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京都地方裁判所 昭和60年(わ)879号 判決 1985年12月12日

本籍

大阪府高槻市富田町六丁目二、六九二番地の一

住居

同市富田町六丁目九番一六号

無職

小林經男

昭和七年一一月八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官山田廸弘出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役四月及び罰金四〇〇万円に処する。

右罰金を完納しないときには、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

右懲役刑については、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、自己の所有する京都市伏見区久我西出町一一番三一ほか一筆の田を昭和五八年一一月三〇日に九、二四八万円で売却譲渡したことに関して右譲渡にかかる所得税を免れようと企て、全日本同和会京都府・市連合会会長鈴木元動丸、同連合会事務局長長谷部純夫、同連合会事務局次長渡守秀治、元同連合会乙訓支部長今井正義及び辻逸朗らと共謀の上、自己の実際の五八年分分離課税の長期譲渡所得金額は八、五〇〇万九、六四〇円、総合課税の総所得(不動産所得、給与所得)金額は六七六万八、三三八円で、これに対する所得税額は、二、一八八万三、四〇〇円であるにもかかわらず、株式会社ワールドが有限会社同和産業(代表取締役鈴木元動丸)から一億円の借入れをし、その債務について、自己が連帯保証人となり、右ワールドが破産したことから、右連帯保証債務を履行するために右不動産を譲渡し、その譲渡収入で同年一二月一五日に七、八〇〇万円を履行したが、右ワールドに対する求償不能により同額の損害を被った旨仮装するなどした上、同五九年三月九日、大阪府茨木市上中条一丁目九番二一号所在所轄茨木税務署において、同署長に対し、自己の五八年分分離課税の長期譲渡所得金額は七三五万三、八〇〇円、総合課税の総所得金額は六七六万八、三三八円で、これに対する所得税額は一六九万九、一〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右の正規の所得税額二、一八八万三、四〇〇円との差額二、〇一八万四、三〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(検第18ないし22号)

一  中嶋純次、今井正義(四通)、辻逸朗(五通)、の検察官に対する各供述調書(謄本)

一  吉田弘幸、小林ユリ子の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書及び証明書

(法令の適用)

判示所為 刑法六〇条、所得税法二三八条

刑の選択 懲役刑及び罰金刑

労役場留置 刑法一八条

執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項

(裁判官 長崎裕次)

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