大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台高等裁判所 昭和52年(ネ)89号 判決 1978年8月08日

控訴人 株式会社山形銀行

被控訴人 破産者亀甲建設株式会社 破産管財人 野村喜芳

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

(一)  控訴人は被控訴人に対し六、八〇三万九、八三九円及びこれに対する昭和四七年一二月二三日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。

(二)  被控訴人のその余の請求を棄却する。

二  訴訟費用は第一、二審を通じてこれを二分し、その一を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。

三  この判決第一項の(一)は仮に執行することができる。

事実

一  控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、本件控訴を棄却する、との判決を求めた。

二  当事者双方の主張並びに証拠関係は、次のように附加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。(原判決添附別紙第一目録中9に「山形県開托連」とあるは「山形県開拓連」の誤記と認める。)

(控訴人)

1 仮に控訴人の左記主張すなわち本件担保権の設定(質権設定及び債権譲渡の双方を含む。)が、(1) 従来の契約を単に文書化して対抗要件を具備させたもので、その時点における旧債務に対する新たな担保権の設定ではない。(2) 控訴人銀行は、破産会社の倒産回避を目的として支払手形決済のため、本件担保権の設定を得たうえ、破産会社に対し八、九〇〇万円の救済融資を実行したものであつて、右は一般債権者の利益にこそなれ、その害にならないことは明らかであり、控訴人銀行は債権者を害することを知らなかつたのであるから、否認権行使の対象とはならない、との主張が容れられないとしても、控訴人銀行が破産会社から債権担保のため譲渡され、その後取立回収した金額中、少くとも前記救済融資額に相当する額については、否認権行使の対象とすべきものではない。なぜなら一般にある業者が倒産を免れるべく取引銀行に懇請して手形決済等のため救済融資を得たにも拘らず、その後不幸にして倒産した場合、右救済融資のための担保提供行為が否認され、現実に融資した金額の回収ができなくなることは明らかに不合理で、もし右のような場合担保提供行為が否認権行使の対象となるものとすれば、経済界の不況下において、若干営業不振と見られるが回復見込みの十分な業者に対する救済融資は銀行側からすべて拒否され、業者の倒産が続出するに至ることは明らかである。従つて本件において、救済融資額の八、九〇〇万円を超す回収額については否認権の行使により返還を求められるのは止むを得ないものとしても、少くとも右救済融資額に相当する金額についてこれを否認権の対象とすることは違法といわなければならない。

2  被控訴人の主張事実中、控訴人銀行が破産会社に融資した八、九〇〇万円につきその主張の日に東北電化工業株式会社外七社から四、〇五五万三、八九六円の代位弁済を受けた事実は認める。

従つて、仮に救済融資額全額が否認権行使の対象とはならないとの主張が容れられないとしても、当初の融資額八、九〇〇万円から右代位弁済額合計四、〇五五万三、八九六円を控除した四、八四四万六、一〇四円に相当する金額については否認せらるべきものではない。

(被控訴人)

1  控訴人の右主張を争う。救済融資と名がつけば、すべてこれに関する行為が、否認権行使の対象とならないとすることはできない。否認権行使の要件を具備するかどうかによつて決せられるべきものである。

本件の場合

(1)  控訴人銀行は、破産会社の経営が悪化してくるや、昭和四五年四月頃から控訴人銀行の行員を破産会社に派遣し、その経営状態を見守りつつ、指導に当つているのであつて、破産会社の経営状態を十分把握していたこと、

(2)  控訴人銀行は破産会社にその主張の融資を行う以前の昭和四五年一〇月初め頃、破産会社の代表者に対し、大蔵省の監査のためにのみ利用すると称して質権設定及び債権譲渡の各契約書に押印を求め、同月一六日これに日附を記入し、その作成を完了したこと、

(3)  そして控訴人銀行は、この時期に右質権の設定及び債権譲渡の通知を発送すれば、破産会社の取引先に混乱を招き、一挙に破産会社が倒産に追い込まれることを十分予測できたにも拘らず、あえて同年一〇月一六日附内容証明郵便をもつて右各通知を発送したので、果して同月末には破産会社は支払を停止し事実上破産状態に陥つたこと、

(4)  さらに控訴人銀行は、昭和四五年一〇月二〇日、破産会社にその有力取引先の東北電化工業株式会社外七社から極度額四、〇〇〇万円の根保証を得たうえ、六、七〇〇万円の融資をしたのであるが、翌四六年一月二六日から同年一月三〇日にかけて右八社から保証額計四、〇〇〇万円及びこれに対する遅延損害金五五万三、八九六円の弁済を受けていること、

