仙台地方裁判所 昭和60年(行ウ)4号 判決 1986年7月29日
原告
甲野一郎
原告
甲野花子
右訴訟代理人弁護士
増田隆男
増田祥
被告
南方町長
田口専一
右訴訟代理人弁護士
浅野孝雄
松坂英明
主文
一 本件訴えを却下する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告が昭和六〇年二月二〇日付けで原告甲野一郎に対してした児童甲野二郎を同年四月一日から同年九月三〇日までの間南方保育所に入所させて保育する旨の決定を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 被告の本案前の申立て
主文と同旨
三 請求の趣旨に対する答弁
1 原告らの請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告らは、児童甲野二郎(以下「二郎」という。)の保護者(親権者)である。
2 被告は、昭和六〇年二月二〇日付けで、原告甲野一郎に対して、二郎を同年四月一日から同年九月三〇日までの間南方保育所に入所させて保育する旨の決定(以下「本件処分」という。)をした。
3 しかしながら、本件処分は、違法であるから、その取消しを求める。
二 被告の本案前の主張
1 原告らには、以下に述べるとおり、本件処分の取消しを求める法律上の利益がないから、本件訴えは不適法であり、却下されるべきである。
2 本件処分の法的性格等について
一 児童福祉法(以下「法」という。)二四条は、市町村長は、保護者の労働又は疾病等により保育に欠ける児童を保育所に入所させて保育しなければならない旨規定している。
そして、右規定に基づく現在の行政実務は、各市町村とも、別紙記載の厚生省児童局長通達(昭和三六年二月二〇日児発第一二九号、以下「厚生省通達」という。)所定の基準に則つて行われている。
ところで、右通達の4項には、「入所の措置をとるに当たつては、あらかじめ六箇月の範囲内で入所の期間を定めて行なうものとし、その期間が到来した場合において、なおその措置児童の措置理由があると認められるときはその入所を更新する等適切な措置権の行使に努めること。」と定められているが、これは、右通達制定前の実情というものが、保育所への入所措置(以下単に「入所措置」ともいう。)後における事情の変更についての調査が適正に行われず、そのため既に措置理由の消滅した児童をいつまでも入所させておくようなことがあつたところから、こうした不都合を制度的に解決して、措置権の適切な行使を確保しようとしたものである。
二 被告においても、入所措置は通常六か月の期間を指定して行つており、この期間の指定は、入所措置決定の効力維持期間と解されるべきもので、この期間の満了とともに入所措置決定の効力は自然消滅する。
3 本件において、被告は、いずれも原告甲野一郎の申請を受けて、まず、昭和五九年四月一日から同年九月三〇日までの期間を指定して、二郎を迫町管内の私立錦保育園に入所させて保育する旨の決定をし、次いで同期間の満了に先立ち、再調査の結果、なお措置理由があると認めて、再度、同年一〇月一日から昭和六〇年三月三一日までの期間を指定して、同人を同保育園に入所させて保育する旨の決定をしたものであるが、更に、同期間の満了に先立つて、右原告の申請を受けて、更に調査の結果、なお措置理由があると認めて、再々度、同年四月一日から同年九月三〇日までの期間を指定して、二郎を南方町立の南方保育所に入所させて保育する旨の決定(本件処分)をした。
4 ところで、原告らは、本訴において、本件処分の取消しを求めているが、本件処分を取り消せば、昭和六〇年四月一日から同年九月三〇日までの間についての入所の措置決定がなされなかつたという状態になるだけであつて、決して原告らの後記主張のように、本件処分が取り消されることによつて、先の錦保育園への入所措置決定の効力が復活するなどということにはならない。先の入所決定の効力は期間満了によつて自然消滅しているのである。
従つて、原告らには本件処分の取消しを求める法律上の利益はない。
三 被告の本案前の主張に対する原告らの認否及び反論
