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京都地方裁判所 昭和58年(行ウ)10号 判決 1987年2月23日

京都市下京区新町五条上ル材木町一三八番地

原告

三田利子

右訴訟代理人弁護士

高田良爾

京都市下京区間之町五条下ル大津町八番地

被告

下京税務署長

黒澤義治

右指定代理人

笠原嘉人

足立孝和

戸根義道

西沢毅

国越照清

岸本卓夫

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一申立

一  原告

1  被告が原告に対し昭和五六年一〇月三一日付でした原告の昭和五三年分、昭和五四年分及び昭和五五年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  被告

主文と同旨。

第二主張

一  請求の原因

1  原告は、肩書住所地において三田商会と称し、「ゆのし業」を営む者であるが、被告に対し本件係争年分の確定申告をした。

被告は、昭和五六年一〇月三一日付けで原告に対し更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(以下、本件処分という)をした。

原告は、本件処分に対し、異議申立及び審査請求をした。

以上の経過と内容は、別表1記載のとおりである。

2  しかし、本件処分は、左の理由で違法であるから、取消されるべきである。

(一) 被告は、原告に対する税務調査にあたり第三者の立会を認めず、調査の理由を開示せず、違法な調査に基づき本件処分をした。

(二) 被告は、原告の本件係争年分の所得金額を過大に認定した。

3  よって、原告は被告に対し本件処分の取消を求める。

二  請求の原因に対する認否

請求の原因1の事実は認め、同2の事実は争う。

三  抗弁

1  被告の部下職員は、原告方に臨場し、本件係争年分の所得金額の計算の基礎となる帳簿書類等の提示と事業内容の説明を求めたが、原告は非協力的態度に終始し、帳簿資料を提示せず、事業内容を説明せず、第三者の立会いを求めて調査に応じなかった。

その為、被告はやむなく反面調査の上推計課税の方法で本件処分をしたのであって、本件処分に手続的瑕疵はない。

2  本件係争年分の所得金額について

(主位的主張)

原告の本件係争年分の所得金額は別表2の1記載のとおりである。これを詳述すると次のとおりである。

(一) 原告は、本件係争年分に、別表2の2記載<1>欄の材料購入費と同<2>欄の外注費を支払った。これら材料購入費及び外注費は売上金額に対応する。

(二) 同業者の選定と同業者率の算定は次のとおりである。

被告は、原告の事業所の所在地域及びこれに隣接する京都市内の全署管内の事業者の内から、本件係争年分で次の条件に該当する青色申告納税者を選んだところ、別表2の4記載のとおりの一事例を得た。

(1) 本件係争各年分に継続して「ゆのし業(手ゆのし)」を営む個人事業者であること。

(2) 他の業種目を兼業していないこと。

(3) 青色申告納税者であり、不服申立又は訴訟を提起していないこと。

(4) 本件係争各年分を通じて売上原価(材料仕入高及び外注費の合計額)が二七四万円から一二二〇万円の範囲内であること(原告の昭和五五年分の売上原価の二分の一を下限とし、同昭和五三年分の一・五倍を上限とした)。

右同業者は、業種、事業場所、規模などの点で原告の事業と類似性があり、青色申告納税者であるからその数値は正確である。従って、右同業者から同業者率を算定し、これを原告に適用することには合理性がある。

(三) 結局、以上によれば、原告の本件係争年分の事業所得金額は、別表2の1記載のとおりで、本件処分を上回っている。

(予備的主張)

原告の本件係争年分の所得金額は別表3の1記載のとおりである。これを詳述すると次のとおりである。

(一) 原告は本件係争年分に少なくとも別表3の3記載<1>、<4>及び<7>欄のとおりの裏生地を仕入れており、この裏生地仕入数量によれば、原告の「裏生地持ち売上高」は同表記載<3>、<6>、<9>及び<10>欄のとおりである。

原告の売上先として判明している者は、別表3の5記載の二八軒にすぎないが、これら判明している売上先に対する売上の内、「裏生地持ち売上比率」は、別表3の2の注記のとおりである。

右「裏生地持ち売上高」(別表3の3記載<10>欄)を右「裏生地持ち売上比率」で除すると、売上金額は別表3の2記載のとおりとなる。

(二) 同業者の選定は、主位的主張につき記載したとおりである。

本件同業者から同業者一般経費率を算定し、これを原告に適用することには合理性がある。

(三) 結局、以上によれば、原告の本件係争年分の事業所得金額は、別表3の1記載のとおりで、本件処分を上回っている。

3  よって、本件処分は適法であり、原告の主張するような違法はない。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1の事実中、原告が調査に対して非協力的態度に終始したとの主張は争う。被告は、原告の要請に基づいて調査に立会っている第三者の排除を一方的に通告し、第三者の立会いを口実に調査を放棄して、やむを得ない事情もないのに反面調査を行ったものである。税務調査の際に被調査者が信頼できる第三者を立会わせることは、その正当な権利である。

