仙台高等裁判所 平成10年(う)81号 判決
論旨は要するに,原判決は,法令の適用において,原判示の所為全部を国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(以下,「麻薬特例法」という。)8条4号違反の包括一罪として扱っているが,麻薬特例法8条4号では覚せい剤取締法41条の2の罪のうち所持に係る部分を除くとされていることからみても,原判示アの覚せい剤を譲り渡すことを業とした罪と,同イ及びウの各覚せい剤所持の罪とは,併合罪の関係にあるから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
しかし,被告人は,原判示アのとおり,営利目的で覚せい剤の譲り渡しをすることを業としたものであるが,同イ及びウの覚せい剤もまた,被告人が同様にして密売することを予定していたと認められるものであるから,右の業とした行為と,所持した行為とが,全体として包括一罪の関係に立つと解するのが相当であり,なお,そのように解する方が被告人に有利でもある。したがって,原判決の法令適用に所論のような誤りはない。論旨には理由がない。