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京都地方裁判所 昭和57年(行ウ)15号 判決 1989年12月22日

京都市伏見区深草稲荷鳥居前町一七番地

原告

加藤建夫

右訴訟代理人弁護士

高田良爾

岩佐英夫

中尾誠

京都市伏見区鑓屋町無番地

被告

伏見税務署長

廣瀬嘉夫

右指定代理人

白石研二

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告

1  被告が、原告に対し、昭和五五年三月六日付でなした原告の昭和五一年分ないし昭和五三年分(以下本件係争各年という)の所得税更正処分(但し、昭和五三年分は別表A3の裁決欄記載の審査裁決により一部取消された後のもの)のうち、同表A1ないし3の右各年分の各確定申告欄記載の総所得金額を超える部分を、いずれも取り消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決。

二  被告

主文同旨の判決。

第二当事者の主張

一  原告(請求原因)

(一)  原告は住所地において製麺業を営むとともに大津市藤尾においてうどん、茶等の小売店(以下「山科店」という)を営む者であるが、原告の本件係争各年分の所得税の確定申告から裁決までの経緯と、その内容は、別表A1ないしA3に記載のとおりである。(以下、昭和五五年三月六日付の昭和五一年分、昭和五二年分の各更正処分及び一部取消の審査決定により減額された額による同日付昭和五三年分の更正処分を「本件各処分」という)。

(二)  しかし、本件各処分には、次の違法がある。

(1) 被告は、調査理由の開示を行なわない違法な調査に基づき本件各処分を行なった。

(2) 本件各処分のうち、原告主張額を超える部分は、原告の所得を過大に認定した。

(三)  よって、原告は、被告に対し、本件各処分のうち昭和五一年分の事業所得金額が五〇三万五、四〇〇円を、昭和五二年分のそれが五一八万八、〇〇〇円を、昭和五十三年分のそれが五一八万九、〇〇〇円を、いずれも超える部分の取消を求める。

二  被告

1  答弁

(一) 請求原因(一)の事実を認める。

(二) 同(二)、(三)を争う。

2  被告の主張

(一) 課税の経緯

被告は、昭和五五年一月下旬から同年二月にかけて、原告の本件係争各年分の所得税の実地調査のため、所属職員を原告方に赴かせたところ、右の職員は、原告に対し、再三再四にわたり本件係争各年分の事業所得金額計算の基礎となるべき帳簿書類等の掲示を求め、かつ、本件係争各年分当時の営業の概要、原告がその確定申告書に記載した事業所得金額の計算根拠等について説明を求めたが、原告は、事業所得金額の計算の概略の一部について口頭で一応の説明はしたものの、本件係争各年中の事業所得に係る総収入金額及びこれから控除すべき必要経費の金額等は明らかにしなかった。

右のとおり被告は原告の事業所得の金額を実額で計算することができなかったので、やむを得ず、原告の取引先等を調査して得た資料を基にして、推計の方法により原告の本件係争各年分の事業所得金額を算定した。

(二) 事業所得金額

原告の係争各年分の事業所得金額は、別表A4ないしA6の主位的主張又は予備的主張の各事業所得金額欄記載のとおりであり、その各範囲内の金額で被告がなした本件各処分はいずれも適法である。

総収入金額、収入原価及び一般経費についての具体的金額及び計算方法は別紙AアないしAクのとおりであり、その説明を以下のとおり附加する。

(1) 総収入金額

(主位的主張)

A 麺類製品

被告は、原告が主としてうどんの製造販売をしていることから、製麺原料粉一袋(二五キログラム)当たりから取れる標準的な茹麺(一玉二〇〇グラム)の収量により麺類の総製造量を算定し、それに販売形態別(卸売の現金売上、掛売上及び小売)の茹麺の単価などを基に収入金額を算定した。

山科店に係る売上については、昭和五七年から昭和五八年に実施した所得税の実地調査の際に、被告に原告から示された原告の昭和五七年分の帳簿書類及び統計を基礎資料として算定した小売の割合を基に算出したものである。

また、昭和五一年及び昭和五二年分の卸売現金売上の単価は、別紙Aイ<1>、昭和五三年分は別紙Aエ<1>に記載の方法により算定した。

B スープ類販売に係る収入金額

別紙Aイ、Aウ、Aエ記載のスープ類販売に係る収入金額は、スープ類の仕入金額に、調査の際に原告が申し立てた売上の比率(売上金額の仕入金額に対する割合)を乗じて算出したものである。

C 茶小売

後記予備的主張と同旨。

(予備的主張)

A 麺類製品(スープ類を含む)

後記の麺類製品に係る収入原価を、別表A7に記載の同業者の原価率(収入原価の総収入金額に対する割合)の平均値で除して算定したものである。

なお、被告が選定した同業者は製造卸売業者であるが、原告の販売形態には小売部分もあるので、小売部分の原価率は、一玉当たりの平均卸売価格(別表A8)と一玉当たりの平均小売価格(別表A9)の割合で同業者の原価率を除して算定した。

B 茶小売(昭和五二、五三年分)

後記の茶小売に係る収入原価を別表A10の1、2に記載の同業者の原価率の平均値で除して算定したものである。

(2) 収入原価

別表A11記載の仕入額及び株式会社菱食京都支店からの茶の仕入額である。

収入原価は、期首棚卸高に当該年中の仕入高を加算した金額から期末棚卸高を控除して計算するが、原告は本件係争各年分の棚卸資産の棚卸をしていないので、本件係争年分の棚卸高は期首期末とも大差ないものとして、原告の仕入先調査により被告が把握した仕入金額をもって各年分の収入原価とした。