2  本件係争年分の所得金額について

(主位的主張に対する認否)

(一) 被告主張別表2の2記載の事実中、京阪シルク株式会社が材料購入先であること、外注先及び外注費金額は認める。外注費は、裏打ち加工のための加工賃である。

(二) 同業者の選定と同業者率の算定について

被告主張の本件同業者が、業種、事業場所、規模などの点で原告の事業と類似性があるとの主張は争う。わずかに同業者一例をもって推計の資料とすることは、推計の合理性の裏付けとして十分と言えない場合が多いと考えられ、同業者の業種、業態及び規模等についての具体的な主張立証がなくてはならないところ、本件同業者は、次のとおり、原告と類似していない。同業者の差益率等を原告に適用することは誤りである。

(1) 原告が営む「ゆのし」業は、その作業形態において「手ゆのし」の内の「二人ゆのし」である。「二人手ゆのし」は、「一人手ゆのし」より手間(時間)がかかり、人件費も高くつき、商品の生産量も異なり、利益率が低い。

(2) また、原告の取扱い商品には、<1>兵児帯、帯上等の和装小物の絞部分を除く無地場のゆのし(裏打ちしない)と、<2>絞羽織、着尺、振袖等の生地を製造元からの指定の巾にゆのし(裏打ちしない)と、<3>絞羽織、着尺、振袖等の仕立前のゆのしとがあり、裏打ちをするのは、「ゆのし」全体の七割位を占める右<3>の七割位で、その他の商品には裏打ちをしないから、裏打ちをしない商品の売上額は、材料の仕入高や外注費には対応しないところ、本件同業者の売上金額中の裏打ちしない商品の占める割合は明らかでない。

(3) 原告が裏打ち使用する材料は合繊のみであり、より商品価値の高い正絹や交織は使用していない。

(三) 別表2の1記載の特別経費(雇人費、利子割引料)及び事業専従者控除は認める。

(予備的主張に対する認否)

(一) 別表3の3記載の裏生地仕入数量及び「裏生地持ち売上高」を争う。

別表3の5記載の「売上金額」及び「売上金額のうち裏打ち分」について、木村株式会社、中田絹業株式会社、ばんば染匠株式会社、丸永株式会社、加賀進株式会社、丸橋株式会社、松井岩男及び土屋光造に関する部分を争う。別表3の2注記の「裏生地持ち売上比率」を争う。別表3の1記載の売上金額を争う。別表3の5記載「<2>の内訳」欄について、株式会社京都装苑、田中雄株式会社、株式会社喜創染匠、株式会社友栄、株式会社藤与及び株式会社富一に関する部分を争う。

(二) 本件同業者が、業種、事業場所、規模などの点で原告の事業と類似していないこと、前記のとおりである。

(三) 別表3の1記載の外注費、特別経費(雇人費、利子割引料)及び事業専従者控除は認める。

五  原告の再抗弁

1  原告の本件係争年分の売上金額は、別表2の5記載のとおり、昭和五三年分が一五九六万六九九八円、昭和五四年分が一一八一万三一六六円、昭和五五年分が一二四七万一六三〇円である。

2  原告は本件係争年分に、地代として、毎年、一年につき金三万三〇〇〇円を支払っている。

六  再抗弁に対する認否

1  原告主張の売上金額は争う。

2  原告主張の地代支払は知らない。

第三証拠

本件記録中の証拠関係目録記載のとおり。

理由

一  原告が、肩書住所地にて三田商会と称して「ゆのし業」を営み、本件係争年分の確定申告をしたこと、被告が本件処分をしたこと、原告が異議申立及び審査請求をしたこと、以上の経過と内容が別表1記載のとおりであることは当事者間に争いがない。

二  推計課税の必要性

原告は、被告の部下職員が税務調査に際し、第三者の立会を認めず、調査の理由を開示しなかったから、本件処分は違法であると主張する。

しかし、被告の税務職員が所得税法二三四条一項による質問検査権を行使するにあたっては、その行使の方法や時期は、納税者の営業妨害や人権の侵害にならない限り、税務職員の裁量に委ねられており、第三者の立会を認めるか否かも右裁量の範囲に属すると解すべきところ、第三者の立会を拒んだことが本件税務調査の違法事由になると認めるべき事実の主張立証はない。原告は、税務調査の際に被調査者が信頼できる第三者を立会わせることはその正当な権利であるとも主張するが、この主張は採用できない。