1 被告の本案前の主張中、厚生省通達の内容、行政実務では、同通達に従い、入所措置処分において措置の期間を六か月とする取扱いがなされていること及び3の各事実はいずれも認める。
2 法二四条によれば、市町村長は「保育に欠ける」子供を保育所に入所させて保育しなければならないとされているのであるから、「保育に欠ける」子供は一旦入所措置されたならば、「保育に欠ける」状態が続く限り、保育所に入所し続けることができると考えるべきものである。
ところで、保育所入所措置行政の実際においては、通常、入所措置処分には期間を六か月とする条件(附款)が付けられている。しかしながら、そもそも行政処分に附款を付けることが許されるのは、法律に根拠がある場合と当該処分を行うについて行政庁に裁量が認められている場合に限られると解すべきところ、法二四条には入所措置処分に附款を付けられる旨の文言がなく、また、市町村長は「保育に欠ける」子供について必ず入所措置処分を行わなければならないのであるから、この処分は裁量処分ではない。そうだとすれば、本来、入所措置処分には附款を付けることができないと考えるほかないものである。従つて、入所措置処分に付けられる六か月という期間は、法的効果のないものであつて、この期間を徒過したからといつて、当然に入所措置の解消即退園となるものではなく、右六か月の期間は、入所措置した子供が引き続き「保育に欠ける」状態にあるか否かについて市町村長が改めて調査する時期を予め示したものに過ぎない。
3 右に述べたところから明らかなように、「保育に欠ける子供」については、一旦入所措置されたならば、「保育に欠ける」状態が続く限り、六か月の期間経過の時点での再度の入所措置処分とか入所期間の更新というような手続は必要ないはずである。しかしながら、「従来の保育所への入所措置」ではなく、「新しい保育所への入所措置」がなされた場合には、この処分は、新規の(保育所への)入所措置処分と「従来の保育所への入所措置処分についての解除処分」の性質を併せ持つ特殊な処分といわざるを得ないものであつて、実質的には「転園処分」である。
4 従つて、本件処分を取り消せば、前記解除処分が取り消されて、従来の錦保育園への入所措置処分の効力が存続することになるのである。
5 原告らは、二郎に従来の保育所である錦保育園で保育を受ける権利を回復させるべく、その保護者として本件処分の取消しを求めているのであつて、本件処分の取消しを求めるについて法律上の利益を有するものである。
四 請求原因に対する認否
1 請求原因1、2の事実は認める。
2 同3の主張は争う。
五 本件処分の適法性についての被告の主張
1 本件処分に至る経緯は、前記二の3で述べたとおりである。
2 法二四条に基づく入所措置処分の内容をなすところの個々具体的保育所の指定は、処分権者の裁量に属するものであつて、実務の処理方法としては、できるだけ保護者の希望を聞き、これを尊重することが望ましいにしても、もとよりこの希望に拘束されるものではない。
本件処分では、入所させる保育所を従前の各処分で指定した迫町管内の錦保育園ではなく、南方町管内の南方保育所としたが、これは次のような事情によるもので、後記原告らの主張中の裁量権の濫用との非難は当たらない。
従前の各処分における錦保育園への指定は、あくまでも例外的措置であり、迫町長と被告との間で昭和五九年三月二九日締結された昭和五九年度保育児童の委託についての契約(以下「本件委託契約」という。)の存在を前提とするものであつた。
被告としては、本件処分に先立つて、できれば昭和六〇年四月以降も、原告側の希望どおり、錦保育園への指定を行いたいと考えて、迫町長に対する本件委託契約の更新についての意向打診を行つたところ、迫町管内の要保育児童で同保育園の定員一杯となるため、昭和六〇年度においては、他町管内の児童まで同保育園に入所させるわけにはいかないとの理由で、同町長から同契約の更新を拒絶された。
そのため、右保育園への指定は不可能となり、被告は、本件処分では、原則に返つて、管内の南方保育所への指定を行つた。なお、同保育所は、人的にも、物的にも、障害児を収容して適切に保育する能力がある。
3 従つて、本件処分は適法である。
六 被告の右五の主張に対する原告らの認否及び反論
