仙台高等裁判所 昭和28年(う)539号 判決
銃砲刀剣類等所持取締令第一条所定の「やり」とは、単に金属製で「やり」の形態をなすもの一切を取締の対象となすものではなく、少くとも十五センチメートル以上の刄渡りを有するもので武器として攻撃防禦をなすに当り、人を殺傷する性能を有し、即ち刀剣類としての効用を持つものでなければならないものと解すべきところ、証拠を仔細に検討するに本件の槍は元来鉄製ではあるが、鋼が入つていない(炭素を含有しない)単なるのべ金に過ぎないので匁物としての効用に適せず、しかも太平洋戦争の末期において当時の弘前師団兵器部長から武器としての納入を拒否され、已むなく倉庫の軒下などに放任してあつた玩具に均しいものであることが認められるもので、本件の物件は同令第一条にいわゆる「やり」として取締の対象に当らないものというべきである。