更に、被告の部下職員が税務調査にあたり、原告に対し調査理由を開示しなかったとしても、だからといって、その税務調査が違法になるものではない。

右のとおり、原告が違法事由として主張するところはいずれも理由がない。原告が被告の部下職員の税務調査に対し帳簿資料に基づいてその事業内容を説明しなかったことは、原告の明らかに争わないところであり、そうすると、被告が反面調査のうえ推計課税の方法で本件処分をするも止むを得ないものがあったと言うべきである。

三  推計の合理性と所得金額の認定

(主位的主張について)

被告は、原告が別表2の2記載のとおりの材料購入費と外注費を支払っており、これら材料購入費及び外注費は売上金額に対応するとし、この材料購入費及び外注費に同業者差益率を適用して原告の売上金額を推計する。

しかし、原告本人尋問の結果によれば、原告の取扱い商品には裏打ちするものとしないものがあり、この裏打ちの有無により売上原価(材料購入費及び外注費)が異なると認められるから、この点の差異を考慮することなく売上金額を推計することは、本件において合理的な推計とは認め難い。

よって、その余の判断をするまでもなく、主位的主張は理由がない。

(予備的主張について)

なお、被告昭和五九年二月二三日付第三準備書面記載の予備的主張は、本判決摘示の予備的主張にともない、撤回されたと認める。

1  合繊の仕入数量から推計した、合繊の裏打ちによる「裏生地持ち売上金額」

弁論の全趣旨により真正に成立したと認める乙三号証及び五号証によれば、原告の裏生地の合繊(縦糸と横糸ともに化繊で織られている布)仕入数量が別表3の3記載<7>欄のとおりであることが認められる。なお、昭和五三年分については別表4の3注記のとおりの計算で算定される。

弁論の全趣旨により真正に成立したと認める乙六号証及び四三号証によれば、別表3の4「合繊」欄記載<1>欄の「一反当りの商品別長さ」並びに同<2>、<4>ないし<6>及び<8>欄の「商品一反当り売上単価」が認められ、これらによれば、同<3>、<7>及び<9>欄の「裏生地一丈当り売上単価」が認められる。

原告は、裏生地合繊一疋から一〇尺ないし一二尺のロスがあり、また、別表3の4記載<1>欄の一反当りの商品別長さは、総羽折が二丈六尺ないし八尺、羽尺が二丈六尺ないし八尺、着尺が三丈一尺ないし三尺、着物が三丈一尺ないし三尺、振袖八掛付が四丈であると主張するが、右の認定を左右するに足る証拠はない。

以上によれば、原告の本件係争年分の合繊の裏打ちによる「裏生地持ち売上金額」は、別表3の3記載<9>欄のとおりとなる。

2  「判明売上金額」及び「判明売上金額のうち裏生地持ち分」

(一) 被告は、原告の売上先として判明している者は別表3の5記載の二八軒にすぎないが、これら判明している売上先に対する売上の「裏生地持ち売上比率」は、別表3の2の注記のとおりであると主張する。

原告は、別表3の5記載の「売上金額」及び「売上金額のうち裏打ち分」につき、木村株式会社、中田絹業株式会社、ばんば染匠株式会社、丸永株式会社、加賀進株式会社、丸橋株式会社、松井岩男及び土屋光造に関する部分を争い、別表3の2の注記の「裏生地持ち売上比率」を争う。

なお、被告主張の出口四郎、株式会社藤与及び株式会社ダイカに対する「売上金額」及び「売上金額のうち裏打ち分」については乙二四号証、三五号証、四一号証等の証拠が不明確で、これを認めるに足る証拠がない。

(二) そこで、別表3の5記載の二八軒の内、右原告が争う部分と証拠が不明確な部分を除くその余の者に対する「売上金額」及び「売上金額のうち裏打ち分」について検討するに、弁論の全趣旨並びにこれにより真正に成立したと認める乙一四号証ないし一六号証、一九号証ないし二三号証、二五号証ないし二七号証、三〇号証、三一号証、三三号証、三四号証、三六号証及び四〇号証によれば、別表4の2記載の「判明売上金額」及び「判明売上金額のうち裏生地持ち分」が認められる。

原告は、取扱い商品中裏打ちをするものが「ゆのし」全体の七割位を占める絞羽折、着尺、振袖等の仕立て前の「ゆのし」の七割位、即ち四九パーセントと主張し、また、証人三田純一は「売上金額のうち裏打ちした商品の売上金額の割合は七割ないし八割」である旨供述する(甲一〇号証も同様)けれども、いずれも明確な根拠に基づくものではないから、右認定に徴して採用し難く、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

