京都家庭裁判所 昭和49年(家イ)558号 審判 1974年6月03日
本籍 名古屋市 住所 京都市右京区
申立人 加藤京子(仮名)
国籍 シンガポール 住所 パリ市
相手方 リー・セン・ユー(仮名)
主文
申立人と相手方を離婚する。
理由
一 申立人は、主文同旨の調停を求めた。
二 申立人の戸籍謄本、相手方の身分証明書、当庁調査官作成の調査報告書並びに、当事者双方の審問の結果を総合すると、次の事実が認められる。
(1) 相手方は、西暦一九四三年一月一日シンガポールのジョホールで出生し、昭和三八年一一月私費留学生として来日した。申立人と相手方とは、昭和四三年五月二八日日本民法の方式に則り、京都市左京区長に対する婚姻届書の届出によつて婚姻した。
(2) しかし、当事者間の婚姻生活は、思想の相違から次第に破綻をきたし、昭和四五年八月頃には双方とも離婚を決意するようになつた。相手方は、昭和四六年九月一五日申立人を残して離日し、現在パリに居住して大学院に在学中であるが、この間申立人を放置したままであつた。
(3) 今回、相手方は申立人との離婚手続をとるため来日した。そして、昭和四九年五月二一日当事者双方は揃つて当庁に出頭して離婚の調停を申立てた。
三 上記認定の相手方が申立人を放置した行為は、上記認定の婚姻生活の経過に照らして考えるとき、シンガポール離婚条例の定める離婚原因の一つである遺棄に該当するものということができるとともに、日本民法第七七〇条第一項第二号にも該当するものである。よつて、法例第一六条により上記各法条を適用し、家事審判法第二四条第一項の規定により主文のとおり審判する。
(家事審判官 福島敏男)