大判例

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京都地方裁判所 昭和45年(ワ)1563号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕そうして<証拠>をあわせるとつぎの事実を認めることができる。すなわち被告は昭和四五年八月一日ごろ訴外合田某に新車を販売し、加害車を下取りし、所定の自動車検査証などの書類も交付を受けたが、加害車の状態からその価額を社内で金七〇〇〇円と査定していたところ、訴外藤本から解体してエンジン部分を利用したい旨買受申込があつたので同年九月三日金九〇〇〇円で加害車を同訴外人に売り渡したこと、自動車検査証の有効期限は同年一二月となつていたが右のとおり解体目的のためその授受は行われず、被告において訴外藤本の申出に基き被告の名義で臨時運行の許可を所轄の大阪市福島区長に申請して同地から木津を経て奈良に赴く運行の許可を得、訴外藤本は右許可証を携帯して運行する途次本件事故を惹起したこと、事故原因は加害車の左右後輪タイヤが摩耗し危険な状態にあつたのにかかわらず訴外藤本がこれを無視して高速で運転したことに基くこと以上の事実が認められ他にこれに反する証拠はない。

そうして一般に自動車は法の所期する安全性を有するか否かの検査に合格して自動車検査証の交付を受けたうえでなければこれを運行の用に供することは許されず、かつ運行中は右検査証の携行が義務づけられているのであるが、臨時運行の許可はその例外をなすものであつて検査の申請をするために必要な提示のための回送を行う場合その他特に必要がある場合に限り行うことができるものとされているのであつて、その安全性は公証されていないのであるから、これを運行する者自身が特に慎重な注意を払うことが期待されているのである。

被告が自動車の販売を業とする会社であることは当事者間に争いがないから、本件加害車が運行に際して要求される安全性を備えていないことは充分認識できたものと考えられるのにかかわらず、タイヤを他の良品と取替えて運行するなどの措置をとることなく、自己の名義で運行の許可を得て、訴外藤本が加害車を運行することを可能ならしめたものである以上、被告はその故意または過失により道路上における危険を発生せしめたものであり訴外藤本の運転上の過失と相まつて本件事故を惹起し原告に損害を与えたものと断ぜざるを得ない。

従つて被告は民法七〇九条七一九条の規定により原告に生じた損害を賠償する義務があるといわなければならない。

(富川秀秋)

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