1 被告の右主張1の事実は認める。
2 同2のうち、本件委託契約の存在は認めるが、その余の事実は不知、法律上の主張は争う。
3 同3の主張は争う。
本件処分は、以下に述べるとおり、違法である。
(一) 二郎は、昭和五七年一〇月九日生まれで、ダウン症の障害を持つている。原告らは、錦保育園が障害児保育に対して積極的・意欲的に取り組む姿勢を持つており、その成果が実践的に証明されつつあることを知つて、昭和五八年六月から、二郎を、「見学保育」という形で、同保育園での保育に参加させるようになり、めざましい成長発達を獲得する成果を挙げることができた。
しかしながら、二郎と同保育園の関係は、正常なものではなく、それは、同保育園と保護者の犠牲の上に作り上げられたものであつた。そこで、上級官庁である宮城県としても、右のような法的に不安定な関係を克服すべく、正式に委託措置の手続をとるようにとの指導を行つた。その具体的内容は不明であるが、この指導に基づいて成立したのが、本件委託契約なのである。
委託契約は、本来、被告と錦保育園の間で締結すれば済むものと解されるところ、隣接町の行政的な関係からこのような二重構造的性格となつたと思われる。
右契約の基本的な内容としては、被告は、迫町長に対し、迫町内の錦保育園に児童を委託し、迫町長はこれを受託する、その児童数は三名以内とし、受託料については、被告から迫町長に対し、国の基準による支弁額を負担するというものであつた。
(二)措置継続要求に向けての交渉経過は次のとおりであつた。
昭和六〇年一月一〇日 原告ら委託契約の手続のために南方町役場へ、同町民課課長補佐から「内容がよくわからないので待つように」と言われた。
同年同月二三日 迫町では「今年の委託契約をしない」と回答、その理由として「昭和五九年度の委託契約により迫町の住民でありながら錦保育園に入園できないものがでた。」と説明
同年二月八日 南方町では「迫町でうけいれるなら委託契約を続ける。駄目なら南方保育所に入園させてほしい。一二日に課長同志の話し合いをする。」と応答
同年同月一五日 錦保育園への委託保育を前提として南方保育所への入所申請を行う(被告の指導で保育所入所申請はすべて「南方保育所」を名宛人とすることとなつている。)
同年同月二〇日 本件処分
同年三月一二日 迫町長、助役、福祉課と原告ら、錦保育園保母、同保護者会代表らと話し合い
「南方町で正式な文書を出せば委託は引き受ける」との回答
右同日 南方町では「南方保育所が定員割れをしているので是非ここへ入所させてほしい」と主張
同年同月二六日 弁護士に相談
同年四月一日 南方町役場にて弁護士と被告が面談
原告らの要望として「再度検討し直して、本件の児童を錦保育園に措置継続されるよう」お願いする。
同年同月二日 被告から原告ら代理人弁護士に電話で「意向には添えない。従来通りの考え方で南方保育所へ措置する。」と回答
同年同月一〇日 原告らから被告に対し、内容証明郵便を発送
内容は、被告の処理が不当であり、違法な手続きによるものである事実を踏まえ、再度原告らと話し合い、関係各機関とも調整し、柔軟な対応をすることを要請したものである。
同年同月一三日 右文書と原告らの熱意を受け、被告としては、「委託依頼を迫町へ行う」と態度変更を決意し、代理人弁護士に電話で連絡
同年同月一八日 迫町では「錦保育園が定員に達しているので他の保育園になら委託契約をする」と回答
同年同月二〇日 迫町では「南方町から正式の要請があればどこに入園させるか検討する」と回答
同年五月一日 原告らから迫町に対し、「錦保育園で定員一名になつたのでそこへ一名でも入園させてほしい」と要望
同年同月一三日 迫町としては、「当分の間様子をみて考える」と回答
以上のような経過の後、迫町からは、「迫町内から錦保育園への入所申請があつたので、それを優先する。」と通知、原告らの願いは完全に握りつぶされた。
以上の経過によるも、本件の委託契約がどのような形で「解消」されたのか、全く明らかとなつていない。
(三) 本件処分は、次の理由で違法である。
(1) 保育請求権(措置継続請求権)に対する侵害
