告X1の自宅から、舞鶴医療センターまでの距離は直線距離で約六〇〇メートルであることが認められることをふまえ、原告X1の一日あたりの付添看護費を付添い看護に要する交通費を含め六〇〇〇円、入院期間を三四七日間とすると、本件事故と相当因果関係のある付添看護費は二〇八万二〇〇〇円となる。計算式は、6000円×347日=208万2000円である。

ウ 付添交通費 〇円

説明・原告X1の付添い看護のための交通費は既に付添看護費において考慮済みである。原告X2及び原告X3による付添い看護に要した費用は、駐車場代を含め、前判示のとおり、本件事故との間に相当因果関係を認めることができない。

エ 住宅改造費 三九一万五〇〇〇円

説明・前判示のAの症状の内容・程度からすると、自宅介護のために、自宅を改造することに必要性、相当性が認められるから、その費用三九一万五〇〇〇円(甲一三の一及び二)は、本件事故と相当因果関係のある損害であることが認められる。

オ 後見人申請費用 五万円

説明・証拠(甲一四)及び弁論の全趣旨によれば、京都家庭裁判所舞鶴支部がAにつき平成一六年八月後見開始の裁判(成年後見人・原告X3)をしたこと(同月六日確定、同月九日登記)、そのために五万円の費用を要したことが認められることに加え、前判示のAの症状の内容・程度からすると、Aに後見人を選任することに必要性及び相当性が認められるから、上記費用五万円は、本件事故と相当因果関係のある損害であることが認められる。

カ 介護用ベッド 二九万四二五〇円

説明・証拠(甲一七)及び弁論の全趣旨によれば、A死亡時までに購入した介護用ベッドは、平成一六年一月七日ころに二九万四二五〇円で購入した一台のみであることが認められることに加え、前判示のAの症状の内容・程度からすると、自宅介護の際、介護用ベッドを使用する必要性及び相当性が認められるから、上記一台分の代金二九万四二五〇円は、本件事故と相当因果関係のある損害であることが認められる。

キ 雑費 四二六万七〇三七円

説明・原告らは、舞鶴医療センターへの入院日である平成一五年二月二三日から平成一七年一一月三〇日までの一〇一一日間に必要となった雑費の合計は二八一万九二五一円であると主張し、平成一七年七月分から同年九月分までの三か月間の雑費に関する明細書(甲一八の一ないし三)を提出する。

しかしながら、上記明細書は、介護費用として計上されるべき訪問看護料(上記明細書中「舞鶴赤十字京都府支部」と記載のあるもの)が含まれているほか、介護施設利用料(上記明細書中「株式会社□□」「訪問看護△△」と記載のあるもの)以外の諸費用について、本件全証拠によってもその使途が不明であることからすると、直ちに採用することはできない。そして、立替費用の内訳に関するメモ(甲一〇)によれば、平成一五年五月分から同年一二月分までの雑費の合計は三八万二五三六円であり(上記メモ〔甲一〇〕中、「紙おむつ」「尿パット」「パジャマ」「テレビカード」「雑貨」の各項目に記載された金額の合計)、一日あたりの雑費は一五六一円となる(計算式は、38万2536円÷245日=1561円〔一円未満切り捨て〕である。)から、同金額を基礎として、原告らが主張する上記期間(一〇一一日間)の雑費を算出すると、一五七万八一七一円となり(計算式は、1561円×1011日=157万8171円である。)、原告らの主張する二八一万九二五一円よりも大幅に低い額となることからすると、原告らの上記主張を認めることはできない。

そこで、舞鶴医療センター入院中(平成一五年二月二三日から平成一六年二月四日までの三四七日間)の雑費について検討するに、前判示のAの受傷内容、症状、治療態様(原告X1は、医師から、Aに刺激を与えることが必要だとの指示を受け、常時テレビを付けるなどしていたこと)を考慮すると、立替費用の内訳に関するメモ(甲一〇)中「紙おむつ」「尿パット」「パジャマ」「テレビカード」「雑貨」の各項目に記載された金額を本件事故と相当因果関係のある雑費として計上するのが相当であり、その一日あたりの金額は、前判示のとおり、一五六一円となる。したがって、一日あたりの入院雑費を一五六一円、入院期間を三四七日間とすると、本件事故と相当因果関係のある入院雑費は五四万一六六七円となる。計算式は、1561円×347日=54万1667円である。

次に、原告らは、明細書(甲一八の一ないし三)によれば、平成一七年七月分から同年九月分までの三か月間の雑費の合計が二五万〇六〇九円であるから、一年分に換算すると約一〇〇万円となるとして、これを基礎に、平成一七年一二月一日の時点におけるAの平均余命一一年の雑費が八三〇万六〇〇〇円であると主張する。

