大判例

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仙台高等裁判所 昭和27年(う)920号 判決

原判決は………「被告人は昭和二十三年秋頃から、兄常松徳治所有の木造トタン葺一棟、建坪十二坪五合を同人の黙認を受け使用管理中のところ、昭和二十六年九月十七日頃、同人の許諾なく井上弥一に右建物を擅に売却し、以つて横領した」旨判示した。しかしながら、不動産に対する横領罪の成立に必要なる占有は法律的支配関係例えば法人の代表者、未成年者の親権者又は後見人が、不動産の管理人として包括的代理権限を有するが如き場合に限るものにして、単なる事実上の占有は含まないものと解すべきところ、本件について原判決挙示の証拠を綜合考覈するに、被告人は単に所有者の黙認により右建物に居住し居たるに過ぎないものであつて、何等の支配権限をも保有していなかつたものと認められる。然らば何等法律的支配権限のない被告人が右未登記建物を自己所有の如く装い井上弥一をしてその旨誤信せしめ、名を売買に藉り、代金名義の下に金員の交付を受けるが如きは、詐欺罪を構成すると認めるは格別横領罪とはならないのである。然るに被告人の右所為を横領罪と認定した原判決は法令の解釈を誤り事実の認定を誤つた違法があつてその誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかであるから此の点に於て破棄を免れない。

(後略)

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