京都地方裁判所 昭和31年(行)18号 判決 1964年4月21日
原告 株式会社大沢商会
被告 中京税務署長
訴訟代理人 水野祐一 外八名
主文
原告の請求は、いずれもこれを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一、双方の申立
原告訴訟代理人は
被告のした、原告の別紙第一表記載各事業年度の法人税につき、所得金額を同表A欄記載のとおりとする旨の各更正処分のうち同表B欄記載の金額を超える各部分、及び同表C欄記載の過少申告加算税を賦課する旨の各処分は、いずれも取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求め、被告指定代理人は、第一次的に
本訴のうち、昭和二九年下期、昭和三〇年上期、昭和三〇年下期の各事業年度に関する部分の各訴を却下する。
原告のその余の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求め、予備的に昭和二九年下期、昭和三〇年上期、昭和三〇年下期の各事業年度に関する部分についても請求棄却の判決を求めた。
第二、請求の原因
一、原告は昭和二八年乃至昭和三〇年当時その本店を京都市中京区三条通河原町東入る中島町七四番地に置いていた会社であるが、被告は、原告の昭和二八年上期、同年下期、昭和二九年上期、同年下期、昭和三〇年上期、同年下期の六事業年度の法人税につき原告のした確定申告に対し、前の三事業年度分については昭和三一年五月二二日付で、後の三事業年度分については同年八月二二日付で、請求の趣旨記載のとおりの所得金額更正処分及び過少申告加算税賦課処分をした。
二、所得金額更正処分の違法
(一) 右更正処分をなすにつき被告は次のような損益計算により原告の所得金額を算定した。
1、原告は前記六事業年度において、訴外大沢商事株式会社(以下単に大沢商事という)の債務を自己の債務として弁済するため別紙第二表A欄記載の各金額を支出し、これらを回収不能として損金に計上したところ、被告は右支出が法人税法第九条第三項にいう寄付金に該当するとし、そのうち同表B欄記載の各金額を寄付金損金算入限度超過分として損金に算入しない。
2、被告は、原告が前記六事業年度に支出し損金に計上処理した役員賞与金中別紙第三表A欄記載の金額の損金算入を認めない。また被告は、原告が右各事業年度において利益処分の役員賞与として支出した同表B欄記載の金額の損金算入を認めなかつた。
3、原告は昭和二九年上期における帳簿締切後の売約利益金一、五五二、三八八円及び昭和三〇年下期における帳簿締切後の売約利益金三五〇、四八〇円をいずれもその翌期の益金に計上したところ、被告は右計算を否認し、前者を昭和二九年上期の、後者を昭和三〇年下期の各益金に算入した。
4、原告は得意先に対し売上高の一定歩合によるリベートを行つているが、昭和二九年下期に二、一八五、一七九円、昭和三〇年上期に三、二六三、八三五円、昭和三〇年下期に二、六六三、二七四円の各未払リベート金があり、これらを預り金としてその期の損金に計上したところ、被告は右計算を否認し、これらは現実に支払の行われた期即ちそれぞれの翌期の預り金に計上すべきものとして、結局、昭和二九年下期における金二、一八五、一七九円の損金算入および、昭和三〇年上期における金一、〇七八、六五六円(当期損金否認額三、二六三、八三五円から前期否認当期認容額二、一八五、一七九円を差引計算したもの)の損金算入を認めず、昭和三〇年下期において金六〇〇、五六一円(前期否認当期認容額三、二六三、八三五円から当期損金否認額二、六六三、二七四円を差引いたもの)を損金に算入した。
(二) しかしながら、右の各費目については、次の理由により原告が行つた計算を正当とすべきである。即ち、
1、大沢商事の債務支払について。
原告が大沢商事の債務につき支払をなすに至つた事情は次のとおりである。
(1) 原告会社は明治二五年に現代表取締役大沢善夫の祖父大沢善助が創業し、当初の時計製造販売から逐次発展して写真機、自転車及び雑貨類の貿易を併せ営むようになり、大正八年四月株式会社に改組し、更に自動車及びその部品、機械工具、礦油、ゴム製品、毛織物等の卸売、貿易を併せ営むようになり、昭和二二年末には京都本店のほか札幌、東京、名古屋、大阪、小倉各支店を有していた。ところで原告会社は商策として各店とも同一商品を扱うことを志向していたが、当時現実には、大阪支店はゴム製品と機械工具だけを、また小倉支店は、主として右両者を、扱つている一方、その他の支店と本店は概ねそれらを扱つておらず、しかもゴム製品と機械工具は他の商品と性格を異にするので、前述各店同一商品という志向による企業の合理化と統製品たるゴムの移管の意味で、昭和二三年一月、大阪支店の店舗その他の資産負債全部、小倉支店の店舗並びに同支店及び東京支店のゴム製品機械工具関係の資産負債全部を譲渡して、ここに大沢商事株式会社が設立された。
右大沢商事の設立にあたり、その本店には原告会社の旧大阪支店をあて、その役員、従業員は原告会社の旧当該担当者をもつて構成するとともに、原告は大沢商事の後援を約し、その方法として原告の取締役会長と専務取締役が大沢商事の取締役会に出席すること(連絡会議と称した)としこれによつて原告は指導的立場をとり、また「大沢」という呼称を商号に加えることを許して信用を与えた。なお、昭和二三年八月一日の連絡会議で、大沢商事は原告に対し右呼称の使用料を含めた老舗料の意味で売上高の一、〇〇〇分の五を支払うこととなり、また設立時には原告は大沢商事の株式を引受けなかつたが昭和二五年一〇月に行われた第二回目の増資に際し新株二、〇〇〇、〇〇〇円を引受け、これにより原告は大沢商事の資本総額一二、〇〇〇、〇〇〇円中二、〇〇〇、〇〇〇円を保有するに至つた。
以上のように大沢商事は諸般に亘つて原告と密接な関連を持つており、全く原告の子会社たる地位にあつた。
(2) ところが大沢商事は昭和二六年五月、ゴムの値下り等により経営破綻を来し、役員が総辞職を表明するとともに原告に対策を要請して来たので、原告は自己を代表した新役員を送つて実情を調査したところ、多額の負債不良資産が存在し、原告の資金力をもつてしては営業の持続が不可能であることが判明した。
ところで大沢商事が原告の子会社の地位にあつたことは前述のとおりであるが、更に、大沢商事設立の際原告から自己の取引先へ信用供与の意味の挨拶状を出していたこと、右破綻時における大沢商事の外部負債は約三六、四一〇、〇〇〇円であつたが、その四五%(約一七、四三〇、〇〇〇円)の債権者たるダンロツプ社は大正五年以来原告の仕入先で、原告に対し数種の商品の特約店として独占扱いを許容し、原告の業績に寄与するところ多大であり、原告としてはかかる取引先に対し、商号を英訳すれば共にOSAWA COMMERCIAL COMPANYとなる原告と大沢商事が別のものであるなどとは国際信用上からも言えない立場にあつたこと、また前記負債中約四、三二〇、〇〇〇円の債権者である日本ゴム株式会社、約三、五八〇、〇〇〇円の債権者である入間川ゴム株式会社に対しても原告はほぼ同じ立場にあつたこと、(なお、原告の得意先であるとともに大沢商事の株主である者のうちには、原告からの買掛代金を支払う際に大沢商事の株金相当額を控除する者があり、したがつて事実上解散状態にある大沢商事を法律上も解散としたいがそうすると原告に株金を求償されるので、結局原告が無価値の大沢商事株式を五円前後で買入れていたこともある。)等の諸事実があり、これによれば原告は、商法第二三条の規定により自己の商号の使用を大沢商事に許諾したものとして、大沢商事の前記負債につき連帯債務者として弁済すべき責任を負うものであつた。