しかしながら、原告らは、本件事故によりAが死亡したことを前提に損害賠償を請求している以上、A死亡時までに必要となった雑費のみが本件事故と相当因果関係のある損害というべきである。また、一年分の雑費が約一〇〇万円になるとの原告らの主張についても、前判示のとおり、上記明細書は、介護費用として計上されるべき訪問看護料が含まれているほか、介護施設利用料以外の諸費用について、本件全証拠によってもその使途が不明であることからすると、直ちに採用することはできず、ほかに、原告らの上記主張を認めるに足りる証拠はない。

そこで、前判示のAの症状、介護状況等に照らせば、後記の介護施設利用料を除く、一日あたりの雑費は一五〇〇円とするのが相当であるから、平成一六年二月五日からAの死亡時である平成二〇年七月六日までの一六一四日間の雑費(介護施設利用料を除く。)は、二四二万一〇〇〇円となる。計算式は、1500円×1614日=242万1000円である。

そして、前判示のAの症状、介護状況等に照らせば、介護施設の利用には必要性及び相当性が認められるところ、明細書(甲一八の一ないし三)によれば、平成一七年七月分の介護施設利用料の総額は一万七八三三円であり、同年八月分の介護施設利用料の総額は二万六三六四円であり、同年九月分の介護施設利用料の総額は二万八二六九円であることが認められるから、一か月の介護施設利用料の平均額は二万四一五五円となる。計算式は、(1万7833円+2万6364円+2万8269円)÷3か月=2万4155円(一円未満切り捨て)である。そうすると、平成一六年二月五日からAの死亡時である平成二〇年七月六日までの介護施設利用料は、一三〇万四三七〇円となる。計算式は、2万4155円×54か月=130万4370円である。

以上によれば、本件事故と相当因果関係のある雑費は、四二六万七〇三七円となる。計算式は、54万1667円+242万1000円+130万4370円=426万7037円である。

ク 介護費用 一五六五万五八〇〇円

説明・原告らは、Aには、二四時間の介護が必要であり、一日あたりの泊まり込みの職業付添人を頼んだ場合の料金は一万四五〇〇円であるとして、これを基礎に、平成一七年一二月一日の時点におけるAの平均余命八四歳までの一一年間の介護費用が四三九五万九五〇五円であると主張する。

しかしながら、原告らは、本件事故によりAが死亡したことを前提に損害賠償を請求している以上、A死亡時までに必要となった介護費用のみが本件事故と相当因果関係のある損害というべきである。また、一日あたりの泊まり込みの職業付添人を頼んだ場合の料金は一万四五〇〇円であるとの原告らの主張についても、前記認定の事実関係によれば、Aに対する介護の大半を原告X1が行っているのであり、一週間あたりのヘルパーが訪問する延べ時間は約九時間にすぎないから、すべての介護時間について、泊まり込みの職業付添人よる料金を基準として、介護費用を算定するのは相当ではない。

そこで、原告X1による常時介護を前提に介護費用を算定すべきであるが、前判示のとおり、原告X1による介護のほかに、一週間あたり延べ九時間程度ヘルパーによる介護が行われていたのであり、前判示のAの症状、介護状況等に照らせば、一週間あたり延べ九時間程度ヘルパーによる介護を利用することには必要性及び相当性が認められるから、この分の費用は本件事故とは相当因果関係のある介護費用というべきである。そして、証拠(甲一五)によれば、パートとしてケア・ワーカーを雇った場合における一時間あたりの料金は、紹介手数料を含めて、一三二〇円であるから、一週間あたりのヘルパー利用料金は一万一八八〇円となり(計算式は、1320円×9時間=1万1880円である。)、一日あたりのヘルパー利用料金は約一七〇〇円となる。計算式は、1万1880円÷7=1697円(一円未満切り捨て)である。原告X1による常時介護費用は一日あたり八〇〇〇円とするのが相当であるから、これに一七〇〇円を加えた九七〇〇円を、平成二〇年七月二日から同月六日までの入院期間を含めた一日あたりの介護費用の平均金額とするのが相当である。

したがって、舞鶴医療センターを退院した日である平成一六年二月五日からAの死亡時である平成二〇年七月六日までの一六一四日間の介護費用は、一五六五万五八〇〇円となる。計算式は、9700円×1614日=1565万5800円である。

