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京都地方裁判所宮津支部 平成26年(ワ)34号 判決 2015年8月28日

本訴原告(反訴被告)

X(以下「原告」という。)

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士

小林美和

本訴被告(反訴原告)

Y(以下「被告」という。)

同訴訟代理人弁護士

下浦弘章

主文

一  被告が原告に賃貸している別紙物件目録記載一ないし四の各土地の賃料は、平成二五年一一月一四日から月額四〇万四〇〇〇円であることを確認する。

二  被告は、原告に対し、二九八万八〇〇〇円及び

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二五年一一月三〇日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二五年一二月三一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年二月一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年三月一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年四月一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年五月一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年五月三一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年七月一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年八月一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年八月三〇日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年一〇月一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年一一月一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年一一月二九日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二六年一二月三一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二七年一月三一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二七年二月二八日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二七年四月一日から、

うち一六万六〇〇〇円に対する平成二七年五月一日から、

それぞれ支払済みまで年一割の割合による金員を支払え。

三  原告のその余の本訴請求及び被告の反訴請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、本訴反訴を通じ、これを四分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

一  本訴請求

(1)  被告が原告に賃貸している別紙物件目録記載一ないし四の各土地の賃料は、平成二五年一一月一四日から月額二四万二一〇四円であることを確認する。

(2)  主文第二項と同旨

二  反訴請求

被告が原告に賃貸している別紙物件目録記載一ないし四の各土地の賃料は、平成二六年八月九日から月額六七万九〇五〇円であることを確認する。

第二事案の概要

一  事案の要旨

(1)  本件本訴は、原告が、被告に対し、借地借家法一一条に基づき、別紙物件目録記載一ないし四の各土地(以下、同目録記載一の土地を「本件土地一」、同目録記載二の土地を「本件土地二」のようにいい、本件土地一ないし四を「本件各土地」と総称する。)の賃料減額請求による同請求の日の翌日(平成二五年一一月一四日)時点での適正賃料額の確認並びに適正賃料と支払賃料との差額の返還及び同差額に対する同法所定の利息の支払を求めた事案である。

(2)  本件反訴は、被告が、原告に対し、借地借家法一一条に基づき、本件各土地の賃料増額請求による同請求の日の翌日(反訴状送達の日の翌日である平成二六年八月九日)時点での適正賃料額の確認を求めた事案である。

二  前提事実(争いのない事実又は後掲の証拠及び弁論の全趣旨によって認められる事実)

(1)  本件各土地を対象とする原被告間の賃貸借契約

ア 原告と被告は、平成四年七月一一日、次の約定で本件各土地を原告が被告から賃借する旨の契約を締結し、被告は、原告に対し、遅くとも平成五年一一月七日までに、本件各土地を貸し渡した(以下、この賃貸借契約を「本件賃貸借契約」という。弁論の全趣旨)。

(ア) 賃料 月額五四万円(本件賃貸借契約二条参照)

(イ) 期間 本件各土地上に存する被告所有の建物の取壊日(平成五年一一月七日)から二〇年間(同契約三条参照)

(ただし、上記約定にかかわらず、借地借家法三条本文によって、本件賃貸借契約の期間が三〇年となることは、当事者間で争いがない。)

(ウ) 賃貸料の改定 本件各土地上に存する被告所有の建物の取壊日(平成五年一一月七日)から満五年ごとに「京都市の家賃(民営)」を基準として、その変動率を参考に、原被告で協議して増減するものとする。なお、「京都市の家賃(民営)」は、賃料改定時の京都府統計調査書の過去七年前から過去二年前の変動率を比例させるものとする。(同契約四条参照)

イ その後、賃料は、平成一一年二月以降、月額五七万円に改定された。

(2)  原被告の賃料増減額請求

ア 原告は、被告に対し、平成二五年一一月一三日、借地借家法一一条本文に基づき、本件賃貸借契約の賃料につき、一坪当たり月額三〇〇円(一平方メートル当たり月額九〇・七五円、月額総額二四万二一〇四円)への減額請求に係る意思表示をした(争いなし)。

イ 被告は、反訴提起でもって、本件賃貸借契約の賃料につき、月額六七万九〇五〇円への増額請求に係る意思表示をし、反訴状は、平成二六年八月八日、原告(同訴訟代理人弁護士)に送達された。

