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京都地方裁判所 平成27年(ヨ)318号 決定 2015年10月16日

債権者

株式会社X

同代表者代表取締役

同代理人弁護士

関戸一考

関戸京子

橋口直太

上田雅貴

債務者

Y労働組合

同代表者執行委員長

同代理人弁護士

塩見卓也

中村和雄

諸富健

主文

1  本件申立てをいずれも却下する。

2  申立費用は債権者の負担とする。

理由

第1申立ての趣旨

申立ての趣旨は、別紙「立入禁止等仮処分命令申立書」の「申立の趣旨」に記載のとおり(ただし、第4項イを除く。)である。

第2当事者の主張

債権者の主張は、別紙「立入禁止等仮処分命令申立書」及び同「主張書面1」に記載のとおりであり、これに対する債務者の主張は、同「答弁書」、同「第1主張書面」及び同「第2主張書面」に記載のとおりである。

第3当裁判所の判断

1  債権者は、京都市長等から一般廃棄物処理業及び産業廃棄物処理業の許可を受け、廃棄物の収集・運搬業を営んできた株式会社である。

本件は、債権者が、債権者の従業員が債務者に加盟して分会を結成し、別紙立入禁止等仮処分命令申立書の別紙物件目録記載の不動産(以下「本件不動産」という。)を占拠し、債務者の組合員及び従業員以外の者の本件不動産への出入りを禁止するなどしており、これらの行為は債権者の営業活動や同不動産に係る所有権及び占有権を著しく毀損するものであるなどと主張して、債務者に対し、営業権、占有権及び所有権に基づき、申立ての趣旨記載の各保全処分を求める事案である。債務者は、債務者の行為は争議権の行使の範囲内であって違法性はないと主張し、また、保全の必要性についても争っている。

なお、審尋終結後の平成27年10月15日に申立ての趣旨の訂正申立てがなされている。

2  本件事案の内容及び本件の進行の経過に鑑み、保全の必要性についてまず判断する。

本件において、債権者は、概要、債務者の行為によって債権者の業務が妨害され、顧客の廃棄物処理や公衆衛生にも重大な支障が生じることをもって、前記申立てに係る仮処分命令を得る必要性がある旨を主張している。

しかしながら、債権者は、平成27年9月14日付けで、京都市長から一般廃棄物処理業及び産業廃棄物処理業の各許可の取消処分を受け、同処分を殊更争っていないことが一応認められ(証拠<省略>、審尋の全趣旨)、従前と同様に廃棄物処理業の許可を前提として顧客の廃棄物を収集するという営業を継続することは現時点では不可能となっている状況にある。また、債権者は、一部の集金業務を継続できる見込みがあり、企業としての営業権は廃棄物処理業の業務とは無関係に存するなどとも主張するところ、債務者によって債務者の組合員及び従業員以外の者の本件不動産への出入りが禁止されたと主張されている平成27年9月7日以降も、債権者代表者又は同人の関係者は、顧客との間で直接対応を行い、種々の業務を行い得ていることがうかがわれ、その主張するような営業活動がおよそ不可能な状態にあるとも認め難い(証拠<省略>)。さらに、債務者によって、債権者の主張に係る業務妨害行為が行われる危険性や債権者の所有するパソコン内のデータ、車両や機器が損壊される危険性が存することについても、具体的な疎明はない。

したがって、債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるために本件申立てに係る仮処分命令が必要であるとの事情(民事保全法23条2項)が疎明されているとはいえない。

3  よって、債権者の本件申立てはいずれも理由がなく、これらを却下すべきであるから、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 堀内照美 裁判官 石村智 裁判官 渡邊毅裕)

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