(3) 原告は右責任を認識するとともに商人としての道義的責任ないし信用保持の見地からも、積極的に右弁済の責を果さんとしたが、前記負債の全額を一時に支払うことはできなかつたので、昭和二六年七月、大沢商事からの委任に基き原告会社内に委任経営部を設け(これについては独占禁止法第一六条の届出をした)、これに大沢商事の事業を承継させ、その利益で前記負債を六ケ月毎に崩済し昭和二九年上半期中で完済する計画を立て、原告から右計画に対し大沢商事の債権者の承諾を得た。
ところが右委任経営部は昭和二七年上期に約六、五〇〇、〇〇〇円の損失を出し、所期の目的を達することができない見透しとなつたので、原告はこれを解体し、前記弁済計画については各債権者に懇請して弁済期間を延長し残債務三一、二七〇、〇〇〇円を昭和二八年一月から昭和三七年六月までの間に六ケ月毎に崩済することの同意を得、これに基いて別紙第二表A欄記載の各金額を支払つて来たのである、以上のとおり、原告は商法第二三条の規定により(仮に大沢商事の債権者が原告を営業主であると誤認して取引をした者でないとしても、原告の方から進んでこれを誤認取引者と認めその責に任じた以上、同条の適用あるものと解すべきである)、前記大沢商事の負債につき連帯債務者として法律上の支払義務があつたものであり、仮にそうでないとしても、大沢商事との前記経営委任及び債務支払に関する契約は、第三者のためにする契約たる重畳的債務引受に該当し、第三者たる大沢商事の債権者は前記崩済計画を承諾することによつて受益の意思表示をしたものであり、右は商行為であるから、これにより原告は前記負債につき連帯債務者として法律上の支払義務を負うに至つたものである。
そうすると、原告が連帯債務者として支払つた別紙第二表A欄の金員が損金であることは明らかというべく、また仮に原告が大沢商事の債務につき法律上の支払義務を負つていなかつたとしても、本来右のような支出が税法上の損金であるか否かは法律上の責任の有無によつて決まるものでなく、事業に便益を与えたか否かによつて決まるのであり、しかして便益を与えたか否かの判定には結局納税義務者の判断を尊重すべく、これを本件について言えば原告が支払責任を認識したか否かが問題とさるべきところ、原告としては前述のとおり右支払は原告の信用保持のため必要であり事実上も拒否し難いもの(所得税に関する基本通達一―二六六参照)と判断してなしたのであるから、いずれにしても右支出が損金であることは明らかである(原告の右判断が誤つているとしても、これが損金であることは市況の誤認に因る損失等が損金であることと何ら異るところはない)。
2、役員賞与について。
役員賞与は、損金処理をした場合でも利益処分処理をした場合でも商法及び税法上会社の損金である。即ち法人税法では益金損金の定義をしていないから、その意義は条理としての企業会計原則によるべく、これによれば企業は資本主の所有であるとの立場から、「資本主持分を増加せしめるものが益金であり、資本主持分を減少せしめるものが損金である。」ということになり、本件役員賞与金は、株主に配当すべき利益を減殺している意味でその持分を減少せしめているから、損金であり、これを損金でないとするならその旨法律の規定を要するといわねばならない。
3、帳簿締切後の売約利益について。
一般に事業会社において、決算期日即ち事業年度の末日をもつてたな卸をすることは事実上不可能に近いので、決算期日の数日前(ふつう最終の休日)に売買に関する帳簿を締切りその日をもつて実地たな卸をし、その後の売買は翌期に繰り延べるということが行われており、これは公認会計士の監査においても一般に容認されているところであつて正規の簿記原則に反するものではない。原告が本件売約利益について行つた処理も右のような実務の通例に従つたものとして正当というべく、敢えてこの計算を否認し当期の益金に計上した被告の処理は違法である。もし被告のように解するならば、原告が当期の損金に計上していない期末の月の二一日から末日までの間の勤務手当、その月分の電気料、水道料、ガス料、電話料等の経費も同様当期の損金に算入すべく、そうすればこれら損金は右益金たる売約利益金よりも大となつてくる。
4、未払リベートについて。
得意先に対するリベートは、売上利益に対応する費用であるからこれが損金であることはいうまでもなく、またこれを売買の発生した事業年度の損金とすべきことは、リベートの性質上売上利益の発生に伴つて客観的に債務性を帯びることから、仮にそうでないとしても税法上法人の所得計算が期間計算であること及び会計原則における収益費用対応の原則からして、当然というべきである。なおこの点につき被告は税法が権利確定主義を採つているというが根拠がなく、また右収益費用対応の原則を排除する税法の規定はない。
(三) 以上述べた如く、右各費目につき被告の行つた計算は不当であつて、いずれも原告の行つた計算を正当とすべく、なお本件所得金額更正処分における被告の計算のうち、前記各費目以外の部分は原告として争わないから、結局原告の正当な所得金額は別紙第一表B欄記載のとおりとなり、したがつて本件所得金額更正処分のうち右正当な所得金額を超える部分はいずれも違法である。
三、過少申告加算税賦課処分の違法
二に述べた限度において本件所得金額更正処分は違法であり、しからばそれが適法になされたことを前提とする別紙第一表C欄記載の過少申告加算税を賦課した処分もその限度において当然違法である。
また仮に本件所得金額更正処分に違法はないとしても、次のような諸事情、即ち、大沢商事の債務支払を寄付と見るが如きは常識外のことであつて現に国税庁及び国税局がかく断ずるまでには数ケ月の検討を要していること、役員賞与が現金か否かについては解釈の分れているところであること、帳簿締切後の売約利益の点については判例及び国税庁の見解が被告のそれと反対であること、未払リベートについての原告の計算は主務官庁が指示し且つ一般にも公正妥当と認められている基準に従つたものであること等により、原告としてはこれらの費目について被告が本件更正処分において採つたような態度に出ることを知るべくもなかつたのであるから、本件更正処分によつて増加した法人税額中右各費目の金額に対応する部分については、法人税法(昭和三七年法律第六七号による改正前のもの)第四三条第一項にいう「更正………前の税額の計算の基礎とされていなかつたことについて正当な事由がある」場合に該当するというべく、したがつて右部分は過少申告加算税額算定の基礎たる法人税額から控除さるべきものであり、これをしなかつた限度において本件過少申告加算税賦課処分は違法たるを免れない。
四、訴訟要件
本件更正及び賦課処分は大阪国税局調査官の調査に基づくものであるところ、原告は前の三事業年度分について昭和三一年五月二二日に、後の三事業年分については同年八月二三日に、右各処分の通知を受けたので、前の三事業年度分に対しては同年六月一六日、後の三事業年度分に対しては同年九月二〇日、それぞれ大阪国税局長に法人税法(昭和三七年法律第六七号による改正前)第三五条に基づく審査の請求をした。しかして本訴提起の時までに右各請求に対する決定はなかつたが、すでに述べたように本件各処分は大阪国税局調査官の調査に基づくものであり、しかも本件係争費目のうち大沢商事債務の支払に寄付金規定を適用するについては本件更正処分に先立つて被告乃至大阪国税局から国税庁に禀議がなされており、また役員賞与についての被告の処理は国税庁の発した法人税基本通達二六二及び二六六に依つたものであるから、大阪国税局長が前記審査請求に対する決定において、これらに関する原告の主張を容れ得る余地は無いというべく、このことと右二費目の係争金額が本件全係争金額の約八割五分を占めることを併せれば、原告は審査決定を経ずして本訴を提起するにつき法人税法(前記改正前)第三七条第一項但書の正当事由があつたものである。
