京都簡易裁判所 昭和59年(ハ)1153号 判決 1984年8月08日
原告
有限会社ジャストコンシュマーファイナンス
右代表者
大西陽子
右訴訟代理人
吉岡大助
被告
小川勝
主文
被告は原告に対し金五万七、三一七円、及びこれに対する昭和五九年三月一〇日から支払済みまで年三割六分の割合による金員を支払え。
原告のその余の請求を棄却する。訴訟費用はこれを五分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
この判決の第一項は仮に執行することができる。
事実及び理由
一請求の趣旨
(一) 被告は原告に対し、金六八、八二六円及びこれに対する昭和五九年三月一〇日から支払済みまで年三割六分の割合による金員を支払え。
(二) 訴訟費用は被告の負担とする。
(三) 仮執行の宣言。
二請求原因は次のとおりであつて被告は口頭弁論期日に出頭せず、請求原因事実を自白したものとみなされる。
(一) 原告は貸金業規制法に基づき京都府知事より登録を受け(京都府知事一―一八号)、貸金業を営んでいる貸金業者である。
(二) 原告は被告に対し次のとおり金員を貸付けた。
貸付年月日 昭和五八年一二月五日
貸付金額 金一〇〇、〇〇〇円
弁済期 昭和五九年九月二七日
利息の割合 年七割三分(日歩二〇銭)
弁済方法 昭和五八年一二月二七日を初回として毎月二七日限り元金・利息均等払で金一三六〇〇円ずつ一〇回の割賦弁済
損害金 年七割三分(日歩二〇銭)
特約 分割金支払不履行の場合は期限の利益を喪失する。
(三) 原告は昭和五八年一二月五日に貸金業規制法第一七条に基づく契約書面を被告に交付した。
(四) 毎回の債務者の返済金における受取証書は、原告の指定する銀行口座への振込金受取書をもつて、貸金業規制法第一八条にあたる受取証書としている。又、貸金業規制法第一八条の第二項につき被告より請求がなかつた。
(五) 被告は、昭和五九年一月二七日の分割金の支払を怠り、同日限り期限の利益を失つたが別紙(一)のとおり任意に支払つた。
(六) よつて原告は利息制限法に換算し、被告に対し、貸付残元金六八、八三六円及びこれに対する昭和五九年三月九日から支払済みまで年三割六分の割合による遅延損害金の支払を求める。
三ところで貸金業者が貸金業の規制等に関する法律四三条一項のいわゆる「みなし弁済規定」の適用を受けるためには、その要件として、債務者が預金口座払込みの方法により弁済する(右法律一八条二項)場合においても、貸金業者が右法律一八条一項所定の受取証書を交付したとの事実の主張を要するものと解されるが、原告は本訴請求においてその主張をしない。
すると、原告は「みなし弁済規定」の利益を受けることができないから、被告の弁済額は利息制限法所定の利率に従いそのつど別紙(二)のとおり計算して元本充当すると、昭和五九年三月九日現在の残元本は金五七、三一七円である。
四よつて原告の本訴請求は主文の限度で正当として認容し、その余は理由がないので棄却することとし、主文のとおり判決する。 (山田常二)
別紙(一) 貸付残高計算書
貸付日 昭和58年12月5日
貸付金額 金 100,000円 ▲マークは損害金の表示である利損とは利息又は損害金の表示
10万未満=20% 40%
100万未満=18% 36%
100万以上=15% 30%
回次
返済日
日数
利率
返済額
発生利損
受取利損
元金内入額
貸付残金
未収利損
1
58・12・26
22
73
13,600
4,400
4,400
9,200
90,800
△ ,
59・1・27
32
73
(失期の日)
5,795
,
,
90,800
△ ,
2
59・1・31
4
73
16,600
▲ ,724
▲ 6,519
10,081
80,719
△ ,
3
59・3・9
38
73
18,000
▲ 6,117
▲ 6,117
11,883
68,836
△ ,
4
・ ・
,
,
,
,
,
△ ,
別紙(二) 一覧表
貸付日 昭和58年12月5日
貸付金額 10万円
(昭和)年月日
支払額
(円)
日数
法定利息
(円)
元金充当分
(円)
残元金
(円)
備考
利率
58.12.26
13,600
22
1,084
12,516
87,484
年18%
59.1.31
16,600
32
1,376
14,880
59.1.27限り失期
〃
4
344
72,604
年36%
59.3.9
18,000
38
2,713
15,287
57,317
〃