仙台高等裁判所 昭和28年(う)951号 判決
先ず職権を以つて調査するに、本件記録特に福島地方裁判所書記官鴇田正人作成の本件記訴状の写、同人作成の本件原判決書謄本、福島地方裁判所若松支部裁判所書記官補安斉保恵作成の顛末書、及び前橋地方検察庁検察官平井太郎作成の回答書に徴すれば、昭和二十四年七月二日本件起訴が適法に福島地方裁判所になされたこと、同年同月二十七日同裁判所においてその第一回公判が開かれ、被告人は公訴事実を争わず、本件原判決謄本摘示の各証拠書類及び証拠物の取調請求があつて証拠調がなされ、事実取調を終了し、懲役一年の求刑があつて、即日結審し、同年同月三十日判決の宣告がなされたこと、反証のない本件においては右証拠調をはじめ本件訴訟手続はすべて適法になされたものと推定されること、及び本件原判決謄本内容の如き判決がなされその原本が作成せられたことが各認められる。しかし、原判決謄本摘示の各証拠書類はその原本は勿論謄本も存在しないのであるから、原判決事実認定の当否を判断するに由なく、結局、原判決には理由のくいちがい乃至理由を附しない違法があることに帰すべく、原判決は破棄を免れない。