また、被告は、原告が卸売(掛売上及び現金売上)の外に小売を行なっていることを考慮し、各販売形態別の収入原価を算定して総収入金額の推計のための基礎数値とした。

(3) 一般経費(麺類製品)

麺類製品に係る収入金額(前記主位的主張額及び予備的主張額)に別表A7に記載の各同業者の一般経費率(一般経費の総収入金額に対する割合)を乗じて算定した金額である。

(4) 特別経費

A 雇人費

二宮久子外に対する別表A12に記載の額である。

B 地代家賃

原告主張額である。

C 利子割引料

別紙A13に記載のとおりの金額である。

D 建物減価償却費

原告所有の京都市伏見区深草西浦町所在の建物に係る減価償却費であり、その計算式は別紙A13に記載のとおりである。土地の評価額は、昭和五一年当時の当該土地付近の路線価(昭和五一年分路線価設定域図による)五万円に、土地の面積二五二・九六平方メートルを乗じて算出し、家屋の評価額は、昭和五一年当時の固定資産税評価額である。

専用割合を五〇パーセントにしたのは、原告は、家事に用いる目的で購入し、一部のみを事業に用いていたからである。

仮に、この外に、原告所有の京都市伏見区十九軒町の建物が事業用であるとしても、この建物の減価償却費は二万三、八〇六円を下らない。その計算式は、別紙A13に記載のとおりである。

(三) 推計の合理性について

(1) 麺類製品に係る主位的主張

被告は、茹麺の収量を求めるためにめんの本(乙第三七号証)、うどんの技術(同第五〇号証、同第五一号証)、日本食品標準成分表(乙第六七号証、同第六八号証)の各文献の数値により、茹麺の収量割合(歩留り)または茹麺一玉に含まれる水分割合の二通りの方法により、それぞれ茹麺の収量が三六〇玉であることの合理性を担保している。右の各文献の数値は、実際に収量可能な標準的数値を算定数値の根拠としており、恣意の入る余地のないものである。

(2) 麺類製品に係る予備的主張

被告が原告の本件係争各年分の総収入金額及び算出所得金額を推計するに当たり、同業者の原価率及び一般経費率を適用したことは、以下に述べるとおり合理的である。

A 被告は、同業者の原価率等を的確に把握するため、原告の納税地を所轄する伏見税務署及びにこれに隣接する東山、下京、右京の各税務署管内において、原告と同一の製麺業を営んでいる者のうち、事業規模の類似する個人業者で、本件係争各年分を通じて次の<1>ないし<5>の条件に該当する者三名を選定した。

<1> 所轄税務署長から本件係争各年分に継続して青色申告の承認を得て所得税の確定申告書を提出している者であること。

<2> 本件係争各年分を通じて継続して事業を営んでいる者であること。

<3> 他の事業を兼業していない者であること。

<4> 不服申立又は訴訟を提起していない者であること。

<5> 本件係争年分を通じて収入原価が五五〇万円から一、五〇〇万円の範囲内にあること。

これは、事業規模の類似性を担保する意味から、被告が確認した原告の本件係争各年収入原価の最低額(昭和五一年分八三四万八、一三〇円)のおおむね六〇パーセントを最低額とし、原告の本件係争各年の収入原価の最高額(収入五二年分一、一〇三万七、六九〇円)のおおむね一四〇パーセントを最高額としたものである。

B 被告は、同業者が各所轄税務署長に提出した本件係争各年分の青色申告決算書に基づき別表A7に記載のとおり原価率及び一般経費率を算定した。

C 右記の同業者は、その業種及び事業規模のいずれにおいても原告と類似し、また、被告は、これらの者の青色申告決算書の記載(ただし、所得税調査が行なわれた者については、右調査の結果得られた金額)を基にしており、その数額は信頼し得る正確なものである。

(3) 茶小売

被告がなした原告の昭和五二年分及び昭和五三年分の茶小売に係る収入金額及び算出所得金額は、同業者の原価率及び所得率を適用して推計したものであるが、右は、以下に述べるとおり合理的である。

A 被告は、右の推計をなすにあたり、原告の小売店舗(山科店)を所轄する大津税務署とこれに隣接する上京、中京、下京、右京、左京、東山、伏見の各税務署管内に事業所を有する同業者のうちから、昭和五二年、五三年を通じて次の<1>ないし<6>のすべての基準に該当する者を選定した。

<1> 茶小売業を営んでいること。

<2> 他の事業を兼業していないこと。

<3> 収入原価(売上原価)が六〇万円から三三〇万円の範囲内であること。

<4> 青色申告書を提出していること。

<5> 年間を通じて継続して事業を営んでいること。

<6> 不服申立又は訴訟継続中でないこと。

被告は、以上の基準すべてに該当する同業者を抽出し採用したが、その抽出は、大阪国税局長の大津、上京、中京、下京、右京、左京、東山、伏見の各税務署長に対する通達に基づき機械的に行なわれたものであるから、その抽出には恣意の介在する余地はない。

B 右により選定した同業者は九名であり、これらの者について各所轄税務署長が調査を行ない、その調査額に基づいて、昭和五二年分及び昭和五三年分の原価率及び所得率を算定した。その明細は、別表A10の1、2に記載のとおりである。

