京都地方裁判所 昭和59年(わ)268号 判決
判決主文
被告人孫致憲を懲役一年六月および罰金二二〇〇万円に
被告会社有限会社新天地を罰金五〇〇万円に各処する。
被告人孫致憲において、その罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。
被告人孫致憲に対しこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
(罪となるべき事実の要旨)
被告人孫致憲は、パチンコ店等を営むとともに、被告会社有限会社新天地の取締役あるいは代表取締役として同会社の業務全般を統括掌理しているもの、被告会社有限会社新天地は、京都市伏見区深草北蓮池町九〇七番地に本店を置き、パチンコ店を営んでいるものであるが
第一被告人孫致憲は、所得税を免れようと企て
一 昭和五五年分の総所得税金額が、五、九五八万五四円で、これに対する所得税額が、二、九九〇万七、五〇〇円であるにもかかわらず、収支に関する記帳を行わず、右パチンコ店等の営業により得た所得の一部を仮名、又は家族名義の預貯金として留保するほか、不動産取得資金に充てるなどの行為により、その所得金額のうち、五、五二九万四、〇五四円を秘匿した上、同五六年三月一四日、京都市伏見区鑓屋町所在の所轄伏見税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が、四二八万六、〇〇〇円で、これに対する所得税額が三三万八、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額二、九九〇万七、五〇〇円との差額二、九五六万九、三〇〇円を免れ
二 同五六年分の総所得金額が、八、九五四万三〇一円で、これに対する所得税額が、五、一三〇万六、五〇〇円であるにもかかわらず、収支に関する記帳を行わず、同営業により得た所得の一部を仮名、又は家族名義の預貯金として留保するほか、不動産取得資金及び銀行借入金の返済に充てるなどの行為により、その所得金額のうち、八、〇九四万一、一二一円を秘匿した上、同五七年三月一五日、同税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が八五九万九、一八〇円で、これに対する所得税額が一四八万八、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額五、一三〇万六、五〇〇円との差額四、九八一万八、四〇〇円を免れ
三 同五七年分の総所得金額が、三、七六四万、三、八三三円で、これに対する所得税額が、一、五九八万九、八〇〇円であるにもかかわらず、収支に関する記帳を行わず、同営業により得た所得の一部を仮名、又は家族名義の預貯金として留保するなどの行為により、その所得金額のうち、二、九五七万一、九二四円を秘匿した上、同五八年三月一五日、同税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が八〇七万一、九〇九円で、これに対する所得税額が一二九万三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一、五九八万九、八〇〇円との差額一、四六九万九、五〇〇円を免れ
第二 被告人孫致憲は、被告会社有限会社新天地の業務に関し、法人税を免れようと企て同五七年七月一日から同五八年六月三〇日までの事業年度における所得金額が五、八一三万八、八七五円でこれに対する法人税額が二、二九四万四、三〇〇円であるにもかかわらず売上の一部を除外しこれにより得た資金を自己の個人資金と混同して運用し、自己の資産取得資金に充てるなどの行為により、その所得金額五、八一三万八、八七五円を秘匿した上、同五八年八月二六日、京都市伏見区鑓屋町所在の所轄伏見税務署において、同税務署長に対し、所得がなく、納付すべき法人税額もない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同事業年度の正規の法人税額二、二九四万四、三〇〇円を免れ
たものである。
(適用した罰条)
被告人に対し、
一 公訴事実第一の一につき
行為時において昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項、裁判時において右改正後の所得税法二三八条一項、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による(情状により所得税法二三八条二項)
公訴事実第一の二及び三につき
所得税法二三八条一項、(情状により同法二項)
公訴事実第二につき
法人税法一五九条一項(情状により同条二項)
二 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項
三 刑法一八条
四 刑法二五条一項
被告会社に対し
一 法人税法一六四条一項、一五九条一項
(裁判官 長﨑裕次)