京都簡易裁判所 平成8年(ろ)241号 判決 1997年3月10日
主文
被告人を拘留一〇日に処する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、対価を得て性交類似の行為をする目的で、平成八年四月二四日午後一一時四〇分ころ、京都市下京区西石垣通四条下る斎藤町一四〇番地の二六平井金七方先路上において、同所を通行中の田家和宜(当四二年)に対し、同人の身辺につきまといながら、「遊んでいかない」「四条ホテルよ」「二万円でいいの」などと申し向けて誘い、もって、人を売淫の相手方となるよう誘ったものである。
(証拠の標目)省略
(弁護人の主張に対する判断)
弁護人は、本件の被告人に対し拘留刑を求刑されたことについて、京都市風紀取締条例三条は合理性を欠いていて憲法三一条の関係から失効していると主張されている。
弁護人は、被告人には本件につき当初略式命令手続では罰金刑の求刑、また本件より以前の被告人の同種前歴の事案については罰金刑の処分がなされていて、本件では京都市風紀取締条例三条に規定する罰金刑が失効したことから、拘留刑を求刑されたことは、拘留刑が被告人の身柄を拘束されるので、拘留刑が罰金刑より軽いことは分かっていても、そこに合理性がないと主張されている、ものと考える。
拘留刑は懲役刑と同様、自由刑と言われ身体の拘束を受けることにはなるが、その処遇内容は、懲役刑とは異なっていて軽いものであることは明白で、現行京都市風紀取締条例三条に規定する拘留刑で被告人を処罰することは憲法三一条に違反するものではなく、弁護人の主張は採用できない。
(法令の適用)
京都市風紀取締条例違反罪 京都市風紀取締条例三条