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京都地方裁判所 昭和48年(ハ)305号 判決 1976年10月27日

主文

被告山田染工株式会社は原告に対し、金三〇〇万円およびこれに対する昭和四八年一一月二三日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。

原告の被告山田秀夫に対する請求を棄却する。

訴訟費用のうち、原告と被告山田秀夫間で生じた分は原告の負担とし、原告と被告山田染工株式会社間で生じた分は同被告の負担とする。

この判決は、第一項にかぎり仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

(原告)

一  被告らは各自原告に対し、金三〇〇万円およびこれに対する昭和四八年一一月二三日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告らの負担とする。

三  仮執行の宣言。

(被告ら)

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、別紙約束手形目録記載の約束手形各一通計三通を所持している。

2  被告山田染工株式会社(以下被告会社という。)は右各手形を振り出した。

3  被告山田秀夫は、拒絶証書作成義務を免除して、右各手形を裏書した。

4  原告は昭和四八年五月一五日支払場所で支払のために右各手形を呈示したが、支払がなかつた。

5  よつて被告らは各自原告に対し、右各手形金とこれに対する本件訴状送達の日の翌日である昭和四八年一一月二三日から完済まで商法所定の年六分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

二  請求原因に対する認否

請求原因事実はすべて認める。

三  抗弁等

(被告山田染工株式会社の抗弁)

1 被告会社は昭和四七年五月一五日原告に対し、いわゆる融通手形としていずれも金額一〇〇万円、満期同年八月三一日とする約束手形六通を振り出し、交付した。

2 同年八月二〇日ころ、右1の各手形の決済できない際の書替手形として、満期を同年一〇月三一日とする金額一〇〇万円の約束手形計六通を振り出して原告へ交付した。ところが、右1の手形のうち、五通は被告会社が満期に支払決済し、残り一通(これが別紙約束手形目録(一)記載の約束手形に該当する。)については右手形書替に際し原告は支払呈示をなさず、直ちに返還することを約束していたのである。それで、右書替手形は返還することになつていたが、原告が改めてこれを貸してくれというので被告会社は右書替手形六通全部につきその満期までの流用を承諾した。

なお、被告会社の決済した前記五通の手形金五〇〇万円は、被告会社が原告に依嘱した別紙物件目録記載の建物に対する建築設計につき、その設計料の前払金に充当された。

3 ところが、原告は前記書替手形六通を自ら決済することができなくなり、そこで同年一〇月中旬ころ、被告会社は前記2前段記載の約束手形の書替手形として、(1)金額一〇〇万円、満期昭和四七年一一月三〇日の約束手形二通、(2)金額一〇〇万円、満期同年一二月一五日の約束手形二通(本件手形中、別紙約束手形目録(二)(三)記載のものに該当する)、(3)金額一〇〇万円、満期昭和四八年一月一五日の約束手形二通計六通を振り出し、原告に交付したが、昭和四七年一二月一五日の数日前ころ、被告会社は原告に対し、前記(2)記載の約束手形の書替手形として、金額一〇〇万円、支払期日昭和四八年一月三一日、振出日白地の約束手形計二通を振り出して交付し、その際前記(2)記載の各約束手形は旧手形として原告より一旦回収しながら、原告方に置き忘れたため、原告方に手残り手形となつたものである。

4 以上のとおりであるから、本件手形はすべて融通手形であり、かつ、原告よりその返還を受けるべきものであるから、被告会社にはその支払義務はない。

(被告山田秀夫の主張および抗弁)

1 本件手形については、いずれも適法な支払呈示期間内に呈示がなされておらず、かつ、裏書人たる被告山田秀夫に対する遡求の通知がなされていないから、原告は被告山田秀夫に対する遡求権を喪失した。

2 別紙約束手形目録記載(一)の約束手形については、満期から満一年を経過した後になつて初めて、その手形金が訴求されているから、裏書人たる被告山田秀夫の右手形金遡及義務は時効によつて消滅しているところ、同被告は昭和四九年六月二六日午後一時の本件口頭弁論期日において右時効の援用をなした。

四  抗弁等に対する認否

すべて否認する。

第三  証拠(省略)

(別紙)

約束手形目録

(一) (二) (三)

金額 一〇〇万円 同上 同上

満期 昭和四七年八月三一日 昭和四七年一二月一五日 同上

支払地 京都市 同上 同上

支払場所 福井相互銀行京都支店 同上 同上

振出地 京都市 同上 同上

振出日 昭和四七年五月一五日 昭和四七年九月一五日 同上

振出人 山田染工株式会社 同上 同上

受取人 山田秀夫 同上 同上

裏書関係 山田秀夫から株式会社中央建築研究室へ、同社から藤川利への順次記名式譲渡裏書 山田秀夫から藤川利への記名式譲渡裏書 同上

物件目録

京都市左京区田中西浦町七三番地

一 地下一階地上五階建鉄筋コンクリート造店舗兼共同住宅

延床面積 五五七三・七三平方メートル

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