よつて叙上各違法部分の取消を求める。
第三、被告の本案前の主張
本訴のうち昭和二九年下期、昭和三〇年上期、同年下期の三事業年度分に関する部分が法人税法(前記改正前)第三七条第一項本文に定める訴願前置の要件を満していないことは原告の自認するところであり、原告主張の、本件各処分が大阪国税局調査官の調査に基づくものであること、大沢商事の債務支払に寄付金規定を適用するにつきあらかじめ国税庁に禀議したこと、役員賞与に関する被告の処理が同庁の法人税基本通達二六二及び二六六に依つたものであること、はいずれも認めるが、それだからといつて本件に同項但書にいわゆる正当な事由があるとはいえない。したがつて右部分の訴は不適法として却下さるべきである。
第四、請求原因に対する被告の答弁及び主張
一、請求原因一の事実は認める。なお、本件所得金額更正処分にあたつて被告の認定した損益計算を原告の確定申告書における計算と対比して示すと別紙第四表のとおりであり、被告は右により算出された所得金額から一〇〇円未満の端数を切捨てた額をもつて本件更正所得金額としたのである。
二(一) 請求原因二の(一)のうち、
1の事実は認める(別紙第四表(一)乃至(六)の各(3)がこれに該当する)。被告の行つた寄付金損金算入限度超過額の計算は別紙第五表のとおりである。
2の前段の事実(原告主張第三表A欄の金額関係)は認める(第四表(一)乃至(六)の各(2)に該当する)。損金から控除した右金額は、原告が損金処理をした役員賞与中必要経費と認められないもの、即ち使用人の賞与率(使用人に支給された賞与額をその給料額で除した値)を超えるものである同後段の事実のうち、原告が第三表B欄の金額を利益処分の役員賞与として支出したことは認めるが、右金額は原告の確定申告でも課税標準たる所得金額に含めていたものであり、従つて被告として何ら更正の対象としていなかつたものを、原告が本訴において新たに損金として主張しているものである。
3の事実は認める(昭和二九年上期の一、五五二、三八八円は第四表(三)の(7)(21)(23)及び(四)の(13)(14)(23)(修正計算)に、昭和三〇年下期の三五〇、四八〇円は同表(六)の(20)に、各該当する)。
4の事実は認める(昭和二九年下期の二、一八五、一七九円は第四表(四)の(5)及び(五)の(23)(修正計算)に、昭和三〇年上期の三、二六三、八三五円は同表(五)の(4)及び(六)の(33)(修正計算)に、昭和三〇年下期の二、六六三、二七四円は同表(六)の(4)に、各該当する)。
(二) 請求原因二の(二)のうち、
1、大沢商事の債務支払に関する主張について。
(1)の事実はすべて認める。(2)の事実のうち、大沢商事の設立につき原告からその取引先へ挨拶状を出したこと及び原告が大沢商事の株主から同商事の株式を五円前後で買入れていることは認めるが、その余は知らない。(3)の事実のうち、大沢商事の業務につき原告会社内に委任経営部を設け、その利益をもつて同商事の債務を支払う計画をたて、右計画に対し同商事の債権者の承諾を得たこと及び右委任経営部解体後原告主張のような支払計画に基づき前記債務の弁済をして来たことは認めるが、その余は争う。
仮に原告主張どおりの諸事実がありそれによつて原告が大沢商事の債務につき同商事の連帯債務者となつたとしても、そのために本件弁済金がすべて税法上原告の損金となるものではない。けだし原告の債務負担行為は、それが契約に基づくものであつても、また道義的責任を果すためのものであつても、結局は合理的経営を行つている法人として負う必要のない負担を敢えてしたものであり、しかも何らの代償も要求しないのであるから、かかる負担行為に基づいて支出された本件弁済金は法人税法第九条第三項の寄付金に該当すると解すべく、従つて同項本文の規定に則つてした被告の処理に違法はない。
2、役員賞与に関する原告の主張について。
役員賞与は、当該役員が行う業務執行の対価と認められる部分を除けば、会社の業績に応じて本来株主に帰すべき利益を株主の意思に基いて役員に分配するものであるから、その性質は利益処分であり、税法上損金にあたらないことは当然である。しかして本件役員賞与のうち業務執行の対価としては前記使用人の賞与率を超えない金額のみを認めるのが相当であるから、これ以外の金額即ち第三表A欄記載の金額を損金から控除した被告の処理は正当である。
3、帳簿締切後の売約利益に関する原告の主張について。
会社経理の実務において原告主張のような決算日の繰上げがなされる例のあることは認めるが、その余の主張は争う。被告としては、原告が各事業年度末までに売上が確定していたにかかわらず当該事業年度の利益金額に計上していなかつたので、正規の簿記原則に従つて期間計算を行つたまでのことで何ら違法の点はない。なお原告のいう勤務手当、電気料等についても、これらの経費のうち期末までに債務が発生し且つ支払期日が到来しているものはもとより当期の損金に計上すべきであるが、元来これらの経費は個々の消費のつど自動的に計量することの困難なものであり、また個々の消費のつど債務として発生するのではなく、一定の周期によつて使用実績が測定され、その期間の消費総量につき対価を支払うものであるから、具体的に債務として確定した際に損金計上をなすべく、この意味において右経費に関する原告の主張は失当である。
4、未払リベートに関する原告の主張について。
リベート即ち売上割戻しが売上の発生した事業年度の損金と認められるためには、その算定基準が販売価額又は販売数量によつており、且つその算定基準が契約その他の方法により相手方に明示されているため、相手方がその売上割戻しに対応して仕入割戻し額を自動的に確認できる場合であることを要し、これに当らない売上割戻しについては、相手方にその売上割戻し額を通知した日(通知をした日においてその経理をしなかつた場合には支払の日)を含む事業年度の損金に計上すべきものと解するのが相当であり(法人税取扱通達昭和三四年直法一―一一三「一」参照)、このことは法人の所得計算が期間計算であり且つ税法が権利確定主義をとつていることの必然の結果というべきところ、本件リベートは右前者の場合に該当せず、且つ売上の発生した事業年度内に売上割戻し額通知のをした事実もないから、結局現実に支払のなされた事業年度の損金に計上すべきものであるから、この趣旨に出た被告の処理に違法はない。
なお会計学的にはリベートの計算期間と事業年度が相違する場合においては収益費用対応の原則によりその期の売上に対する割戻高の推定計算額を引当る方法があるが、税法上引当金を設定できるのは退職給与引当金等特に法令が認めた場合に限られるから、本件未払リベート金をかかる引当金処理によつて損金に計上することも認められない。
三、請求原因三の主張は争う。原告は経理に相当錬達しており、税務計算についても複雑な計算を行う能力があるのであるから、本件係争費目について被告認定の計算によるべきことを申告にあたつて知悉していたはずであつて、その主張のような計算をするにつき正当事由があつたとはいえない。しかして本件更正所得金額が相当であることはすでに述べたとおりであり、これによれば原告に課すべき過少申告加算税額は別紙第一表C欄記載のとおりとなるから、これを課した被告の処分に違法はない。
四、以上のとおり原告主張の取消原因はすべて理由がなく、その他、被告のなした本件更正ならびに賦課処分には何らの違法もないから、本訴請求はすべて失当である。