(3)  賃料減額請求後における賃料の支払状況

原告は、賃料減額請求に係る意思表示をした後(前記(2)ア)、被告に対し、①平成二五年一一月二九日、②同年一二月三〇日、③平成二六年一月三一日、④同年二月二八日、⑤同年三月三一日、⑥同年四月三〇日、⑦同年五月三〇日、⑧同年六月三〇日、⑨同年七月三一日、⑩同年八月二九日、⑪同年九月三〇日、⑫同年一〇月三一日、⑬同年一一月二八日、⑭同年一二月三〇日、⑮平成二七年一月三〇日、⑯同年二月二七日、⑰同年三月三一日、⑱同年四月三〇日に、本件賃貸借契約の月額賃料五七万円(前記(1)イ)をそれぞれ支払った(争いなし)。

三  争点

原被告の賃料増減額請求時における本件各土地の適正賃料額(本件賃貸借契約の賃料が不相当に高く、あるいは不相当に低くなっていたかどうか)(なお、被告は、原告による適正賃料との差額等の返還請求に対し、その根拠条文たる借地借家法一一条三項ただし書に、減額を正当とする「裁判が確定した場合」に既に支払を受けた額から正当とされた地代等の差額(「超過額」)に法定の利息を付して返還しなければならない旨が規定されているとして、本判決の確定前に上記超過額等の返還請求をすることはできない旨を反論するが(被告の平成二七年六月二三日付け準備書面(4)参照)、賃料増減額請求権は形成権で、賃料減額請求の意思表示が相手方に到達した時点で直ちに実体的な効力が生じ、裁判所が後に相当賃料額を定めるのは上記意思表示により客観的に定まった賃料増減の範囲を確認するものであること(最高裁昭和三二年九月三日第三小法廷判決・民集一一巻九号一四六七頁参照)からすると、賃料減額請求の意思表示が相手方に到達して同請求権が実体的な効力を生じている以上、上記超過額の返還請求権も実体的な効力が生じているものといえ、そうすると賃料増減額確認請求と併せて上記超過額の返還請求をすることは法律上何ら妨げられないものであるし、他方で、上記条項における減額を正当とする「裁判が確定した場合」との文言は、飽くまで超過額返還請求の附帯請求に位置付けられる法定の利息の支払に係る記載にすぎず、法定の利息分を附帯した超過額等返還請求を認容する旨の主文に仮執行宣言を付するのが相当でないことを意味するにとどまるものと解されるから、いずれにせよ、被告の上記主張は、わざわざ争点として摘示するまでもなく理由がないものといわざるを得ない。)

第三争点に関する当事者の主張

一  原告の主張

(1)  本件各土地の適正賃料額

ア ①本件各土地の賃料額が年間六八四万円(月額五七万円×一二月)に及ぶところ、これまでに被告は本件各土地の固定資産評価額総額(三一一五万一四〇六円)を上回る賃料収入を得ていること、②本件各土地の近隣の地価公示価格が大幅に下落していること(京都府<以下省略>の地価公示価格は、平成一一年七月一日付けで一平方メートル当たり七万五〇〇〇円であったにもかかわらず、平成二五年七月一日付けで四万六二〇〇円となっている。)、③近隣の土地の賃貸借契約における賃料を比較参照するに、本件各土地の賃借料は現状において一平方メートル当たりにして年間約二五六三円(年間賃料六八四万円÷本件各土地の合計面積二六六七・八二平方メートル)であるのに対し、近隣の土地は、平成二五年一月一五日時点で一平方メートル当たり年間約六八六円、平成二三年四月一日時点で年間約六五六円、同年七月一日時点で年間約七一六円といった程度にとどまるものであること等を踏まえると、そのような社会情勢に照らして、本件各土地の賃料は、不相当に高くなっているものといえる。

イ 上記のように近隣の土地の賃料を参考にすれば、本件各土地の賃料は、月額二四万二一〇四円(一平方メートル当たり月額約九〇・七五円、年額約一〇八九円)を上回らないものというべきである。

ウ 仮に、上記金額が適正でないとしても、鑑定人Bの鑑定結果(以下「本件鑑定」という。)は、平成四年以降の本件賃貸借契約のみならず、昭和五二年頃以降の本件各土地上に存した建物を含めた原被告間の賃貸借契約の契約内容及び同契約のその後の経緯等を考慮した上で、本件各土地の固定資産税額や近隣の土地の地価の公示価格等を踏まえた経済事情の変動に鑑みて、原告の賃料減額請求時(平成二五年一一月)における本件各土地の適正な月額賃料を四〇万四〇〇〇円と算定したもので、その判断には正当性があり、これに反する被告の主張は理由がないというべきである。