C 本件同業者は青色申告者であり、各所轄税務署長が行なった調査額は信頼し得る正確なものである。

D 被告が、原価率及び所得率の算定に当たりその対象とした同業者は、前記の手続によって選定したものであり、その業種及び事業規模においては原告と類似している。なお、その業態において麺類製品及び茶小売業等を兼業する者ではなく、茶小売業に限定したのは、幅広く同業者を抽出するためである。

三  原告

1  認否

(一) 被告の主張(一)のうち、原告の所属職員が昭和五五年一月下旬ないし二月ころ原告方を訪れたことがあることを認め、その余を否認する。

(二) 同(二)のうち、

(1) 総収入主張のうち、昭和五一年、昭和五二年分の麺類製品の掛売上の収入金額を認め、その余の金額を否認する。予備的主張をいずれも争う。

(2) 収入原価の合計額を認める。

(3) 一般経費の主位的主張、予備的主張をいずれも争う。

(4) 特別経費

A 被告主張の雇人費の額を認める。ただし、本件係争各年の雇人費の実額は別紙B2に記載のとおりである。

B 被告主張の建物減価償却費を認める。ただし、本件係争各年の建物減価償却費の実額は別紙B2に記載のとおりである。

C 地代家賃を認める。

D 利子割引料のうち京都銀行稲荷支店の分を認め、伏見信用金庫稲荷支店の分を否認する。

伏見信用金庫稲荷支店分は、深草西浦町の建物の事業専用割合を一〇〇パーセントとして計算されねばならない。

(5) 事業専従者控除額を認める。

(6) 事業所得金額を否認する。

(三) 同(三)をいずれも争う。

2  原告の主張

(一) 麺類収量による推計の合理性(主位的主張)に対する反論

(1) 製麺原料粉一袋から取れる茹うどんは、三四〇玉を上回ることはなく、それを三六〇玉とした被告の推計に合理性はない。

京都では、ソフトな麺が好まれることから、原料として薄力粉を使用し、茹でる時間が短くなり、うどん玉の含水量は少なくなる。京都にいては含水量は少なめが好まれ、いくら高くとも七一パーセントまでである。

また、製麺業においては、消費者が再度湯を通して使用することが予定されているから、食べる状態にした麺の含水量七五パーセントを基準としたことは誤りである。

原告は、一玉二二〇グラム程度として多めに重量を取っている。

(2) 茹うどんのみで推計することは、合理性がない。

原告は、生中華そばも扱っているが、生中華そばが製麺原料粉から取れる量は、他の製品と著しく異なり、三〇〇グラム玉前後である。原告の作る生中華そばの玉は、一〇〇グラム標準のものについては、一二〇グラムとしている。更に、業務用については一三〇グラムの玉も作っている。よって、生中華そばの場合は三六〇玉よりはるかに少ない量しか取れないことは明らかである。これが原告の製造量に占める割合は、二〇パーセントである。

(二) 同業者率による推計の合理性(主位的主張)に対する反論

被告が主張する同業者は、いずれも原告と類似する同業者とはいえず、被告の同業者率適用による課税処分は違法である。すなわち、

(1) 原告は、うどん等の外に、中華そば、生中華を製造しており、また卸売の外に小売をしている。

原告の卸先は、病院、学校等であり、飲食店、料飲関係に卸すことはない。病院、学校等は給食であり、飲食店のような利益がなく相当安く売却せざるを得ない。

また、原告には、当時冷蔵庫はなく、製品の保存はできなかった。

(2) 被告の示す同業者Aは、伏見区藤ノ森玄藩町の清水昭夫である。同人は、飲食店を主とした卸売をしている。Aは冷蔵庫を有している。

(3) 被告の示す同業者Bは、藤森深草西出町の亡今井俊一である。同人は、パンの中に入れる焼きそば用麺を作っている。この麺は長さが一定している必要がなく、品質もそれほど高くなくて良い。また、柔らかくゆがくことができるから、一玉の目方が多く、沢山とれる。Bの卸先は訴外京都サンド株式会社のみであり専属下請業者である。

(4) 被告の示す同業者Cは、東山区東大路通り三条下るの加藤龍馬である。同人は、うどん、そばを専ら製造し、中華そばは製造していない。うどんもビニール袋に入れず、また、卸先は祇園界隅の飲食店のみである。

四  被告(原告の主張に対する認否)

原告の主張をいずれも争う。

第三証拠

証拠に関する事項は、本件記録中の書証目録及び証人等目録に記載のとおりであるからこれを引用する。

理由

一  請求原因(一)の事実は、いずれも当事者間に争いがない。

二  原告は、請求原因(二)(1)において、本件調査には調査理由の開示を行なわない違法があると主張するが、調査の理由の個別的、具体的な告知は法律上調査の要件とはいえないし、本件全証拠をもってしても本件調査を社会通念上相当でないとする事情を認めるに足る的確な証拠がないから、原告の主張は失当である。

三  被告は、原告の所得金額について推計課税を行なった旨主張するので、推計課税の必要性について検討する。

証人林俊生の証言により真正な成立を認められる乙第四四号証、成立に争いのない乙一号証、弁論の全趣旨を総合すれば、原告は、被告の税務調査に対して、本件係争各年分の事業所得金額の計算の概略の一部を説明し、かつ、一部の根拠資料を示したにすぎず、本件係争各年分の事業所得に係る総収入金額及び必要経費の金額等の全部を明らかにせず、それに必要な帳簿書類を拒み、提出しなかった事実が認められ、他に、これを覆すに足る証拠はない。