ケ 葬儀関係費用 一五〇万円

説明・証拠(後掲のもの)及び弁論の全趣旨によれば、原告らが、Aの葬儀関係費用として、合計一七五万六七一〇円(内訳は、葬儀代四〇万四六七四円〔甲三六〕、葬儀場送迎タクシー代二万二〇三〇円〔甲三七〕、死装束代二万三七三〇円〔甲三八。ただし、ストレッチ足袋二七三〇円を除く。〕、供物代(棺桶に納めたもの)四二四〇円〔甲三九〕、仏壇代六〇万円〔甲四〇〕、戒名彫刻代四万七〇〇〇円〔甲四一〕、花代一万九〇三六円〔甲四二の一ないし七〕、寺への布施代その他六三万六〇〇〇円の合計一七五万六七一〇円である。)を支出をしたことが認められるところ、本件事故と相当因果関係のある葬儀関係費用としては、このうち一五〇万円を認めるのが相当である。

コ 休業損害 七二七万四七五六円

証拠(甲一九の一、二、甲二九、原告X1本人)によれば、Aは、本件事故当時、ガスの溶接関係のアルバイトに従事しており、これによる平成一四年度及び平成一五年度の収入は、いずれも一三五万四〇四七円であったことが認められるから、基礎収入を一三五万四〇四七円とし、本件事故は平成一五年二月二三日午前一時二七分ころに発生していることから、休業日数を本件事故の日である同日からAの死亡時である平成二〇年七月六日までの一九六一日として算出した上記金額を休業損害として計上するのが相当である。計算式は、135万4047円÷365日×1961日=727万4756円(一円未満切り捨て)である。

サ 死亡逸失利益 一〇〇一万六〇五三円

前判示のとおり、Aは、本件事故当時、ガスの溶接関係のアルバイトに従事していたほか、証拠(甲一九の一、二)によれば、年間二八〇万五三九六円の年金を受給していたことが認められる。

そして、アルバイト収入に係る死亡逸失利益は、次のとおり、三五一万七三二六円となる。すなわち、①A(昭和○年○月○日生)は、死亡時である平成二〇年七月六日当時七六歳であり、平成一九年簡易生命表によれば、その平均余命は一〇・七八歳であるから、五年間就労し、その間、前判示のアルバイト収入年額一三五万四〇四七円を得ることができたと認めるのが相当である。②生活費控除率を四〇パーセントとするのが相当である。③したがって、上記アルバイト収入年額を基礎収入とし、四〇パーセントの生活費控除をした上で、期間を五年間とし、ライプニッツ係数(四・三二九四)を乗じて中間利息を控除すると上記金額となる。計算式は、135万4047円×(1-0.4)×4.3294=351万7326円(1円未満切り捨て)である。

次に、年金収入に係る死亡逸失利益は、次のとおり、六四九万八七二七円となる。すなわち、①Aは、一〇年間、前判示の年額二八〇万五三九六円の年金を得ることができたと認めるのが相当である。②生活費控除率を七〇パーセントとするのが相当である。③したがって、上記年金年額を基礎収入とし、七〇パーセントの生活費控除をした上で、期間を一〇年間とし、ライプニッツ係数(七・七二一七)を乗じて中間利息を控除すると上記金額となる。計算式は、280万5396円×(1-0.7)×7.7217=649万8727円(1円未満切り捨て)である。

以上によれば、死亡逸失利益の合計は上記金額となる。計算式は、351万7326円+649万8727円=1001万6053円である。

シ 死亡慰謝料 二二〇〇万円

説明・本件事故の態様、受傷の程度、その後死亡時までの症状、Aの年齢、生活状況、その他本件記録に現れた一切の事情を考慮すると、本件事故による入院・在宅介護・死亡慰謝料(原告ら主張の入院慰謝料及び死亡慰謝料)は、Aにつき二二〇〇万円と認めるのが相当である。

ス 小計 六八一八万三三一六円

説明・内訳は、休業損害及び死亡逸失利益一七二九万〇八〇九円、その他の損害五〇八九万二五〇七円である。

セ 過失相殺減額 四七七二万八三二一円

説明・前判示のとおり、本件事故における過失割合は、A三〇パーセント、被告Y1七〇パーセントと認めるのが相当であるから、三〇パーセントの過失相殺減額を行うと、上記金額四七七二万八三二一円となる(内訳は、休業損害及び死亡逸失利益一二一〇万三五六六円、その他の損害三五六二万四七五五円である。)。計算式は、6818万3316円×(1-0.3)=4772万8321円(1円未満切り捨て)である。