(2)  小括

以上のとおりであるから、原告は、被告に対し、借地借家法一一条に基づき、①本件各土地の賃料減額請求による同請求の日の翌日(平成二五年一一月一四日)時点での適正賃料額が月額二四万二一〇四円であることの確認と、②本件鑑定による適正賃料と支払賃料との差額(平成二五年一一月から平成二七年四月までの合計二九八万八〇〇〇円)の返還及び同差額に対する同法所定の利息(年一割の割合による受領の時からの利息(同法三条ただし書参照))の支払を求めることができる。

二  被告の主張

(1)  本件各土地の適正賃料額

ア(ア) そもそも原被告間の賃貸借契約関係は、昭和五二年一二月二七日付けでされた土地建物賃貸借契約(本件土地一ないし三及び「京都府<以下省略>」の土地並びにそれら土地上に存した二棟の建物を目的物とするもの。以下「土地建物賃貸借契約一」という。乙一)、及び昭和五四年一一月一二日付けでされた土地建物賃貸借契約(本件土地四及び同土地上に存した一棟の建物を目的物とするもの。以下「土地建物賃貸借契約二」という。甲九)に始まったものであるところ、それら契約に係る賃料は、昭和五二年度の政府買入米価及びその上昇率を基準に、①昭和五三年一月から昭和五四年一二月まで月額賃料三六万円、②昭和五五年一月から昭和五八年一月まで四二万円、③昭和五八年二月から昭和五九年一月まで四三万円、④昭和五九年二月から同年一二月まで四五万円、⑤昭和六〇年一月から昭和六一年一二月まで四五万五〇〇〇円、⑥昭和六二年一月から平成元年一月まで四六万円、⑦平成元年二月から平成五年一一月まで四七万一八五〇円(ただし、前記①は土地建物賃貸借契約一のみの賃料で、前記②ないし⑦は同契約一及び同契約二の合計賃料)と改定され、さらに、その後、本件各土地を対象とする本件賃貸借において、「京都市の家賃(民営)」を参考に(前記第二の二(1)ア(ウ)参照)、⑧平成五年一二月から平成一一年一月までは賃料月額五四万円、⑨平成一一年二月以降は五七万円と改定されてきた。

(イ) ①土地建物賃貸借契約一が原被告間で締結された昭和五二年度と比較して、平成二五年度における本件各土地の固定資産評価額が二四四・八八%、固定資産税額が二四一・五八%も上昇していること、②京都市の消費者物価指数(家賃)の時系列データによると、平成二二年度を一〇〇としたときの昭和五二年度の物価指数が四七・三であること、③京都府統計書によれば、「京都市の家賃(民営)」(一坪当たり)が、平成三年一二月に四〇九六円であるのに対し、平成二二年一二月には五一五一円となっており、二五・七五%上昇していること(乙六の一ないし三)等の事情に鑑みれば、少なくとも、現状において、昭和五二年当初の土地建物賃貸借契約一のみの月額賃料三六万円を下回る金額(原告の主張する月額二四万二一〇四円)が本件各土地の適正賃料額になるなどということはあり得ないし、前記(ア)のとおり、賃料が改定に伴い増額されていることを踏まえても、その増額の程度が、本件賃貸借契約四条の賃料改定の条項に定めた内容(前記第二の二(1)ア(ウ)参照)に全く見合わないものにすぎないことに鑑みれば、本件各土地の賃借料は、不相当に低いものとなっているといわざるを得ない。

イ 上記のとおり、本件賃貸借契約四条の賃料改定の条項で定めたように、「京都市の家賃(民営)」の上昇率(平成三年一二月から平成二二年一二月で二五・七五%上昇(前記ア(イ)))に比例させれば、本件各土地の賃料は、月額六七万九〇五〇円(平成四年時の月額賃料五四万円×一・二五七五)が適正というべきである。

ウ 本件鑑定は、本件賃貸借契約の最後の賃料改定がされた平成一一年二月を基準に設定しているが、そのような社会的にみて特異に地価等が上昇していた時点を基準に設定することは公平中立性を欠くものである。

その点を措くとしても、本件賃貸借契約は、実質的に昭和五二年当初からの土地建物賃貸借契約一(及び昭和五四年からの土地建物賃貸借契約二)が継続しているものであり、それらを含めた契約の内容や賃料改定の経緯等に鑑みれば、本件鑑定の判断内容は、通常人の経済的常識に著しく反する結果となっている(前記ア(イ)のとおり、昭和五二年当初から比較すると、固定資産評価額、固定資産税、家賃相場、消費者物価指数のいずれも大幅に上昇しているのに、本件賃貸借契約の適正賃料が、昭和五二年当初の土地建物賃貸借契約一のみの月額賃料三六万円と大差のない月額約四〇万円に収まるはずがない。)といわざるを得ない。

