大判例

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京都地方裁判所 昭和25年(ワ)234号 判決

原告 野村耕平 外一名

被告 株式会社商業興信所

一、主  文

原告の訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告等訴訟代理人は被告会社が昭和二十四年三月三十一日京都市上京区北野白梅町三十四番地において開催せられた被告会社の臨時株主総会において原告等を被告会社の取締役に選任した決議の無効なることを確認する。被告会社は原告等を取締役として昭和二十四年四月十九日爲したる選任登記を抹消すべし。訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め、その請求の原因として被告会社は昭和二十四年三月三十一日京都市上京区北野白梅町三十四番地の本店において、臨時株主総会を開催し、原告等は被告会社の株主でないに拘らず原告等を被告会社の取締役に選任する旨の決議をなしたが、被告会社の定款第二十四條には「取締役は五十株以上を有する当会社の株主中株主総会において、これを選任する。」とあつて右の決議は被告会社の定款の規定に違反し無効のものであるからその確認を求めるとともに被告会社が原告等を被告会社の取締役として昭和二十四年四月十九日なしたる就任登記の抹消を求めるため本訴請求に及んだと陳述した。<立証省略>

被告訴訟代理人は原告等の請求は棄却するとの判決を求め答弁として原告主張事実中原告等主張の日時場所において臨時株主総会の開催せられたこと、同総会において原告等を被告会社の取締役に選任する旨の決議のなされたこと、原告主張の如き定款の規定があること、原告主張日時にその主張の如き登記がなされたことはいずれも認めるが原告等が被告会社の株主でないとの主張は爭う。被告は原告主張の日時場所において臨時株主総会を開催するに当つて当時代表取締役であつて株主であつた指方庸長(寅雄)からその持株のうち百株宛を原告等に讓渡して原告を被告の取締役に選任する旨の決議をなしたもので原告等はいずれも百株宛の株主であつて原告主張のように定款の規定に違反することのない有効な選任決議である。從つて原告主張の登記も亦何等抹消すべき理由のないものであるから原告の本訴請求はいずれも失当であると陳述した。<立証省略>

三、理  由

原告主張の日時場所において被告会社の臨時株主総会の開催せられたこと、同総会において原告等を被告会社の取締役に選任する旨の決議のなされたことは当事者間に爭のないところである。そしていやしくも株主総会の決議があつた以上仮令その総会の決議が定款の規定に違反して無効を主張することが出來る場合であつても、その株主総会において取締役に選任せられたものは形式上決議とともに取締役の資格を取得したものと謂うことが出來る。そしてかかる取締役といえども会社に対して訴を提起する場合は原則としてその訴に付いては監査役が会社を代表すべきことは商法第二百七十七條の規定するところである。今本件についてみると原告等の主張は被告会社の定款によると株主でなければ被告会社の取締役監査役に選任せられないのにその定款に違反して何等株主でもない原告等を臨時株主総会において被告会社の取締役に選任する旨の決議をしたが右の決議は定款に違背する無効のものであるからその確認を求めるというのであつて、かゝる訴の提起は一應原告等は被告会社の取締役の資格においてなすべきものであり、事実その資格において訴を提起したものとみられるから前記商法の規定からみれば会社を代表すべきものとしては被告会社の監査役を表示しなければならない。然るに本訴状においては被告会社の法定代理人として被告会社の取締役指方寅雄(庸長)が表示せられ被告会社の監査役の表示のないことは本件の記録上明白であつて又右指方寅雄が被告会社の監査役と認められる確証もない。そうだとすると原告の本訴はこの点において既に不適法である。よつて原告の本件訴は爾余の判断をするまでもなく不適法として却下、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九條を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 石崎甚八)

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