3  「判明売上金額のうち裏生地持ち分(合繊分)」及び「裏生地持ち売上比率」

右「判明売上金額のうち裏生地持ち分」のうち、合繊の裏打ちによる売上金額及びその比率を検討するに、原告は、別表3の5記載「<2>の内訳」欄につき、株式会社京都装苑、田中雄株式会社、株式会社喜創染匠、株式会社友栄、株式会社藤与及び株式会社富一に関する部分を争い、裏打ち材料の殆どが合繊で、より商品価値の高い正絹や交織は使用していないと主張しているところ、証人三田純一は「裏打ち材料は九八パーセントが合繊である」と供述している。

右原告主張及び証人三田の証言に徴すると、右2二掲記の乙号各証中には裏打ち材料が合繊であったか否かが不明確で、たやすく採用し難いものがある。

そこで、「判明売上金額のうち裏生地持ち分」のうち合繊分は、右乙号各証によらず、右証人三田の供述により、その九八パーセントを合繊分と認める。この「判明売上金額のうち裏生地持ち分(合繊分)」が同「判明売上金額」に占める比率を算定すると別表4の3記載「裏生地持ち売上比率」欄のとおりとなる。

4  売上金額

右1に認定した合繊の裏打ちによる「裏生地持ち売上金額」を右3に認定した「裏生地持ち売上比率」で除すると、「売上金額」は別表4の3記載のとおりであると認められる。

(再抗弁について)

原告は、再抗弁として、原告の本件係争年分の売上金額は別表2の5記載のとおり、昭和五三年分が一五九六万六九九八円、昭和五四年分が一一八一万三一六六円、昭和五五年分が、一二四七万一六三〇円であると主張するが、以上の認定に徴し、この主張は認め難く、これを認めるに足る証拠はない。

四  同業者の選定と同業者率の算定

1  証人石井出澄の証言により真正に成立したと認める乙一号証、二号証の一ないし四及び同証言によれば、京都市内の全署管内には青色申告をしている「ゆのし業」者が約三〇数軒あるものの、その内、「手ゆのし業」で被告主張の条件に該当する同業者は、別表2の4記載のとおり一事例であったと認められる。原告の売上原価の認定は後記五のとおりである。

原告は、右の同業者が原告と類似せず、この同業者率を原告に適用することには合理性がないと主張する。しかし、原告主張に沿い、原告の作業形態が「二人手ゆのし(証人三田の供述によれば、二人で向かいあって真中に釜を置き幅を揃えていく作業形態を二人手ゆのしと言い、一人で木枠を向うにして幅を揃える一人ゆのしとは作業形態が異なる)」で、裏打ち材料が主に「合繊(右供述によれば、縦糸と横糸がいずれも化繊である布)」であるとしても、証人石井出の証言により認められる本件同業者の作業形態は、「二人手ゆのし」が六割位で、裏打ち材料が主に「交織(右供述によれば、縦糸と横糸のいずれかが絹糸である布)」で、裏打ちをする割合が七割位であることと比較し、だからといって、雇人費あるいは商品価格等に差異を生ずるのはともかく、一般経費率において推計を不合理ならしめる程度の差異を生じるとの疑いを生ぜしめる事情は見出し難い。

2  右によれば、被告主張の同業者選定条件に徴し、本件同業者は、業種、事業場所、規模などの点で原告の事業と類似性があり、この同業者は青色申告納税者でその数値は正確であると認められるから、右同業者から一般経費率を算定し、これを原告に適用することには合理性があると認められる。右同業者から一般経費率を算出し、これに基づいて原告の一般経費を算出すると、別表4の1記載のとおりとなる。原告がその帳簿書類等を提出していないからには、原告の営業内容について、既に認定した事実を除くその余の詳細を確定するに足る証拠がなく、だとすれば、本件同業者が原告と類似するか否かも、判明し且つ確定しうる範囲での類似性を検討するほかないと言うべきであり、右認定を左右するに足る証拠はない。

五  前掲乙三号証及び弁論の全趣旨によれば、別表4の1記載の材料費が認められる。同表記載の外注費は当事者間に争いがない。

六  被告主張の特別経費(雇人費、利子割引料)及び事業専従者控除は当事者間に争いがない。

原告は本件係争年分に、地代として、毎年、一年につき金三万三〇〇〇円を支払っていると主張するが、これを認めるに足る証拠はない。

七  以上により原告の本件係争年分の事業所得金額を計算すると、別表4の1記載のとおりとなること、計数上明らかである。

そうすると、本件各処分は右に認定した事業所得金額の範囲内であるから、その余の判断をするまでもなく、被告が原告の本件係争年分の事業所得金額を過大に認定した違法はないと認められる。

