大判例

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仙台高等裁判所 昭和53年(ラ)39号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二よつて案ずるに、本件文書提出命令の申立は、抗告が、本件文書は民事訴訟法三一二条三号前段の文書にあたるとして、第三者である相手方に対して、その提出命令を求めるものである。

しかし、民事訴訟法三一二条三号前段にいう「挙証者の利益のために作成せられ」た文書とは、挙証者の法律上の利益のために作成された文書、すなわち、挙証者の権利義務を発生させるために作成された文書であるが、挙証者の法的地位や権限または権利を明らかにするために後日の証拠として作成された文書をいうものと解すべきところ、抗告人の主張によつても、本件文書がそのようなものでないことは明らかである。

すなわち、本件記録によれば、厚生省特定疾患スモン調査研究班というのは、スモンの発生病理、臨床、リハビリテーシヨン、疫学および社会・福祉に関する調査研究を行ない、本症の予防と治療ならびに患者の社会復帰に資することを目的とするものであり、本件文書は、スモン調査研究協議会(これが昭和四七年に前記の研究班に改組された)が研究の目的を明確にし、かつ、それ以上のためには使用しないことを条件にして全国の医療機関および各医師に患者の症状経過等についての調査を依頼して作成されたものと認められるから、本件文書が抗告人の権利義務を発生させるために作成されたものであるとか、抗告人の法的地位や権限または権利を明らかにするために後日の証拠として作成されたものといいえないことは明らかである。

したがつて、本件文書は同条同号前段所定の文書にはあたらないものというべきであり、これにあたるとして本件文書の提出を求める申立はこれを却下するほかはないものである。

(佐藤幸太郎 武田平次郎 武藤冬士巳)

【参考・文書目録】

(一) スモン調査研究協議会疫学班の昭和四四年度研究としての「SMON患者全国実態調査成績」(昭和四二年一月一日乃至昭和四三年一二月三一日の全国医療機関受診患者調査)において全国の医療機関から回収した「スモン(腹部症状を伴う脳脊髄炎症)調査個人表」と題する書類一切

(二) スモン調査研究協議会疫学部会の昭和四五年度・昭和四六年度各研究としての「SMON患者全国実態調査成績」(昭和四四年一月一日乃至昭和四七年三月の全国医療機関受診患者調査)において全国の医療機関から回収した「スモン調査研究協議会 スモン(腹部症状を伴う脳脊髄炎症)調査個人票」と題する書類一切

(三) スモン調査研究協議会臨床班所属班員による昭和四五年の「スモン患者のキノホルム剤服用状況調査」(第一回調査)において各医師から回収した「スモン調査研究協議会 スモン患者のキノホルム剤服用状況調査票」と題する書類一切

(四) スモン調査研究協議会疫学・臨床合同部会による昭和四六年の「全国スモン患者のキノホルム剤服用状況調査」(第二回調査)において全国の各医師から回収した「スモン調査研究協議会 スモン患者のキノホルム剤服用状況調査票」と題する書類一切

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