また、本件鑑定は、原告が契約当事者となっている事例を参考に賃貸事例比較法を用いている点で、その恣意を排除できていない可能性があり(そのように賃貸事例比較法は、当事者間の個別的な特殊事情が色濃く反映される可能性が高いことを踏まえて、他の評価手法(差額分配法、利回り法、スライド法)と比べて採用されることが一般的に少ないといえるし、実際、被告の所有する本件各土地がいわゆる一等地であるのに対し、原告が比較対象として提示する土地はいずれも本件各土地の立地条件から劣るもので、これを単純に比較材料とすべきでない。)、その判断手法においても問題がある。

(2)  小括

以上のとおりであるから、被告は、原告に対し、借地借家法一一条に基づき、本件各土地の賃料増額請求による同請求の日(反訴状送達の日)の翌日(平成二六年八月九日)時点での適正賃料額が月額六七万九〇五〇円であることの確認を求めるものである。

第四当裁判所の判断

一  原被告間の賃貸借契約の推移等に関する認定事実

前記前提事実に加え、後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件賃貸借契約を含む原被告間の賃貸借契約の推移等に関して、次のような事実が認められる。

(1)  土地建物賃貸借契約一

原告(借主)と被告(貸主)は、昭和五二年一二月二七日、次のような内容の土地建物賃貸借契約一を締結した。

ア 目的物 本件土地一ないし三及び「京都府<以下省略>」の土地並びにそれら土地上に存する二棟の建物

イ 契約期間 昭和五三年一月一日から一五年間(更新を妨げない)

ウ 賃料 月額三六万円(毎月末日までに翌月分を原告が被告に送金して支払)

エ 賃料の改定 満三年ごとに昭和五二年度政府買入米価を基準としてその上昇率と比例して増額するものとする。

(2)  土地建物賃貸借契約二

原告(借主)と被告(貸主)は、昭和五四年一一月一二日、次のような内容の土地建物賃貸借契約二を締結した。

ア 目的物 本件土地四及び同土地上に存する一棟の建物

イ 契約期間 昭和五四年一二月一日から一五年間(更新を妨げない)

ウ 賃料 月額六万円(毎月末日までに翌月分を原告が被告に送金して支払)

エ 賃料の改定 満五年ごとに昭和五四年度政府買入米価を基準としてその上昇率と比例して増額するものとする。

(3)  「賃借物件の建て替え」等を踏まえた代償金に関する原被告間の取り決め

原告と被告は、昭和五六年一二月二六日付けで、「賃借物件の建て替えに関する契約書」という題名の書面を取り交わした。同書面には、次のような旨の記載がある。

ア 被告は、土地建物賃貸借契約一の目的物である被告所有の建物を、原告の費用で撤去・新築し、原告名義で登記、使用収益することを了解する。

イ 前記アの代償として、原告は、被告に対し、土地建物賃貸借契約一の賃料とは別に月額六万円を支払う。同金額は、米価を基準に満三年ごとに増額するものとする。

ウ 土地建物賃貸借契約一の二回目の賃料改定時(昭和五八年一二月三一日)において、改定賃料に上記月額六万円の代償金及び土地建物賃貸借契約二の賃料月額六万円を加算・一本化し、以後の賃料改定を満三年ごとに統一する。

(4)  本件賃貸借契約に至るまでの経緯等

ア 原告は、被告に対し、土地建物賃貸借契約一の賃料、あるいは同契約及び土地建物賃貸借契約二の合計賃料を、数次の賃料改定を経て、次のとおり支払ってきた(弁論の全趣旨)。