したがって、被告が、原告の本件係争各年分の所得税を算定するについて、推計課税の必要性が認められる。

四  被告の主張(三)の推計課税の合理性の検討

1  麺類製品の推計について

被告は、主位的に、原告の製麺原料粉の仕入袋数に、製麺原料粉一袋から取れる標準的な茹麺(うどん)の数を乗じて総製造量を算定し、これにより、麺類製品に係る収入金額を推計して主張する。そこで、検討するに、

(一)  成立に争いのない乙第五〇号証、第五一号証、第六二号証、第六六号証、第六七号証、証人塩谷邦幸の証言により真正な成立を認められる乙第一九号証の一、二、証人林俊夫の証言により真正な成立を認められる乙第四一号証、弁論の全趣旨により真正な成立を認められる乙第三七号証、第五二号証、第五三号証、第六三号証、第六四号証、原告本人尋問の結果(第一ないし第四回)(後記措信しない部分を除く)、弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められ、後記措信しない証拠のほかこの認定を覆すに足る証拠がない。

(1) 原告は、本件係争各年とも主として茹麺(うどん)を製造しており、当時の茹麺(うどん)の一玉当たりの標準重量は二〇〇グラムである。

(2) 被告は、本件について推計課税をするにあたり、小田聞多編著「めんの本」、藤村和夫著「基礎うどんの技術」、科学技術庁資源調査会編「三訂補日本食品標準成分表」、同編「四訂日本食品標準成分表」等を参照したが、右の各文献によると、製麺原料粉一袋(二五キログラム)当たりから取れる茹麺(うどん)の量は、煮崩れの多少、製品の硬軟により差が生じるが、標準は三二〇玉(一玉二五〇グラム)であり、茹麺は、麺に含まれる水分が七五パーセントになったときに茹で上がったと判断され、市販の茹麺の水分の標準は、包装から取り出して圧延し、二時間乾燥した後のもので七六・五パーセントであるとされている。

(3) 被告は、右の数値等を基に、原告の麺類製品に係る収入金額を算出するために、別紙Aアに記載の二通りの方法により計算した結果、製麺原料粉一袋当たり三六〇玉(一玉二〇〇グラム)の茹麺がとれると推計した。

右の認定に反する甲第三〇号証、原告本人尋問の結果、証人宇野清晴の証言は、いずれも前掲各証拠に照らし措信できない。

(二)  被告が計算根拠とした前掲(一)(2)の各文献はいずれも客観的なものであって、被告の恣意の入る余地はなく、別紙Aの計算過程も相当であるから、被告が、原告の本件係争各年分の麺類製品に係る収入金額を推計するに当たり、製麺原料粉一袋(二五キログラム)から取れる茹麺(一玉二〇〇グラム)の収量を、別紙Aに記載のとおり、製麺原料粉一袋当たりの茹麺収量(一玉二五〇グラム)を三二〇玉、ロス率を一〇パーセントとして三六〇玉と計算し、また、製麺原料粉にに含まれている水分の割合を一五パーセント、茹麺に含まれている水分の割合を七五パーセント、ロス率を一〇パーセントとして三八二玉と計算した上、控え目の数である三六〇を基にして、原告の麺類の総製造量を算定したことは合理性があるといえる。

原告は、茹でる過程で湯の中に溶け出す粉の量(五ないし七パーセント)、茹麺に含まれる水分の割合(七〇ないし七二パーセント)、一玉当たりの重量(原告は二二〇グラム)等の点において、被告の推計には合理性がないと主張するが、前掲各証拠によれば、前認定のとおり製麺原料粉一袋当たりの標準収量を三二〇玉(二五〇グラム)とした数字は、煮崩れも考慮した上の標準数値であること、茹麺に含まれる水分割合は、麺の種類、用途(再茹を予定しているか否か)にかかわりなく、茹で上がり時には、七五パーセントが標準であると認められ、更に、被告は、ロス率として一〇パーセントを計上した上で控え目の数値として三六〇玉としているものであって、これには合理性が認められる。また、原告は、原告本人尋問において、二〇〇グラムとして販売する場合には、二二〇グラムを盛ると供述するが、前掲各証拠に照らし右の供述は十分な裏付証拠を欠き遽かに措信できない。そして、原告がその収入額の実額を把握するための帳簿書類等の調査資料の一部しか提出せず、その大半の提出を拒み、かつ、確定申告をした所得金額を正当とする具体的事実も明らかにしなかったため、前示のとおり、推計課税の必要が認められる以上、前認定のとおり茹麺の標準数値によりその収入額の推計をなすことが許され、推計課税の性質上ある程度類型的標準値によって推計がなされるのは、やむを得ないのであって、この標準値(平均値)に吸収され得ない程度の著しい特殊事情が原告に存在したとの事実は、前示措示しない証拠のほかこれを認めるに足りる的確な証拠がない。

よって、原告の右主張は採用できない。

(三)  したがって、被告がした麺類製品に係る推計による収入金額の計算には、その余について判断するまでもなく、合理性が認められる。

2  茶小売の推計について

証人塩谷邦幸の証言により真正な成立を認められる乙第二一ないし第二八号証の各一、二、証人塩谷邦幸の証言、弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められ、他にこれを覆すに足る証拠がない。

(一)  大阪国税局長は、推計により原告の茶小売に係る所得金額を算出するのに必要な同業者を選定するため、原告の小売店舗(山科店)を所轄する大津税務署とこれに隣接する上京、中京、下京、右京、左京、東山、伏見の各税務署長に対し、各税務署管内に事業所を有する同業者のうちから、昭和五二年、五三年を通じて次の<1>ないし<6>のすべての基準に該当する者を抽出することを求め、九名の対象者(同業者)が得られた。

