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仙台地方裁判所 昭和46年(ワ)399号 判決 1973年2月21日

原告

高橋とくこ

被告

佐藤長男

ほか一名

主文

被告らは、原告に対し、各自金四〇〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和四六年六月一〇日から支払ずみにいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを一〇分し、その一を被告らの負担とし、その余を原告の負担とする。

この判決は原告において被告らに対し各金一五〇、〇〇〇円の担保を供するときは原告勝訴の部分に限りかりに執行することができる。

事実

一  当事者の求めた裁判

(一)  原告

1  被告らは、原告に対し、連帯して金三、〇〇〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和四六年六月一〇日から支払いずみにいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決ならびに仮執行の宣言。

(二)  被告ら

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

との判決。

二  当事者の主張

(請求原因)

(一)  事故の発生

昭和四四年七月二四日午後五時五〇分ごろ、宮城県栗原郡築館町字下宮野中田一四一の一先国道上において、訴外高橋茂博運転の自動二輪車(以下原告車という)と被告佐藤運転の大型貨物自動車(宮一ゆ八二一一、以下被告車という)とが衝突し、このため同人は死亡した。

(二)  責任原因

1 被告佐藤

本件事故は、被告佐藤が被告車を運転して横道から国道上に出るに際し、国道を通過する車両の有無およびその動静を十分注視すべきであるのにこれを怠り、漫然、被告車を国道上に進行させたために発生したものであるから、同被告には民法第七〇九条にもとづき本件事故によつて生じた損害を賠償すべき義務がある。

2 被告田代

被告佐藤は、被告田代の経営する運送店に自動車運転手として勤務していたものであるところ、本件事故は、被告佐藤が業務上で被告車を運転中に発生したものであるから、被告田代には、被告佐藤の使用者として民法第七一五条にもとづき本件事故によつて生じた損害を賠償すべき義務がある。また、被告田代は本件事故当時、被告車を所有し、自己のためにこれを運行の用に供していたものであるから、同被告には、自動車損害賠償保障法第三条にもとづき本件事故によつて生じた損害を賠償すべき義務がある。

(三)  損害

原告は本件事故によつてつぎの損害を蒙つた。

1 扶養請求権侵害による損害

茂博は、原告の次男であるところ、原告は本件事故当時、同人、その妻久仁子、長女美紀と生活を共にし、同人の扶養によつて生計を維持していたが、本件事故のため同人が死亡したので、同人に対する扶養請求権を失つた。しかして、原告は大正五年一二月一六日生まれの女子であるから、その平均余命は二三年であるところ、原告が本件事故当時同人から受けていた扶養料は、一か月金一五、〇〇〇円、年額金一八〇、〇〇〇円を下らない。そこで、これを基礎とし、ホフマン式により民事法定利率年五分の割合による中間利息を控除して同人が生存していたならば、原告が右期間中に同人から受けるであろう扶養料の現在価額を算出すると、その額は金二、七〇八、一〇〇円である。

2 慰藉料

前記のように、原告は本件事故当時茂博の一家と生計を共にし、幸福な家庭生活を営んでいたが、本件事故によつて同人を失つたため、嫁の久仁子が孫の美紀を連れて実家へ帰つてしまい、ただ一人とり残された。しかして、そのために原告が受けた精神的衝撃は甚大であり、これに対する慰藉料の額は金二、〇〇〇、〇〇〇円が相当である。

以上によれば、本件事故によつて原告が蒙つた損害は金四、七〇八、一〇〇円であるが、原告は被告らに対し、その内金として各自金三、〇〇〇、〇〇〇円とこれに対する本訴状送達の日の翌日である昭和四六年六月一〇日から支払ずみにいたるまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を支払うべきことを求める。

(請求原因に対する答弁)

