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京都地方裁判所 昭和60年(わ)979号 判決 1985年11月29日

本籍

京都市西京区桂良町一五番地の二八

住居

京都府向日市向日町南山五七番地

不動産仲介業

有田峻宏

昭和一三年二月一〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官關本倫敬出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役四月及び罰金一五〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、村上治(当時京都市西京区大原野北春日町八〇一番地に居住)、中村源治郎・全日本同和会京都府・市連合会会長鈴木元動丸、同連合会事務局長長谷部純夫、同連合会南支部長藤本勝英及び元同連合会乙訓支部長今井正義らと共謀のうえ、右村上がその所有する京都市西京区大原野北春日町七七三番地の田を昭和五九年一二月二二日七、五〇〇万円で売却譲渡したことに関して右譲渡にかかる所得税を免れようと企て、右村上の実際の五九年分分離課税の長期譲渡所得金額は六、五一七万七、〇〇〇円で、これに対する所得税額は、一、四六六万一、〇〇〇円であるにもかかわらず、株式会社ワールドが有限会社同和産業から九、〇〇〇万円の借入れをし、その債務について、右村上が連帯保証人となっていたが、右ワールドが破産したことから、右連帯保証債務を履行するために右不動産を譲渡し、その譲渡取入で同年一二月二八日に六、〇〇万円履行したが、右ワールドに対する求償不能により同額の損害を被った旨仮装するなどしたうえ、同六〇年三月一二日、同市右京区西院上花田町一〇番地の一所在所轄右京税務署において、同署長に対し、右村上の五九年分分離課税の長期譲渡所得金額は六一七万七、〇〇〇円で、これに対する所得税額は九七万四、二〇〇円である(ただし申告書には扶養控除の適用誤りのため所得税額は九〇万八、二〇〇円と記載)旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により右の正規の所得税額一、四六六万一、〇〇〇円との差額一、三六八万六、八〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通(検第二二号ないし第二四号)

一  廣田富司、阪本節子(二通)、村上浩、海老名昭宏(二通)、岩崎静枝、林博、村上治(四通)、中村源治郎(三通)、今井正義、藤本勝英、長谷部純夫(二通)、鈴木元動丸(二通)の検察官に対する各供述調書謄本

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書、証明書及び捜査報告書

(法令の適用)

一  罰条 刑法六五条一項、六〇条、所得税法二三八条(懲役と罰金を併科)

一  労役場留置 罰金刑につき刑法一八条

一  執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 大谷正治)

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