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仙台高等裁判所 平成11年(行コ)12号 判決 2000年3月02日

控訴人

山崎昭夫

右訴訟代理人弁護士

鈴木欽也

被控訴人

盛岡税務署長 鈴木昭一

右指定代理人

鳥居俊一

高橋藤人

山本富夫

阿部修

主文

本件控訴及び当審で追加された請求をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

一  申立

控訴人は、原判決の取消を求めた上で、当審で請求を追加して「被控訴人が控訴人に対し、平成九年二月四日付でした控訴人の平成五年度分所得税にかかる更正処分及び重加算税賦課処分が無効であることを確認する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。

二  主張

当事者双方の主張は、次に付加する外は、原判決当該欄記載のとおりであるので、ここにこれを引用する。

(控訴人の主張)

平成八年一一月八日、盛岡税務署の伊藤上席調査官が控訴人宅を訪れ、鶯宿温泉病院に対する本件土地の売主をヤマザキにしておくよりも、控訴人個人が譲渡したことにする方が税の納付額が少なくなる旨、親切気に話すので、控訴人はそのようにすると答え、甲第二号証を提出したのである。同調査官からは、右の趣旨に申告し直すと、重加算税が課せられるというような説明は全くなかった。同調査官が述べたことは控訴人を欺いたのと同じであり、これに基づく本件処分は信義則に反し、権利の濫用にも該当する。

(被控訴人の反論)

伊藤調査官は、控訴人から説明を受けた本件土地譲渡の理由等が記載されたメモ書きの内容について控訴人に確認を求めただけである。控訴人のその余の主張は否認し争う。

三  判断

行政処分が無効であると判断するためには、当該処分に明白かつ重大な瑕疵・違法のあることが前提であるが、本件ではその明確な主張がないので、それだけで既に理由なしとしなければならないのであるが、この点は暫く措くこととする。そして、従前の主張についての当裁判所の認定と判断は、ここに引用する原判決のそれと同じである。

追加請求である更正処分の無効確認についての判断も、重加算税賦課処分の効力の場合と同様である。

控訴人は当審で前記のように主張し、控訴人本人尋問の結果はこれに副うかの如くであるが、この供述によっては、登記面でも税務申告の面でも既にことが終わっているヤマザキと前記病院との間の売買をどのように処置するのかが一向に分からず、甲第二号証でもこれが不明である。この点が明確にされていない以上、右の供述をそのとおりに受取ることはできず、ましてや、伊藤調査官が欺いたとの事実を認めることはできず、また、被控訴人が本件の処分をしたことが信義則に反し権利の濫用に該当するとは認め難い。

なお、控訴人は当審の口頭弁論終結後、抗告訴訟としての予備的請求を追加する旨の書面を提出したが、手続的に訴訟資料とならないだけでなく、乙第四ないし第七号証からも明らかなとおり、期間経過により抗告訴訟はもともとできなくなっているのであるから、これに応答することはしない。

よって、本件控訴及び追加請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小林啓二 裁判官 吉田徹 裁判官 比佐和枝)

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