(一)  請求原因(一)の事実は認める。

(二)  同(二)の1の事実は否認する。本件事故は、茂博が酒に酔つたうえ、高速度で原告車を運転し、前方注視義務を怠つたために発生したものであつて、被告車を運転していた被告佐藤は、国道の手前で一時停止し、左右の安全を確認したうえ、国道上に出てセンターライン付近で右折したのであるから、本件事故については、同被告には過失責任はない。同(二)の2の事実は認める。

(三)  同(三)の事実のうち、原告が茂博から受けていた扶養料の額および原告が本件事故によつて蒙つた精神的苦痛に対する慰藉料の額は争う。その余の事実は知らない。

(抗弁)

(一)  免責

前記のように、本件事故は、茂博の一方的な過失によつて発生したものであつて、被告田代には、被告車の運行に関し不注意はなく、被告車にも構造上の欠陥または機能上の障害はなかつたから、同被告は自動車損害賠償保障法第三条但書により本件事故によつて生じた損害を賠償すべき義務を免れる。

(二)  過失相殺

かりに、被告らに、本件事故によつて生じた損害を賠償すべき義務があるとしても、本件事故については、茂博にも前記のごとき過失があるから、原告の損害額を算定するうえでこれを斟酌すべきである。

(三)  損害填補

本件事故により茂博およびその妻久仁子、長女美紀が蒙つた損害額につき前記過失相殺がなされた場合、右損害額のうち被告らが賠償の責を負うべき部分は金三、〇〇〇、〇〇円を超えないものと思料されるところ、茂博の相続人である妻久仁子、長女美紀はすでに自動車損害賠償保障法にもとづく保険金三、〇〇〇、〇〇〇円を受領している。しかして、茂博の原告に対する扶養料は元来同人の収入中から支払われるべきであるから、右扶養請求権侵害による損害は同人の逸失利益中に含まれているものというべく、したがつて、原告の右損害は、前記保険金の一部によつて填補されるべき性質のものである。しかるところ、原告は同人の妻久仁子、長女美紀を通じて右保険金のうち金五〇〇、〇〇〇円を受領しているし、右金五〇〇、〇〇円では、右損害を填補するに足りなければ、同人らに対し、不足部分を不当利得として返還請求すべきである。

(四)  弁済

被告田代は、本件事故後間もなく、原告に対し、本件損害賠償金として金一〇〇、〇〇〇円を支払つた。

(抗弁に対する答弁)

抗弁(一)(二)の事実は否認する。同(三)の事実のうち、茂博の妻久仁子、長女美紀が自動車損害賠償保障法にもとづく保険金三、〇〇〇、〇〇〇円を受領したことは認めるが、その余の事実は否認する。本件事故によつて茂博およびその妻久仁子、長女美紀が蒙つた損害は、つぎのとおり計金九、七一六、六九九円であるから、右保険金をもつてしては未だその損害全部を填補するにはいたらない。すなわち、

(1)  茂博の逸失利益

茂博は本件事故当時、株式会社熊徳商店に勤務し、年間少なくとも金四二二、九三六円(平均給与月額金三一、八二八円、年間賞与額金四一、〇〇〇円)の賃金収入を得ていた。しかして、同人の生活費は、その収入の三分の一とみるのが相当であるから、これを控除すると、同人の年間純収入は金二八一、九五八円である。しかして、同人は本件事故当時、二七才の健康な男子であつたから、本件事故に遭遇しなければ、六三才まであと三六年間稼動し、その間、右同額の賃金収入を得るこことができたものと考えられる。そこで右年間純収入金二八一、九五八円を基礎とし、ホフマン式により民事法定利率年五分の割合による中間利息を控除して、同人が右期間中に得るであろう純収入額の現在価額を算出すると、その額はつぎのとおり金五、七一六、六九九円である。

年間純収入金281,958円×ホフマン係数20.275=5,716,699円

(2)  久仁子、美紀の慰藉料

茂博が本件事故当時、一家の支柱なつとていたことを考えると、その妻久仁子、長女美紀が本件事故のためにその夫であり父である茂博を失つたことによつて蒙つた精神的苦痛に対する慰藉料の額は各金二、〇〇〇、〇〇〇円が相当である。

