大判例

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仙台高等裁判所 昭和28年(ネ)462号 判決

控訴代理人は「原判決を取消す、被控訴人が昭和二十四年十月八日青森市大字浦町字橋本十一番四号宅地四十一坪四合二勺に対し、同市大字古川字美法十番一号宅地五百十五坪の北側九十六坪一合五勺中三十六坪を換地予定地に指定した処分を取消す、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張は、控訴代理人において、(1)控訴人の賃借地の中、折笠亀五郎に対し本件三十六坪が換地予定地に指定された結果、控訴人が現在使用している部分は約六十坪(原判決添付図面(チ)、(リ)、(ヌ)、(ヲ)、(ワ)、(ト)、(チ)の部分)である、(2)被控訴人が本件の換地予定地の指定処分をしたのは、折笠亀五郎所有の青森市大字浦町字橋本十一番四号宅地四十一坪四合二勺の中、二十八坪九合二勺が都市計画事業により道路敷となり残地が十二坪五合となつて過少宅地に減歩されたためなのであるが、右残地の北側隣接地には館山忠雄所有の同所十二番一号宅地七坪六合八勺、同所三番三号宅地二百八十七坪七合六勺、同所三番四号宅地二百八十七坪七号六勺、同所三番五号宅地三百三十坪八合、以上合計七百四十三坪二合八勺があり、該土地は区画整理により八十一坪一合八勺減歩となり、原地において六百六十二坪一合の仮換地の指定を受けた。土地区画整理による換地指定処分は原則として原地に換地されるのがその建前であつて、区画整理により残存土地が過少宅地となつた場合はその隣接地を残存土地と併合して換地処分するのが原則であつて、且つ被控訴人は従来この原則によつている。土地区劃整理による減歩率が被控訴人主張の約二割五分であるとするならば、前記舘山忠雄所有地の換地処分による減歩率は未だこれに達せず、この率までにはなお百四坪六合四勺の余裕がある。従つて原則からすれば右余裕部分の中十八坪五合七勺を前示折笠亀五郎の残地十二坪五合と併せ右折笠に対し換地処分をしなければならないこととなる。右の原則によることのできない特別事情がないのにかゝわらず、原地を飛離れて控訴人の借地百二十坪の内に本件換地予定地の指定をしたのは違法の処分である、と述べ、被控訴代理人において、右(1)の事実は認める、(2)の事実はこれを争う、と述べた外いずれも原判決事実摘示(但し被控訴人の本案前の抗弁は被控訴人においてこれを撤回したからこの部分を除く)と同一であるからここにこれを引用する。

(各証拠省略)

三、理  由

被控訴人が青森市特別都市計画事業による土地区劃整理のため、特別都市計画法第十三条により、昭和二十四年十月八日折笠亀五郎従前所有の宅地同市大字浦町字橋本十一番の四号四十坪四合二勺に対し、今渕正太郎所有の宅地同市大字古川字美法十番の一号五百十五坪中三十六坪を換地予定地に指定したことは当事者間に争がなく成立に争のない甲第一、二号証、原審証人今渕正太郎の証言、原審並びに当審における控訴人本人尋問の結果を綜合すれば、控訴人は昭和二十一年一月以来、今渕正太郎から右十番の一号宅地五百十五坪中、右換地予定地三十六坪を含む百二十坪を賃借してきたことが明らかである。

控訴人は先ず、右換地予定地の指定にあたり、その旨を右予定地の賃借権者である控訴人に通知しなかつたから、右指定処分は特別都市計画法第十三条に違反する旨主張するので、この点について判断すると、右指定の通知が控訴人になされなかつたこと、右賃借権について登記を経由してないことは当事者間に争がない。そこで特別都市計画法施行令第四十五条によれば、未登記の権利者でも換地の交付を受けることができる旨規定しており、そのためには同条所定の届出を必要とするというのであつて、このことは換地処分が効力を生ずるまでの経過的措置としてなされる換地予定地の指定についても同様に考えなければならないから、同条所定の届出をしない権利者は換地予定地の指定を受けることができないものといわなければならない。従つてかかる権利者に対しては換地予定地としての指定及び通知を要しないものであると解するを相当とする。ところで控訴人において前示の賃借権を届出でた旨の原審並びに当審における控訴人本人尋問の結果は、原審証人望月倫一の証言に徴し採用し難いのであり、右望月倫一の証言によれば、控訴人から同条所定の届出のなかつたことが認められるから、被控訴人は控訴人に対し換地予定地の指定の通知を要しないものである。よつてこの点を前提とする控訴人の主張は採用し難い。

次に控訴人は、被控訴人の本件換地予定地指定の結果、控訴人の賃借地の減歩率が酷であり、耕地整理法第三十条に違反する、なおまた本件指定処分は、折笠亀五郎の所有地に対して原地換地をなすべきが原則であるのに、これに反する違法がある旨主張する。ところで前示都市計画法第四十五条は未登記権利者が換地の交付を受ける上に届出の必要なことを定めたものであるけれども、これは未登記権利者の権利をできるだけ保護する反面、都市計画事業のため土地区劃整理は円滑、迅速且つ劃一的な施行を必要とするからでありその趣旨を推しすすめれば、右の届出をしない権利者は区劃整理施工者に対し、その区劃整理につき自己の権利を主張し得ないものというべく、従つてその区劃整理につきされた換地予定地指定処分に対してもその違法を主張してこれが取消変更を求めることができないものであると解するを相当とする。しからば、控訴人が本件換地予定地上に有すると主張する賃借権が前示の如くその届出のないものである以上、控訴人において被控訴人に対し本件換地予定地指定処分の取消を求めることができないものというべきであるから、結局控訴人の右主張はその違法事由の存否に関する争点について判断するまでもなくこれを採用することができない。

よつて控訴人の本訴請求はこれを失当として棄却すべく、これと同旨の原判決は相当で本件控訴はその理由がない。

よつて民事訴訟法第三百八十四条第九十五条第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 村木達夫 佐々木次雄 畠沢喜一)

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