ソ 既払金控除 三二九万一三五二円

説明・前判示のとおり、Aは、本件事故の損害金の内金として被告Y2の任意保険会社から一〇五四万四三一四円の支払を受けたほか、平成一八年六月五日に自賠責保険金四〇〇〇万円の支払を受けている。そこで、任意保険会社からの支払分一〇五四万四三一四円を損害金元金四七七二万八三二一円に充当すると、残金は三七一八万四〇〇七円となる(内訳は、休業損害及び死亡逸失利益九四二万九六〇二円、その他の損害二七七五万四四〇五円である。)。計算式は、4772万8321円-1054万4314円=3718万4007円である。そして、残金三七一八万四〇〇七円に対する平成一五年二月二三日(本件事故発生日)から平成一八年六月五日(自賠責保険金支払日)まで(一一九九日)の確定遅延損害金は、六一〇万七三四五円となる。計算式は、3718万4007円×0.05×1199日÷365日=610万7345円である(1円未満切り捨て)。確定遅延損害金、元本の順に既払金四〇〇〇万円を充当すると、上記金額三二九万一三五二円となる(内訳は、休業損害及び死亡逸失利益八三万四六六四円、その他の損害二四五万六六八八円である。)。計算式は、4000万円-610万7345円=3389万2655円、3718万4007円-3389万2655円=329万1352円である。

タ 弁護士費用 八〇万円

説明・本件事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情によれば、本件事故と相当因果関係のある損害としては、原告らの固有の損害(慰謝料)を求める部分を含め、八〇万円を認めるのが相当である。

チ 小計 四〇九万一三五二円

(3)  原告ら固有の損害(慰謝料)について

説明・本件事故の態様、Aが本件事故により受けた傷害の部位・程度、その後死亡するまでの症状、原告らの生活状況その他本件記録に現れた一切の事情を考慮すると、本件事故による慰謝料は、原告X1につき二八〇万円、原告X2及び原告X3につき各一四〇万円と認めるのが相当である。

(4)  合計(及び原告X1に係る損益相殺)

ア 原告X1 四四二万八三四四円

イ 原告X2及び原告X3 各二四二万二八三八円

説明・前判示のとおり、原告らは、Aの死亡により、法定相続分に従って、被告らに対する損害賠償請求権を、原告X1については、その二分の一、原告X2及び原告X3については、それぞれ四分の一相続したから、原告X1の相続分は二〇四万五六七六円であり、原告X2及び原告X3の相続分は各一〇二万二八三八円となる。計算式は、原告X1については、409万1352円÷2=204万5676円であり、原告X2及び原告X3については、409万1352円÷4=102万2838円である。

そして、原告ら固有の損害(慰謝料)は、原告X1につき二八〇万円、原告X2及び原告X3につき各一四〇万円であるから、これに各原告の相続分を含めると、原告X1につき四八四万五六七六円、原告X2及び原告X3につき各二四二万二八三八円となる。計算式は、原告X1については、204万5676円+280万円=484万5676円であり、原告X2及び原告X3については、102万2838円+140万円=242万2838円である。

もっとも、弁論の全趣旨によれば、原告X1は、平成二一年六月一八日(口頭弁論終結日)までに、厚生年金遺族年金を平成二〇年八月分から平成二一年五月分まで合計九八万六八三〇円(計算式は、19万7366円×5回=98万6830円である。)の支給を受け、同年六月分九万八六八三円(計算式は、19万7366円÷2か月=9万8683円である。)の支給を受けることが確定していたことが認められるから、原告X1の上記相続分二〇四万五六七六円のうち休業損害及び死亡逸失利益四一万七三三二円(計算式は、83万4664円÷2=41万7332円である。)に上記厚生年金遺族年金合計一〇八万五五一三円を上記四一万七三三二円の限度で充当すると、一六二万八三四四円となり、これに原告X1固有の損害(慰謝料)二八〇万円を加算すると、四四二万八三四四円となる。

三  結論

以上の次第で、原告X1の被告ら各自に対する請求は、四四二万八三四四円及びうち三二〇万円(固有の損害二八〇万円+弁護士費用四〇万円)に対する不法行為の日(本件事故の日)である平成一五年二月二三日から、うち一二二万八三四四円(相続分一六二万八三四四円-四〇万円)に対する自賠責保険金支払日の翌日である平成一八年六月六日からそれぞれ支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がなく、原告X2及び原告X3の被告ら各自に対する請求は、それぞれ二四二万二八三八円及びうち一六〇万円(固有の損害一四〇万円+弁護士費用二〇万円)に対する不法行為の日(本件事故の日)である平成一五年二月二三日から、うち八二万二八三八円(相続分一〇二万二八三八円-二〇万円)に対する自賠責保険金支払日の翌日である平成一八年六月六日からそれぞれ支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がないから、主文のとおり判断する。

(裁判官 池田光宏 井田宏 森里紀之)

(別紙)

交通事故現場見取図

<省略>

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