三  証拠〔略〕

理由

一  原告主張の日時場所において、茂博運転の原告車と被告佐藤運転の被告車とが衝突するという交通事故が発生したことは当事者間に争いがなく、そのため茂博が翌二五日午前一時四五分ごろ宮城県栗原郡築館町の町立築館病院において死亡したことは〔証拠略〕によつて明らかである。

二  そこで、本件事故の原因について考えるに、〔証拠略〕によれば、本件事故現場は北方の一の関市方面から南方の古川市方面へ通じる幅員八・〇米の平坦なアスフアルト舗装の国道四号線と、西方の栗駒町方面へ通じる幅員五・五米の旧国道とが交差する地点であり、現場付近は水田地帯であるため、周囲の見通しは良好であること、被告佐藤は、被告車を運転して旧国道を栗駒町方面から本件事故現場方面へ向い、事故現場付近に到着した際右三叉路の手前で一時停止して国道四号線上を通過する数台の車両をやり過ごしたあと、さらに、右前方に古川市方面から一の関市方面へ向つて進行してくる一台の乗用自動車を現認したが、自車との間に約一五〇米の間隔があつたので、同車両が三叉路内に進入するまでには右折転回を終えることができるものと判断し、時速約一〇粁の速度で徐々に右折しながら一六米ほど進行したとき、同方向から時速約七〇粁の速度で右車両を追い越しセンターライン寄りを左右に蛇行しながら進行してくる原告車を発見したこと、しかし、同被告は原告車が接近するまでには右折転回を終えることができるものと考えなお、そのまま一〇・六米ほど進行したところ、にわかに衝突の危険を感じ、急制動を施したが間に合わず、センターライン付近で被告車の右後車両に原告車の後部荷台付近が衝突したことが認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

右認定の事実によれば、被告佐藤は、被告車を運転して前記三叉路の手前で一時停止したあと、時速約一〇粁の速度で徐々に右折しながら古川市方面へ向つて一六米ほど進行したとき、古川市方面から時速約七〇粁の高速度で前方を走行中の乗用自動車を追い越してセンターライン寄りを左右に蛇行しながら進行してくる原告車を現認したのであるから、右のような場合においては、同被告としては、ただちに急制動を施し警音器を吹鳴するなど原告車との衝突事故の発生を回避するために必要な措置を講じるべきであつたというべく、同被告がこれを怠り、原告車が接近するまでには右折転回を終えることができるものと軽信し、漫然、そのままの速度で一〇・六米ほど進行した点に同被告の過失があり、これが本件事故の一因となつているものと認められる。したがつて、同被告には民法第七〇九条にもとづき本件事故によつて生じた損害を賠償すべき義務がある。しかし、一方、右認定の事実によれば原告車を運転していた茂博は安定性に乏しい自動二輪車を時速約七〇粁という高速度で運転し、前方を走行中の乗用自動車を追い越してセンターライン寄りを左右に蛇行しながら進行したのであつて、その運転態度や右認定のような本件事故の態様を考えあわせると、同人は本件事故の直前、前方注視を怠つていたこともうかがわれ、本件事故は、同人の右のような無謀な運転にその主要な原因が存するものと認められる。しかして、これと被告佐藤の前記過失とを対比すると、その割合は同人の七に対し同被告の三をもつてするのが相当である。

また、被告佐藤が被告田代の経営する運送店に自動車運転手として勤務していたこと、本件事故は、被告佐藤が業務上で被告車を運転中に発生したものであることは当事者間に争いがなく、これによれば、被告田代には、被告佐藤の使用者として、民法第七一五条にもとづき同被告とともに本件事故によつて生じた損害を賠償すべき義務がある。