八  よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井関正裕 裁判官 田中恭介 裁判官 榎戸道也)

別表1 申告・更正等の経過

<省略>

別表2の1 事業所得金額の計算(被告の主位的主張)

<省略>

別表2の2

<省略>

別表2の3

特別経費

<省略>

別表2の4 同業者率表

<省略>

別表2の5 原告主張の売上金額の内訳

<省略>

別表3の1 事業所得金額の計算(被告の予備的主張)

<省略>

別表3の2 売上金額の計算(被告の予備的主張)

<省略>

注記 「裏生地持ち売上比率」は、別表3の5記載の「裏打ち分の内の原告の生地持ち」合計額(同表<3>欄+<4>欄+<5>欄)を同売上金額(同表<1>欄)で除した比率であり、その計算は次のとおり。

昭和53年分=(5,191,990+704,410+273,700)÷16,267,223≒0.3793

昭和54年分=(3,225,270+1,057,510+324,100)÷12,142,849≒0.3794

昭和55年分=(3,082,420+879,810,+726,100)÷12,664,580≒0.3702

別表3の3 裏生地仕入数量による生地持ち売上げ

<省略>

(注)1.<1><4><7>欄は乙第3号証・乙第5号証による。丈数換算は1疋=24丈(正絹・交織)1疋=36丈(合繊)

2.裏生地一丈当りの売上単価は各年分とも別表3の4の種類別の一番低い単価である。

3.昭和53年分の<1><7>欄は昭和54・55年分の正絹仕入割合(16%)で算出し、仕入数量は乙第5号証問10の平均単価をもとに算出した。

別表3の4 裏生地一丈当り売上単価表

<省略>

(注)1.<1>は乙第43号証による。

2.合繊の<2><4><5><8>欄は乙第6号証別紙1ないし9による。

3.正絹及び交織の――昭和53年分・昭和54年分<2><6>欄は、合繊昭和55年分を100として比率計算した。(昭和53年分93・昭和54年分94)

別表3の5 原告の主たる売上(受注)先における裏打ち加工の状況 (1)

<省略>

注 (株)は株式会社である。

原告の主たる売上(受注)先における裏打ち加工の状況 (2)

<省略>

注 (株)は株式会社である。

原告の主たる売上(受注)先における裏打ち加工の状況 (3)

<省略>

注 (株)は株式会社である。

原告の主たる売上(受注)先における裏打ち加工の状況 (4)

<省略>

注 (株)は株式会社である。

原告の主たる売上(受注)先における裏打ち加工の状況 (5)

<省略>

注 (株)は株式会社である。

別表4の1 事業所得金額の計算(当裁判所の認定)

<省略>

別表4の2

<省略>

注1 「売上金額の内裏打ち分」は、各年分とも、別表3の5記載の「<1>のうち裏打ち分」金額から「<6>生地支給のもの・合繊」金額を控除した額である。なお、同表記載の昭和55年分売上金額3,057,150とあるは、3,057,250の誤記と認める。

注2 別表3の5記載の昭和55年分「<1>売上金額」334,500とあるは、344,500の誤記と認める。

別表4の3 売上金額の計算(当裁判所の認定)

<省略>

注 原告の昭和53年分裏生地総仕入金額(前掲乙3号証により別表2の2記載の3,050,200円と認められる)に正絹生地仕入金額比率16%を控除した84%を乗じて算出した昭和53年分合繊裏生地仕入金額(2,562,168円)を、合繊一疋あたりの平均仕入単価(前掲乙5号証により、10,200円と認められる)で除して合繊仕入数量を251疋と算出し、また、乙5号証により合繊一疋の裏生地で36丈の裏打ちが可能であると認められる(251疋×36丈=9036丈)。なお、正絹生地仕入金額比率16%は、乙5号証により認められる昭和54年分及び昭和55年分の正絹(本絹)仕入金額をそれぞれ同年の全仕入金額で除して算出したものである。この算出にあたっては交織分をも合繊に包括していることとなるが、昭和53年分の裏生地持ち売上金額のうち証拠により交織と確定し得るものはないから(別表3の5によれば、被告は、大和(株)に対する昭和53年分の売上金額中に39,900円の交織の売上があるとも主張しているが、前掲乙19号証により、これは正絹であり交織ではないと認められる)、このことをもってしては、この自己比率による推計は、未だ合理性を失わないものと認める。

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