なお、本件においては六事業年度に亘る更正処分の当否が争われている関係上、仮に原告の主張が容れられて或る事業年度の更正所得金額が一部でも取消されるとすれば、その事業年度の寄付金損金算入限度超過額、過少申告加算税額、増資配当金に対する法人税の免除、同じく輸出所得の特別控除等に変動を来すのみならず、翌期の事業税額、利子税額等にも影響することとなる。しかしながらその場合に変更される数額は、本件係争費目につきいかなる計算をなすべきかが確定しなければ、正確な計算が困難なので、もし原告の主張の全部又は一部が正当であるとの認定を受ける場合には、その旨の中間判決を求める。
第五、被告の主張に対する原告の答弁
一、本件所得金額更正処分にあたつて被告の認定した損益計算が別紙第四表記載のとおりであり従つて本件係争四費目について被告の主張がすべて是認される場合に原告の所得金額が同表「所得金額(A―B)」欄記載のとおりとなり、且つその場合の過少申告加算税額が別紙第一表C欄記載の金額となることは認める。
二、被告主張の別紙第五表については、「被告の計算した所得金額(仮計)」欄記載の金額は争うが、その余の支出金額及び計算は争わない。
三、役員賞与に関する被告の主張のうち、第三表A欄の金額が被告の認定したいわゆる使用人の賞与率を超える部分に該当することは認める。
第六、証拠<省略>
理由
一、請求原因一の事実については当事者間に争いがない。
二、そこで先ず被告の本案前の主張につき判断するに、本件所得金額更正及び過少申告加算税賦課処分が大阪国税局調査官の調査に基づくこと、原告が昭和三一年八月二三日に昭和二九年下期、昭和三〇年上期、昭和三〇年下期の三事業年度についての右各処分の通知を受け、同年九月二〇日大阪国税局長に右通知にかかる分につき審査の請求をしたこと、及び同請求に対する決定がなされず、且つ右請求の日から三ケ月を経過しないのに本訴を提起したことはいずれも当事者間に争いがなく、これによれば本訴のうち前記三事業年度に関する部分は法人税法(昭和三七年法律第六七号による改正前。以下同じ)第三七条第一項本文に定める訴提起の要件を欠くといえるようであるが、他方弁論の全趣旨によれば本訴係属中前記三ケ月の期間が経過するも未だ審査決定がなされなかつたことが認められ、同項但書が審査請求のあつた日から三ケ月を経過したときは右請求に対する決定がなくても訴提起を許していることからみて、右認定の事情ある本件においては、前記瑕疵は治癒されたものと解すべく、してみると本訴のうち前記三事業年度に関する部分も、原告主張の正当事由につき審究する迄もなく、適法であつて、被告の本案前の主張は結局理由がない。よつて本件各処分の当否を検討することとする。
三、所得金額更正処分の当否
(一) 本件所得金額更正処分にあたつて被告の行つた損益計算が被告主張の別紙第四表記載のとおりであることは当事者間に争いがなく、右被告の計算のうち原告が請求原因二の(一)で主張する四費目即ち 1、大沢商事債務の弁済金 2、役員賞与 3、帳簿締切後の売約利益 4、未払リベートを除く部分の損益計算が正当であることは原告も認めるところである。そこで以下右四費目についての被告の計算の当否を順次検討する。
1 大沢商事債務の弁済について。
請求原因二の(一)の1の事実は当事者間に争いがないから、まず原告の行つた本件弁済の性格についてみるに、原告が大沢商事の債務を自己の債務として弁済するに至つた事情として主張する請求原因二の(二)の1の諸事実のうち、(1)については当事者間に争いなく、(2)(但しこの事実が商法第二三条に該当するとの点を除く)及び(3)も、そのうち大沢商事の設立につき原告からその取引先へ挨拶状を出したこと、原告が大沢商事の株主から同商事の株式を五円前後で買入れていること、同商事の業務につき原告会社内に委任経営部を設け、その利益をもつて同商事の債務を支払う計画を立て、右計画に対し同商事の債権者の承諾を得たこと、右委任経営部解体後右計画を若干変更し、残債務三一、二七〇、〇〇〇円を昭和二八年一月から昭和三七年六月までの間に六ケ月毎に崩済することとしてその通り弁済して来たこと、はいずれも当事者間に争いがなく、その余の部分は成立に争いのない甲第二号証、第五号証の一、二、弁論の全趣旨により成立の認められる甲第四号証の一、二、三、証人津田俊雄、同川久保幸成、同高橋準治郎、同瀬古定舜の各証言及び弁論の全趣旨を綜合してこれを認めることができ、右認定を覆えすに足りる証拠はなく、以上の事実によれば、大沢商事が原告会社とその人的構成及び資本の上で密接な関係にあり従て右弁済乃至その前提となる債務負担が原告会社にとつて事実上拒否し難くその事業遂行上有益であつたことは看取できるけれども、他方右債務負担が原告会社にとり無償乃至事実上求償し得ないのに敢て任意に出でたものであることもまた前記の諸事実から認めることができ、かかる場合には右負担した債務の弁済として支出せられた金員は税法上これを利益処分と同視し従て法人税法第九条第三項所定の寄付金となる、と解するのが相当である。(なお商法第二三条の要件を備えることによつて連帯債務者となつたとの原告の主張は、前掲各証拠によるも右債権者らが原告を大沢商事の営業主と誤認して取引をしたことを未だ認めるに足らず、他にこれを認むべき証拠がないから、採用し難い)
そこで次に被告の行つた寄付金損金算入限度超過額の計算についてみるに、被告主張の別紙第五表のうち「被告の計算した所得金額(仮計)」欄記載の金額が、別紙第四表の損益計算を基礎として法人税法施行規則第七条第六項、第七項の規定に従い算出された金額(即ち各事業年度とも、同表の所得金額(A―B)から総寄付金額(第五表の(A))と法人税額から控除される所得税額(第四表の(一)乃至(三)の各(15)、(四)の(20)、(五)の(19)、(六)の(29))とを控除した金額)であることは第四表と第五表を対照することによつて明らかであり、一方第五表中右仮計所得金額以外の項目の金額及び計算の正当なることは原告も争わないから、結局被告が損金不算入とした第二表B欄の金額が相当であるか否かは、本件係争の他の三費目について被告の行つた計算がすべて相当と認められるか否かにかかつてくるところ、右三費目についての被告の計算がすべて相当であることは後に述べるとおりである。従つて本件弁済金を寄付金と認定しそのうち第二表B欄の金額を損金から控除して所得金額に加算した被告の処理に違法はない。
2 役員賞与について。
(1) 原告が前記六事業年度に支出し且つ損金として処理した役員賞与のうち、原告主張第三表A欄記載の金額につき被告が損金算入を認めなかつたことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない乙第五号証の一乃至六、証人深川芳夫、同多久幸雄の各証言及び弁論の全趣旨を綜合すると、原告が損金に算入した右役員賞与額は昭和二八年上期二、五三〇、〇〇〇円、同年下期二、五六〇、〇〇〇円、昭和二九年上期二、六四一、五〇〇円、同年下期二、〇四六、〇〇〇円、昭和三〇年上期二、〇八八、〇〇〇円、同年下期一、九三九、〇〇〇円であること、右役員賞与(但し昭和二九年上期の二、六四一、五〇〇円のうち一二六、五〇〇円を除く)は原告会社の専務取締役田中尚義、取締役高橋準治郎、同岩沙兼松、同末広孝三郎、同大森司郎、監査役川久保幸哉に支給されたもので、彼等のうち田中尚義を除く他の五名はいずれも役員であると共に使用人であつたこと、及び前記昭和二九年上期の一二六、五〇〇円は、三五周年記念として前記六名を含む一一名の役員に支給された賞与であること、被告は右賞与金のうち原告会社の本店及び各支店から役員でない使用人のうち最高給を受けている者二名づつを選び、これらの者に支給された賞与額をその給料額で除した値即ち使用人の賞与率を求め、右使用人兼役員五名に支給された賞与のうちそれぞれ右賞与率を超えない金額の限度において損金算入を認めその余は益金としたことが認められ、右認定に反する証拠はない。
