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京都地方裁判所 昭和56年(わ)1814号 判決 1982年4月26日

本籍

京都市中京区三条通寺町東入石橋町一八番地

住居

右同

扇子製造販売業

大西庄兵衛

大正八年一月二二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官岩橋広明出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月および罰金三、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

本裁判確定の日より三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、京都市中京区三条通寺町東入石橋町一八番地において、大西京扇堂の名称で扇子製造販売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て

第一  昭和五三年分の総所得金額は八七、五一〇、〇七三円で、これに対する所得税額は五〇、八九五、〇〇〇円であったにもかかわらず、公表経理上売上金の一部を除外するほかたな卸商品の一部を除外するなどし、これによって得た資金を架空名義の定期預金にするなどして所得を秘匿した上、同五四年三月一四日京都市中京区柳馬場通二条下る等持寺町一五番地所在の所轄中京税務署において、同税務署長に対し、同五三年分の総所得金額は六、三三七、七一二円でこれに対する所得税額は一、〇七八、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右年分の正規の所得税額五〇、八九五、〇〇〇円と右申告にかかる所得税額との差額四九、八一六、一〇〇円を免れ

第二  昭和五四年分の総所得金額は、八四、八一八、七三四円で、これに対する所得税額は四八、八五六、七〇〇円であったにもかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五五年三月一五日前記中京税務署において、同税務署長に対し、同五四年分の総所得金額は三、一八四、二四九円で、これに対する所得税額は三四八、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年分の正規の所得税額四八、八五六、七〇〇円と右申告にかかる所得税額との差額四八、五〇八、六〇〇円を免れ

第三  昭和五五年分の総所得金額は八〇、三二三、三三六円でこれに対する所得税額は四五、四〇八、七〇〇円であったにもかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五六年三月一三日前記中京税務署において、同税務署長に対し、同五五年分の総所得金額は一〇、一一五、六九二円で、これに対する所得税額は二、三五九、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年分の正規の所得税額四五、四〇八、七〇〇円と右申告にかかる所得税額との差額四三、〇四九、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書合計八通(検七四ないし八一号)

一  被告人の検察官に対する供述調書合計二通(検八二、八三号)

一  大西享の大蔵事務官に対する質問てん末書合計一四通(検四七ないし六〇号)

一  右同人の検察官に対する供述調書

一  松田才次郎、樫木政次、徳田喜之助、菱田義雄、中大路雅夫、服部素子、大西登久子の各大蔵事務官に対する質問てん末書

一  押収してある売上帳二冊(昭和五七年押第九六号の1)売上日計表三綴(同号の2)決算関係書類一綴(同号の3)たな卸メモ(袋とも)一綴(同号の4)棚卸表二綴(同号の5、6)月次計算書ファイル一綴(同号の7)たな卸表(袋とも)三綴(同号8)

一  大蔵事務官中光正治作成の告発書ならびに「修正申告書等の送付について」と題する書面

一  検察事務官志賀和幸作成の電話聴取書

一  中京税務署長作成の国税の納付状況照会に対する回答書

一  京都市中京区長作成の税の納付状況照会に取する回答書

一  中京府税務所長作成の税の納付状況照会に対する回答書

一  大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高確認書四通(検一三ないし一六号)

一  大蔵事務官中光正治作成の査察官調査書(検一七号)

一  大西享作成の確認書三通(検一八ないし二〇号)

一  大蔵事務官内野恭介、中光正治、山本清司作成の各査察官調査書(検二一、二二、二六、三一号)

一  山木有、谷口義男、小島弥太郎各作成の確認書(検二七ないし三〇、三二ないし三五号)

判示第一事実につき

一  大蔵事務官作成の昭和五三年分脱税額計算書(検二号)

一  大蔵事務官作成の昭和五三年分所得税確定申告書謄本(検五号)

一  京都市水道局丸太町営業所長作成の「水道料金の領収状況の照会に対する回答について」と題する書面

一  大阪瓦斯株式会社京都支社長作成の「ガス料金の領収状況の照会に対する回答について」と題する書面

一  関西電力株式会社京都下営業所料金課長作成の「電気料の領収状況の照会に対する回答について」と題する書面

判示第二事実につき

一  大蔵事務官作成の昭和五四年分脱税額計算書(検三号)ならびに所得税確定申告書謄本(検六号)

判示第三事実につき

一  大蔵事務官作成の昭和五五年分脱税額計算書(検四号)ならびに所得税確定申告書謄本(検七号)

(法令の適用)

判示事実 いずれも昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税二三八条一、二項(懲役刑及び罰金を併科する)

併合罪加重 刑法四五条前段四七条本文一〇条四八条一項二項(犯情重い判示第一の罪の刑に加重)

労役場留置 刑法一八条

懲役刑の執行猶予 刑法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 西村清治)

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