<1> 茶小売業を営んでいること。

<2> 他の業種を兼業していないこと。

<3> 収入原価が六〇万円から三三〇万円の範囲内であること。

<4> 青色申告書を提出していること。

<5> 年間を通じて事業を営んでいること。

<6> 対象年分の所得税について、不服申立てまたは訴訟が係属中ではないこと。

右の同業者について、本件係争各年分の収入金額、仕入原価、算出所得金額を調査した上、同業者の原価率、所得率を求め、その結果は別表A10の1、2のとおりであった。

(二)  右認定の事実によれば、同業者の原価率等算出の対象となった同業者の選定基準は、業種の同一性、事業場所の近接性、業態、事業規模の近似性等の点で同業者の類似性を判別する要件としては合理的なものであり、その抽出作業について被告あるいは大阪国税局長の恣意の介在する余地は認められず、かつ、右の調査の結果の数値は青色申告書に基づいておりその申告が確定していることから正確性が高く、その抽出数も同業者の個別性を平均化するに足るものということができる。したがって、右同業者の原価率、所得率を基礎に原告の茶小売に係る所得を推計することに合理性があるというべきである。

3  麺類製品に係る一般経費の推計について

前掲塩谷証言により真正な成立が認められる乙第二号証ないし第一四号証、前掲塩谷証言、弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められ、他にこれを覆すに足る証拠がない。

(一)  被告は、伏見、東山、下京、右京の各税務署管内で、製麺業の個人業者で、本件係争各年に継続して青色申告の承認を得て所得税確定申告書を提出し、本件係争各年を通じ継続して事業を営んでおり、他の事業を兼業せず、不服申立又は訴訟を提起しておらず、本件係争各年を通じて収入原価が五五〇万円から一、五〇〇万円の範囲内にある者(同業者)三名を選定し、同人らの青色申告決算書に基づき別表A7記載のとおり一般経費率を算出した。

(二)  右認定の事実によれば、同業者の一般経費率算出の対象となった同業者の選定基準は、業種の同一性、事業場所の近接性、業態、事業規模の近似性等の点で同業者の類似性を判別する要件としては合理的なものであり、その抽出作業に被告の恣意の介在する余地は認められず、かつ、右の調査の結果の数値は青色申告書に基づいておりその申告が確定していることから正確性が高く、その抽出数も同業者の個別性を平均化するに足るものということができ、右認定を覆すに足る証拠はない。したがって、右同業者の一般経費率を基礎に原告の一般経費を推計することに合理性があるというべきである。

五  事業所得金額

被告の主張(二)の事業所得金額について判断する。

1  総収入金額

(一)  麺類製品に係る収入金額

成立に争いのない乙第二〇号証、前掲証人塩谷邦幸の証言により真正な成立が認められる乙第一五号証ないし第一七号証、証人林俊生の証言、弁論の全趣旨により真正な成立が認められる乙第三八号証の一ないし一一、第三九号証の一ないし一二(以上は原本の存在も認められる)、第四〇号証、第四一号証、第四四号証、第四五号証、第四七号証、弁論の全趣旨により真正な成立が認められる乙第六八号証、弁論の全趣旨を総合すると、別紙Aイ、Aウ、Aエに各記載のとおりの計算法により(ただし、別紙Aウの麺類製品卸売の掛売上の数量を七二万九、五一四玉(乙第四四、第四六号証による)と、別紙Aエの昭和五七年分掛売上の数量を六七万〇、二一八玉(乙第一六、第一七号証による)、総売上の数量を九五万〇、二七三玉(乙第一五ないし第一七五号証による)、現金売上の数量を一九万一、〇二五玉(乙第一五号証による)と計算する)、別表C1ないしC3の各<1>の総収入金額のうち麺類製品合計の欄に記載の額を、それぞれ認めることができる。

(二)  茶小売に係る収入金額

茶小売に係る収入原価(当事者間に争いがない)に、前記四2で求めた同業者率(別表A10の1、2)を乗じると、別紙Aクに記載のとおりの計算方法により、別表C1ないしC3の各<1>の総収入金額のうち茶小売の欄に記載のとおりの収入金額がいずれも認められる。

2  総収入金額

本件係争各年とも当事者間に争いがない。

3  一般経費

(一)  麺類製品に係る一般経費

前掲塩谷証言により真正な成立が認められる乙第六号証ないし第一四号証、弁論の全趣旨を総合すると、前示1で認定した収入金額(麺類製品計)に、前四3で求めた一般経費率(別表A7)を乗じると、別表C1ないしC3の各<3>の一般経費のうち麺類製品合計の欄に記載のとおりの額がそれぞれ認められる。

(二)  茶小売に係る一般経費

前掲証人塩谷邦幸の証言により真正な成立を認められる乙第二一の一、二、第二二の一、二、第二三の一、二、第二四の一、二、第二五の一、二、第二六の一、二、第二七の一、二、第二八の一、二、弁論の全趣旨を総合すると、前記1で認定した収入金額(茶小売)に、別表A10の1、2に記載のとおりの一般経費率を乗じると、別表C2、C3の各<3>の一般経費のうち茶小売の欄に記載のとおりの金額が認められる。

