仙台高等裁判所 昭和40年(う)14号 判決 1965年4月08日
控訴人 被告人 大倉孝志 外一名
弁護人 橋本乾三
検察官 佐々木衷
主文
本件各控訴を棄却する。
被告人田中英志に対し、当審における未決勾留日数中六〇日を本刑に算入する。
(訴訟費用関係は省略)
理由
本件各控訴趣意は、弁護人橋本乾三名義の控訴趣意書および控訴趣意補充書にそれぞれ記載されているとおりであるから、これを引用する。
控訴趣意第四点について。
しかしながら、原判示監禁行為は原判示のように午前八時頃より午前一一時半頃まで継続し、原判示強姦行為は右不法監禁中の午前一〇時頃になされたものであつて、両者は強姦実行の時点でたまたま重なり合うにすぎないから、一個の行為ではなく、別個独立の二個の行為と解すべきであり、所論のように右監禁行為と強姦行為とは想像的競合の関係にあるものでなく、併合罪の関係にあるものと解するのが相当である。従つて原判決が被告人田中の原判示各所為に対し刑法第五四条第一項前段を適用せず、同法第四五条前段の併合罪となし併合罪の加重をして処断したことは正しく、この点において所論法令適用を誤つた違法は存しない。論旨は理由がない。
(他の控訴趣意に対する判断は省略)
(裁判長裁判官 細野幸雄 裁判官 畠沢喜一 裁判官 寺島常久)
弁護人橋本乾三の控訴趣意書
第四点原判決は擬律錯誤の違法がある。
前記第三点の後段において説明したところによつて明らかなように、仮りに被告人田中の監禁および強姦を共に有罪であるとしても、この二罪につき刑法第五四条第一項を適用せず、刑法第四五条前段および第四七条本文を適用した点において原判決は擬律を誤つている。
(其の他の控訴趣意は省略する。)