そうして、会社のいわゆる役員であつて同時に使用人を兼ねる者に対する賞与は、学説上反対の見解がないわけではないが、特段の事情のない限り、税法上その全部を損金に算入すべきものではなくて、そのうち使用人として会社の業務に従事したことの対価に相当する部分のみを損金に算入し、その余は利益の分配として益金に算入すべきものと解すべく、また、使用人を兼ねない役員に対するそれは全額益金に算入すべきものと解するのが相当であり(大阪高等裁判所昭和三三年(ネ)第九八六号昭和三六年五月二九日判決行政事件裁判例集第一二巻一〇二八頁、東京高等裁判所昭和三三年(ネ)第二七八三号昭和三四年一一月一七日判決前同裁判例集第一〇巻二三九二頁各参照)本件においては右特段の事情の存在することを認むべき事実の主張立証がなく且つ被告が右損金に算入すべき金額を計算する方法として採つた処置は妥当であり、そうして以上のような計算の結果損金不算入とされるべき金額が第三表A欄記載のとおりとなることは原告の争わないところであるから、右金額を損金から控除し所得金額に加算した被告の処理に違法はない。
(2) 次に前項第三表B欄記載の金額も、その賞与が原告会社の役員であつて同時に使用人を兼ねる者であり且つ前記の五名以外の者に対するものであることは原告の主張立証しないところであるから、前同一の理由によりその全額を益金とする被告の主張は正当である。
3 帳簿締切後の売約利益について。
請求原因二の(一)の3の事実は当事者間に争いがないから、本件売約利益についてはこれをどの事業年度の損金と認むべきかが唯一の争点である。
ところで法人税の課税標準たる所得金額は各事業年度毎に計算すべきこと、従つてその計算は事業年度の末日をもつてしなければならないことはいうまでもないが、ただ決算手続上その他の理由により帳簿締切を右末日から若干繰り上げることは、実務上その必要性が認められるから、益金損金の双方がいずれも同一日に締切られ且つその締切日が毎期同一である場合には、事実上事業年度を移行させた結果にとどまり、いわゆる収益費用対応の原則にもとることとはならないから、その限度において税法適用の上でもかかる処置を敢て否定すべきではない。しかしながら右繰上げが毎期同一日になされず、あるいは益金損金の一部のみについて他と異つた締切を行う如きは、期間計算の趣旨を害し収益費用対応の原則にも反することとなり、到底是認することができないというべきである。これを本件についてみるに、成立に争いのない乙第六号証の二、証人瀬古定舜同深川芳夫、同多久幸雄の各証言によれば、原告会社では慣例として期末の月の二八日ないし二九日頃帳簿を締切るが、締切つてから期末までの売上等は常に翌期の勘定に廻すのではなく、決算処理に間に合う限りはこの間の分も当期の勘定に入れるようにしていること、従つて京都本店の取引については期末までの分が概ね当期としての処理がなされているが、各支店の伝票については本店で集約する際当期処理に間に合わないものが生じるので、これについては翌期の勘定に繰延べることがあること、しかして本件更正の対象とされた売約利益は大部分原告会社の支店でなされた帳簿締切後期末までの売買によつて生じたもののうち本店における決算処理に間に合わなかつたため原告が翌期に繰延べた分であるが、右処理に間に合つた分として係争事業年度において当期処理のなされたものもあることが認められ、右認定に反する証拠はなく、この事実によれば、原告会社が行つている決算方法において帳簿締切後期末までの売約利益が当期分として処理されるか翌期分に繰延べられるかは、決算手続に伝票が間に合うかどうかという偶然的な事情に左右されるのであつて、そこに画一的な基準が認められないから、前記翌期繰延を正当とすべき場合に当らないと解するのが相当である。よつて事業年度の末日を基準とし、それ以前に生じた本件売約利益をその事業年度の益金に計上した被告の処理は相当であつて何ら違法はない。
なお原告は、もし本件売約利益を当期の益金に計上すべきものとすれば、原告が当期の損金に計上していない期末の月の二一日から末日までの間の勤務手当、その月分の電気料、水道料、ガス料、電話料等の経費も同様当期の損金に計上すべきであるというが、これらの費用は特別の例外を除き日々の勤務あるいは消費の事実によつて直ちに支払義務が具体化するものでなく、一定期間における勤務量あるいは消費量の確定をまつてはじめて金額が計算され支払義務が具体化するのであり、しかも右一定期間は事業年度と必ずしも対応しないのが実情と認められるから、当該事業年度内に右の意味において具体化したもののみを損金に計上すれば足ると解すべきところ、本件において原告主張の右費用のうち以上の意味において当期の損金とすべきものがあつたことを認むべき証拠は何もないから、原告の右主張は採用するに足りない。
4 未払リベートについて。
原告がその取引小売店に対し売上高に対する一定歩合によるリベートを行つていること、原告が確定申告において未払リベート金昭和二九年上期二、一八五、一七九円、昭和三〇年上期三、二六三、八三五円、同年下期二、六六三、二七四円をそれぞれその期の損金に計上し、且つこれらをその各翌期において現実に支払つたこと、被告が本件更正処分においてこれらを右現実に支払われた期の損金に計上すべきものとして処理したことは当事者間に争いがなく、結局ここでの争点は本件リベート金を損金と認むべき時期如何に尽きるので、まず本件リベートの実態を検討するに、証人瀬古定舜の証言によると次の事実が認められる。
即ち、本件リベートは卸商たる原告会社が小売店に商品を卸売したときその売買代金の一部を割戻す、いわゆる売上割戻しであつて、その割戻すべき金額は、商品毎に割戻率がほぼ一定している関係上、原則的には売上高に割戻率を乗じて計算されるのであるが、実際に一小売店に対して割戻す金額を決めるにあたつては、右割戻率によつて算出される金額を、売上高の多少、従来からの取引実績、売上代金の支払態様、(現金か手形かなど)等を考慮して或る程度増減することがあり、したがつて、ふつう小売店と取引が成立する際原告会社のセールスマンから「この商品のリベートは〇〇パーセントです」というように告げるけれども(なお、ここで告げる割戻率も担当セールスマンの裁量に委ねられている部分があつて必ずしも商品毎に決まつている率をそのまま告げる訳ではない)、これは一応の見込みにすぎず、結局具体的なリベート金額は売上伝票を締切つて(原告会社では月の二〇日で伝票を締切り、前月二一日から右締切日までの売上をまとめて代金請求を行い、集金は月末にする慣例である。なお原告会社は一々その取引に売買契約書を作つていない)、売上代金及びこれに対するリベートを計算することによつてはじめて定まるのである。そうして右計算をまつて帳簿上売上代金については売掛金勘定を、リベート金については預り金勘定を起すとともに代金請求書を作製するのであるが、原告会社では当時リベート金を現実に支払うという方法は極く稀れにしか採つておらず、概ね伝票上の操作により売上代金と相殺していた関係から、右代金請求書にはリベート額を控除した金額を記載し、別にリベート計算書を作製して右請求書と一緒に小売店に送付し、請求書記載金額の入金があれば、リベート金を支払つたものとして帳簿上前記両勘定を落して行くようにしていたものであり、本件未払リベート金ももちろん以上のような処理を経て、結局当該事業年度内に請求代金の入金がなかつたため預り金勘定のまま残つていたものである。
