仙台地方裁判所 昭和63年(わ)475号 判決 1989年3月27日
本籍
仙台市鶴ケ谷四丁目二一番地の八
住居
仙台市鶴ケ谷三丁目二二番地の二一
会社役員
石垣興成
昭和一九年一〇月二〇日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官上田邦彦出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役八月および罰金一、二〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、仙台市一番町四丁目五番九号サンシャインビルにおいて、ボウルサンシャイン仙台の名称で遊技場を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、収入の一部を除外して簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和五九年分の実際総所得金額が四、四九一万七、五一三円で、これに対する所得税額が一、八九七万七四〇〇円であるにもかかわらず、同六〇年三月一五日、同市上杉一丁目一番一号所在の仙台北税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が九二八万三、一五九円で、これに対する所得税額が七二万九、三〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により正規の所得税額との差額一、八二四万八、一〇〇円の所得税を免れ
第二 同六〇年分の実際総所得金額が四、一七一万三、三六〇円で、これに対する所得税が一、六五一万七、二〇〇円であるにもかかわらず、同六一年三月一四日、前記仙台北税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が七五三万七、八三八円で、これに対する所得税額が一八万八、七〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により正規の所得税額との差額一、六三二万八、五〇〇円の所得税を免れ
第三 同六一年分の実際総所得金額が二、五〇七万四、二五三円で、これに対する所得税額が七三九万六、五〇〇円であるにもかかわらず、同六二年三月一六日、前記仙台北税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一、一八一万七、五八二円で、これに対する所得税額が一三三万一、一〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書(訂正申告)を提出し、もつて不正の行為により正規の所得税額との差額六〇六万五、四〇〇円の所得税を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実の全般につき
一 被告人の
(1) 当公判廷における供述
(2) 検察官に対する供述調書
(3) 大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 工藤敦および金野牧子の検察官に対する各供述調書
一 いずれも大蔵事務官作成の
(1) 昭和六三年一二月二一日付調査書
(2) 脱税額計算書説明資料
(3) 仕入調査書
(4) 地代家賃調査書
(5) その他の経費調査書
(6) 給料賃金調査書
(7) 減価償却費等調査書
(8) チケット等調査書
判示第二および第三の各事実につき
一 松島秀和の検察官に対する供述調書
一 大蔵事務官作成の売上除外調査書
判示第一の事実につき
一 木村一誠の検察官に対する供述調書(但し、不同意部分を除く)
一 いずれも大蔵事務官作成の
(1) 昭和五九年分脱税額計算書
(2) 五九年分売上調査書
一 押収してある五九年分所得税の確定申告書(添付書類とも)一綴(平成元年押第六号の一)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の六〇年分脱税額計算書
一 押収してある六〇年分所得税の確定申告書(添付書類とも)一綴(平成元年押第六号の二)
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の六一年分脱税額計算書
一 押収してある六一年分所得税の確定申告書(添付書類とも)一綴(平成元年押第六号の三)
(法令の適用)
被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するが、右いずれの罪についても懲役刑、罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、罰金刑については所得税法二三八条二項、刑法四八条二項により各免かれた所得税の額を合算した金額の範囲内で、被告人を懲役八月および罰金一、二〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用して右懲役刑についてはこの裁判確定の日から三年間その執行を猶予することとして主文のとおり判決する。
(裁判官 須藤浩克)