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仙台高等裁判所 昭和25年(う)857号 判決 1950年12月22日

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

判決要旨

公判廷において検察官の問に対し被告人が検察庁や警察で取調を受けた時取調官から叩かれたとか驚かされたとか無理の取調を受けたようなことはないと答えた上その調書は何れも読み聞かされて署名指印したと述べた場合検察事務官や司法警察員に対する被告人の供述調書については任意性の立証があつたものと認めるべきである。

理由

記録を精査するに検察官は本件犯罪事実を立証するため(一)被告人の検察事務官に対する第一、二、三、回の各供述調書三通、被告人の情状について立証するため(二)被告人の司法警察員に対する供述調書一通(三)藤田弘の検察事務官に対する第一回供述調書一通その他受領書、前科調書、身上調書等の取調を請求し、弁護人は右(一)及び(二)の供述調書は任意性を欠いた供述を録取したものであるから証拠調に異議ありと述べた事実を認めることが出来る。次いで検察官は被告人に対し被告人は検察庁や警察で取調を受けた時取調官から叩かれたとか驚かされたとか無理な取調を受けたようなことはないか否かを訊したところ被告人はそのようなことはなかつた旨を答えた上調書は何れも読み聞かされて署名指印したと述べたので弁護人の右の調書は任意性に欠けているとの意見は理由がないと述べた。そこで裁判官は被告人に対し前記(一)(二)の調書中の署名指印部分を示して被告人のものであることを確めた上(一)(二)につき証拠調をする旨の決定をした事実を確認しうるのであるから裁判官が検察官に右調書の任意性を挙証せしむることなく自ら職権で調査した違法があるということは出来ない。

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