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仙台地方裁判所 平成元年(行ウ)10号 判決 1991年4月23日

宮城県塩竈市北浜四丁目一五番二〇号

原告

佐藤ヨシコ

右訴訟代理人弁護士

荘司捷彦

宮城県塩竈市旭町一七番一五号

被告

塩釜税務署長 田中利夫

右指定代理人

平尾雅世

高橋準司

奥山修

主文

本件訴えを却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

原告が、昭和五九年二月一七日酒税法ならびに国税庁長官・国税局発昭和四六年七月一日付通達「酒類販売業免許に附されている条件の解除または緩和に関する特別措置及びこれに関連する所要事項の取扱改正について」に基づいて、被告に対してなした「酒類販売業免許の条件解除の申立てについて」の被告の不作為が違法であることを確認する。

第二事案の概要

(争いのない事実)

一  原告は、塩釜税務署長から「全酒類小売」との条件を付された酒類販売業免許を得て酒類販売業を営む者であり、昭和五九年二月一七日、被告に対し、国税庁長官ならびに国税局長名による昭和四六年七月一日付通達「酒類販売業免許に附されている条件の解除または緩和に関する特別措置およびこれに関連する所要事項の取扱改正について」に基づいて、原告の酒類販売業免許に付されている「全酒類小売」との条件の解除を求める申立てをした。

二  被告は、原告の条件解除申立てに対し平成二年八月一日付で酒類販売業免許の条件解除拒否処分をした。

(争点)

被告は、原告の条件解除申立てに対し、条件解除拒否処分をしたので、被告の不作為状態は、解消されており、原告はその違法確認を求める法律上の利益を有しないから本件訴えは不適法であると主張し、これに対し、原告は、申立てから右処分まで六年五か月以上経過しており、このような長期にわたる未処理期間は著しく合理性を欠き、処分がなされたことの一事をもって不作為の状態が解消したものとはいえないから、右長期の不作為が違法であるか否かの判断を求めることは法律上可能であると反論する。

第三争点に対する判断

不作為の違法確認の訴えは、訴えの提起を通じて行政庁に処分または裁決を促し、これによって行政庁の不作為から申請者を救済することを目的とするものであるから、訴えの提起から口頭弁論の終結時まで行政庁の処分または裁決についての不作為状態が継続することを前提とし、行政庁によって処分または裁決がなされた以上、もはや違法確認を求める法律上の利益がないものというべきである。

本件においては、原告の条件解除申立てに対し、被告により、平成二年八月一日付で酒類販売業免許の条件解除拒否処分がなされているのであるから、本件訴えの対象である被告の不作為状態は、右処分により解消されたものというべきである。

よって、原告の本件訴えは法律上の利益を失ったものとして却下すべきであるから、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 伊藤紘基 裁判官 近藤ルミ子 裁判官 濱口浩)

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