仙台高等裁判所 昭和25年(う)882号 判決
記録を調査すると、本件起訴状の謄本が被告人の当時拘禁されていた八戸地区警察署に送達されたのは、昭和二十五年二月三日で、原審の第一回公判期日が同月十日午前十時であつたことが認められるのであるから、被告人に対する第一回公判期日の召喚状が被告人に送達されたことが記録上認められないとしても、弁護人に対する召喚状が同月三日送達されている点より見れば、公判期日の召喚状は起訴状謄本と共に被告人に送達されたものであることが窺い知られるのである。従つて被告人に対する召喚状の送達と第一回公判期日の間には五日以上の期間を存すること明らかである。仮りに然らずとするも、原審第一回公判調書に依ると、被告人も弁護人も右公判期日に出頭し、いづれも異議なく弁論した事が明白であるから、斯かる場合においては、責問権の抛棄によりその公判手続の違背は治癒されたものと認めるべきである。