三  そこですすんで、本件事故によつて原告が蒙つた損害につき検討する。

1  扶養請求権侵害による損害

〔証拠略〕によれば、原告は本件事故当時、三男の茂博夫婦と同居し、末つ子の輝喜とともに茂博方の一員として、同人が勤務先の訴外株式会社熊徳商店から支給される賃金月額金三一、〇〇〇円ないし金三二、〇〇〇円と、その妻久仁子が勤務先の病院から支給される賃金月額金一五、〇〇〇円ないし金一六、〇〇〇円によつてその生計を維持していたところ、本件事故により茂博が死亡し、ためにその妻久仁子も原告と別れて実家へ戻つてしまつたので茂博夫婦からの扶養を受けることができなくなつたことが認められ、右認定の本件事故当時における茂博方の家族構成、生活状態等をあわせ考えると、原告が本件事故当時、同人から受けていた扶養の利益は一か月金一〇、〇〇〇円と認めるのが相当である。

そして〔証拠略〕によれば、原告は本件事故当時、五二才の健康な女子であつたことが認められるところ、厚生省昭和四四年発表の第一二回生命表によれば、原告と同年令の女子の平均余命は二五・一一年であるから、茂博が本件事故に遭遇しなければ、原告は右の期間中同人から一か月金一〇、〇〇〇円の扶養の利益を受けることができたものと考えられる。そこで、これを基礎としホフマン式により民事法定利率年五分の割合による中間利息を控除して原告が右期間中に同人から受けるであろう扶養の利益の現在価額を算出すると、その額はつぎのとおり金一、九一三、二九二円である。

月額金10,000円×12か月=年額金120,000円

年額金120,000円×ホフマン係数15.9441=金1,913,292円

しかしながら、本件事故に関しては、茂博にも過失があつたことは前記認定のとおりであるところ、右過失は、いわゆる被害者側の過失として原告の損害額を算定するうえでもこれを斟酌するのが相当と認められる。そこで、前記認定の過失割合にしたがい右金一、九一三、二九二円からその七割を減ずると、その残額は金五七三、九八七円である。

2  慰藉料

原告と茂博とが親子の間柄にあり、原告が本件事故当時、同人夫婦と生活を共にしていたこと、本件事故は、前記のように茂博の事故の際における原告車の運行方法にその主要な原因があること、その他本件審理にあらわれた諸般の事情をあわせ考えると、原告が本件事故により茂博を失つたために蒙つた精神的苦痛に対する慰藉料の額は金五〇〇、〇〇〇円をもつて相当とする。

四  つぎに、茂博の妻久仁子と、本件事故後出生した長女美紀が本件事故に関し自動車損害賠償保障法にもとづく保険金三、〇〇〇、〇〇〇円の支払を受けたことは原告の認めて争わないところである。そして、被告らは、右保険金は茂博の逸失利益を填補して余りがあるところ、同人の原告に対する扶養料は元来その収入中から支払われるべきものであるから、右扶養請求権の侵害による損害は、同人の逸失利益中に含まれ右保険金によつて填補されている旨主張するが、右保険金は同人の逸失利益のみを填補するものではなく、本件事故によつて生じた損害中被告らが自動車損害賠償保障法第三条にもとづいて賠償の責を負うべき損害の填補にあてられるものであるから、まず、右損害中原告以外の者が蒙つた損害について検討する。

1  茂博の逸失利益

〔証拠略〕によれば、茂博は本件事故当時、訴外株式会社熊徳商店に勤務し、年間金四二一、七六四円(月平均三一、八二八円、ただし七月、一二月は平均金五一、七四二円)の賃金収入を得ていたことが認められ、これと前記認定の本件事故当時における同人方の家族構成、生活状態等をあわせ考えると、同人の生活費はその収入の三分の一と認めるのが相当であるから、右年間収入からこれを控除すると、その残額は金二八一、一七六円である。