(ア) 土地建物賃貸借契約一の賃料

昭和五三年一月から昭和五四年一二月まで月額賃料三六万円

(イ) 土地建物賃貸借契約一及び同契約二の合計賃料

a 昭和五五年一月から昭和五八年一月まで四二万円

b 昭和五八年二月から昭和五九年一月まで四三万円

c 昭和五九年二月から同年一二月まで四五万円

d 昭和六〇年一月から昭和六一年一二月まで四五万五〇〇〇円

e 昭和六二年一月から平成元年一月まで四六万円

f 平成元年二月から平成五年一一月まで四七万一八五〇円

イ 原被告間の昭和五六年一二月二六日付けで取り交わされた書面には、土地建物賃貸借契約一の目的物である被告所有の建物を原告の費用で撤去・新築し、原告名義で登記、使用収益することを被告が了解する旨と、その代償として、原告は、被告に対し、土地建物賃貸借契約一の賃料とは別に月額六万円を支払う旨、土地建物賃貸借契約一及び同契約二の賃料及び上記代償金を一本化する旨が約束されていたが(前記(3)アないしウ、以下、上記代償金を「本件代償金」という。)、結局のところ、同建物の撤去及び新築工事は平成五年一一月まで延期され、その結果、上記月額六万円の本件代償金も原被告間の土地建物賃貸借契約一及び同契約二の賃料額に一本化して反映されることはなく(前記ア参照)、ようやく平成四年七月一一日に原被告間で締結された本件各土地を目的物とする本件賃貸借契約において、実質的に土地建物賃貸借契約一及び同契約二並びに上記建物の撤去等に係る本件代償金を一本化する趣旨で、原被告間において平成五年一二月からの本件各土地の賃料を月額五四万円とする合意がされた(前記前提事実(1)ア、本件鑑定六~七頁等、弁論の全趣旨)。

(5)  原被告間の直近の合意

その後、原被告間で、本件賃貸借契約の賃料は、平成一一年二月に月額五七万円に改定された(前記前提事実(1)イ、賃料以外の本件賃貸借契約の合意内容については前記前提事実(1)ア参照)。

二  本件鑑定の結果を踏まえた本件各土地の適正賃料額の検討(争点に対する判断)

(1)  はじめに

本件鑑定の結果によれば、鑑定人は、差額分配法、利回り法、スライド法及び賃貸事例比較法に原被告の各賃料増減額請求当時における本件各土地の適正賃料額を算出しているので、この適否について検討の上、本件各土地の適正賃料額を決定することとする。

(2)  本件鑑定についての検討

ア 本件鑑定は、およそ次のような論理でもって本件各土地の適正賃料額を算出している(結論はイ項参照)。

(ア) 原被告間の賃貸借契約関係の分析等(本件鑑定六~八頁)

a 本件鑑定は、原被告間の賃貸借契約関係について、およそ前記一のとおりの認定事実を前提とし、本件賃貸借契約が、実質的に被告所有の土地建物を目的物とする土地建物賃貸借契約一及び同契約二の各賃料と、その目的物たる被告所有の建物を撤去して、その代わりに原告名義の建物を新築すること等を被告が了承することとに係る本件代償金月額六万円を一本化する趣旨で、平成五年一二月からの賃料を月額五四万円(そのうち純粋な土地賃料相当額は四八万円(割合にして八八・九パーセント)、本件代償金相当額は六万円(割合にして一一・一パーセント))として合意されたものと捉え、その改定に係る直近合意時点(平成一一年二月)の本件賃貸借契約における本件各土地の賃料月額五七万円について、上記割合に準じて、実質的には、そのうち五〇万六七三〇円が本件各土地の賃料相当額、六万三二七〇円が本件代償金相当額に当たると分析した。

b また、本件鑑定は、原被告間の本件賃貸借契約の直近合意時点(平成一一年二月)以降、本件各土地の固定資産税が二〇パーセント程度下がり、本件各土地を含む京都府<以下省略>の土地価格が〇~四〇パーセント下落した、その他の経済指標については、下落したものもあれば、上昇したものもあると分析した。

(イ) 基礎価格等について(本件鑑定九~一〇頁)

a(a) 本件鑑定は、まず、取引事例比較法による比準価格(本件鑑定別表三(一/二))及び公示価格からの規準価格(本件鑑定別表三(二/二))に基づき、原告が被告に対して賃料減額請求をした頃である平成二五年一一月一日時点の本件各土地の更地価格を一平方メートル当たり二万三八〇〇円と決定した。

(b) 次に、平成二五年度の本件各土地の固定資産税評価額との格差率を乗じることで、直近合意時点頃である平成一一年二月一日時点の本件各土地の更地価格を一平方メートル当たり三万五二四八円、被告が原告に対して賃料増額請求をした頃である平成二六年八月時点の本件各土地の更地価格を一平方メートル当たり二万三五二二円とそれぞれ算出した。

b そして、基礎価格(賃料算出の基礎となる土地価格)が、一般的に、借地契約上の制約があること等によって自己所有の更地のように自由に使用収益処分ができないために更地価格と比較して低い評価となることが通常であることを踏まえ、国税局の財産評価基準における近隣(<省略>)の借地権割合が従前から三〇パーセントとされていることを勘案し、本件各土地の基礎価格割合が更地価格の七〇パーセントに当たるとして、①直近合意時点頃である平成一一年二月一日時点の本件各土地の基礎価格を六五八二万五七九一円(一平方メートル当たり二万四六七四円)、②原告が被告に対して賃料減額請求をした頃である平成二五年一一月一日時点の本件各土地の基礎価格を四四四四万五八八一円(一平方メートル当たり一万六六六〇円)、③被告が原告に対して賃料増額請求をした頃である平成二六年八月時点の本件各土地の基礎価格を四三九二万五六五六円(一平方メートル当たり一万六四六五円)とそれぞれ算出した。

