仙台地方裁判所 昭和57年(ワ)652号 判決 1983年7月29日
主文
被告は原告に対し金四一二万五〇〇〇円及び内金二一二万五〇〇〇円に対する昭和五二年一月一六日から、内金二〇〇万円に対する同年二月一三日から各支払ずみまで年一八・二五パーセントの割合による金員を支払え。
訴訟費用は被告の負担とする。
この判決は仮に執行することができる。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 主文一、二項と同旨
2 仮執行の宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、昭和五一年五月二〇日付及び同年一一月一五日付の各信用組合取引約定書に基づき、訴外有限会社前澤工務店(以下「訴外会社」という。)に対し左記のとおり金員を貸付けた。
(一) 貸付月日昭和五一年五月二〇日、金額三〇〇万円、最終返済期限昭和五三年五月二〇日、利息年八・二五パーセント、遅延損害金年一八・二五パーセント
(二) 貸付月日昭和五一年一一月一五日、金額二〇〇万円、最終返済期限昭和五二年五月一五日、利息年九・七五パーセント、遅延損害金年一八・二五パーセント
2(一) 右の各信用組合取引約定書には、訴外会社が原告との取引において負担する一切の債務について保証人が訴外会社と連帯して債務履行の責を負う旨の約定があり、その連帯保証人欄に訴外千葉幸雄名義の署名押印がなされている。
(二) 右の千葉幸雄名義の署名押印は、同人の妻である被告が、千葉幸雄をして連帯保証人たらしめるべく、同人の印鑑を訴外前澤千代美に交付して千葉幸雄名義の署名押印方を依頼したことによつて作出されたものである。
3 右信用組合取引約定書には、訴外会社が支払を停止したときは期限の利益を失う旨の約定があるところ、訴外会社は昭和五二年一月一四日支払を停止し、これにより期限の利益を失つた。
4 右昭和五二年一月一四日現在の訴外会社に対する原告の貸付残額は、1(一)の貸金については金二一二万五〇〇〇円、同(二)の貸金については金二〇〇万円であり、利息は前者については昭和五二年一月一五日までの分、後者については同年二月一二日までの分がそれぞれ支払ずみとなつている。
5 そうすると、被告は民法一一七条一項の規定に基づき、原告に対し連帯保証人と同一内容の履行義務を負うべきであるから、原告は被告に対し、右貸金合計四一二万五〇〇〇円及び内1(一)の貸金残額二一二万五〇〇〇円に対する昭和五二年一月一六日から、同(二)の貸金二〇〇万円に対する同年二月一三日から各支払ずみまで年一八・二五パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。
6 なお、原告が被告に訴求しているのは被告の無権代理行為に基づく連帯保証人としての債務履行であつて、損害賠償ではないから、他に保証人があるからといつて、被告がその責を免れることはできない。
二 請求原因に対する答弁
1 請求原因1の事実は知らない。
2 同2(一)の事実は争う。同2(二)の事実は否認する。
3 同3、4の事実は知らない。
4 原告の訴外会社に対する本件二口の貸付けについては、いずれも宮城県信用保証協会の保証がついているのであるから、原告は右協会に保証の履行を求めればよいのであつて、そうすれば原告に損害はないのである。
三 抗弁
原告の訴外会社に対する本件各債権は、宮城県信用保証協会からの支払により消滅した。
四 抗弁に対する答弁
抗弁事実は否認する。
第三 証拠(省略)