4  特別経費

(一)  雇人費

被告が主張する雇人費の額については当事者間に争いがない。原告は、別紙B2(雇人費)に記載のとおり、右を上回る額を主張するので、これについて検討するに、成立に争いのない甲第一九号証ないし第二二号証、原告本人尋問の結果(第一回分中、第一七回口頭弁論期日分)により真正な成立が認められる甲第九号証の八、九、一九、二〇、二二、二三、三〇、三一、三八、三九、四六、四七、五五、五六、六二、六三、七〇、七一、七八、七九、八六、八七、九四、九五、一〇九ないし一一二、一一九、一二〇、一二七、一二八、一三五、一三六、一四三、一四五、一五二、一五三、一六〇、一六一、一七三、一七四、一八一、一八二、一八九、一九〇、一九八、一九九、二〇八、二〇九、二二二ないし二二五、甲二三号証の一、二、証人二宮久子の証言、原告本人尋問の結果(第一回分中第一七回口頭弁論期日分、第二回分中第二八回口頭弁論期日分)、弁論の全趣旨を総合すると、雇人費として原告が別表B2で主張のとおりの額の支出があったと認められ、本件全証拠をもってもこれを覆すに足る証拠がない。

(二)  地代家賃

本件係争各年とも当事者間に争いがない。

(三)  利子割引料

京都銀行稲荷支店に係る利子割引料は当事者間に争いがない。

成立に争いのない乙第三五号証、第三六号証、証人塩谷邦幸の証言、原告本人尋問の結果(第一ないし第四回)、弁論の全趣旨によれば、原告は、伏見信用金庫稲荷支店に対し、支払利息として、昭和五一年一四〇万三、六八八円、昭和五二年一二〇万三、八四六円、昭和五三年九月二万六、三八五円を支払ったこと、右の伏見信用金庫からの借り入れは、深草一九軒町の建物の購入資金に当てたものと認められるところ、後記(四)で認定するとおり、深草西浦町の建物の事業専用地割合は一〇〇パーセントと認められるから、利子割引料として、昭和五一年分一五六万四、七四二円、昭和五二年分一三一万五、八六七円、昭和五三年分一〇九万七、六七九円の経費が認められる。

(四)  建物減価償却償

被告主張の額の建物減価償却費については当事者間に争いがない。原告は、これを超える別表B2(建物減価償却費)に記載の額を主張するので、これを検討するに、成立に争いのない甲第二号証、第五号証、乙第三四号証、第五八号証、証人林俊生の証言により真正に成立したものと認められる乙第四二号証、第四三号証、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第三号証、第六号証、弁論の全趣旨により深草西浦町所在の原告所有の建物の写真と認められる検甲第一号証ないし第一九号証、証人塩谷邦幸、同林俊生の各証言、原告本人尋問の結果(第一七回口頭弁論期日分)を総合すれば、原告は、京都市伏見区深草西浦町三丁目七五番地一及び同区一九軒町五五一番地の三八にそれぞれ建物を所有していること、深草西浦町の土地建物の取得価額は三、五〇〇万円であること、深草西浦町の土地の評価額は一、二六四万八、〇〇〇円、同建物の評価額は三七八万八、三〇〇円、深草一九軒町の土地の評価額は一二八万五、二〇〇円、同建物の評価額は、二三万六、〇〇〇円であること、いずれの建物についてもその全体を事業用に使用していることが認められ、本件全証拠をもってしても右認定を覆すに足りる証拠はない。

したがって、別表A13の2に記載の算式(ただし、深草西浦町の建物の専用割合を一〇〇パーセントとする)によると、建物に係る減価償却費は、各年とも深草西浦町の建物について二三万二、二四二円、深草一九軒町の建物について二万三、八〇六円、合計二五万六、〇四八円となる。

したがって、特別経費の合計額は、別表C1ないしC3の各<9>の欄に記載のとおりの額が、それぞれ認められる。

5  事業専従者控除額

当事者間に争いがない。

6  事業所得金額

前記各認定の売上金額から、収入原価、一般経費、特別経費合計、事業専従者控除額を控除すると、原告の本件係争各年分の事業所得金額は、別表C1ないしC3の<11>に記載のとおり昭和五一年分一、一二〇万四、一四一円、昭和五二年分一、四一二万〇、七二六円、昭和五三年分一、〇四四万三、八八五円となる。

六  被告のした本件各処分の算定根拠となった別表A4ないし6の各<11>記載の主位的ないし予備的主張に係る各事業所得金額は、いずれも右認定の原告の本件係争各年分の事業所得金額を下回ることが明らかであるから、被告のした本件各処分は適法であって、これに原告が請求原因(二)(2)でいう過大認定の違法はないことが明らかである。

七  結論

よって、原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 吉川義春 裁判官 菅英昇 裁判官 堀内照美)

別紙Aア

○ 製造原料粉一袋(25,000グラム)からとれる茹麺(一玉200グラム)の収量(歩留り)

乙第37号証(めんの本)によれば、「茹麺の歩留りは、・・・・320玉(一玉250グラム)・・・・程度が標準である。」

原料粉一袋からとれる茹麺 茹で麺1玉の重量 麺の重量

(1) 320玉×250グラム=80,000グラム

茹麺の重量 原料粉の重量 茹で倍率

(2) 80,000グラム÷25,000グラム=3.2

茹麺の重量 茹麺1玉の重量 原料粉一袋からとれる茹麺

(3) 80,000グラム÷200グラム=400玉

原料粉一袋からとれる茹麺 ロス率10% 茹麺の収量

(4) 400玉×(1-0.1)=360玉

○ 製造原料粉及び茹麺の水分割合による算定(乙第50・62・66号証)

