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仙台高等裁判所 昭和36年(ラ)120号 決定 1962年2月28日

昭和三六年功第一二〇号

昭和三七年二月二八日次定

決定

東京都中央区八重洲五丁目五番地

抗告人

八戸鋼業株式会社

右代表者代表取締役

沼田吉雄

右代理人弁護士

成田芳造

渡辺修

竹内桃太郎

八戸市小中野町二番地

相手方

鉄鋼労連八戸鋼業労働組合

右代表者執行委員長

田名部小一郎

右代理人弁護士

斎藤忠昭

山花貞夫

渡辺正雄

坂本修

今井敬弥

右抗告人は、青森地方裁判所八戸支部が、同庁昭和三六年(モ)第一七〇号仮処分執行取消事件につき、同年一二月二一日にした仮処分執行取消決定に対する即時抗告にもとづく仮の処分につき即時抗告の申立をしたので、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

原決定を取消す。

理由

本件抗告の趣旨及び理由は別紙記載のとおりである。

原裁判所が、同庁昭和三六年(モ)第一七〇号仮処分執行取消事件につき、同年一二月二一日にした仮処分執行取消決定に対する抗告人会社の申立にかかる即時抗告に対し、民事訴訟法第四一八条第二項にもとづき、仮の処分として、抗告人会社の即時抗告により右仮処分取消決定はその効力を停止されないものとする旨の決定をなしたことは、本件記録及び原決定により明らかである。

ところで、わが民事訴訟法が即時抗告を許す場合において、即時抗告があつたときは、同法第四一八条第一項により当然に執行停止の効力を生ずるものであり、同条第二項の規定により原裁判の執行を停止するなどの処分をする必要がなく、これを適用すべき余地はない。同条第二項は普通抗告に関する規定であつて、即時抗告の場合に適用がないものである。

それゆえ、右条項にもとづき、抗告人会社の即時抗告により原裁判の効力を停止されないものとする原決定は、正に同法第四一八条第一項の明文に反するものであり、違法であることはいうまでもなく、本件抗告は理由がある。

よつて、原決定を取消すべきものとし、主文のとおり決定する。

昭和三七年二月二八日

仙台高等裁判所第三民事部

裁判長裁判官 鳥 羽 久五郎

裁判官 羽 染 徳 次

裁判官 小 林 謙 助

抗告の趣旨

原決定を取消す旨の裁判を求める。

抗告の理由

抗告人は、青森地方裁判所八戸支部が同庁昭和三六年(モ)第一七〇号仮処分執行取消申請事件につきなした仮処分執行取消決定に対し即時抗告の申立をなしたところ、同裁判所は、民事訴訟法第四一八条第二項により、抗告人の即時抗告により右仮処分執行取消決定はその効力を停止されないものとする旨の決定をなした。

しかし、原裁判所が準拠する右条項は、通常の抗告に関する規定であつて、これにより即時抗告の執行停止の効力を左右することはできないのであり、原決定は違法である。

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