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仙台家庭裁判所 昭和38年(少)797号 1963年7月02日

主文

少年を仙台保護観察所の保護観察に付する。

理由

(虞犯事由)

少年虞犯事由は、宮城県中央児童相談所長よりの昭和三八年六月六日付児童送致書記載のとおりであるからここに引用することとし、その性格に照して将来罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞がある。

(適条)少年法三条一項三号イ、ロ

(保護観察に付する理由)

少年は昭和三七年一二月一二日、当裁判所で窃盗の非行により不処分決定をうけている。

少年の非行性は既に中学生頃より芽生えていたものであり、本件の家出、放浪の状況をみるとその行動範囲、期間、その間の交遊関係等からみて危険性をはらんでいるものと云わなければならない。少年は、審判の席上では高校進学のため勉強したいと述べているが、本年三月に中学を卒業してから仙台予備校で高校の受験勉強を始めたが勉学能率があがらず、学習意欲を失つて、自分の現在及び将来のことについて迷つていたことがうかがわれる。また、少年が審判の席上、今回家出をした原因や家庭内の状況について供述していることや、少年調査票の記載内容からも明らかなように、家庭内においては少年と保護者間に意思の隔絶がみられ、これが本件家出の大きな原因をなしているものと推察される。

少年の資質面をみるに、仙台少年鑑別所の鑑別結果からも明らかなように少年には精神病質の疑があり、性格的にも未成熟である。

そこで本件虞犯事由の程度、少年の家庭環境等を勘考のうえ、在宅のままで保護処分に付することが少年の健全な育成を計るために相当であると認め、少年法二四条一項一号を適用して少年を保護観察に付することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 斎藤清実)

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