仙台高等裁判所 昭和25年(う)958号 判決
公務員たる巡査が、被告人を、傷害事件の容疑に因る取調の為、北白川駅事務室から白川巡査駐在所へ連行の途中、被告人が同巡査に殴打創傷を与えた旨の原判示事実夫自体を以てしては右「連行」が、起訴状の様な「任意同行」(警察官等職務執行法第二条第二号)であるのか、「緊急逮捕」(刑事訴訟法第二百十条)であるのか、将又、「現行犯逮捕」(刑事訴訟法第二百十二条、第二百十三条)であるのか、其何れであるのかに関する説示がない以上、適法なる公務の執行の内容を窺知するに由なく、公務執行妨害罪の判示事実としては完全でないとの謗を避け難い。此意味に於て原判決には理由不備の違法がある故、原判決は破棄を免れないが、更に、原判決挙示の証拠に依つては、右連行が任意同行であるか、緊急逮捕であるか、現行犯逮捕であるか判然しない。然るに原判決は、其挙示の証拠に依て、被告人が右「連行」の途中、安藤巡査に暴行した事実を認め、之を公務執行妨害罪と認定したのであるから、原判決の「事実」と「証拠」との間には齟齬があり、此点に於ても原判決は破棄を免れない。
(後略)