(ウ) 差額分配法(本件鑑定一〇~一二頁)

a 本件鑑定は、本件各土地の基礎価格に期待利回りを乗じて得た賃料に固定資産税を加算することで積算法による賃料を求め、新規賃貸借事例の賃料との比較検討も行って、これらを併用して正常賃料を決定した。

具体的には、一〇年利付国債の募入平均利回り及び日本不動産研究所の不動産投資家調査によるリスク・プレミアムを採用して算出される期待利回りを本件各土地の基礎価格に乗じ、これに固定資産税を加算して得られた数値(近傍の新規賃貸借事例二例ともほぼ均衡した賃料であることが確認された数値)として、①原告が被告に対して賃料減額請求をした頃である平成二五年一一月一日時点の本件各土地の正常賃料を月額一五万八九六三円、②被告が原告に対して賃料増額請求をした頃である平成二六年八月時点の本件各土地の正常賃料を月額一五万三九五五円とそれぞれ算出した。

b その上で、本件各土地の実際の賃料(本件代償金相当額分を除く五〇万六七三〇円)と前記aの正常賃料との差額部分の配分に関し、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、公平の観点から折半をする(被告が二分の一を負担する)のが妥当と判断し、差額配分法による本件各土地の賃料を算出し、これに本件代償金相当額を加算して、結論として、①原告が被告に対して賃料減額請求をした頃である平成二五年一一月一日時点の本件各土地の差額配分法による賃料を月額三七万四四〇五円、②被告が原告に対して賃料増額請求をした頃である平成二六年八月時点の本件各土地の差額配分法による賃料を月額三七万一五八八円とそれぞれ算定した。

(エ) 利回り法(本件鑑定一二頁)

本件鑑定は、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料(本件の場合は本件代償金相当額分を除く賃料を意味する。)の割合(利回り)を八・七パーセントと求め、これを各賃料増減各請求時点における基礎価格に乗じて、かつ固定資産税を加算して、利回り法による本件各土地の賃料を算出し、これに本件代償金相当額を加算して、結論として、①原告が被告に対して賃料減額請求をした頃である平成二五年一一月一日時点の本件各土地の利回り法による賃料を月額三九万一〇八三円、②被告が原告に対して賃料増額請求をした頃である平成二六年八月時点の本件各土地の利回り法による賃料を月額三八万六三八二円とそれぞれ算定した。

(オ) スライド法(本件鑑定一二~一四頁)

本件鑑定は、直近合意時点における純賃料(本件の場合は本件代償金相当額分を除く賃料を意味する。)を基に、本件賃貸借契約に基づいて、「京都市の家賃(民営)」の変動率(前記前提事実(1)ア(ウ)参照)を乗じて、かつ固定資産税を加算して、スライド法による本件各土地の賃料を算出し、これに本件代償金相当額を加算して、結論として、①原告が被告に対して賃料減額請求をした頃である平成二五年一一月一日時点の本件各土地のスライド法による賃料を月額六一万四四九八円、②被告が原告に対して賃料増額請求をした頃である平成二六年八月時点の本件各土地のスライド法による賃料を月額六〇万七〇九八円とそれぞれ算定した。

(カ) 賃貸事例比較法(本件鑑定一四頁)

本件鑑定は、本件各土地の近傍で、本件各土地と同じ道路に面し(本件各土地の道路を挟んだ対面にある。)、土地価格の差も少ない、建物所有目的である原告が借主となっている土地賃貸借事例(本件鑑定別表二の<イ>、資料中の位置図三の<イ>(原告のa店所在地))を用いて、当該事例の対象地が角地であることから本件各土地よりも三パーセント優位にあるとみて、賃貸事例比較による本件各土地の賃料を算出し、これに本件代償金相当額を加算した。

そして、結論として、①原告が被告に対して賃料減額請求をした頃である平成二五年一一月一日時点の本件各土地の賃貸事例比較法による賃料を月額二三万五九九四円、②被告が原告に対して賃料増額請求をした頃である平成二六年八月時点の本件各土地の賃貸事例比較法による賃料を月額二三万五九九四円とそれぞれ算定した。

(キ) 試算賃料(前記(ウ)ないし(カ))の調整と鑑定評価額の決定(本件鑑定一四~一六頁)