原料粉の重量 原料粉に含まれている水分割合15% 原料粉のみの重量

(1) 25,000グラム×(1-0.15)=21,250グラム

原料粉のみの重量 茹麺に含まれている水分割合75% 茹麺の重量

(2) 21,250グラム÷(1-0.75)=85,000グラム

茹麺の重量 茹麺1玉の重量 原料粉一袋からとれる茹麺

(3) 85,000グラム÷200グラム=425玉

原料粉一袋からとれる茹麺 ロス率10% 茹麺の収量

(4) 425玉×(1-0.1)=382玉

別紙Aイ(主位的主張)-1

麺類製品に係る各項目の計算方法(昭和51年分)-1

<省略>

別紙Aイ(主位的主張)-2

麺製品に係る各項目の計算方法(昭和51年分)-2

○ 総収入金額 33,984,759玉

19,011,687円+13,971,630円+382,725円+618,717円=33,984,759円

イ 麺類製品卸売に係る掛売上の金額(乙第44号証及び同45号証) 19,011,687円

ロ 麺類製品卸売に係る現金売上の金額 13,971,630円

現金売上の単価(乙第44号証及び同47号証) 現金売上の数量

34.07円×410,086玉=13,971,630円

ハ 麺類製品小売に係る収入金額 382,725円

標準単価(乙第41号証) 山科店の小売の数量

45円×8,505玉=382,725円

ニ スープ類販売に係る収入金額 618,717円

スープ類に係る収入原価 売上の比率(乙第68号証)

562,470円×110%=618,717円

<2> 総収入原価 8,370,130円

7,807,660円+562,470円=8,370,130円

○ 麺類製品に係る収入原価 7,807,660円

○ スープ類に係る収入原価 562,470円

<3> 麺類製品に係る一般経費 4,105,358円

麺類製品に係る収入金額 同業者の一般経費率

33,984,759円×0.1208=4,105,358円

別表Aイ<1>

別表五の平均単価の計算方法

<省略>

別紙Aウ(主位的主張)-1

麺類製品に係る各項目の計算方法(昭和52年分)-1

○ 総売上数量 1,301,040玉

製麺原料粉の仕入数量(乙第38号証ないし同40号証) 1袋からとれる茹麺の数量

3,614袋×360玉=1,301,040玉

イ 麺類製品卸売の掛売上の数量(乙第44号証及び同46号証) 729,634玉

ロ 麺類製品卸売の現金売上の数量 449,629玉

総売上数量 掛売上の数量 山科店における小売の数量

1,301,040玉-729,634玉-121,777玉=449,629玉

ハ 麺類製品小売の数量 121,777玉

総売上数量 昭和57年分山科店の小売の割合

1,301,040玉×9.36%=121,777玉

別紙Aウ(主位的主張)-2

麺類製品に係る各項目の計算方法(昭和52年分)-2

○ 麺類製品に係る収入金額 42,883,462玉

21,208,002円+15,755,000円+5,479,965円+440,495円=42,883,002円

イ 麺類製品卸売に係る掛売上の金額(乙第44号証及び同46号証) 21,208,002円

ロ 麺類製品卸売に係る現金売上の金額 15,755,000円

現金売上の単価(乙第44号証及び同48号証) 現金売上の数量

35.04円×449,629玉=15,755,000円

ハ 麺類製品小売に係る収入金額 5,479,965円

標準単価(乙第41号証) 山科店の小売の数量

45円×121,777玉=5,479,965円

ニ スープ類販売に係る収入金額 440,495円

スープ類に係る収入原価 売上の比率(乙第68号証)

400,450円×110%=440,495円

<2> 麺類製品に係る総収入原価 11,049,690円

10,649,240円+400,450円=11,049,690円

○ 麺類製品に係る収入原価 10,649,240円

○ スープ類に係る収入原価 400,450円

<3> 麺類製品に係る一般経費 4,691,450円

麺類製品に係る収入金額 同業者の一般経費率

42,883,462円×0.1094=4,691,450円

別紙Aエ(主位的主張)-1

麺類製品に係る各項目の計算方法(昭和53年分)-1

○ 総売上数量 1,010,880玉

製麺原料粉の仕入数量(乙第38号証ないし同40号証) 1袋からとれる茹麺の数量

2,808袋×360玉=1,010,880玉

イ 麺類製品卸売の掛売上の数量 712,367玉

(1) 昭和57年分掛売上の数量(乙第16号証及び同17号証) 昭和57年分総売上の数量(乙第15号証ないし同17号証) 掛売上の割合

670,279玉÷951,154%=0.7047

(2) 総売上の金額 昭和57年分掛売上の割合

1,010,880玉×70.47%=712,367玉

ロ 麺類製品卸売の現金売上の数量 203,793玉

(1) 昭和57年分掛売上の数量(乙第15号証) 昭和57年分総売上の数量(乙第15号証ないし同17号証) 現金売上の割合

191,835玉÷951,154%=0.2016

(2) 総売上の金額 昭和57年分掛売上の割合

1,010,880玉×20.16%=203,793玉

ハ 麺類製品小売の数量 94,720玉

総売上数量 掛売上の数量 現金売上の数量

1,010,880玉-712,362玉-203,793玉=94,720玉

別紙Aエ(主位的主張)-2

麺類製品に係る各項目の計算方法(昭和53年分)-2

○ 麺類製品に係る収入金額 37,196,317玉

24,163,488円+7,744,134円+4,736,000円+552,695円=37,196,317円

イ 麺類製品卸売に係る掛売上の金額(乙第44号証及び同49号証) 24,163,488円

ロ 麺類製品卸売に係る現金売上の金額 7,744,134円

現金売上の単価(乙第44号証及び同49号証) 現金売上の数量

38円×203,793玉=7,744,134円

ハ 麺類製品小売に係る収入金額 4,736,000円

標準単価(乙第41号証) 山科店の小売の数量

50円×94,720玉=4,736,000円

ニ スープ類販売に係る収入金額 552,695円

スープ類に係る収入原価 売上の比率(乙第68号証)

