仙台高等裁判所 平成16年(く)63号 決定 2004年9月09日
少年 K・Y (昭和62.8.23生)
主文
本件即時抗告を棄却する。
理由
1 本件即時抗告の趣意は、少年の付添人○○が提出した即時抗告申立書に記載されたとおりであるから、これを引用するが、要するに、原決定は、検察官がなした上訴権(抗告受理の申立権)回復請求事件につき、少年法における終局決定にも刑訴法362条を類推適用できるとして上記上訴権回復請求を許容しているが、<1>少年法1条の趣旨、少年法は検察官からの上訴については抗告受理の申立てという形式を採用して、刑訴法と異なりその構造に差異を設けていることなどにかんがみて、少年の地位を危うくするような取扱いは許されないから、かかる解釈には重大な疑問があること、<2>仮に刑訴法362条の類推適用をするとしても、上記保護事件の審理経過等にかんがみれば、検察官に帰責事由がないとはいえないこと、などとして、上訴権の回復は認めるべきではないと主張するものである。
2 所論に先立ち職権をもって調査するに、記録によれば、原決定書謄本は、少年本人及び少年の法定代理人である親権者母に対し平成16年9月3日、少年の付添人○○に対し同月6日にそれぞれ送達されたことが認められるところ、このような場合における即時抗告申立ての期間は、少年本人に対し送達された時から進行を始めると解されるから、本件における即時抗告提起期間は同月6日までである。しかるところ、本件即時抗告の申立ては、同月7日にされたことが記録上明らかであるから、不適法である。
なお、少年法32条の4に基づく検察官の抗告受理の申立てについても刑訴法362条を類推適用して上訴権回復請求が許容されるとした原決定の解釈は正当として是認できるし、記録上明らかな原決定が認定した事情に照らせば、検察官の上訴権(抗告受理の申立権)回復請求を許容した原決定は相当である。
3 よって、刑訴法426条1項前段により主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 田中亮一 裁判官 根本渉 高木順子)