仙台地方裁判所 平成元年(わ)231号 判決 1989年10月02日
本店所在地
仙台市青葉区二日町六番六号 シャンボール青葉
株式会社東洋
(右代表者代表取締役 鈴木孝)
本籍
大阪府泉北郡忠岡町馬瀬一丁目二四八番地
住居
仙台市青葉区貝ケ森一丁目一番六号
会社役員
鈴木孝
昭和六年八月一八日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官五十嵐義治出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社東洋を罰金一三〇〇万円に処する。
被告人鈴木孝を懲役一年に処する。
被告人鈴木孝に対し、この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社東洋は、仙台市青葉区二日町六番六号シャンボール青葉内に本店を置き、寝具類の卸小売等を目的とする会社であり、被告人鈴木孝は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人鈴木孝は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、同会社取締役吉野正男と共謀のうえ、売上の一部を除外して所謂簿外預金として蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ、昭和五九年八月一日から同六〇年七月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額(犯則所得額と申告所得額とを合算したもの)が二億一七四八万四〇四二円で、これに対する正規の法人税額が九三一八万六五〇〇円であったにもかかわらず、同年九月三〇日、仙台市青葉区上杉一丁目一番一号所在の所轄仙台北税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九二三二万九四九八円で、これに対する法人税額が三八九九万四四〇〇円にすぎない旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第七六号の一)を提出し、もって不正の行為により、同会社において、右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額五四一九万二一〇〇円につき法人税を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人鈴木孝の当公判廷における供述
一 被告人鈴木孝の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書(七通)
一 吉野正男の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書(一三通)
一 相澤克己の大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書、脱税額計算書説明資料、売上除外額調査書、受取利息調査書、簿外経費調査書及び役員賞与損金不算入額調査書
一 登記官作成の商業登記簿謄本
一 押収してある法人税確定申告書一綴(平成元年押第七六号の一)
(法令の適用)
被告人鈴木孝の判示所為は法人税法一五九条一項、刑法六〇条に該当するところ、法人税法一六四条一項により、被告人鈴木孝を罰するほか被告人株式会社東洋に対して罰金刑を科することとし、被告人会社については同法一五九条二項を適用して、その罰金を免れた法人税の額に相当する金額以下としたうえ、被告人会社を罰金一三〇〇万円に処し、被告人鈴木孝については、所定刑中懲役刑を選択したうえ、その所定刑期の範囲内で懲役一年に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間被告人鈴木孝に対する右懲役刑の執行を猶予する。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 村上博信)