以上の諸事情に照らせば、控訴人主張の融資は救済融資とは認められず、従つて本件担保提供行為は否認権行使の対象とならないということはできない。

2  しかも本件質権の設定、債権譲渡の通知により、破産会社の経営は混乱し、昭和四五年一〇月末日支払停止となつたものであるところ、本件質権の設定及び債権譲渡は同月一六日になされているのであるから、本件は破産法第七二条第四号の場合にも該当する。

3  なお原判決一枚目裏一一行目から一二行目にかけて「昭和四五年一一月六日」とあるを「昭和四五年一一月二六日」と改める。

(証拠関係)<省略>

理由

一  亀甲建設株式会社(以下「破産会社」という。)は土木建築請負施行業を営む会社であつたが、昭和四五年一一月二六日、破産宣告の申立を受け、同年一二月二二日、山形地方裁判所で破産宣告を受け、被控訴人がその破産管財人に選任されたことについては当事者間に争いがない。

二  次に破産会社が控訴人銀行に対し原判決添附別紙第一目録記載の工事代金債権(計一億三、一一二万九、三六三円)について質権を設定し、同第二目録記載の工事代金債権(計一億二、〇八五万一、二八九円。同目録13番債務者郷ノ目利夫に対する債権額が三一二万円であることを認めるに足りる証拠はないが、二一二万円の限度では当事者間に争いがない。)を譲渡したこと、及び控訴人銀行が前記債権額中、第一、第二各目録のとおり合計一億一、六四八万五、九四三円の支払いを受けたことについては当事者間に争いがない。

しかるところ右質権設定並びに債権譲渡のなされた日時について争いがあり、被控訴人は右質権設定並びに債権譲渡は昭和四五年一〇月一六日になされたと主張し、控訴人銀行は、破産会社との間に昭和三九年六月八日締結した銀行取引契約に基づき破産会社に対し融資を行う際、実質的には本件工事代金債権を担保として取得していたのであるから、被控訴人主張の日時はその単なる文書化の日に過ぎない旨主張するので、以下検討する。

成立に争いのない乙第二、三号証、第四号証の一ないし二九、第七号証、原審証人浅田長六、同小林清吉、同船山誠二、当審証人古川年雄の各証言(ただし右小林清吉、船山誠二、古川年雄の各証言中後記措信しない部分を除く。)によれば、次のような事実を認めることができる。

(一)  控訴人銀行は、その前身である株式会社両羽銀行当時の昭和三九年六月八日、破産会社との間に銀行取引契約を結んだが、その際に取り交わされた銀行取引約定書(乙第七号証)には担保に関し、左記条項が含まれていること。

(1)  破産会社は債権保全のため必要がある場合には、控訴人銀行の請求により直ちに担保もしくは増担保を差し入れること、

(2)  破産会社が控訴人銀行に現在差し入れている担保及び将来差し入れる担保はすべてその担保する債務のほか、現在及び将来負担する一切の債務を共通に担保するものとすること、

(3)  担保の取立または処分については控訴人銀行にこれを委ね、控訴人銀行が自ら一般に適当と認める方法、時期、価格等により取立または処分をしたうえ、その取得金から諸費用を差し引いた残額を適宜債務の弁済に充当しても異議のないこと、

(二)  その後昭和四三年に至り、破産会社の経営内容が悪化した際、控訴人銀行は破産会社の再建を策して同会社に対し再度にわたり経営方針に関する答申書の提出を求めたのであるが、破産会社は右答申の中で、破産会社は控訴人銀行からの既存の借入金については固定債権(財務諸表規則上の固定負債に対応する債権)の早期回収ないし手持不動産の処分を図ることなどによりその返済に努めること、なお爾後の運転資金については官公庁工事分については質権設定または代理受領を行い、民間工事分については事前に控訴人銀行と話合のうえ受注を決定するなどして、その確実な返済に努めることなどの意向を表明したこと、

(三)  そこで控訴人銀行は、破産会社に対して従前どおり融資することにし、昭和四三年一一月以降同四五年九月までの間破産会社からの借入申込みに応じて融資を継続してきたこと、

(四)  しかしてこの間における貸付けの方法は、破産会社においてその融資申入額に相当する請負工事代金につき工事名、請負代金額、前受金額、差引残高等を明らかにした工事明細書を添付した融資申込書を提出して借入の申込みをなし、控訴人銀行においてこれに応じて融資をなしてきたものであるが、その際控訴人銀行と破産会社との間には右の工事代金債権を担保に供するとの格別の合意は交わされなかつたこと、また右借入金の返済に際しても破産会社が工事代金を集金して控訴人銀行に返済していたもので、控訴人銀行が直接債務者からこれを取立てることはなかつたこと、

以上の各事実が認められ、右認定に反する前掲証人小林清吉、同船山誠二、同古川年雄の各証言の一部は前掲各証拠に照らし措信できず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