以上の事実が認められ、この認定を覆えすに足る証拠はなく、これによれば本件リベートは売上割戻しとはいえその実態は概ね商品の値引き販売をしたのに異らず、また例外的にリベート金を現実に支払う場合でも、小売店から売上代金の支払が現実になされてはじめてそれに対応するリベート金を支払う義務が生ずるのであつて、これを小売店の側から云えば買入代金を支払うまでは、リベート金については単に期待権を持つにすぎない(したがつて前記リベート計算書の送付も単に具体化したリベート額を通知するだけのものであり、これによつて原告側に支払義務を生ぜしめるものではない)と解するのが相当である。してみるとかかる性質の未払リベート金は、税法上の処理としては現実に支払われた日、あるいは支払われたものと見做される日(前記請求代金の入金があつた日)を含む事業年度において損金に算入すべきものであつて被告の処理は正当である。
(二) 以上のとおり本件係争四費目についての被告の計算はすべて相当であり、しかしてこの場合に認定される原告の所得金額が別紙第四表「所得金額(A―B)」欄記載のとおりとなることは当事者間に争いがないから、右所得金額から一〇〇円未満の端額を切捨てた金額であること明らかな別紙第一表A欄記載の金額をもつて更正所得金額とした被告の処分に何ら違法はない。
四、過少申告加算税賦課処分の当否
原告の主張する本件過少申告加算税賦課処分の取消原因のうち本件所得金額更正処分が違法であることを前提とする部分が理由のないことは以上説明したところにより明らかである。
そこで次に原告が確定申告において前記四費目の金額を当該事業年度の課税標準たる所得金額に含ましめなかつたことにつき、法人税法第四三条第一項にいう正当な事由があるか否かを検討するに、まず大沢商事債務の弁済金については、証人深川芳夫、同松井静郎の各証言によれば、右弁済金の取扱いに関し大阪国税局から国税庁になされた禀議に対し国税庁が回答を行うのに約五ケ月の期間を要している事実が認められるが、他方、大阪国税局としては右弁済金が損金に当らないとする点では疑問を持たずにただ益金処理をするについての理論構成を禀議したにすぎず、国税庁においても専ら右理論構成について検討したものであること、及び右回答に要した五ケ月の期間は国税庁の回答処理としてはむしろ短期間であつたこともまた前記各証言によつて認めるに足り、この認定を覆えすに足る証拠はなく、従て回答に五ケ月を要したことが課税権者にとつても本件弁済金が損金でないと判断するのが容易でなかつたことを示すものとする原告の主張は失当であり、また証人瀬古定舜の証言及び弁論の全趣旨によれば原告会社は税務計算に相当錬達していたことが認められるから、原告にとつても右のような判断が不能又は至難であつたということができず、他に原告が本件弁済金を損金として処理したことを止むを得ずとすべき事情は認められない。次に役員賞与が原則として損金と認められないこと、帳簿締切後の売約利益を原則として当期の益金に計上すべきことが、学説上一部異論はあるけれども、課税実務の上では当時確定した取扱いであつたことは公知の事実であるから、原告が確定申告でしたような処理を正当と信じていたとしてもこれをもつて正当の事由ということはできず、また未払リベート金についても原告がなしたような処理が課税実務において一般的であつたと認むべき証拠はなく、しかも前記三の(一)の4で説明したところによつて明らかなように、原告の処理が妥当な基準に従つたものということは到底できない。
してみると、重加算税に対比して認められる過少申告加算税賦課の趣旨に鑑み、たとえ原告が以上の各損金算入を正当と信じて為したものであるとしても、これを以て法人税法第四三条第一項にいう正当の事由ということができず、この点の原告の主張も理由がない。
そうすると前記相当と認められる更正所得金額に基づき法定の基準によつて計算される過少申告加算税額が別紙第一表C欄記載のとおりとなることは当事者間に争いがないから、これを賦課した被告の処分には何ら違法のかどはない。
五、以上のとおり原告の本訴請求はすべて理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 竹内貞次 小瀬保郎 青野平)
第一表
事業年度
A
(更正所得金額)
B
(主張所得金額)
C
(過少申告加算税額)
昭和二八年上期
(自二八・一・一至二八・六・三〇)
六三、九三六、四〇〇
六〇、六七三、五七五
四五、六五〇
昭和二八年下期
(自二八・七・一至二八・一二・三一)
八四、五四三、八〇〇
八〇、三〇〇、五九三
一〇一、四五〇
昭和二九年上期
(自二九・一・一至二九・六・三〇)
七九、二八〇、一〇〇
七二、九一三、七〇〇
九二、六〇〇
昭和二九年下期
(自二九・七・一至二九・一二・三一)
六一、一三〇、三〇〇
五五、九〇〇、六九五
一三六、九五〇
昭和三〇年上期
(自三〇・一・一至三〇・六・三〇)
六一、六七二、二〇〇
五六、〇〇一、一五七
一九〇、九五〇
昭和三〇年下期
(自三〇・七・一至三〇・一二・三一)
五四、四五六、一〇〇
五〇、五四九、〇二三
三四、四五〇
(単位円)
第二表
事業年度
A(単位円)
B(単位円)
昭和二八年上期
七四〇、〇〇〇
一一八、八三三
昭和二八年下期
一、九四七、一九四
一、二一九、二八六
昭和二九年上期
二、二四七、七〇四
一、五九三、六五八
昭和二九年下期
二、一八一、九四八
一、三六一、八六六
昭和三〇年上期
二、一八一、九四八
一、四一九、四四三
昭和三〇年下期
二、一八一、九四八
一、五五九、一九〇
第三表
事業年度
A(単位円)
B(単位円)
昭和二八年上期
一、一四四、〇〇〇
二、〇〇〇、〇〇〇
昭和二八年下期
一、〇二四、〇〇〇
二、〇〇〇、〇〇〇
昭和二九年上期
一、二二〇、五〇〇
二、〇〇〇、〇〇〇
昭和二九年下期
七三五、〇〇〇
二、五〇〇、〇〇〇
昭和三〇年上期
六七三、〇〇〇
二、五〇〇、〇〇〇
昭和三〇年下期
五九八、〇〇〇
二、〇〇〇、〇〇〇
第四表 被告認定の損益計算と原告の確定申告書の計算の対比
(一) 昭和二八年上期事業年度
事項
被告の計算
原告の計算
(1) 貸借対照表上の利益金額
六二、五一二、二八二
六二、五一二、二八二
(2) 役員賞与
一、一四四、〇〇〇
―
(3) 寄附金損金算入限度超過
一一八、八三三
―
(4) 架空負債(買掛金計上を否認したもの)
一一六、九四〇
―
(5) 同右(仮受金計上を否認したもの)
一九一、〇〇〇
―
(6) 同右(未払金計上を否認したもの)
一八七、七〇四
―
(7) 脱漏資産(未収利息)
七二、四〇八
―
(8) 同右(未収入金)
五九五、九二八
―
(9) 同右(本支店勘定不符合分)
二〇〇、一六七
―
(10) 再評価積立金誤算額
一二〇
―
(11) 損金に計上した市町村民税
一、七四九、一五五
一、七三八、五五五
(12) 損金に計上した源泉加算税
一一〇、一七〇
一一〇、一七〇
(13) 価額変動準備金超過額
一五二、五七一
二二八、一二四
(14) 退職引当金超過額
一四、七〇〇
一四、七〇〇
(15) 法人税額から控除される所得税額
一五五、七九二
一五五、七九二
(16) 諸否認金
―
一〇四
小計A
六七、三二一、七六〇
六四、七五九、七二七
(17) 前記否認の当期利益計上額(前受金)
一八、二七九
一八、二七九
(18) 同右(預り金)
二七、三一一
二七、三一一