児童憲章は、その各則一条で「すべての児童は、心身ともに健やかに生まれ、育てられ、その生活を保障される」と定めている。右子供の権利は保護者を通して主張・行使することを前提としている。子供の権利の中でとりわけ重要なものは、健やかに成長・発達する権利であり、保育を受ける権利は、憲法二六条の教育を受ける権利の一環というべきである。
子供にとつても、保護者にとつても、同一保育所における一貫教育が望ましく、原告ら及び二郎は、従来保育されていた錦保育園において保育を受ける権利を有していたというべきところ、本件処分はその権利を侵害したもので、違法である。
(2) 本件委託契約の一方的解除は許されない。
迫町長には委託を拒否できる正当な理由はなかつたのであるから、被告としては、迫町長が拒否しても、委託契約の更新があつたという取扱いで錦保育園への入所措置を継続する旨の決定を行うべきところ、それをしなかつた本件処分は違法である。
第三 証拠<省略>
理由
一本件訴えの適否
被告は、原告らには、本件処分の取消しを求める法律上の利益がないから、本件訴えは不適法である旨主張するので、まずこの点について判断する。
1 請求原因1、2並びに被告の本案前の主張中厚生省通達の内容、行政実務では同通達に従い、入所措置処分において措置の期間を六か月とする取扱いがなされていること及び同本案前の主張3の各事実については、いずれも当事者間に争いがない。
2 法二四条一項は、市町村長は、保育に欠けると認めた児童を保育所に入所させて保育しなければならない旨定めているが、入所措置の基準や方法についての定めはなく、同法は、それらを市町村長の裁量に委ねているものと解される。
ところで、行政実務において行われているという厚生省通達4項の入所措置決定の方法は、その内容からみて、被告主張のとおり、保育所への適正な入所状態を制度的に確保する目的で採用されたものと推認され、この方法によれば、期限の到来によつて、前決定の効果が消滅するとはいつても、当該期限の到来に先立つて行われる事実調査でなお入所の要件が備わつていると認められた児童は、新たな決定によつて次の期間も引続き保育所への入所が可能となるようになつているのであるから、こうした方法の採用によつて保育に欠ける児童の保育所入所の機会が奪われるというわけではないのであつて、こうした方法も、右裁量の範囲内に属するものとして許されると解するのが相当である。
3 従つて、入所措置決定に入所の期限を付すことは許されないとする原告らの主張は採用できず、また、この主張を前提とする、本件処分の取消しによつて従前の処分の効果が復活する旨の原告らの主張も失当というべきである。
4 結局のところ、本件処分の取消しの効果は、昭和六〇年四月一日から同年九月三〇日までの間、二郎についての入所措置決定がなかつたという状態にするだけであり、しかも、右期間は既に満了しているから、この期間についての入所措置決定のし直しということは、もはやあり得ないし、また、右期間の満了によつて本件処分の効果が自然消滅した後の期間についての新たな入所措置決定は、いうまでもなく、本件処分とは無関係に(本件処分を取り消さなくとも)行い得るものであるから、原告らには本件処分の取消しを求める法律上の利益はないといわざるを得ない。
5 従つて、本件訴えは、その余の点について判断するまでもなく不適法というべきである。
二結 論
よつて、本件訴えは、不適法であるから、これを却下することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官磯部 喬 裁判官遠藤きみ 裁判官五戸雅彰)
(別紙)
(1) 児童福祉法による保育所への入所の措置基準について
(昭和三六年二月二〇日 児発第一二九号各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省児童局長通知)
児童福祉法による保育所への入所の措置に関しては、従来から格段の御協力を煩わしているところであるが、今なお不十分な点もある現状にかんがみ、その円滑かつ適正なる実施を確保するため、今回別紙のとおりその入所の措置基準を定め、昭和三六年度から実施することとしたので、次に留意し、所期の目的を達成するよう努められたく、通達する。