右認定事実からすれば、控訴人銀行は右貸付にあたり、その主張する如くその都度工事代金債権に質権を設定しあるいはこれを譲渡するなどの方法によりこれを担保に徴していたものではなく、工事代金債権を見合とするいわゆる信用貸付を行なつてきたものと認めるのが相当であり、結局本件質権設定並びに債権譲渡はその文書化された日である昭和四五年一〇月一六日(文書化された日時については争いがない。)になされたと認められる。

なるほどいずれも成立に争いのない乙第四号証の一ないし二八(融資申込書)にはいずれも「担保」の欄「7その他」の余白に「(別紙明細の工事代金)」との記入がなされているので右各貸付の都度工事代金債権が担保に供されていたようにもみえる。しかし右融資申込書のうち、乙第四号証の一、一四、二一、二四などには右のほか同様「担保」の欄「6信用」の項に丸印が附せられているものもあり、この分だけを他と区別して信用貸付であり、他はすべて担保貸付であるとするいわれはないのであるから、結局前記担保欄「7その他」の空白個所への記入はその工事代金債権をもつて借受金の見合とする趣旨以上のものとは解し難く、それ故右融資申込書の記載は前記認定を妨げるものではない。

三  被控訴人は本件質権設定並びに債権譲渡は、控訴人銀行以外の他の債権者を害する行為であり、破産会社は当時このことを知つていたのであるから、右各行為は破産法第七二条第一号に該当すると主張するので以下検討する。

前掲各証拠のほか成立に争いのない甲第一号証ないし第二六号証、第二八号証ないし第三八号証、第四〇号証ないし第四三号証、第四六号証ないし第四八号証、第四九号証の一ないし三、第五一号証、原本の存在及びその成立とも争いのない乙第一号証の一、二、原審証人坂元精一郎の証言を総合すると、次のような事実を認めることができる。

(一)  控訴人銀行は、昭和二四年頃から破産会社の主力銀行として融資を行なつてきたこと、

(二)  ところが破産会社は斯業界での過当競走のあおりを受け、これに加えて建築資材の値上り等が禍いして昭和四三年夏頃から業績が悪化し、同年末の決算時には七、五〇〇万円からなる赤字を計上するに至つたこと、

(三)  そこで控訴人銀行は、破産会社の経営状態を憂慮して昭和四三年、同四四年の二回に亘り、破産会社に対し経営方針に関する答申書の提出を求めるなどして同社をして右答申の線に沿い遊休固定資産の売却、未収金の早期回収、経費の節減などに努めさせる一方、自らも運転資金の貸付を継続してその業績の改善のため協力したが、同社の経営状態は一向に好転せず悪化の一途をたどり、同四五年一〇月当時の破産会社の資産状況は合計約九億円の負債(但しうち約五億円は控訴人銀行からの借入金債務。)を抱え、債務超過の状態にあつたこと、

(四)  ところで破産会社は、同四五年一〇月初め頃、控訴人銀行に対し、同月一六日及び一七日の労務費、外注費の支払資金として二、二〇〇万円、同月一九日支払期日の手形決済資金として六、七〇〇万円、同月末の賃金等諸払資金として一、六〇〇万円からなる同月分の資金計画書を添え、合計一億五〇〇万円の融資を申込んだところ、控訴人銀行は破産会社の前記経営状態及び資産状況に鑑み、一度はこれに難色を示したが、破産会社の有力取引先である東北電化工業株式会社外七社からの融資要請もあつたので、結局は破産会社を支援する態度を決め、右融資申込に応ずることにしたこと、

(五)  そして控訴人銀行は、この機会に従来ゆるやかに運用してきた融資条件を改め、貸付金債権を確保すべく、方式に則つた担保権の設定を図ることにし、その旨破産会社と取引のある同銀行三日町支店の行員に指示したこと、そこでその頃、同銀行三日町支店の支店長船山誠二外一名が破産会社の代表取締役浅田長六に対し同社の貸付金債務につき質権設定もしくは債権譲渡の方法により同社の工事代金債権を担保に供するよう要求し、その承諾を得て各契約書(但し右工事代金債権の内訳は右時点では特定されておらず、後日控訴人銀行において調査のうえ、適宜分類して別紙第一、二目録記載のとおり特定した。)にその押印を得、さらに一〇月一六日には右浅田長六に対し破産会社から右各債務者宛のこれら質権設定並びに債権譲渡の通知書への押印を求めてこれに応じさせたうえ、同月一七日から二二日にかけて右各通知書を同社の各債務者宛に発送し、それぞれの対抗要件を備えるに至つたこと、

(六)  この間控訴人銀行は破産会社に対しまず一〇月一六日、一七日の両日にわたり外注費、労務費のための支払資金として計二、二〇〇万円を貸し付け、さらに一〇月二〇日には前記八社から四、〇〇〇万円の共同保証を得たうえ手形決済のための資金として六、七〇〇万円を貸し付け、かようにして破産会社は一時的にではあるが手形不渡りによる倒産を免れることができたこと、