(19) 同右(未収入金)
三一五、四四〇
三一五、四四〇
(20) 同右(仮払金)
一〇〇、〇〇〇
―
(21) 脱漏負債(本支店勘定不符合分)
八〇、〇〇二
―
(22) 当期において確定した利子税額
九六、六七三
二〇三、一二九
(23) 減価償却超過額の当期認容額
六七、三一二
六七、三一二
(24) 法人税引当金から支出した事業税等の金額
一、七四七、四〇五
一、七三四、三五五
(25) 配当等の益金不算入額
七七八、九六〇
七七八、九六〇
(26) 未払事業税の未計上額
一五三、九七〇
―
小計B
三、三八五、三五二
三、一四四、七八六
所得金額A―B
六三、九三六、四〇八
六一、六一四、九四一
(二) 昭和二八年下期事業年度
事項
被告の計算
原告の計算
(1) 貸借対照表上の利益金額
六九、七七五、八三〇
六九、七七五、八三〇
(2) 役員賞与
一、〇二四、〇〇〇
―
(3) 寄附金損金算入限度超過
一、二一九、二八六
―
(4) 架空負債(買掛金計上を否認したもの)
二四八、九一〇
―
(5) 同右(前受金計上を否認したもの)
二、八九八、一一八
―
(6) 脱漏資産(未収利息)
三六、四一二
―
(7) 同右(未収入金)
一、一七五、七四三
―
(8) 同右(本支店勘定不符合分)
一四〇、六〇二
―
(9) 同右(売掛金)
一、四一六、六九〇
―
(10) 同右(土地) 五三、五〇〇
―
(11) 損金に計上した市町村民税
三、三一七、七八六
三、三一七、七八六
(12) 減価償却の償却超過額
三四、二九三
三四、二九三
(13) 価額変動準備金超過額
九、六一七、九四二
―
(14) 税金引当金期中損金計上
二三、六一〇
―
(15) 法人税額から控除される所得税額
一五六、四二五
一五六、四二五
(16) 貸倒準備金の繰入超過額
四〇七、二四六
―
小計A
九一、五四六、三九三
七三、二八四、三三四
(17) 前期否認の当期利益計上額(未収入金)
五九五、九二八
―
(18) 同右(未収利息)
七二、四〇八
―
(19) 同右(仮受金)
一八五、一〇〇
―
(20) 脱漏負債(本支店勘定不符合分)
一一六、四六〇
―
(21) 架空資産(たな卸)
一、二六七、一八三
―
(22) 当期において確定した利子税額
一五五、六九〇
―
(23) 減価償却超過額の当期認容額
六〇、七〇〇
六〇、七〇〇
(24) 法人税引当金から支出した事業税等の金額
三、三一七、八四一
三、三一七、八四一
(25) 配当等の益金不算入額
七八二、一二五
七八二、一二五
(26) 過納市民税
二三、六一〇
九〇八
(27) 未納事業税の未計上額
二七二、九〇八
三三八、五二六
(28) 価額変動準備金超過額繰戻分
一五二、五六一
二二八、一二四
小計A
七、〇〇二、五一四
四、七二八、二二四
所得金額A―B
八四、五四三、八七九
六八、五五六、一一〇
(三) 昭和二九年上期事業年度
事項
被告の計算
原告の計算
(1) 貸借対照表上の利益金額
七四、四七五、七六五
七四、四七五、七六五
(2) 役員賞与
一、二二〇、五〇〇
―
(3) 寄附金損金算入限度超過
一、五九三、六五八
―
(4) 架空負債(買掛金計上を否認したもの)
一、八二六、三八六
―
(5) 同右(仮受金計上を否認したもの)
二一二、〇四三
―
(6) 脱漏資産(未収手数料)
二、九七一、七〇八
―
(7) 同右(売掛金)
一五、一五七、九一三
―
(8) 右(本支店勘定不符合分)
一八五、三一一
―
(9) 前期架空資産(たな卸)を当期損金に計上したもの
一、二六七、一八三
―
(10) 損金に計上した市町村民税
三、七〇二、八二八
三、七〇二、八二八
(11) 損金に計上した源泉加算税
七、七〇〇
七、七〇〇
(12) 価額変動準備金超過額
一二、五八〇、四七五
―
(13) 職給与引当金引当超過額
一五、三二九
一五、三二九
(14) 貸倒準備金の繰入超過額
二四九、九一九
―
(15) 法人税額から控除される所得税額
四五四、五一九
四五四、五一九
小計A 一一五、九二一、二三七
七八、六五六、一四一
(16) 前期否認の当期利益計上額(未収入金)
一、一七五、七四三
―
(17) 同右(未払金)
一八七、七〇四
―
(18) 同右(前受金)
一、九四七、一一八
―
(19) 同右(未収利息)
三六、四一二
―
(20) 同右(売掛金)
一、四一六、六九〇
―
(21) 脱漏負債(買掛金)
一、九九〇、〇六〇
―
(22) 同右(本支店勘定不符合分)
六〇、六〇〇
―
(23) 架空資産(たな卸)
一一、六一五、四六五
―
(24) 当期において確定した利子税額
五〇〇、六二八
―
(25) 減価償却超過額の当期認容額
九七、五一〇
九七、五一〇
(26) 人税引当金から支出した事業税等の金額
三、六九五、六二八
三、六九五、六二八
(27) 配当等の益金不算入額
一、八八九、九五三
一、八八九、九五三
(28) 未払事業税の未計上額
一、九一八、四八五
二九三、二〇三
(29) 価額変動準備金超過額繰戻分
九、六一七、九四二
―
(30) 増資配当に係る免税所得金額
四九一、一二六
五〇二、七五六
小計 B
三六、六四一、〇六四
六、四七九、〇五〇
所得金額 A―B
七九、二八〇、一七三
七二、一七七、〇九一
(四) 昭和二九年下期事業年度
事項
被告の計算
原告の計算
(1) 貸借対照表上の利益金額
七四、一一〇、〇六六
七四、一一〇、〇六六
(2) 役員賞与
七三五、〇〇〇
―
(3) 寄附金損金算入限度超過
一、三六一、八六六
―
(4) 架空負債(前受金計上を否認したもの)
一四一、五六〇
―
(5) 同右(預り金計上を否認したもの)
二、一八五、一七九
―
(6) 同右(同右)
二七五、三〇三
―
(7) 同右(未払金計上を否認したもの)
六七九、一八四
―
(8) 脱漏資産(貸付金)
二四、六四〇
―
(9) 同右(未収入金)
二、四八一、八二三
―
(10) 同右(商品価額)
五七、七九六
―
(11) 同右(未収入金)
一一、七五五
―
(12) 同右(売掛金)
三、五六二、四一六
―
(13) 前期架空資産(たな卸)を当期損金に計上したもの
一一、六一五、四六五
一一、六一五、四六五
(14) 前期脱漏負債(買掛金)を当期損金に計上したもの
一、九九〇、〇六〇
一、九九〇、〇六〇
(15) 損金に計上した市町村民税
四、〇〇二、四一六
四、〇〇〇、〇一六
(16) 減価償却の償却超過額
二一三
二一三
(17) 交際費の損金算入限度超過額
一、二五〇、三四四
一、一九九、〇二四
(18) 前期以前引当済未払利子額を当期損金に計上したもの
五三六、七二七
五三六、七二七
(19) 貸倒準備金の繰入限度超過額
二九二、四一四
三三八、二七五
(20) 法人税額から控除される所得税
二九三、七〇五
二九三、七〇五
小計 A
一〇五、六〇七、九三二
九四、〇八三、五五一
(21) 前期否認の当期利益計上額(未収入金)
五三、五〇四
五三、四〇四
(22) 同右(未収手数料)
二、九一八、二〇四
二、九一八、二〇四
(23) 同右(売掛金)
一五、一五七、九一三
一五、一五七、九一三
(24) 同右(前受金)
九五一、〇〇〇
九五一、〇〇〇
(25) 同右(買掛金)
二一〇、二七四
―
(26) 同右(仮受金)
二一七、九四三
二一七、九四三
(27) 同右(買掛金)
一、九八一、九六二
―
(28) 同右(土地)
一〇八、三四〇
―
(29) 同右(本支店勘定不符合分)
一七五、五六一
一七五、五六一
(30) 減価償却超過額の当期認容額
五五、八四五
