仙台地方裁判所 昭和55年(ワ)1259号 判決 1981年7月13日
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
原告は、「被告は原告に対し金一八〇万円およびこれに対する昭和五五年一〇月一〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決ならびに仮執行の宣言を求め、請求の原因として次のとおり述べた。
「一 早坂栄三郎は昭和四六年九月一〇日農機具類の販売を目的とする株式会社三和商会(以下「三和商会」という。)に雇われていたものであるが、原告および被告は昭和四九年七月三〇日三和商会に対し右栄三郎の行為によつて三和商会の受けた損害を連帯して賠償する旨の身元保証契約をした。
二 ところで、右栄三郎は三和商会の金銭および商品について使い込みをし、三和商会に損害を与えたため、原告は三和商会から昭和五二年二月九日訴の提起を受けた(原告は被告に訴訟告知をした。)。仙台地方裁判所は、昭和五五年九月一七日、原告に対し、栄三郎が三和商会に与えた損害賠償金として金三〇〇万円およびこれに対する昭和五一年一〇月一〇日(三和商会が原告に支払うよう催告した期限の翌日)から支払ずみまで年五分の割合による金員を三和商会に支払うべき旨命じた判決の言渡をした。
三 原告は三和商会に対し昭和五五年一〇月一〇日右判決に基づいて三六〇万円の支払をした。
四 原、被告間の内部関係においてはその負担部分は平等である。
五 よつて、原告は被告に対し、一八〇万円およびこれに対する昭和五五年一〇月一〇日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。」
被告は、主文同旨の判決ならびに仮執行免脱の宣言を求め、答弁として次のとおり述べた。
「一 請求原因事実について、一は認める、二および三は知らない(ただし、訴訟告知を受けたことは認める。)、四は否認する。
二 被告は、早坂栄三郎とは血縁関係はおろか、同窓、友人等といつた関係も一切なく、単に三和商会の顧客(被告)と被告の居住地区の担当員(栄三郎)というだけの関係であつた。これに対して、原告は、栄三郎の妻の長兄であつて、栄三郎との接触は極めて緊密であり、その性格、財産状態、生活行動を十二分に知悉していたものである。そこで、三和商会は原告からの身元保証で満足し、被告に対してはあえて員数をそろえるためのものとして当初から身元保証人としての責任を追求する意思はなかつたものである。したがつて、原告が三和商会に対して本件損害の賠償をしたからといつて、その一部を被告に求償するのは筋違いというべきである。」
証拠(省略)