以上の各事実を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

ところで、資産状態の悪化した債務者が、既存債務のため特定の債権者に担保を提供する行為は、他の一般債権者の利益を害することになるので、後に債務者が破産宣告を受けた場合これが破産法第七二条第一号に基づく否認権行使の対象とされるのは当然であるが、右債務者があくまで事業の継続を図り、これを前提として緊急の支払資金を得べく他から借入れをなし、これに担保を提供する行為は借入額と担保物件の価格との間に合理的均衡が保たれている限り、一般債権者の利益を害するものではなく、従つて前記法条に基づく否認権行使の対象とはならないものと解せられる。

本件につきこれをみるに、破産会社の控訴人銀行からの右合計八、九〇〇万円の借入金は、同社がその事業を継続すべく緊急の支払に充てる目的でなされたものであることは明らかであり、しかも破産会社と控訴人銀行との間に交わされた前記約定によれば、破産会社が控訴人銀行に差し入れる担保は現在及び将来における貸付金債務の一切を担保するものとされているのであるから、右のとおり質権設定並びに債権譲渡のなされた工事代金債権のうち、右借入金額に見合う分は、この新たな貸付金債務の担保に向けられているものとみるのが相当であり、かつ彼比金額の点で均衡に欠けるところがないのであるから、右質権設定並びに債権譲渡のなされた工事代金債権のうち右借入金額を越える分は既存の貸付金債務の担保に向けられたものとして、これが否認権行使の対象となり、かつ前記認定の事実に照らし破産会社に詐害意思のあることはこれを推認するに難くはないけれども、右借入金額に見合う分はさしあたり否認権行使の対象とはならないものと言うことができる。

もつとも控訴人銀行は、破産会社に対し手形決済資金として六、七〇〇万円を貸し付けるにあたり、うち四、〇〇〇万円につき前記八社からの共同保証を得たことは前記認定のとおりであり、その後昭和四六年一月二六日から同年一月三〇日にかけて控訴人銀行は右八社から右保証債務の履行として遅延損害金を含め計四、〇五五万三、八九六円の代位弁済を受けていることについては控訴人銀行もこれを認めて争わないところである。してみると、右借入金のうち代位弁済を受けた金額については実質的にみて本件質権設定並びに債権譲渡の方法による担保が及ばなかつたことに帰着し、従つてこの金額に見合う分もまた否認権行使の対象とみるのが公平の見地に照らし相当と考える。

控訴人銀行は、本件質権設定並びに債権譲渡当時一般債権者を害することを知らなかつた旨主張するけれども、控訴人銀行は破産会社の主力銀行として同社の経営状態及び資産状況を把握していたことは前記認定のとおりであるから、控訴人銀行としては工事代金債権を既存の貸付金債務の担保として提供を受けることは一般債権者の共同担保を減損し、従つて一般債権者の利益を損うものであることは当然認識していたものというべく、控訴人銀行の右主張は採用しない。

四  被控訴人は、本件質権設定並びに債権譲渡は破産法第七二条第四号の場合に該当すると主張する。しかしながら前記認定の事実からすれば、本件質権設定並びに債権譲渡のうち、新たな貸付金(但し代位弁済のあつた金額を除く。)に見合う分は、むしろ破産会社の本来の義務に属する担保提供の行為であると認められるのであるから、被控訴人の右主張は採用しない。

五  以上の次第であるから、破産会社の控訴人銀行に対してなした本件質権設定並びに債権譲渡は、右借入金の金額を越え、また右借入金中共同保証を得、後に代位弁済を受けた金額に相当する限度ではこれを破産法第七二条第一号に基づき否認することができるのであるが、被控訴人において本訴状によりこれを否認する旨の意思表示をし、右は昭和四七年一二月二二日控訴人銀行に送達されたことが記録上明らかであるから、右否認権行使の結果右の限度での本件質権設定並びに債権譲渡は破産財団との関係で効力を失ない、従つて控訴人銀行は原状回復として自己が各債務者から弁済を受けた金員のうち右に相当する金額を被控訴人に返還すべき義務がある。

六  よつて被控訴人の本訴請求は控訴人銀行に対し六、八〇三万九、八三九円及びこれに対する本訴状送達の翌日であることが記録上明らかな昭和四七年一二月二三日から完済まで商事法定利率年六分(原判決主文第一項に「年五分」とあるは「年六分」の誤記と認める。)の割合による遅延損害金の支払を求める限度で正当としてこれを認容し、その余は失当として棄却すべきものであるところ、右とその趣旨の一部を異にする原判決を主文のとおり変更することとし、民事訴訟法第三八四条、第三八六条、第九六条、第九二条、第一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 佐藤幸太郎 武田平次郎 武藤冬士巳)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例