なお、昭和三〇年一二月一日児発第六六〇号通達「保育所の措置費の適正実施について」は、廃止し、及び昭和三二年五月一七日児発第二七九号通達「児童福祉法施行事務監査の強化徹底について」の別紙(2)の第一の二(保育所への入所の措置の適否)に係る部分は、適用しないものとする。
一 市町村長が、児童福祉法第二四条本文の規定により保育所への入所の措置をとる場合においては、事前にその家庭の状況を実地につき十分調査、把握し、その家庭構成の状況とくに保育担当者である母親の労働形態、家庭環境その他の状況等を十分勘案し、入所の可否を決定すること。
なお、入所の措置は市町村長の権限であり、その責任と判断によつて行なわれるべきものであるから、保育所長等他の者の意思によつて決定されるようなことがあつてはならないこと。
二 別紙の措置基準の各号のいずれかに該当すれば入所の措置をとることができるのであるが、定員等の事情により、その全部の児童の入所措置が困難な場合においては、その保育を要する程度の高いものから低いものにつき順次入所の措置をとること。
措置基準の(7)の特例による入所の措置は、(1)から(6)までの事例との均衡等に照らして社会通念上明らかに入所の措置を要すると認める事例がある場合に限り、都道府県知事において承認して差し支えないのであるが、その運用に当つてはその事情を十分調査のうえ、慎重に判断することとされたいこと。
なお、地域における要保育児童を措置基準によりすべて措置した後、その保育所がなお定員に余裕のある場合には、私的契約による児童を入所させても差し支えないものであること。
三 前各号によつて入所の措置をとつた場合においては、措置基準の各号におけるその適用項目の番号を保育児童台帳の相当欄に記載しておく。
四 入所の措置をとるに当つては、あらかじめ六箇月の範囲内で入所の期間を定めて行なうものとし、その期限が到来した場合において、なおその措置児童の措置理由があると認められるときは、その入所措置を更新する等適切な措置権の行使に努めること。
五 別紙の措置基準は昭和三六年度から実施されるものであるから、事前に市町村その他の関係機関に十分その趣旨の周知徹底を図り、その円滑なる実施に遺憾のないように努めること。
(別紙)
児童福祉法による保育所への入所の措置基準
児童福祉法第二四条本文の規定により市町村長(特別区の区域にあつては都知事とする。)が行なう保育所への入所の措置は、その家庭が次のいずれかの事情に該当する場合に限り、行なうものとする。
(居宅外労働)
(1) 児童の母親が日中居宅外で労働することを常態としているため、その児童の保育ができず、かつ、同居の親族その他の者がその児童の保育に当たることができないと認められる場合
(居宅内労働)
(2) 児童の母親が日中居宅内で児童とはなれて日常の家事以外の労働をすることを常態としているため、その児童の保育ができず、かつ、同居の親族その他の者がその児童の保育に当たることができないと認められる場合。ただし、父親がその業に従事しており、かつ、そのための使用人がいる家庭を除く。
(母親のいない家庭)
(3) 母親の死亡、行方不明、拘禁等の理由により母親がいない家庭であつて、かつ、同居の親族その他の者がその児童の保育に当たることができないと認められる場合
(母親の出産等)
(4) 母親が出産の前後であり、又は疾病の状態にあり、若しくは心身に障害があるため、その児童の保育ができず、かつ、同居の親族その他の者がその児童の保育に当たることができないと認められる場合
(疾病の看護等)
(5) その児童の家庭に長期にわたる疾病又は心身に障害のある者があり、母親が居宅内又は居宅外で常時その看護に従事しているため、その児童の保育ができず、かつ、同居の親族その他の者がその児童の保育に当たることができないと認められる場合
(家庭の災害)
(6) 火災、風水害、地震等の災害によつてその児童の居室を失ない、又は居宅を失なわないが破損した場合において、その復旧のためその児童の保育ができない場合
(特例による場合)
(7) 前各号に掲げるもののほか、それらの場合に照らして明らかにその児童の保育に欠けると市町村長が認めた事例につき、都道府県知事が承認した場合