そして、〔証拠略〕によれば、茂博は本件事故当時、二七才の健康な男子であつたことが認められるところ、厚生省昭和四四年発表の第一二回生命表によれば、同人と同年令の男子の平均余命は四三・六八年であるから同人は本件事故に遭遇しなければ六三才まであと三六年間稼働し、その間右同額の賃金収入を得ることができたものと考えられる。そこで、右年間純収入金二八一、一七六円を基礎とし、ホフマン式により民事法定利率年五分の割合による中間利息を控除して同人が右期間中に得るであろう純収入の現在価額を算出すると、その額はつぎのとおり金五、七〇〇、七〇二円である。

年間純収入金281,176円×ホフマン係数20.2745=金5,700,702円

しかしながら、本件事故に関しては、茂博にも過失があつたことは前記認定のとおりであるから、前記認定の過失割合にしたがい右金五、七〇〇、七〇二円からその七割を減ずると、その残額は金一、七一〇、二一〇円である。

しかるところ、〔証拠略〕によれば、茂博の妻久仁子と長女美紀は、それぞれその法定相続分にしたがい右金一、七一〇、二一〇円のうち久仁子においてその三分の一にあたる金五七〇、〇七〇円を、美紀においてその三分の二にあたる金一、一四〇、一四〇円を相続により承継したことが認められる。

2  久仁子、美紀の慰藉料

茂博と久仁子、美紀間の身分関係、本件事故の態様、ことに本件事故は前記のように、茂博の事故の際における原告車の運行方法にその主要な原因があること、その他本件審理に現れた諸般の事情をあわせ考えると、久仁子、美紀が本件事故によりその夫であり父である茂博を失つたことによつて蒙つた精神的苦痛に対する慰藉料の額は各金五〇〇、〇〇〇円をもつて相当とする。

以上説示したところによれば、本件事故によつて原告以外の者が蒙つた損害のうち被告らが自動車損害賠償保障法第三条にもとづき賠償の責を負うべき部分は計金二、七一〇、二一〇円である。しかるところ、茂博の妻久仁子、長女美紀が同法にもとづく保険金三、〇〇〇、〇〇〇円の支払を受けたことは前記のとおりであり、これによれば、前記損害は、右保険金によつてすべて填補されていることが認められる。

ところで、茂博の原告に対する扶養料は元来、その収入中から支払われるべきものであるから、右扶養請求権侵害による損害金一、九一三、二九二円中被告らにおいて賠償の責を負うべき部分金五七三、九八七円は、茂博の逸失利益金五、七〇〇、七〇二円中被告らにおいて賠償の責を負うべき部分金一、七一〇、二一〇円中に含まれ、右保険金によつて填補されているものと認められる。そして以上認定の事実関係に照らせば、茂博の妻久仁子、長女美紀に対する右保険金中金五七三、九八七円の支払は債権の準占有者に対する弁済として、原告の扶養請求権侵害による損害賠償債権に対する弁済としての効力を有するものというべきであるから、原告は、同人らに対し不当利得として右金五七三、九八七円の返還を請求し得るにしても、被告らに対し、重ねてその支払を求めることはできないものというべく、原告の本訴請求中扶養請求権侵害による損害の賠償を求める部分は理由がない。

つぎに、被告田代が茂博の葬儀に際し、原告に対し見舞金として金一〇〇、〇〇〇円を支払つたことは原告本人尋問の結果によつて明らかであるから、原告の慰藉料金五〇〇、〇〇〇円からこれを控除すると、その残額は金四〇〇、〇〇〇円である。

したがつて、被告らは原告に対し、各自右金四〇〇、〇〇〇円とこれに対する本訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和四六年六月一〇日から支払ずみにいたるまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。

五  よつて、原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく以上説示の限度で理由があるから、その範囲で正当としてこれを認容し、その余を失当として棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条を、仮執行の宣言につき同法第一九六条を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 大塚一郎)

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