京都地方裁判所 昭和61年(わ)201号 判決 1986年7月09日
本籍
京都府相楽郡山城町大字上狛小字南荒堀二六番地の一
住居
右同所
会社役員
川邊賢造
昭和二年六月一五日生
右の者に対する所得税法違反被告事件ついて、当裁判所は検察官肱岡勇夫、弁護人(私選)近藤正昭、同上原武彦各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年四月及び罰金二五〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、自己の所有する京都府城陽市大字奈島小字池ノ首一四番地二五ほか一三筆の山林を昭和五八年四月二一日及び同年一一月四日の二回にわたり、合計三億九、九三三万二、六四七円で売却したことに関して、右譲渡にかかる所得税を免れようと企て、全国同和対策促進協議会京都府連合会本部会長笠原正継らと共謀の上、自己の実際の五八年分分離課税の長期譲渡所得金額は三億四、九七一万六、五三六円、総合課税の総所得(農業所得、不動産所得、給与所得)金額は六〇一万円で、これに対する所得税額は一億一、八六四万五、九〇〇円であるにもかかわらず、自己が全国同和対策促進協議会中央本部に対し売却に要した費用として永代管理料一億円を支払った旨仮装するなどした上、同五九年三月一三日、京都府宇治市大久保町井ノ尻六〇番地の三所在所轄宇治税務署において、同署長に対し、自己の五八年分分離課税の長期譲渡所得金額は二、三三六万六、〇七八円、総合課税の総所得金額は六〇一万円で、これに対する所得税額は四七一万一、〇四〇円である旨の内容虚偽の所得税の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右の正規の所得税額一億一、八六四万五、九〇〇円との差額一億一、三九三万四、八〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書(検14ないし19)
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書及び証明書
一 八木良司(二通)、川邊隆司(二通)、藤原義明、笠原正継(三通、謄本)及び山田茂(謄本)の検察官に対する各供述調書
(法令の適用)
判示所為
刑法六〇条、所得税法二三八条(懲役刑と罰金刑とを併科)
労役場留置
刑法一八条
執行猶予(懲役刑)
刑法二五条一項
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 松丸伸一郎)