本件鑑定は、①差額分配法、利回り法及びスライド法によって算定した各試算賃料は、いずれも原被告間の本件賃貸借契約における直近合意時点の賃料を基礎に、その後の経済変動などの事情変更を加味して求めた数値であり、その「説得力において優劣はない」とした上で、②賃貸事例比較法によって算定した試算賃料は、直近合意時点以後の経済事情の変動のみをみる限りにおいては、他の三手法による試算賃料と比較して極めて低い結果となるが、本件各土地を対象とする原被告間の本件賃貸借契約の賃料額が近傍の土地賃料よりも高くなったのは、本件賃貸借契約が、実質的に原被告間で従来締結されていた土地建物賃貸借契約一及び同契約二並びに本件代償金を一本化する趣旨(対象地に従前建っていた被告所有で原告に賃貸されていた建物を、原告がその費用負担において撤去し、かつ、新たな建物を原告名義で新築することを被告が了承する代償として、その代償金を含めた土地賃料が定められた。)の下でなされたもので、建物賃料が実質的にそのまま土地賃料に置き換えられたことに要因があるものと考えられるところ、一般的に、建物に係る賃料は目的物の経年劣化とともに漸減するのが通常であるが、それを経年劣化のない土地の賃料としての支払を続けることは不衡平かつ不合理であり、このような本件賃貸借契約の当初の経緯等を客観的に分析・考察すれば、借主側の不利な状況を修復する必要性があるとの論理でもって、結論として、賃貸事例比較法による試算賃料を他の三手法による試算賃料と同等に評価することとした。

イ 本件鑑定は、前記アのような論理を踏まえ、四試算賃料の平均値を端数整理して、結論として、平成二五年一一月時点の本件各土地の適正賃料を月額四〇万四〇〇〇円、平成二六年八月時点の適正賃料を月額四〇万円とそれぞれ決定した。

(3)  本件鑑定に対する被告の主張について

ア 被告は、まずもって、本件鑑定が本件賃貸借契約の最後の賃料改定がなされた平成一一年二月を基準に設定している点を捉え、そのような社会的にみて特異に地価等が上昇していた時点を基準に設定することは公平中立性を欠くものである旨を主張する。

しかしながら、原被告の本件賃貸借契約に係る直近の合意がされた平成一一年二月(前記一(5))当時が特異に地価等の上昇があった時点であることを認めるに足りる証拠が全くなく、被告の上記主張はそもそも前提を欠くものといわざるを得ないし、その点を措くとしても、賃料増減額確認請求訴訟においては、その前提である賃料増減額請求の当否及び相当賃料額について審理判断がされることとなり、これらを審理判断するに当たっては、賃貸借契約の当事者が現実に合意した賃料のうち直近のものを基にして、その合意等がされた日から当該賃料増減額確認請求訴訟に係る賃料増減請求の日までの間の経済事情の変動等を総合的に考慮すべきもの(最高裁平成二〇年二月二九日第二小法廷判決・集民二二七号三八三頁参照)と解されるから、本件鑑定が原被告間の合意した賃料のうち直近のもの(平成一一年二月)を基に、その時点から原被告による各賃料増減額請求の日までの諸般の事情を検討したことは何らの問題もない。

したがって、被告の上記主張は採用の限りではない。

イ 次に、被告は、本件鑑定の判断内容に関して、本件賃貸借契約が実質的に昭和五二年当初からの土地建物賃貸借契約一(及び昭和五四年からの土地建物賃貸借契約二)が継続していることを看過したもので、それらを含めた契約の内容や賃料改定の経緯等に鑑みれば、通常人の経済的常識に著しく反する結果となっている旨を主張する。

しかしながら、前記(2)でみたとおり、本件鑑定は、前記最高裁判所の裁判例の判示に鑑みて、直近合意時点以降から原被告による各賃料増減額請求がされた日までの経済事情の変動等を総合的に考慮することに留意しているのはもちろんのこと、賃料額の相当性ないし相当賃料額については、借地借家法所定の事由(「土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき」(借地借家法一一条一項参照))のほか諸般の事情を総合的に考慮すべきとする最高裁判所の判例等(最高裁平成一五年一〇月二一日第三小法廷判決・民集五七巻九号一二一三頁、最高裁平成一七年三月一〇日第一小法廷判決・集民二一六号三八九頁)の判断枠組みをも踏まえて、原被告間の直近合意がいかなる事情を要素として決定されたものであるかを慎重に認定した上で(具体的には、本件賃貸借契約が、実質的に昭和五二年当初からの土地建物賃貸借契約一や、その後の同契約二及び本件代償金に係る経緯等を踏まえて合意がされ、直近合意の改定に至るものであることを認定・考慮した上で)、その直近合意に係る賃料額が、借地借家法所定の事由のほか諸般の事情を総合的に考慮して「不相当となった」といえるかどうか判断をしているもので、被告の上記主張はそもそもその前提を欠くものといわざるを得ないし、本件鑑定の結果が、前記四手法で試算された賃料の平均をとっていることからして、その内容が通常の経済的常識に著しく反する結果となっているともいい難い。

