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京都家庭裁判所 昭和29年(家イ)521号 審判 1954年8月26日

元本籍並現住所 京都市○○区○○○町

申立人 季成子事浜口成子(仮名)

本籍 朝鮮○○道○○郡

住所 京都市○○区○○○○町

相手方 季元国(仮名)

主文

申立人と相手方との昭和二四年○月○○日京都市○○区長受附にかかる婚姻届出による婚姻は無効であることを確認する。

理由

申立人は主文掲記のような調停を求める旨申立て、その事由の要旨は申立人は相手方と昭和二三年京都市で結婚し昭和二四年○月○○日同市○○区長にその婚姻届出をして、相手方と同棲していたところ、同年○○月頃相手方の妻と称する季美子が朝鮮から相手方を尋ねて来たので始めて相手方に妻があることが判明した。従つて申立人と相手方との上記婚姻は重婚であつて無効のものであると云うのである。

本件につき昭和二九年○月○○日当裁判所に開かれた調停委員会の調停において、当事者間に合意が成立し申立人と相手方との昭和二四年○月○○日京都市○○区長受附の婚姻届出による婚姻は重婚であつて無効であることにつき争がないので、当裁判所は必要な事実の調査をした結果、相手方は朝鮮に国籍を有する朝鮮人であるが昭和二三年京都市において申立人と事実上の婚姻をなし昭和二四年○月○○日同市○○区長にその婚姻届出を了したところ、相手方はそれより先に昭和一七年○○月○○日山田美子と婚姻し同日その届出を了したことが明らかであるから申立人と相手方との上記婚姻は重婚にほかならない。而して法例第一三条により婚姻成立の要件は各当時者につきその本国法によるべきところ、朝鮮に於ては重婚を当然無効とする慣習であるから相手方が既になした他の女との婚姻関係を継続したままでした申立人との上記後婚は無効であるといわなければならない。

よつて上記のような当事者間の合意を正当と認め家事審判法第二三条にもとずいて主文のとおり審判する。

(家事審判官 窪田武丕)

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