五五、八四五
(31) 税金引当金から支出した事業税等の金額
四、三四一、七五五
四、三四一、七五五
(32) 配当等の益金不算入額
二六三、四七五
二六三、四七五
(33) 貸倒準備金の繰入限度超過額繰戻分
二、七一二、二二二
六三三、六八八
(34) 価額変動準備金の繰入限度超過額繰戻分
一二、五八〇、四七五
一二、五八〇、四七五
(35) 未払利子税の未計上額
八二八、八三六
八二八、八三六
(36) 未払事業税の未計上額
九一六、三三六
―
(37) 増資配当に係る免税所得金額
一、〇〇三、九六一
一、〇〇〇、〇〇〇
小計 B
四四、四七七、六〇六
三九、一七八、一九九
所得金額 A―B
六一、一三〇、三二六
五四、九〇五、三五二
(五) 昭和三〇年上期事業年度
事項
被告の計算
原告の計算
(1) 貸借対照表上の利益金額
五〇、三〇八、七二六
五〇、三〇八、七二六
(2) 役員賞与
六七三、〇〇〇
―
(3) 寄附金損金算入限度超過
一、四一九、四四三
―
(4) 架空負債(預り金計上を否認したもの)
三、二六三、八三五
―
(5) 同右(未払金計上を否認したもの)
九一一、三二三
―
(6) 同右(預り金計上を否認したもの)
九八、二九一
―
(7) 脱漏資産(未収入金)
三、四七三、六四七
―
(8) 同右(たな卸商品)
五五〇、二六四
―
(9) 同右(未収入金)
三一、二〇七
―
(10) 同右(売掛金)
六、五四八、四六六
―
(11) 同右(商品)
一二三、四七七
―
(12) 同右(現金)
二八、三三八
―
(13) 損金に計算した道府県民税及び市町村民税
二、九七〇、一六六
二、九七〇、一六六
(14) 減価償却の償却超過額
二、一四六
二、一四六
(15) 前期以前引当済未払利子税を当期損金に計上したもの
一、一一六、四三〇
―
(16) 交際費の損金算入限度超過額
八四六、八六九
八四六、八六九
(17) 損金に計算した源泉加算額
九、五五〇
九、五五〇
(18) 貸倒準備金の繰入限度超過額
一、五八〇、四二三
六九、六七七
(19) 法人税額から控除される所得税
四三五、五〇一
四三五、五〇一
小計 A
七四、三九一、一二二
五四、六四二、六三五
(20) 前期否認の当期利益計上額(未収入金)
二、四八一、八二三
―
(21) 同右(たな卸商品)
五七、七九六
―
(22) 同右(売掛金)
八三一、二〇一
―
(23) 同右(預り金)
二、一八五、一七九
―
(24) 減価償却の償却超過額の当期認容額
五〇、六六七
五〇、六六七
(25) 税金引当金から支出した事業税等の金額
四、〇八一、二一六
三、一八九、九三六
(26) 配当等の益金不算入額
一、一八〇、九七九
一、一八〇、九七九
(27) 未払事業税の未計上額
八六八、五三四
―
(28) 増資配当に係る免税所得金額
九八一、四九九
九七六、八七二
(29) 貸倒準備金繰入超過額の利益計上
―
三三八、二七五
小計 B
一二、七一八、八九四
五、七三六、七二九
所得金額 A―B
六一、六七二、二二八
四八、九〇五、九〇六
(六) 昭和三〇年下期事業年度
事項
被告の計算
原告の計算
(1) 貸借対照表上の利益金額
五〇、二四七、二七九
五〇、二四七、二七九
(2) 役員賞与
五九八、〇〇〇
―
(3) 寄附金損金算入限度超過
一、五五九、一九〇
―
(4) 架空負債(預り金計上を否認したもの)
二、六六三、二七四
―
(5) 同右(未払金計上を否認したもの)
二四一、八九四
―
(6) 同右(買掛金計上を否認したもの)
一八二、六〇三
―
(7) 同右(預り金計上を否認したもの)
二八五、〇〇〇
―
(8) 同右(買掛金計上を否認したもの)
五一、九〇〇
―
(9) 脱漏資産(未収入金)
二、一六四、〇四七
―
(10) 同右(たな卸商品)
九〇二、八六九
―
(11) 同右(未収入金)
五六、八九六
―
(12) 同右(売掛金)
一、二九八、〇三〇
―
(13) 同右(立替金)
五一、八〇〇
―
(14) 同右(商品)
一八、六〇〇
―
(15) 同右(建設仮勘定)
二四三、七六二
―
(16) 同右(土地)
三〇、〇〇〇
―
(17) 同右(商品)
六六八、二〇〇
―
(18) 同右(未収入金)
三四、四〇六
―
(19) 同右(輸入代行手数料)
二、〇九四、七八二
―
(20) 同右(商品売却益)
三五〇、四八〇
―
(21) 損金計上税金引当金
四、四六〇
―
(22) 減価償却の償却超過額
四六四、三九二
五、五七二
(23) 使途不明金
一〇〇、〇〇〇
―
(24) 貸倒準備金の繰入限度超過額
四、〇一三、一五三
―
(25) 交際費の損金算入限度超過額
三、二〇五、七一四
三、二五五、七一四
(26) 損金に計算した源泉加算税等
五、七四五
五、七四五
(27) 前期以前引当済未払利子税を当期損金に計上したもの
三八八、三六〇
三八八、三六〇
(28) 法人税額から控除される所得税額
一三三、三二九
一三三、三二九
小計 A
七二、〇五八、一六五
五四、〇三五、九九九
(29) 前期否認の当期利益計上額(土地)
五三、五〇〇
五三、五〇〇
(30) 同右(未収入金)
三、二七九、一二一
―
(31) 同右(たな卸商品)
五五〇、二六四
―
(32) 同右(売掛金)
五、三一一、一八三
―
(33) 同右(預り金)
三、二六三、八三五
―
(34) 同右(商品)
五四、二三七
―
(35) 同右(未収入金)
一九四、五二六
―
(36) 減価償却の償却超過額の当期認容額
三二、九五四
三二、九五四
(37) 税金引当金から支出した事業税等の金額
八五七、二一〇
三八八、三六〇
(38) 配当等の益金不算入額
一、二七〇、五〇〇
一、二七〇、五〇〇
(39) 未払事業税の未計上額
一、一六八、五二四
―
(40) 誤納法人税還付額
四、四六〇
―
(41) 租税特別措置法第七条の七第一項による損金算入額
一、五六一、七三五
一、五六九、六九七
小計 B
一七、六〇二、〇四九
三、三一五、〇一一
所得金額 A―B
五四、四五六、一一六
五〇、七二〇、九八八
第五表 損金不算入の寄附金額の算出
事業年度
昭和二八年上
昭和二八年下
昭和二九年上
昭和二九年下
昭和三〇年上
昭和三〇年下
被告の計算した所得金額(仮計)
六三、六六一、七八三
八三、一六八、一六八
七七、七二三、一二二
六〇、一八六、三〇二
六〇、七九六、三六二
五四、三二五、三三二
原告の当期中支出した寄附金額(A)
九七五、三八〇
二、四二七、三三四
二、六四三、七〇四
二、一八一、九四八
二、三四七、九四八
二、三八〇、九四八
計(法人税法施行規則第七条第六項の規定により計算した金額)
六四、六三七、一六三
八五、六〇五、五〇二
八〇、三六六、八二六
六二、三六八、二五〇
六三、〇四四、三一〇
五六、七〇六、二八〇
当期未払資本金及び再評価積立金の6/12
一四、八六六、二三七
二二、三八三、六一六
三二、三六八、九九六
三二、三八三、六七六
三二、三六一、八七一
四二、三四〇、一二六
右の各金額を基礎として法人税法施行規則第七条第一項の規定により計算した金額(B)
八二六、五四七
一、〇九八、〇四八
一、〇四五、〇四六
八二〇、〇八二
八二八、五〇五
七六一、七五三
法人税法第九条第三項但書の寄附金(C)
三〇、〇〇〇
一二〇、〇〇〇
五、〇〇〇
〇
〇
六〇、〇〇〇
損金不算入の寄附金額(A―B―C)
一一八、八三三
(円)
一、二一九、二八六
(円)
一、五九三、六五八
(円)
一、三六一、八六六
(円)
一、四一九、四四三
(円)
一、五五九、一九〇
(円)