したがって、被告の上記主張は採用の限りではない。

ウ さらに、被告は、本件鑑定が賃貸事例比較法を用いている点で問題がある(そもそも当事者間の個別的な特殊事情が色濃く反映される可能性が高い賃貸事例比較法が採用されることは一般的に少ないし、実際に本件においても原告を一方当事者とする原告において有利に影響し得る事例しか比較の対象とされていない。)旨を主張する。

しかしながら、本件鑑定が賃貸事例比較法で比較対象とした事例は、両当事者から募った事例(結果的に被告は事例を提出しなかった)及び鑑定人が独自に収集した複数の事例の中から(本件鑑定別表二参照、弁論の全趣旨)、本件各土地と地理的な位置関係等ができるだけ類似する事例を厳選したもので(前記(2)ア(カ)参照)、原告又は鑑定人の恣意が働いているものということはできないし、賃貸事例比較法を用いることやその比重に関して、鑑定人は前記(2)ア(キ)②のとおり説明しているところ、その説明内容は、前記の最高裁判所の判例等の判断枠組みに沿って、借地借家法所定の事由(「土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき」(借地借家法一一条一項参照))のほか諸般の事情を総合的に考慮した上で導き出されたもので、十分な合理性があるといえる。

したがって、被告の上記主張は採用の限りではない。

(4)  小括

ア 以上によれば、平成二五年一一月時点での本件各土地の適正賃料を月額四〇万四〇〇〇円、平成二六年八月時点での適正賃料を月額四〇万円と算定した本件鑑定の結論は相当と認められ、これに反する原被告の主張はいずれも採用しない。

イ そうすると、原被告間の本件賃貸借契約の現行賃料(月額五七万円)は、遅くとも原告が被告に対して賃料減額請求をした日の翌日である平成二五年一一月一四日の時点において不相当に高くなっており、同時点における本件各土地の適正賃料は、本件鑑定により示された鑑定評価額月額四〇万四〇〇〇円と認めるのが相当である。

したがって、原告の本訴請求のうち賃料減額確認請求は、上記の限度で理由がある。

ウ 他方で、被告が原告に対して賃料増額請求をした日の翌日である平成二六年八月九日の時点において、上記現行賃料が不相当に低くなっていることを認めるに足りる証拠は一切ない。

したがって、被告の反訴請求は理由がない。

三  原告の本訴請求のうち超過額等の返還請求について

前記二(4)イのとおり、原告が被告に対して賃料減額請求をした平成二五年一一月一四日当時の本件各土地の適正賃料は、本件鑑定により示された鑑定評価額月額四〇万四〇〇〇円と認められるところ、それにもかかわらず、原告は、被告に対し、①平成二五年一一月二九日、②同年一二月三〇日、③平成二六年一月三一日、④同年二月二八日、⑤同年三月三一日、⑥同年四月三〇日、⑦同年五月三〇日、⑧同年六月三〇日、⑨同年七月三一日、⑩同年八月二九日、⑪同年九月三〇日、⑫同年一〇月三一日、⑬同年一一月二八日、⑭同年一二月三〇日、⑮平成二七年一月三〇日、⑯同年二月二七日、⑰同年三月三一日、⑱同年四月三〇日に、本件賃貸借契約の月額賃料五七万円をそれぞれ支払ったことは争いがない(前記前提事実(3)参照)から、原告は、被告に対し、既に支払った額と正当とされた地代等の差額(超過額、月額一六万六〇〇〇円、平成二五年一一月から平成二七年四月まで合計二九八万円)に年一割の割合による受領の時からの利息を付して、その返還を求めることができる。

四  結論

(1)  原告の本訴請求のうち賃料減額確認請求は、被告が原告に賃貸している本件各土地(別紙物件目録記載一ないし四の各土地)の賃料か平成二五年一一月一四日(原告が被告に対して賃料減額請求をした日の翌日)から月額四〇万四〇〇〇円であることを確認する限度で理由があるから、その限度で認容し、その余の請求を棄却する。

(2)  原告の本訴請求のうち既払額と本件鑑定による適正賃料額との差額等の返還請求は、理由があるから認容する。

(3)  被告の反訴請求(賃料増額確認請求)は、理由がないから棄却する。

(4)  よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 上田真史)

別紙 物件目録<省略>

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