502,450円×110%=552,695円

<2> 麺類製品に係る総収入原価 9,244,480円

8,742,030円+502,450円=9,244,480円

○ 麺類製品に係る収入原価 8,742,030円

○ スープ類に係る収入原価 502,450円

<3> 麺類製品に係る一般経費 4,017,202円

麺類製品に係る収入金額 同業者の一般経費率

37,196,317円×0.1080=4,017,202円

別紙Aエ<1>

昭和53年分麺類製品の卸売に係る現金売上の単価

<省略>

(注) 平均単価は、売上単価の合計を卸売先件数で除して算出。

1,026円(売上単価の合計)÷27件(卸売先件数)=38円

別紙Aオ(予備的主張)

麺類製品に係る各項目の計算方法(昭和51年分)

<省略>

別紙Aカ(予備的主張)

麺類製品に係る各項目の計算方法(昭和52年分)

<省略>

別紙Aキ(予備的主張)

麺類製品に係る各項目の計算方法(昭和53年分)

<省略>

別表Aク

茶小売に係る各項目の計算方法

<省略>

別表A1

昭和51年分

<省略>

(注)<特>………特別減税額

別表A2

昭和52年分

<省略>

(注)<特>………特別減税額

別表A3

昭和53年分

<省略>

別表A4

昭和51年分事業所得金額の計算書

<省略>

別表A5

昭和52年分事業所得金額の計算書

<省略>

別表A6

昭和53年分事業所得金額の計算書

<省略>

別表A7

同業者率

<省略>

別表A8

麺類1玉当たりの平均卸売価格

<省略>

(注) <1>・<2>及びイ・ロは、昭和57年分帳簿による。

別表A9

麺類1玉当たりの平均小売価格

<省略>

(注) <1>の小売価格は、総理府統計局編集の物価統計月報小売価格資料編による。

別表A10-1

茶小売に係る類似同業者の原価率・所得率(昭和52年分)

<省略>

別表A10-2

茶小売に係る類似同業者の原価率・所得率(昭和53年分)

<省略>

別表A11

収入原価の内訳

<省略>

別表A12

雇人費の明細

<省略>

(注) 従前主張額は、被告第2準備書面による。

別表A13

特別経費の計算

1 利子割引料

<省略>

2 建物減価償却費

<省略>

別表B1

原告の主張

製麺原料粉中の水分14パーセントを除いた重量

25,000×(1-0.14)=21,500(g)

茹でる過程で湯の中に逃げて行く粉の量(5ないし7パーセント)を除いた量

21,500×(1-0.06)=20,210(g)

茹で上がった製品の含水量は70ないし72パーセントである。

製麺原料粉1袋当たりの茹麺の総重量

70パーセントの場合 20,210÷0.30=67,366(g)

71パーセントの場合 20,210÷0.29=69,689(g)

72パーセントの場合 20,210÷0.28=72,178(g)

原告は1玉当たりの重量を220グラム程度にしている。

含水量70パーセントの場合 67,366÷220≒307(玉)

71パーセントの場合 69,689÷220≒317(玉)

72パーセントの場合 72,178÷220≒328(玉)

茹麺の崩れや売れ残りによるロスを10パーセントと見る。

含水量70パーセントの場合 276玉

71パーセントの場合 285玉

72パーセントの場合 295玉

別表B2

原告の主張額

1 雇人費

<省略>

1 雇人費

<省略>

(内訳)

1 京都市伏見区深草西浦町3丁目75番地所在 倉庫兼事務所

昭和50年12月10日購入(代金1,300万円)

昭和46年11月建築(中古物件)

耐用年数=法定耐用年数-(経過年数×0.8)=35-(4×0.8)=31.8≒32

償却費=13,000,000×0.9×0.032×=374,400(円)

2 同区深草一九軒町551番地の38所在 従業員寮

昭和45年5月1日購入(代金155万円)

昭和36年7月1日建築(中古物件)

耐用年数=24-(8×0.8)=17.6≒18

償却費=1,550,000×0.9×0.55=76,725(円)

3 建物以外の減価償却費

a 山科店の開店に際し要した費用

内装工事費 1,397,000

市場設備分担金 250,000

水道工事費 68,000

動力引込費 40,000 合計 1,755,000円

償却費(昭和52、53年分)

1,755,000×0.9×0.1=157,950円

同(昭和51年分)

157,950÷12×2=26,325円

b うどん玉製造のための機械設備

粉水混和機、麺帯複合機、麺線製造機 2,800,000

移行式自動茹麺機 1,416,000

ステンレス製七尺茹釜 961,000

麺洗機 900,000 合計 6,077,000円

償却費 6,077,000×0.9×0.1=546,930円

別表C1

昭和51年分認定額

<省略>

別表C2

昭和52年分認定額

<省略>

別表C3

昭和53年分認定額

<省略>

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