大判例

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仙台高等裁判所 昭和41年(う)278号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕ところで、道路交通法第七二条第一項後段は、車両等の交通による人の死傷又は物の損壊(以下交通事故という。)があつた以上、右人又は物の被害の程度いかんを問わず、当該車両等の運転者に対し警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所等所定事項を報告することを命じているのであつて、その被害の程度が軽微であるからといつて、右義務を免れることはできないものと解するのが相当である。そこで、右証拠を検討するに、被告人は、原判示第一のように自動車を運転して進行中、対向して来た被害者鶴岡三郎の自転車に自動車を接触させて、同人を路上に転倒せしめ、傷害を負わせたのであるが、その際同人が右接触転倒により多少の負傷をしたかもしれないと考えたにかかわらず、そのままその場から逃走し、もよりの警察署の警察官に同項後段所定の事項を報告しなかつたことが明らかである。もつとも右証拠によれば、当時被害者鶴岡は、右手と右足に痛みを感じただけで、他人の助けをかりずにそのまま帰宅した(翌朝なお痛みが止まないので医師の診断を受けたところ、右第四掌骨骨折及び右下腿部打撲症を負うていることがわかり、治療を受けた)ことが認められるが、所論のごとく右事実を根拠として右事故が社会通念に照らし報告義務を伴う事故という値しないと解するのは相当ではない。また右証拠によれば、前叙のとおり被告人は本件交通事故により被害者鶴岡が負傷したことを未必的にもせよ認識しまた交通事故を起したときはその報告を警察官にしなければならないことは熟知していたのにもかかわらず、その義務を怠つたことが明らかであるから、所論のごとく被告人が右義務違反につき違法の認識を欠いていたものとはいえない。従つて原判決が被告人の本件所為を道路交通法第七二条第一項後段に違反し、同法第一一九条第一項第一〇号に該当するものとして処断したのは正当であつて、原判決には所論のような違法は存しない。論旨は理由がない。(有路不二男 寺島常久 西村法)

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