京都地方裁判所 昭和60年(わ)1068号・昭60年(わ)1283号 判決
判決主文
被告人を懲役一年及び罰金一、三〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二万五〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
(罪となるべき事実)
第一 被告人は、株式会社エクダムの代表取締役として、鐘紡不動産株式会社(昭和五九年五月カネボウ不動産株式会社と社名変更)に委託されて土地買収交渉をしていたものであるが、
一 中村春造が同人の所有する大津市瀬田月輪町字中筋四一〇番地ほか五筆の田及び畑を昭和五八年一二月一三日右鐘紡不動産株式会社に合計二億八、五四四万円で売却譲渡したことに関して、右中村、全日本同和会京都府・市連合会会長鈴木元動丸、同連合会副会長村井英雄、同連合会事務局長長谷部純夫、右鐘紡不動産株式会社常務取締役山中隆雄及び司法書士松本善男らと共謀の上、右譲渡にかかる右中村の所得税を免れようと企て、同人の実際の五八年分分離課税の長期譲渡所得金額は、二億七、〇一六万八、〇〇〇円、総合課税の総所得(農業所得)金額は一二万一、〇〇〇円で、これに対する所得税額は八、七四八万七、五〇〇円であるにもかかわらず、株式会社ワールドが有限会社同和産業(代表取締役鈴木元動丸)から四億円の借入れをし、その債務について右中村が連帯保証人となり、右ワールドが破産したことから、右連帯保証債務を履行するために右不動産を譲渡し、その譲渡収入で同五九年一月二〇日に二億四、〇〇〇万円履行したが、右ワールドに対する求償不能により同額の損害を被った旨仮装するなどした上、同五九年三月一五日、大津市中央四丁目六番五五号所在所轄大津税務署において、同署長に対し、右中村の五八年分分離課税の長期譲渡所得金額は、三、〇一六万八、〇〇〇円(ただし、租税特別措置法第三四条の二の適用誤りにより一、五一六万八、〇〇〇円と記載)、総合課税の総所得金額は一二万一、〇〇〇円で、これに対する所得税額は五八六万四、八〇〇円(ただし、租税特別措置法第三四条の二の適用誤りにより二八六万四、八〇〇円と記載)である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右の正規の所得税額八、七四八万七、五〇〇円との差額八、一六二万二、七〇〇円を免れ
二 近藤傳治郎がその所有する大津市一里山五丁目字丸尾一六二七番地ほか五筆の畑及び田を昭和五八年一一月二一日及び同年一二月一三日右鐘紡不動産株式会社ほか一社に合計一億七、四四四万四、七〇〇円で売却譲渡したことに関して、右近藤、全日本同和会京都府・市連合会会長鈴木元動丸、同連合会副会長村井英雄、同連合会事務局長長谷部純夫、右鐘紡不動産株式会社常務取締役山中隆雄及び司法書士松本善雄らと共謀の上、右譲渡にかかる所得税を免れようと企て、右近藤の実際の五八年分分離課税の長期譲渡所得金額は、一億二、七二二万二、四六五円、総合課税の総所得(不動産所得、給与所得)金額は二三〇万四、九五八円で、これに対する所得税額は三、五五七万四、三〇〇円であるにもかかわらず、株式会社ワールドが有限会社同和産業(代表取締役鈴木元動丸)から二億円の借入れをし、その債務について右近藤が連帯保証人となり、右ワールドが破産したことから、右連帯保証債務を履行するために右不動産を譲渡し、その譲渡収入で同年一二月二八日に二億一、二〇〇万円履行したが、右ワールドに対する求償不能により同額の損害を被った旨仮装するなどした上、同五九年三月一五日、大津市中央四丁目六番五五号所在所轄大津税務署において、同署長に対し、右近藤の五八年分分離課税の長期譲渡所得金額は、一、五二二万二、四六五円、総合課税の総所得金額は一六六万四、〇五八円で、これに対する所得税額は三一六万七、四〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右の正規の所得税額三、五五七万四、三〇〇円との差額三、二二八万二、七〇〇円を免れ
第二 木村喜久治、前記鈴木元動丸、村井英雄、同長谷部純夫及び同松本善雄らと共謀の上、右木村喜久治の実父木村喜平治が同五九年四月二六日死亡したことに基づく右木村喜久治の右相続財産にかかる相続税を免れることを企て、右木村喜久治の右相族財産の実際の課税価額が三億一八九万二、四二九円で、これに対する相続税額は、九、一八〇万七〇〇円であるにもかかわらず、被相続人の右木村喜久治が前記有限会社同和産業から二億一、〇〇〇万円の債務を負担しており、右木村喜久治において右債務を全額支払ったと仮装するなどした上、同年一〇月二五日、前記所轄大津税務署において、同署長に対し、右木村喜久治の相続財産の課税価額が八、七八八万五、二三二円で、これに対する相続税は九〇六万七、七〇〇円である旨の内容虚偽の相続税の申告書を提出し、もって不正の行為により右相続にかかる正規の相続税額九、一八〇万七〇〇円との差額八、二七三万三、〇〇〇円を免れ
たものである。
昭和六一年五月一三日
裁判所書記官 上田喜久夫
(裁判官 松丸伸一郎)